思いついたSS冒頭小ネタ集   作:たけのこの里派

29 / 31
タイトルは『悪魔を憐れむ歌』から。
ただし本作は悪魔「が」憐れむ側。
また映画『エクソシスト』とアニメ『血界戦線』、『呪術廻戦』の要素を(基本一名だけ)多分に含んでおります。

◆地雷要素
『オリ主無双』『原作改変』『独自解釈』『原作キャラ生存』など、てんこ盛り。


悪魔が憐れむ歌 原作:ブルーアーカイブ

 

 

 

 透き通るような青空に、まるで天を貫かんばかりに『何か』を奔らせる巨大な塔。

 そして多くの建造物に囲まれる街並み。

 特徴的なのは、その街には欠けているモノとそうそうあり得ない者が溢れていた。

 

 キヴォトス───数千もの学園が集合した学園都市国家。そんな、ある言語に於いて箱舟(Κιβωτός)の名を冠した世界。

 そこには数千の学園がそれぞれを領地として運営する自治区と、そこに所属する子供たち。

 光輪(ヘイロー)と呼ばれるソレを頭上に戴く生徒と、衣服を纏い二足歩行する多くの獣達。そして機械仕掛けの人形(オートマタ)が、人として闊歩していた。

 

 そんな学園都市キヴォトスの中には、トリニティ総合学園という学校が存在していた。

 学校が自治区と独自の軍事力を有し、国家の様相を呈している学園都市キヴォトスに於いて、三大学園に数えられる一大勢力の一角。

 所謂宗教(ミッション)系のお嬢様学校といった雰囲気であり、礼拝堂や古書館、音楽堂といった施設を保有。

 校舎は宮殿の様な佇まいとなって、領内には水質の良い湖も存在している。

 

 そんなトリニティは特殊な成立経緯を持っている。

 数百年前、現在のトリニティ自治区は幾つもの学園に分かれ、犇めいていた。

 そんな散発していた学校間での紛争を避けるべく、各校代表が会談。それを行うために設けられた場『ティーパーティー』は、現在トリニティの生徒会(実行政府)の名として残されている。

 やがて各学園は第一回公会議(アタナシウス・ニケーア)における合意を以って、『パテル』『フィリウス』『サンクトゥス』という3つの主要な学園を中心とした連合を形成。トリニティ総合学園という、一つの学校(くに)へと統合していくこととなる。

 

 そして集団である以上、必然『はぐれもの』は生じる。 

 その公会議で唯一統合を反対した『アリウス』は、当然この連合には入る事は無く。

 寧ろ異端として、トリニティという強大な力と数で以て弾圧、徹底的な迫害の対象となった。

 

 そして時は流れ。

 苛烈な弾圧の当事者はとうに消え去った現在。トリニティ総合学園には、迷宮じみた地下通路が存在していた。

 そしてその先には、数十キロに渡り存在する共同墓地(カタコンベ)

 大迷宮と表現できるそこを乗り越えた先に、嘗て迫害と弾圧によって遥か過去で消え去ったと認識されている『アリウス分派』が、自治区と共に『アリウス分校』という名で生き残っていた。

 彼女達を弾圧していた、事実上の武装組織『ユスティナ聖徒会』。アリウスは彼女達から特に苛烈な弾圧を受けていたが、同時に何らかの意図を背景として逃亡の手引きもされていたのだ。

 

 結果としてアリウスは自治区さえ保有する形で、ひっそりと存在し続けていた。

 無論、生き残った先に平穏が待っていたわけではない。

 名目上は「分校」となっているものの、既に学園としては機能していない。

 キヴォトスを事実上統括する連邦生徒会。その目も届かない場所で外部との一切の関係を絶ち、完全な孤立状態にあった。

 孤立状態故に食料を筆頭とした物資目的に内乱まで起きるなど、極めて治安も劣悪。

 数十年以上もの間、無秩序で凄惨な内戦に苛まれていた。

 

 それが変わったのが、約十年前。

 ベアトリーチェ───他者からは「マダム」とも呼ばれる異形の女性が、自治区を発見・制圧。

 終わりなき内戦は終わりを告げるも、しかし彼女達に救いが訪れた訳ではなかった。

 

 一般的な義務教育をなおざりに、戦闘技術やヘイローの破壊(生徒への殺害)方法などの殺人術を教え込み、その教育と環境が当たり前のものと認識させる───所謂、人権を無視された洗脳教育が行われていた。

 内戦を続けていた時と、果たしてどちらが彼女達には幸せだったのか。

 

 ────Vanitas(全ては虚しい) vanitatum et omnia vanitas.(どこまで行こうとも、全ては虚しいものだ)

 

 その言葉と共に、更なる劣悪な環境とトリニティへの憎悪を植え付けられながら。

 それが、およそ十年近く続けられ───遂に、最後の変化が訪れた。

 

 

 

 

 

 

 

 ◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さてアリウス生徒諸君等、君達に問題だ。先生ゴッコじゃねぇが────『人の嫌がる事をしてはいけません。ですが、何故でしょう?』」

『…………』

 

 アリウス自治区。その中で鈍く不快な音が響く。

 その音源のすぐ傍で、一人の少年が離れた場所で呆然とする少女達に問いを投げ掛ける。

 何かが壊れる音が、止まらない。

 

「───」サッサッ

「あー。次期生徒会長予定の、秤アツコ。悪いが普通に喋ってくれ」

「……もしもの時、誰かに助けを求められないから?」

「おしい!」

 

 少年の言葉に、特異なガスマスクを外した白いフードが特徴の少女が、問い掛けに答える。

 それに気を良くした少年はグチャリ、と楽しそうに足でソレを薙ぎ払った。

 そしてその挙動では通常ありえない現象が起き、破壊音と絶叫が響く。

 べちゃりとソレが壁にぶつかる音で、少女達が恐怖に竦む。

 その暴虐が、自分達に向けられる事を何より恐れて。

 

「ぶっちゃけ間違っていない。だけど、ルールさえ護ってたら公権力───例えば連邦生徒会やらヴァルキューレ辺りに逃げ込めば、一先ずは保護してもらえるだろう。公権力だから、一応はな。それこそ矯正局だって手だ。

 なのでコレは、あくまで俺の解釈ではあるが───『最後に躊躇して貰えないから』だ」

「躊、躇」

 

 そして漸く、少年がそれを止める。破壊を一旦やめる、蹂躙を止める。虐殺に、一息つける。

 ソレを嬲る手を、留める。

 

「ぉあごぅあァ───」

 

 それが辛うじて女性である事が分かるのは、元々のスタイルの良さ故だろうか。

 翼で埋め尽くされた、毛玉の様な異形の相貌に存在していた幾つもの眼球は、殆どが潰されていた。

 特徴の乱杭歯は下顎ごと削ぎ落され、四肢を執拗に潰された事で優雅さを思わせた白いドレスは、元々の赤肌を更にドス黒い血と肉片で汚していた。

 ───ベアトリーチェ。

 アリウス分校を支配していた暴君が、無惨な姿で地に堕ちていた。

 

「所謂『日頃の行い』ってヤツだ。実は少ないんだよ。このキヴォトスで何の躊躇も無く、後味良く嬲り殺しに出来る奴。

 とは云え、これは梔子ユメの救出が中途半端になった事の八つ当たりもあるが……光速度不変の原理を情報(アーカイブ)化でブチ抜くのも、座標有りきだった訳で……チッ、あの腐れブタ野郎が。同じ元ネタやってるバアルと違って、絵に描いた猿展開で神話的悪役滑りした敗北者の分際でよォ」

 

 苛立たし気に金髪を雑に掻き上げた、紺色のコートと緋色の瞳に宿る一抹の青が特徴の彼は。

 アリウス分校を恐怖と圧制で支配していた女帝を、今まさに嬲り者にしていた。

 

貴方は誰?

