聞き慣れたアラーム。
まだ目覚めたばかりで口をぽかーんと開けたままアラームを止めた。
スッゴく・・・眠い。
あれから本屋でスクールアイドルに関する雑誌をいくつか購入した。
まぁ・・・気になったらすぐ行動がアタシの中で決まってる。
スクールアイドルは全国区で流行しているらしく、現在の王者は近くのUTX学院の『A-RISE(アライズ)』ってグループみたいだ。
着替え終われば、手馴れた感じにスクランブルエッグとベーコンと作って皿に乗せた。
アタシは食パンをオーブントースターに突っ込むとケチャップをぶちまけてから皿の上のモノを食べた。
朝はいつもこんな感じ。
小さな頃からだから慣れた。
「いってきます」
誰も居ない家の中にそう一言残すと鍵を閉めた。
昨日のアイツの言葉が気になる。
スピリチュアルでそれでもって良いもの・・・もしかして、サプライズプレゼント!?
いやいや、逆にそれだともうアタシにバレてしまってる時点でそれはないだろう。
うーん・・・やっぱりアイツがなにを考えてるかがわかんねぇ。
神社へと向かう階段が見えてきたのだが、先客がいるのか必死に駆け上がってる2つの影を確認した。
どこかの部活の朝練か?・・・ったく、遅いんだよな。
並んで走っている2人の横をいつものように両手をポケットに突っ込んだまま駆け上がった。
すると、頂上ではストップウォッチを持った女性がこちらを呆然と見ていた。
「なんか用?」
「い、いえ・・・・・」
さっきの2人の仲間か?
他に部員みたいのは見えないけど・・・あぁ、自主トレってやつかもな。
急に走ったから上着を脱いで肩に掛け、リボンを緩めると手で自分を仰ぎつつ目的である巫女の姿を探す。
だが、目的の巫女を見つける前に彼女はある人物に見つかっていた。
「あっーーー!!き、きのう、のぉ、おん、がくしつのっ!!」
振り返れば、大の字になって寝そべってる奴が息を切らせながら顔をこっちに向けて叫んでやがる。
そう、奴は紛れもなく昨日のアイドル勧誘者だ。
こう言う類の相手は面倒臭いから逃げようと踵を返せば、2つの丸い物体に邪魔された。
胸だ!!そして、やっぱり出て来やがったスピリチュアル巫女!!
「テメェ・・・謀りやがったな」
「えぇ~?うちはなんも知らへんけどなぁ~」
「しらばっくれるなら今日こそアタシが・・・「ねぇ!!」あぁん?」
希といがみ合っていたらいつの間にか3人が集まってきていた。
はぁ・・・めんどくせぇ。
「副会長さん、この方は?」
「スクールアイドルに興味がある後輩くんやよ」
なっ!?この野郎!!
アタシが興味があるのはそっちじゃねぇっての!!
こいつらだって信じて目が輝いてんじゃんかよ!
「じゃあ入部希望者でいいのかな・・・?」
「違うっての!コイツの勘違いだって」
「えぇ~いいじゃん!一緒にスクールアイドルしようよ!!」
「拒否する!!」
「穂乃果、少し強引過ぎはしませんか?」
「・・・・・海未ちゃん」
おぉ、まだ聞き分けの良い人が居た。
強引な勧誘も終わるとアタシは希を睨む。
そりゃあ、原因はコイツですから。
「なにか企んでるのか?」
「いんや、咲ちゃんが気にしてたからうちは良かれと思って顔合わせを取り繕ったまでや」
「大きなお世話だっての!お前らもこれ以上アタシに関わるな」
これ以上面倒臭いことに巻き込まれるのはご免だ。
吐き捨てるように3人を睨みつけた後アタシはこの場から去ろうとした。
「なんでそんなに毛嫌いするん?本当はやりたいとか思ってるんとちゃうん?」
「へっ、アタシがやりたいのは歌うことだ。アイドルがしたい訳じゃねぇ」
「ですが、私達が目指しているのはスクールアイドルで・・・」
「それに・・・アタシには似合わねぇんだよ!!」
罰当たりにも賽銭箱を思いっきり蹴飛ばした咲はこの場から逃げ去るように走って行った。
残された3人はお互いに見つめ合いながら黙り込んでしまったが、希は遠ざかる彼女の後姿をずっと見守っていた。