あ? お、白洲アズサ(アリウスの突然変異)じゃねーの。健在で何より。

 俺か? 「抗NMDA受容体抗体脳炎」……悪かった、謝るよ。理解できないギャグほどつまらんモンも無いからな。しかしなんて名乗る? 「フォーレン」と名乗るのは今後を思えば拙いし「パズズ」は素で嫌だ。後は……「ジウスドゥラ」? 「クシストロス」? 「デウカリオン」? 「マヌ」? 「テイワット」?……無理くり大洪水に関連づけるのもなぁ。───あぁ、これがイイ。主に皮肉的な意味で

 

 僅かばかり思索に耽った少年は、その破壊にしては著しく少ない返り血を浴びる己を『ブルー』と名乗った。

 

「例えば、この勘違いバカ女も所属している『ゲマトリア』の連中。普通に悪い大人だが、結構功罪あったりする。

 悪い大人であっても、憎み切れないというか一切の好感が無くもないんだ。減点方式なら即アウトだが、加点方式ならってヤツ。何であのムーブやった後に、普通に年賀状送ってんだ。そんなんだから大好きクラブ扱いされんだろうが。

 ……というか、得体の知れなさに反して筋は通すんだよな。契約で生徒を縛るのも、逆に言えばストレートにキヴォトスの郷に従ってるともいえる。実際契約上通らなくもなかったら、シャーレの先公の横紙破りも通すしな。まぁ研究者と芸術家に文豪って面子だ、そりゃ自分の美学は裏切れねェ。

 あれ? そういう意味ではパクった箱舟で造ったモンで、ゴミとはいえ他人嬲ってる俺よりマシでは?」

 

 ───少年は黒い闇が口を開くように、空間が開かれた先から突如現れた(空間跳躍シークエンス)

 補給という概念が欠落した軍事訓練を受けていたアリウスの生徒達は、突如現れた侵入者に弾丸と爆風の雨を浴びせるも、まるで其処に居ない幽霊の様に弾幕を素通りする(多次元解釈障壁)

 曲がりなりにも十年近く軍事教練を受けたアリウスの生徒を一部除いて一顧だにせず、一直線にベアトリーチェの下に辿り着いた。

 そして、決してアリウスの生徒達には向けなかった暴虐が牙を剥き──────。

 

「ジョジョ風に言えば、アイツ等は『なにも死ぬこたあねー』となる手合でね。一線さえ越えてなければ、心情的にブレーキが掛かる。例えに出したけど、仗助は寧ろ「いっそ殺して」と言われる人間だが。

 この『アイツ等』に誰を当て嵌めても構わない。嫌いだったり邪魔だったりするけど、殺したい程じゃない奴は色々居るだろう?

 他で例えるなら、『おれ自身の心に、あと味のよくねえものを残すぜ!』というヤツだ。まぁ俺的にDIOはそのままブチ殺してよかったと思うが、ここらは個人の許容値と感性だからなぁ」

 

 ────蹂躙が、行われた。

 

『……ヘイロー?』

 

 その蹂躙を、見る事しか出来ないアリウスの生徒が呟いた言葉の通り。

 キヴォトスの生徒達のヘイローを思わせる─────しかし類似物とは決して異なる黒い王冠が、少年の頭上で悍ましく輝く。

 類似例では、ゲヘナ学園の空崎ヒナ風紀委員長だろうか。

 だが少年のソレは決して光輪などと呼べるものではなく、ヘイローというにはあまりに禍々しい。

 まるで黒鉄から削り上げたような、鈍い質感を持っていた。

 

 少年の手掌が指揮棒の様に振るわれる度、王冠は黒く輝き、黒い火花が撒き散らされる。

 同時に閃光の様な黒い奔流がベアトリーチェの全身を貫き、斬り裂き、押し流す。

 それ以上に、ベアトリーチェの残された数少ない異形の瞳が痙攣し、裏返る。

 ソレを目撃した者は、ベアトリーチェ当人による『教育』を受けていた生徒を思い出した。

 黒い光は、破壊以上に苦痛と恐怖そのものなのだと。

 

「だがコイツ(ベアトリーチェ)糞マンチキン(地下生活者)は違う。

 コイツ等を挙げた理由が解るか? 手段を選ばねェ奴は、手段を選んで貰えなくなるんだよ。

 簡単だろう?『そんなオイシイ話が……あると思うのか? お前の様な人間に』っての」

 

 まるで教壇に立って生徒に教えを説く様に語りながら、本来主人公に倒されるべき敵を嬲り続ける。

 そう、ベアトリーチェはアリウスの生徒達の教材となっていた。

 しかし彼が振るうのは教鞭ではなく、目に見えぬ無数の包丁だった。

 

「だから『大人のやり方』ってのは、契約や柵を用いる。

 その点、テンプレ悪商人(カイザー)は中途半端だったな。あのままだったら勝ち確で、寧ろ敵にせず味方にしとけば文句なしだろうに。まぁあのPMC理事が瑕疵だったな、頸切って正解だったわ」

 

 彼女達は後々になってから分かった話をしながら、少年はまな板の魚を睨みつけ扱き下ろす。

 

「翻ってコイツはどうだ? このキヴォトスに居て、曲がりなりにもゲマトリアに所属している分際でマトモに約束も守れねェ。

 何のために此処(アリウス)に来たんだ? 戦力運用がゴミ過ぎる。兵站って概念知らねぇのか? ロボットでも相手にしてるつもりか? それとも、本気で子供相手に支配者ゴッコだけしに来たのか? 『崇高』への到達も、100他人の成果を盗むだけとか、美学が一切無い癖にプライド高いのが意味不明。挙げ句『色彩』の脅威なんざ幾らでも知れるポジの割には、根拠も無しに自分には利用できると勘違いして、『色彩』の誘引とかいう文句なしの大戦犯をカマしやがる。

 つーか、さっきから何言ってるか解んねェよ。───もう去ねやオマエ」

「ボッ」

 

 そして───ぐちゃり、と。

 辛うじて残っていたベアトリーチェの命脈を、ただの一瞥で完全に断つ。

 先程まで黒い閃光で磔にされていたベアトリーチェは、突如()()()()かのように縦にバラバラとなった。

 しかし透明な箱に阻まれるように、血飛沫や肉片が飛び散ることはない。

 

「本来ならキヴォトス各所にあるだろうオーパーツやら儀式やら、キチンと全部吐かせてからがイイんだが……。コイツが真に舞台装置だってんなら、そのどれかが色彩誘引の原因になる。が、それで変に殺さず逃げられても面倒だ。今は舞台装置の建て替えを優先すべきだな」

 

 ベアトリーチェへの蹂躙など、本当にお遊びや実験程度の気持ちだったのだろう。

 アリウスの生徒たちが直視するのも難しい、赤黒いエネルギー球を玩びながら己の成果に笑みを浮かべる。

 

「それにコイツ───『魔王(シヴィライト・エテルナ)』で、ソコソコ情報は引き出せた。感情・情報の集積と転化・発散も実用でき、多次元解釈の同時演算運用も異常無し、と」

 

 数秘術(ゲマトリア)の秘儀や、当人独自の技術は一切振るわれる事が叶わず。

 キヴォトスという箱庭(フラスコ)で、忘れられた神々の神秘を観察する外来の探究者達、その一角。

『全ての巡礼者の幻想』───あるいは永遠の淑女を自称する、愚かな女が呆気なく磨り潰された。

 

「あぁ、生徒にスプラッタ処理させるのも酷だな。反省反省」

『…………ッ!』

 

 その直後、奇妙なことが起こる。

 肉塊と成り果てたベアトリーチェの死体に、青褪めた炎が走る。

 すると焼け焦げる代わりに、まるでゲームの壊れたポリゴンの様にノイズが全身を覆い、撒き散らされた血液や肉片にすら伝播した。

 そして炎とノイズが晴れた後には、ベアトリーチェと呼ばれた女の残骸は跡形も無く消え去っていた。

 

「前提条件こそあれど、『箱舟』用のリソース化も問題無いな。

 元は電子的な接続関係なく、一切合切リソースにする為に造ったモンだが。……結果的にヘイロー持ちの(頑強な)生徒にこそ、精神干渉故に最も適切なのは皮肉だな。神格持ち(ネームドキャラ)相手に使いすぎると反転しそうだが」

 

 死体さえ残らない。

 その恐怖は、歪な洗脳教育に身を浸したアリウスの少女達であっても、死を絶対の禁忌であると定めるキヴォトスの民にとって余りにも悍ましい、何より忌避すべき末路であった。

 

「まぁ? どうせ『アトラ・ハシースの箱舟』の贋作────プレナパテス御大は、コイツの誘引抜きでも来るだろうしなぁ」

 

『───じゃが、色彩がキヴォトスを見つけることは不可能に等しい。

 砂漠で一粒の砂を見つける事と同義……。触れてしまったのであれば、まこと数奇な巡り合わせとも言える

 

 とある百鬼夜行の預言者を名乗る者の言を、少年は戯言と切り捨てる。

 んな訳ない───と。

 

「たかが1エピソードの舞台装置が早期退場しても、辻褄合わせは起こるだろう……。

 てか並行世界とはいえ、アチラさんは紛れも無き『シッテムの箱』持ちの『シャーレの先生』だ。死のアヌビス(砂狼シロコ)の存在も相俟って、『色彩』に色抜きされてようが死に体だろうが……。それが生徒を救うためなら、アレがキヴォトスを特定出来ない、なんて楽観なんざ出来る訳が無い。まぁ、最悪俺がプレ先誘引だけはやるか。プラナとアヌビスはクソマンチ対策で必須だろうし」

 

 そんな────林檎が木から落ちるが同然に、来たるべき神々の黄昏を笑う。嗤う。吐き捨てる。

 

「というか、キヴォトスの外はどんなものなのかすら観測できないのはどういうことだ? 少なくともゲヘナの卒業生の雷帝(ネームド)は外に行ってんだろうに。

 あれか? トリニティフォックス的楽園の証明仮説の結論は、『そもそも楽園の外を観測できません』とか。俺だけが隔離されてるオチか? 自意識過剰で終わりそうで怖いんだよな、コレは。 

 ──────まぁ、良い」

 

 ぶつぶつと、アリウスの少女達には余り理解できない事を苛立ち混じりにボヤきながら、頭を掻いた少年───ブルーはアリウス分校に向かって振り返る。

 

「という訳で、長い付き合いになるから宜しく頼むわ。アリウス分校の淑女諸君」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 こうして───長い内乱と圧政の果てに弾圧された少女達に、漸くの黎明がやって来た。

 劣悪な環境と洗脳教育から解放された彼女達は、体制を一変させる。

 逆らう者など、一連の襲来を知る者で居るはずも無く。

 知らぬ者も殺さぬ程度に叩き潰され、それ以上にブルーが齎す恩恵に縋った。

 虚しさなどで、腹が膨れる訳がない───そう、洗脳の言霊を吐き捨てて。

 

 正統後継者を長にした生徒会の設立。

 食料プラントの敷設。

 食料は勿論、キチンとした武器弾薬の配給。

 最低限の義務教育の学習。

 制服こそ着ていけないが、外部への自由な行動許可。

 今までの軍事教練を生かした、ボディーガードなどを含めた普遍的なアルバイトの斡旋。

 

 たった二年間だが、アリウス分校の理事に就任したブルーは彼女達に虚しさではなく未来を示した。

 

じゃあ、後は頑張れや。あ? 何で辞めるのかって? 原作開始(これから)は学園理事もそうだが、公益性の担保が生じる様な権力は少々邪魔だからな。あぁ、「シャイニング」もアイツに任せた。アイツも盗人の俺じゃなく、本来の主人にもうすぐ仕えれるってんでテンション上げてたしな。

 まぁ、ミレニアムの筆頭株主の座は降りてないがな。今後に必要なモンだし。

 アイツの本来の主人? RPG脳のネット語録使いだ。淫夢汚染だけは防いだ点は、俺ァ胸はって良いと思う。……防いだよな? 俺はパヴァーヌブルア廻戦で呪胎戴天にしたが、淫夢汚染だけはしていないぞ!

 

 そしてブルーの理事の自主退任に動揺しつつも、彼が不在でもアリウス分校は学園として問題なく機能していた最中───彼女達は『エデン条約』の存在を知る。

 それは元来犬猿の仲というのも烏滸がましい確執を持つ両自治区、トリニティ(天使)ゲヘナ(悪魔)の間で結ばれる予定だった、不可侵条約。

 ───即ち、ゲヘナとトリニティの中心メンバーが全員参加する中立機構『エデン条約機構(Eden Treaty Organization:ETO)』の設立。

 ゲヘナとトリニティの間で紛争が起きた場合は、この『ETO』が紛争解決を行うことで両者間の全面戦争を防ぎ、かつ劣悪なゲヘナの治安改善を図る。そんな構想であった。

 

 とはいえ、発案者であるキヴォトスを統べていた連邦生徒会長(忘れられた神々の長)の失踪という一大事により、一度は空中分解。

 加えて、トリニティの三派閥の一つフィリウス派の首長生徒会長。そしてトリニティ最高権力者である『ティーパーティーのホスト』百合園セイアの、連続する体調不良による度重なる欠席。

 それ故にティーパーティーの次席───ホスト代行の桐藤ナギサが、主導で締結直前にまで(丸投げされたのを必死こいて)進めていた。

 

 そして連邦生徒会長不在を幾分か埋める、彼女が招集したという連邦捜査部顧問(新たなキヴォトスの王)───『シャーレ(S.C.H.A.L.E)の先生』の来訪。

 この条約を巡り様々な思惑入り混じる中───最初の異変は、ゲヘナで起きた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ────ゲヘナ学園。

 昔から対立関係にあるトリニティ総合学園と並んで、学園都市キヴォトスでも一二を争うマンモス校の一つである。

「自由と混沌」を校風にする学園で、悪魔風のファッション・容姿の生徒が多く在籍する自治区だ。

 そして悪魔と称される種族の生徒達が入学する傾向故か、天使の特徴を有する生徒達が入学するトリニティとは昔から犬猿の仲である。

 

 そんな現生徒会の「自由と混沌」を校風に謳っていることもあり*1、所属生徒の民度も相俟って元より治安は劣悪だった。

 そんなゲヘナにある一定の秩序を与えていた存在こそ、ゲヘナ風紀委員────ひいてはその委員長、空崎ヒナである。

 

 困ったことに、ゲヘナ生徒の戦闘力的なアベレージは非常に高い。

 何せ、とあるゲヘナ生徒は「ヒナがいなければ風紀委員はどうにでもできる」と豪語するほど。

 無論、この発言者が精鋭なのは前提ではあるが、認識の程が知れるだろう。

 他校でも同等以上なのは、毎週クーデターの起きているレッドウィンター連邦学園(ブルアカのアカ)ぐらいだろう。

 そんなゲヘナ生徒でさえ恐れ慄き、現れた途端に不良達が逃避一択となるのが彼女だ。

 

 例えば、キヴォトス二大テロリストの一角である温泉開発部部長、鬼怒川カスミ。

 彼女はゲヘナ生徒会長の悪趣味な銅像を含め、あらゆる場所を温泉開発という理由で何の躊躇もなく破壊するキチガイである。

 だがそんなイカレポンチの温泉狂いも、空崎ヒナにはガチ泣きして逃げ惑うほど。

 

 しかし空崎ヒナは、決してゲヘナの王ではない。

 何故なら彼女は風紀委員長。

 一応自治区の運営を担う生徒会ではないのだ。

 

 元よりゲヘナ生徒達からも殆ど認知されていない、ゲヘナの生徒会である『万魔殿(パンデモニウム・ソサエティー)』。

 曲がりなりにも世紀末一歩手前なゲヘナで投票率は3%とはいえ、極めて民主的に選出された生徒会長だ。

 行政処理や外交などはきちんと熟し「やる気にさえなれば」十分執務を熟せる、一応は有名無実化はしていない()()

 

 そんなゲヘナ生徒会長(万魔殿の長)の羽沼マコトとの関係は劣悪の一言だった。

 

 実質治安維持の一手を担い、民度が劣悪なゲヘナの抑止力と成っている『ゲヘナ風紀委員会(空崎ヒナ)』の影響力が非常に強かったからだろうか。

 無論ゲヘナが曲がりなりにも自治区として成立しているのは、ひとえに彼女と彼女が従えるゲヘナ風紀委員の弛まぬ努力に他ならない。

 

 しかしヒナ風紀委員長の影響力から、己の政治基盤の喪失への危機感でも覚えたか。

 あるいは、彼女たちの()()()()()の致命的な悪さからか。

 羽沼マコトはことあるごとに風紀委員へ業務の丸投げや理不尽な要請、理由を付けた予算削減などの嫌がらせを行い、それが常態化していた。

 

 そんな空崎ヒナの善性だけで、辛うじて世紀末化を防ぎつつ成立していたゲヘナ自治区。

 連邦生徒会長失踪と『シャーレの先生』の着任の暫くの後に、『とある情報』が拡散したと同時に───一気に治安が悪化した。

 それこそマコトが思わず泡を吹くほど、ゲヘナ自治区が制御不能と化していた。

 

 理由は単純、事実上の抑止力と成っていたゲヘナ風紀委員長───空崎ヒナの長期不在(本当に細やかな連休)の噂である。

 否。ヒナ不在程度なら泡など吹かない。

 泡を吹いた理由は、委員長処か風紀委員が全員揃っていなくなっていた事が発覚したことだ。

 

 抑止力の喪失。

 それはキヴォトス二大テロリストを筆頭とした、キヴォトスで一・二を争う暴力性の解放を意味していた。

 

『──────いや、だって。学生であの社畜生活は、打算抜きの素でお労しいし……。二メートル超えのオールマイトでも、相当絵面がアレなんだぞ? 見た目幼めな女児が睡眠時間ナポレオン並で、疲労からベッドに倒れ込むように寝るのはヤベーのよ

 

 それを画策した者の本音は兎も角───そんな事態が罷り通った原因は、普段から一部書類仕事さえも風紀委員会に丸投げして来たツケであった。

 

 謀略に関して、詰めの甘さを除けばマコト生徒会長はゲヘナ屈指だが、そこは彼女とヒナの付き合いの長さが祟ったと言えよう。

 あるいは、何だかんだ自分の言う事を聞いているという甘えと油断が招いた必然ともいえる。

 

 ゲヘナ側でヒナ委員長がエデン条約賛成派筆頭な理由が、心身共に限界が近付いたが故だったなどと。

 そもそも負担を掛けている側が、理解など出来る筈がなかったのだから。

 

 巧妙に万魔殿の決算書類として提出され、案の定風紀委員に丸投げされるように紛れ込んでいた───『複数自治区による外征合同演習』。

 それは発案者にとって来たるべき神々の黄昏(あまねく奇跡の始発点)への前準備として、複数の自治区にとって連邦生徒会長不在で生じた混乱から来る危機感から。

 

 そしてゲヘナ風紀委員にとって、来年卒業となる空崎ヒナが不在であっても業務を行える様、根本的な戦力増強の為のもの。

 事前に連邦生徒会の正式な承認という根回しもされていたソレによって、ゲヘナ風紀委員は極めて正式な手順で以て揃ってゲヘナ自治区から不在となっていた。

 

 その演習の参加校の一つはキヴォトスの法執行機関における最高学府、連邦生徒会長直属の学園組織『SRT特殊学園』。

 この学園は連邦生徒会長(キヴォトスの王)の権限・命令を以って、あらゆる自治区への介入を可能としており、生徒の装備もキヴォトスではトップクラス。

 SRTでしか扱えない最新兵器も保有している、完全なるキヴォトス全域の抑止力だ。

 しかし責任者である連邦生徒会長()()によって、混乱し責任能力が無かった連邦生徒会内で「無用の長物」と、愚かしくも一時は閉鎖が提案すらされていた学園でもある。

 尤も─────、

 

武力無き権力に何の意味がある。もう居ないボイコッター捜索より、連邦生徒会としてこれから生じる混乱への対応を優先して貰うぞ。

 つーかマジでソレやったらキヴォトスの流通と、ついでにオマエ等の息の根も止めるからな?

 

 とある、当時キヴォトスのインフラを事実上支配していた人物の諫言(脅迫)によって、臨時ではあるものの連邦生徒会幹部役員による、責任分配を行うことで辛うじて閉鎖案が白紙。

 勿論そんな有り様では、その権限行使に一々幹部会議を開く嵌めになり、マトモな運用など出来ない。

 だがその有り様は時間稼ぎでしか無く、一先ずはそれで良かった。

 後に来訪した、事実上連邦生徒会長と同等の権限を持つシャーレの先生に、指揮権と責任を連邦生徒会と割譲することで問題を解決。

 これにより『SRT特殊学園』は、明確に存続することに成功したのだった。

 

 そこから歴戦の精鋭部隊として、連邦生徒会長消失によって生じた大混乱で最も活躍した『FOX小隊』が参加。

 そこに空崎ヒナの一声で招待、参加したアビドス()()()の面々。

 

 そしてそれら学園の合同演習場を提供した、数年前『カイザー・コーポレーション』を社名から末端まで一度解体・再構築して一新した現キヴォトス最大企業───『シャイニング』。

 その設立者が「福利厚生の一環」として、ヘルメット団の不良たちを制圧・雇い入れて設立させた民間警備会社『ラマシュトゥ』が参加していた。

 

 そういった経緯で、今まで空崎ヒナにおんぶに抱っこ処か嫌がらせすら行っていた『万魔殿』*2は、これまでのツケを払う事と成った。

 マコトに目の隈*3がへばり付く程。

 そんな否応なくそのポテンシャルを引き出された彼女と、連邦生徒会への懇願によって派遣された、件の演習に参加しなかったSRT特殊学園の部隊と『シャイニング』の提携先の民間警備会社『ラマシュトゥ』の援助によって、辛うじて世紀末化を食い止めた。

 先の話であるが、それからヒナ及び風紀委員の帰還後『万魔殿』*4からの嫌がらせや事務の丸投げは、一切無くなったそうな。

 

 そんな惨状と、『エデン条約』賛成派筆頭の空崎ヒナ風紀委員長の不在。

 条約締結相手である『万魔殿(パンデモニウム・ソサエティー)』の機能不全同然の多忙さから、計画は停滞。

 調印式など準備段階でやってられない激務に、トリニティ側とのスケジュール調整が破綻していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 条約を知らない、あるいは知った上で。

 トリニティの一般生徒は、そんなゲヘナの世紀末な惨状を噂話程度の情報で嘲笑する者は、残念ながら少なくなかった。

 挙げ句発起人である連邦生徒会長は行方不明で、締結相手は自治区への対応で掛り切り。

 

 少なくともゲヘナに関しては悪因悪果でしかないので、ナギサ的表現で「ロールケーキを叩き込む」衝動に襲われるものの。

 再び暗礁に乗り上げてしまった『エデン条約』に頭を悩ませるナギサに、しかして更なる受難が訪れる。

 

 ティーパーティー「パテル分派」の首長の聖園ミカに招待された、アリウス分校の登場である。

 

 それはどう考えても、というか公的に嘗ての第一回公会議を模している『エデン条約』。

 伝統を重んじるトリニティにしてみれば、決して無視できない自分達の過去の汚点。

 少なくとも第一回公会議によって弾圧され、長きにわたりその憎悪を煮凝らせていたアリウス分校の存在など、想定の埒外である。

 だがそれは、二年間アリウス分校の理事に就任していた人物の存在によって大きく発展したアリウス分校の、積もり積もった怒りを爆発させるには十二分だった。

 

『エデン条約』を推進して来た桐藤ナギサに真実私心が無く、真に平和を求めていたとしても。

 それをアリウス分校に理解しろ、というのは不可能に近かった。

 そしてこの不可侵条約が第一回公会議をなぞらえている以上、それによって地獄に落された者達の後継達からすれば。

 それは新たな大戦力の誕生を目論む、邪悪な企みにしか考えられなかった。

 ゲヘナとトリニティ。三大学園の内二つの力が合わさって生まれた力の矛先は、一体何処に向けられるのだと。

 

 そしてこれまた都合が良く、或いは都合が悪く。

 伝統を重んじるトリニティにとって、ゲヘナ以外に明確に気に喰わない学園が存在していた。

 三大学園の一つと目される、キヴォトスにおいて「最先端」「最新鋭」と呼称される新興学園『ミレニアムサイエンススクール』という、格好の的が。

 

 動機があり、前科があり、挙げ句状況証拠が揃っていた。

 控えめに言って、任意同行不可避である。

 トリニティを糾弾する客観的大義名分が、完全に整ってしまっていた。

 

『エデン条約』の締結前の破綻。

 そんな最悪の想定など、良くも悪くもトリニティ仕草が手癖となってしまっているナギサにとって、ここまでの情報で刹那で出来る。

 

 無論、何もかもを無視する選択もある。

 ナギサは現アリウスの規模と戦力を把握している訳では無いが、現トリニティがキヴォトス三大学園と呼ばれるに値するものであるのは良く知っている。

 自治区面積では、流石にゲヘナに及ばない。だが治安がゲヘナしているアチラと違って、トリニティの規模と在校生数はキヴォトス最大と言っても良い。

 正面戦争でトリニティに敗色が存在するのは、それこそゲヘナとミレニアムだけである。

 

 だがそれをしてしまえば、それこそアリウスの指摘する嘗てのトリニティの愚行そのものである。

 本来平和条約であるエデン条約が、本当の軍事同盟になってしまう。

 そんな本末転倒だけは、ナギサは避けねばならなかった。

 

 幸いな事に、アリウスはナギサの想定よりも冷静だった。

 アリウス生徒会は上記の軍事同盟による被害を危惧して───しかしあくまで名目として、一人の生徒の編入を提案してきたのだ。

 

過去の憎しみに振り回されるのではなく、現在の状況を見定めた上で今後の行動を決めたい

 

 過去の因縁だけに囚われず、あくまでトリニティの現在を見定めたいのだと。

 普通にナギサは喜んだ。その先入観に囚われぬ冷静さと、彼女達の誠実さにだ。

 そもそも、寝耳に水以外何者でもないアリウス分校の突然の邂逅は、彼女たちを招待した聖園ミカが単純独力で迷宮染みたカタコンベを踏破。その先に存在するアリウス自治区まで辿り着いたが故の、まさしく奇跡だった。

 

 トリニティ三大派閥の一トップが、散歩感覚でやって良いことではない。

 何も考えていない短慮な行動が、聖園ミカの政治的適性の無さと個人戦闘能力の高さを証明していた。

 つい最近までアリウス分校の理事を務めていた人物(現ミレニアムの筆頭株主)は、聖園ミカを指して「トリニティピンクゴリラ」と称していた。

 それはミカを神輿に利用している、パテル派生徒への蔑如であったが、その暴威を知らぬ彼女達との認識の差は如何ともし難かった。

 

 しかし結果として、そんな脳内お花畑回路な幼馴染の軽挙妄動。無論政治的立場から注意せざるを得ないナギサにとっては安堵の息を漏らした。

 

 勿論現況においては注意の後に、素直に感謝する程のファインプレーである。

 仮にミカの接触がなければ、エデン条約の調印式でのアリウスによる襲撃─────なんて最悪も、現キヴォトスでは十分考えられるものだったのだから。

 埒外から爆破してもおかしくなかった地雷を、辛うじて除去できたと安堵したナギサに────しかし暗礁は尽きなかった。

 

 問題は、留学生である白洲アズサの編入から暫く経ってから。

 申し入れられたアリウス分校との、今度は第三者として『シャーレの先生』の立ち会いの下、トリニティ三大派閥の生徒会長が揃った状態での極秘会談は。

 

「─────我々を弾圧した末路が、このザマか」

 

 生徒会副会長の錠前サオリの、怒りと共に行われた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アズサがアリウス分校からの事実上の招待客であることなど、一般生徒は知る由もない。

 だからこそ、現在のトリニティを見定められるのだと。

 彼女の立場はトリニティ側に了承を得た上で秘され、一般生徒として編入した。実際は留学な事さえ隠して、彼女はトリニティに訪れていた。

 

 そしてトリニティで常態化していた『醜悪』に巻き込まれた。

 無論そんな虐めや間接的な加害など、アズサは直接的な報復で対応した。

 一度は、同様に何も知らない正義実現委員会(トリニティの風紀委員)に拘束される事はあったが、二年間のアリウスの王の薫陶の前に冤罪など無意味。

 イジメの現場各所に仕込まれた小型監視カメラら盗聴器によって、事態は露見した。

 既にアズサはトリニティから離れ、アリウスに帰還済みである。

 

 つまり、トリニティ側に問題を隠蔽する余地が一切無いという事。

 

 シャーレの先生立ち会いの会談を設けたのも、追求から逃れる余地を無くすため。

 その上での判断であるのなら、これもまた必然の悪因悪果。

 アリウスの非難は、最早否定できない程の正当性を持っていた。

 

「『エデン条約機構(Eden Treaty Organization:ETO)』、その指揮権を要求するわ」

 

 会談に出席したアリウス生徒会長、秤アツコはティーパーティーの三人の生徒会長に淡々と告げた。

 アリウスが選んだものは、かつて第一回公会議にて参加していたという名目を用い、トリニティ総合学園の()()()()()()()を指摘すること。

 つまり『エデン条約』の内容に、口出しすることであった。

 

 それは絶賛機能不全中のゲヘナ生徒会の問題。同時にゲヘナ側の問題に匹敵するトリニティの瑕疵から、両自治区の紛争解決を行う『エデン条約機構(Eden Treaty Organization:ETO)』を、その中核を関係がありながら第三者という立場故に、その指揮権をアリウスが担う事を要求したのだ。

 全ては白洲アズサの、私心無き報告を受けたアリウス生徒会の判断であった。

 現在のトリニティを見定めた上での判断。

 先入観無き冷静さと誠実さの上での、判断である。

 

 つまり現トリニティは、嘗ての同胞に『エデン条約』での懸念が十二分に起こり得る程に『醜悪』であると判断されたのだ。

 ナギサ個人としては忸怩たる思いだが、そういった政治闘争の醜悪さを現状のトリニティは体現していた。

 

 アリウスが指摘した、現トリニティの瑕疵。

 華々しいお嬢様学校の外面に反し、生徒間で陰湿なイジメの常態化。

 三派閥間を中心に、互いの足をすくい合うような政治闘争が横行。

 例え友人同士であっても、派閥の違いから政治的思案をせずには居られぬティーパーティーこそが、それを顕著に現していた。

 それこそ、イジメの現場を目撃し過激なれど止めに入ったアズサが、次のイジメの対象になる程度には。

 

 事態の深刻さを正しく理解しているが故に、寝不足と心労でやや荒れた唇を噛みしめるナギサ。

 場を和ませる為に口を開こうとして、アツコとその護衛であるサオリの怒りに圧され、口を閉じる聖園ミカ。

 そして()()()()()()()()()()、この会談当日に快復した本来のティーパーティーのホスト、百合園セイア。

 

 本来アリウスとトリニティの架け橋となる存在を、嘗てのように迫害したのだ。

 最早「過去とは異なる」というトリニティの主張など、ただの虚偽にしか成らない。

 事が公になれば、果たして他校の何処がトリニティを信用できるというのか。

 少なくとも、現状の『エデン条約』をミレニアムを筆頭に各自治区が許容することはないだろう。

 かつてのアリウスの様に、自分達が迫害されると思って然るべき。

 発案者が消失した連邦生徒会さえ、シャーレという窓口を使い現状を把握しようとする筈だ。

 

 このままでは、『エデン条約機構(Eden Treaty Organization:ETO)』は、本当に平和とは程遠い暴力装置となるだろう。

 

「だが、しかし……ッ」

 

 辛うじて言葉を漏らせるのは、本当に寝耳に水状態の百合園セイアだ。

 彼女はまるで()()()()()()()()様に顔を強張らせながら、アリウス側から提出された証拠と資料から必死に状況を把握せんとしていた。

 

 ()()()()()()()()

 予想が完全に外れたというより、話が違うという様な素振りさえある彼女の姿に、アツコとサオリの溜飲がほんの僅かだが下がる。

 セイアにしてみれば、自分が少し醜態を晒すだけでアリウスの機嫌が良くなるのなら、幾らでも構わない所存ではあるのだが。

 だが問題の本質は、セイアの混乱を「聞かされていた」と言わんばかりのアリウスの態度こそ、彼女は注視した。

 

「まさか、君達の本当の主は─────」

「早く、返事が欲しいのだけれど」

 

 微笑むアツコに、セイアが息を呑む。

 ナギサやミカは勿論、先生さえ訝しむ二人のやり取り。

 しかしそれに思案する時間など、この場にはない。

 

 さて、ではこの要求をトリニティが了承すればどうなるか?

 ゲヘナは、あるいは素直にアリウスの要求を呑むかもしれない。

 辛うじて秩序崩壊(元々崩壊気味ではあったが)を免れている状態に、更に追加戦力が加われば治安は平時以上に安定化するだろう。

 更に言えば、所謂『トリカス仕草』とゲヘナ生徒が揶揄するトリニティ生徒の振る舞いのツケを払う事に、乗り気にさえなるだろう。

 要求は兎も角、アリウスの主張は極めて正論なのだ。

 

 では、トリニティはどうなるか?

 間違いなく『エデン条約機構』という正義の名の下に、トリニティの『醜悪』を「紛争」と判断され、「解決」されるだろう。

 ゲヘナの不良生徒に対し行われる様に、トリニティの不良生徒と判断されたモノに対してもその力は振るわれる。

 

「“アツコ達は、『エデン条約機構』の指揮権を得て何をするつもりなのかな?”」

「そうね。手始めに、トリニティの生徒間の対立構造の原因である三派閥制の解体と、ソレに伴う生徒会の再編ね。要は過去の再演と、今回の問題の原因となったイジメ防止を徹底して欲しいの。でも立場やら政治で難しいのなら、此れ位の荒療治は必要でしょう?

 ゲヘナの治安回復は時間が掛かるだろうから、その後にじっくりといった処かな」

『─────』

 

 先生の問いに、淡々とアツコは取らぬ狸の皮算用を口にした。

 それは、あくまで今回のアリウス側の要求が通った場合の仮定に過ぎない。

 だがその草案は、シャーレの先生も理解を示すものであった。

 彼女も、イジメが一朝一夕で解決できる問題ではないのを、教職故によく理解している。

 それこそ徹底的な監視体制でもなければ、根絶など出来ない事だ。

 そこで『エデン条約』という巨大武力を背景に、対立構造である三派閥「パテル」「フィリウス」「サンクトゥス」の解体で温床を崩し。「そもそもイジメを行う事がリスクとなる」と脅しかければ。

 

「勿論それだけでは足りないかな? あぁそうだ。問題のある生徒に、我が校のカリキュラムを受講させるのはどうかしら?」

「“……一応聞くけど、どんな内容?”」

 

 アツコの返答に、ティーパーティーと先生の口元が引き攣る。

 聞かされた内容は、有り体に言えば軍事プログラムであった。

 

 成る程、陰湿なイジメなど飯が食えなくなる程疲れ果てれば、やろうとする気概など持てないだろう。

 という、案外悪くない選択である。

 無論、自分が当事者でなければの話であったが。

 

「その話は兎も角……、解って言っているんだろう」

「勿論。だけど此方が譲歩する理由は無いわ」

 

 アリウスの要求がトリニティの政治機構(三派閥とティーパーティー)の解体要求である以上、トリニティ側に交渉の余地は無い。

 アリウス側の要求は、内閣解散程度ではないのだ。

 キヴォトスの自治区が国家と例えるなら、幕府解体か大政奉還である。

 

 元より三派閥体制は、第一回公会議からなるトリニティの伝統の根幹。

 その伝統そのものを破壊すると宣言した要求など、到底受け入れられるものではない。

 

 会談に出席した桐藤ナギサと百合園セイアは、苦渋を隠せずにいながらもその要求を拒否した。

 前者は単純心労で、後者は昨晩まで続いていた悪夢によって。

 本来の思考レベルを著しく落とした二人は、一体それが何を齎すかを理解しつつも拒否せざるを得なかった。

 

 それがトリニティの瑕疵(悪役令嬢の悪性の煮凝り)に対し、ナギサ自身が苦々しく思っていたとしても。

 その悪しき伝統を即座に克服するのは、ソレに浸かりきっている彼女達には不可能だった。

 

 その絞り出すような返答を待っていたかのように、『アリウス正当血統(ロイヤル・ブラッド)』秤アツコは、笑顔でそれに対して応じる。

 即ち、対話の終了を。

 

「それじゃあ、話し合い()終わり」

「“アツコ、少し待っ────”」

「駄目よ先生、この問題に貴女は部外者なのだから。『連邦捜査部(シャーレ)』として振る舞うのなら、精々この危機を利用しトリニティの是正に注力してね。

 私達はあの人みたいに「敵勢力の皆殺し」なんて出来ないけれど……出来得る限り、あの人の教えを実行しなきゃ」

「……あの人とは、『マダム』と呼ばれる女性ではないんだね」

「情報が古いわ、百合園セイア。『彼』は私達に教えてくれたの。『無礼(なめ)られたら潰せ』って」

 

 これを以て、トリニティ総合学園に対しアリウス分校は宣戦を布告した

 

 

ブルーアーカイブ(-Blue Archive-)

 

 例え『先生』がこの物語(せかい)の主人公だとしても。

 暗躍こそ有れど、明確な悪(ベアトリーチェ)など居ない物語に。

 果たして()()はどう向き合うのか。

 

 

Vol.3 『エデン条約編』

 

Prologue.『カルケドン紛争編』

 

 砂漠の地(アビドス)にて、キヴォトスを知り。

 科学の地(ミレニアム)にて、己の立場を知り。

 

 

悪魔が憐れむ歌(Fallen)

 

 此度、己の無力を知る。

 

 

*1
キヴォトス二大テロリストは、ゲヘナ出身である。

*2
というか羽沼マコト

*3
睡眠不足ではなく、ゲヘナ生徒会が溺愛する丹花イブキとの交遊時間の激減が原因である。

*4
というか羽沼マコト






アリウス分校
 原作では『エデン条約編』の乱入者であり、加害者でありながら被害者だった学校。
 かつて内戦を終わらせるも、拷問レベルの訓練を強要していたベアトリーチェを略奪系転生オリ主ことブルーが轢殺。代わりに支配した事で、本作では普通の軍学校になった背景を持つ。
 なのでフツーに連邦生徒会にも、書類上は存在を知られている。
 尚迫害された過去を理由に、自治区住所不記載ゴリ押し済み。リンちゃんは事情を察しつつも、後の抗争時にそれを見越してと思いブチ切れた。勿論トリニティとの紛争突入なんて想定してなかったのでブルーも寝耳に水。
 なので本作はミカが単身アリウス自治区にやって来た事で、『エデン条約』の事を初聞き。かつて迫害された末裔としての義務感で、現トリニティを見定める為に行動。という流れ。
 勿論ベアトリーチェ不在なので、ミカの裏切り幇助やセイア暗殺未遂とかは無い。というかミカに話を持ちかけられても普通に断る。
 生徒会となったスクワット内で、会長のアツコ以外で一番社交性のあるアズサが期間限定の留学生、ほぼ和平の使者として編入。
 その後原作通りフツーに行われていたイジメ現場に鉢合い、フツー(アリウス基準)でイジメっ子をシバキ上げ、当然のように新たなイジメの対象に。
 勿論イジメに対しアズサが当然のように反撃し、エスカレートしていったイジメに比例するように大事化。結果として冤罪と過剰防衛で一度は正実に捕まる事態に、ミカとナギサが引っ繰り返る。
 これによりアリウス側がブチ切れ、当然のように「現トリニティによる『エデン条約』は第一次公会議と同様の懸念」という、あまりにも超ド正論で条約に口出しする事に。
 トリニティ側が十割悪いのだが、流石にアリウスのバチギレ具合から内政干渉不可避なので、コレを拒否。
 トリニティと一方的なゲリラ戦メインで、抗争状態に移行した。
 尚、トリニティにはアリウス自治区の場所を知っているのは、100%の山勘で辿り着いたトリニティピンクゴリラのみとする。
 無論既に対策済みであり、二度目は無い。

トリニティ総合学園
 キヴォトス随一の歴史と伝統を誇るマンモス校。
 絵に描いたお嬢様学校だが、過去の歴史と三派閥体制などの要因によって、悪役令嬢の煮凝りと化していた。
 というか『シスターフッド』と『正義実現委員会』などが、性悪令嬢環境から逃れた生徒の受け皿となっていたのかも。
 原作ではベアトリーチェの暗躍で有耶無耶になったこの問題だが、本作ではベアトリーチェが事前轢殺された為に露骨に表面化。
 変に『色彩』に接触されても困るブルーが、セイアの予知夢に欺瞞情報を握らせる事で夢に夢中になり、寝た切りという体調不良で欠席続出。
 結果代行としてナギサが忙殺されるという、経緯に違いこそ有れど原作通りの流れが生じてしまう。
 その後にアリウスとの「和平の使者(外交官)を、特に思惑無く一般トリニティ生徒が害する」「つまりイジメが公然と常習化しているのを、一番知られてはいけない相手に知られた」という上記の状況に。*1
 勿論本作ではセイアは暗殺などされていない為、普通にコハルが補習を受けただけで補習授業部は創られなかった。*2
 アリウスの立場と主張が、本気で他自治区からして正論過ぎた為に事実上孤立無援に。
 更に反撃するにもアリウス自治区の居場所が、一度辿り着いたミカでさえ解からない状態であり、一方的なゲリラ戦をひたすら耐える嵌めに。

ゲヘナ学園
 キヴォトスのアウトローの巣窟。空崎ヒナを筆頭とした、数少ない善性で秩序が成り立っていた三大校の一角。
 平和の象徴が束の間の休暇を取り、今までの嫌がらせの腹いせと強化合宿を兼ねた風紀委員会の出張で、自治区内が世紀末寸前に。
 なのでエデン条約への意欲が跳ね上がるも、そもそもて条約締結に必要な余裕など皆無であり、トリニティとの調整は勿論、紛争にはとてもではないが関与出来なかった。
 勿論フォローに入った『ラマシュトゥ』もだが、アリウスの主なインターン先なのでお察しである。
 メタ的には、コイツ等入れるとベアトリーチェ並に色々有耶無耶になるので排除された(原作でも弾道ミサイル投下に賛同済み)

連邦捜査局『シャーレ』の先生
 女先生。プレイヤーの転生者とかではない。本名は次回の原作プロローグにて。
 原作では終始プレイヤー目線かつ無個性(一部性癖・趣味を除く)だが、本作では相応にキャラクターを肉付けしている。
 つまり「生徒を大事にするヒーロー的精神性」持ちではあるが、普段は一個人の善人。
 原作最大の相違点は、SRTが健在なので普段から『RABBIT小隊』の護衛を受けている点。
 トリニティとアリウスの抗争には「セイア暗殺誤認したナギサによる、『補習授業部』を利用した先生の行動抑制」でのトリニティへ招致が行われて居らず、それ故に彼女の介入が宣戦布告の会談時に。
 アビドス、ミレニアムでの物語の後だが、複数学校間の初事案が紛争案件でブッたまげた。

ベアトリーチェ
 悪い(癖の強い)大人達であるゲマトリア所属の、直球の悪女。事実上原作『エデン条約編』及び『最終編』の舞台装置(都合の良い悪役)
 原作の『エデン条約編』に於いて黒幕かつ倒すべき敵なのだが、とあるアビドス生徒会長の救出がかなりギリギリになった腹いせに、ほぼチンピラの輩にサンドバッグとして目を付けられた。
 なので原作二年ほど前に、アリウス確保ついでに八つ当り気味に嬲り殺しに遭う。
 結果本作の『エデン条約編』に相当する『カルケドン紛争編』が、かなり泥沼に。

カイザー・コーポレーション
 原作での典型的な『悪い大人』かつ、ゲマトリア以外での舞台装置とも。
 本作では『ウトナピシュティムの本船』発掘基地以外の、元アビドス自治区と借金を含むのグループ資産のほぼ全て根こそぎ『盗人』に、極めて合法的に譲渡・盗み取られた。
 なので原作開始直前まで、キヴォトスのインフラを『盗人』が握っていた。『盗人』がサンクトゥムタワーにシレッと出入り出来ていたのは、コレが理由。
 その後は『本船』発掘を唯一の起死回生とし、アビドス生徒会と抗争する『第一章アビドス生徒会編』が行われた。
「ねぇ知ってる? カイザーの社員は代表や理事を含め、登場人物全員が『機械生命(オートマタ)』なんだって。ニーアやった事ねぇのかよ。脳クラッキング仕放題で草」とは、『盗人』の外道発言である。
 プレジデントや理事、PMCなどが無事だったのは、原作をある程度模す為に見逃されていただけ。

シャイニング・グループ
 ブルーがカイザー・コーポレーションの社員全員の脳をクラッキングすることで、極めて脱法的に資産を簒奪。
 犯罪への関与やブラック要素を切り落とし、全く新しい別企業として興されたグループ。
 原作で、カイザーが排除されなかった最大要因である「キヴォトスのインフラ需要を完全に占める」という舞台装置要素を、完全に乗っ取っている。
 代表取締役兼創始者をブルーが担い、辞した後もとある人物を理事にキヴォトスのインフラを担っている。
 連邦生徒会がブルーを無視できず、寧ろサンクトゥムタワーに顔パス出来るほど入り浸れた理由。
 ちなみに現グループのトップは生徒の様にヘイローを持ち、生徒と見紛う程に精巧なオートマタで、ブルーの事を『簒奪者、盗人風情』と罵倒しがちとのこと。

ラマシュトゥ
 ブルーがボコった不良生徒を回収、雇入れる為の民間警備会社。『シャイニング』の子会社でもある。
 福祉施設の側面もあり、不良生徒を雇い入れているのはその一環。
 またアリウス分校の生徒の主なインターン先でもある。

ブルー(ネタバレ)
 悪い大人を「サンドバッグ」と称する、自称『盗人』。まぁ大体転生オリ主。
 実はもう一つ名前を、とあるクソゲーシナリオライターに付けられている。
 原作に無い要素は、基本全部コイツが悪い。
 アリウス分校を、ベアトリーチェを惨殺することで乗っ取ったメタ発言しまくりの少年。
 カイザー・コーポレーションを乗っ取り別会社にし、一時期キヴォトス全域のインフラを一挙に握っていた。が、原作開始に向け「逆に足枷」とアリウス理事とグループ代表を辞任。
 元アビドス自治区の土地の所有権や、アビドス高等学校への債権などを筆頭にした資産との影響力だけはある一個人に。
『アビドス編』は表舞台に立たなかったが、裏ではガンガン介入。万が一にもカイザーが『本船』を発掘し、逆転しない様に暗躍。
『花のパヴァーヌ』が疑似『最終編』かつ『ブルア廻戦』の『呪胎戴天』となったのは、全部コイツが原因。
 なので『Key』が前座になってしまい、事実上の章ボスに。しかも勝ち逃げした。
 ただし『ミレニアム株主筆頭にして、ミレニアム生徒会長の相談役』としてのコイツは、終始リオのフォローとメンタルケアに徹していた。
 主にマッチポンプの罪悪感から来る、補填目的で。
『カルケドン紛争編』は基本ノータッチで、紛争状態になっていた時は素で宇宙猫になっていた。
 それでも最初からバランス調整に注力し、バランスブレイカーの先生が片方に関与した場合、もう片方に加担するつもりであった。
『最終編』では「シャーレの書類仕事の量が終わってる。副担任にプレ先突っ込むか。地獄へようこそ、あるいは御帰り」と、プレナパテス蘇生に専念。というかセイアが予知で並行世界を観測させられていたのは、並行世界の先生である彼女の誘引が目的。

◆『カルケドン紛争編』(ネタバレ)
 原作『エデン条約編』からすり替わった、健全化したアリウス分校とティーパーティーととある才女以外は原作通りトリニティ総合学園との戦争。
 トリニティ側がアリウス自治区を確認出来ず、捜索しようにもアリウス側のゲリラ戦への対策で困難。完全に孤立無援の籠城戦に。詰みの状態である。
 あまりに一方的な展開からシャーレの先生がトリニティ側に関与したことで、それを待っていたと言わんばかりにブルーが介入。
 挙げ句「過去からしてアリウスに道理があるなら、贖罪にも迷う余地無し」「そもそもイジメが常態化し、それを防ぐ処か助長していたティーパーティーが悪い」と『シスターフッド』が真っ先にアリウスに賛同。
 そんな経緯と、イジメとは程遠い『放課後スイーツ部』を筆頭とした一部生徒を攻撃対象にしなかった明確な配慮から、戦後処理の為に『救護騎士団』『図書委員会』『トリニティ自警団』がアリウスと内通してしまう。
 事態を終息できないティーパーティーへの不満と八つ当たりから、戦争原因となっていた一部生徒達による内乱が発生したことで、状況が一変。
 一時はナギサ達が害され掛けるも、どっかのマネキンおじが託したペロロジラに乗る覆面水着団首領が、これを校舎ごと粉砕したことでトリニティ側の戦争継続が困難に。
 アリウス側の提示した条件で、一連の騒動が終息した。

本作の構造上、アリウスを初手描写する必要があったのでトリニティ編をプロローグに持ってきました。
なので次回は、原作プロローグから始めます。
ホントは次回描いた後に2話連続投稿したかったのですが、今回約15000文字(この後書き含めれば大体二万)になったのと原作五周年(素の間違い。正しくは四周年)もいう事で投稿しました。

文章量が量なので、誤字脱字はあるかと思いますが、ご指摘頂ければ随時修正致します。
というかいつも大変お世話になっております。

そんな訳で年始のゴタゴタで、やや燃え尽きてるので次回は何時になるか分かりません。
一応原作プロローグ相当は書きたいなぁ。

という訳で、また次回か別投稿作品でお会いしましょう。
ブルアカ4周年おめでとうございます(未プレイ)

ヒフミの主人公チカラを、忘れていたようだ……(感想欄からの得た着想で、エンド変更)

*1
事実上の後ろ盾がミカなのをアズサが告げる必要性を感じず、加えて本当の立場が秘匿されていた事。加えてトリニティ生の陰湿さと、そもそもアリウスとの調整で珍しく多忙でミカが対応できなかった。

*2
ちなみにとある天才はブルーがちょっかい掛けたことで、別に態と赤点を取ったりしてないので不参加。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。