「ここが・・・UTX学院か」
おいおい、これが本当に学校なのかよ・・・。
噂には聞いてたが、
学校と呼べそうにない外観!
そして、お嬢様だらけ!
しかも、設備は全てが最新!
はははっ、そりゃあ音ノ木坂が廃校に追い込まれるのも無理ないわな・・・。
外には液晶モニターに映し出されているA-RISEを見る人で溢れかえっていた。
アタシは見向きもせずにUTX学院の入り口らしき場所にやって来たのだが、まさかの出来事に驚きを隠せずにいた。
「これって・・・ICカード認証が必要なのか!?」
目の前に立ちはだかるのは駅の改札でおなじみICカード認証で開くゲート。
そう部外者はここで門前払いされるのだろう。
警備員もこちらを怪しそうに見ている。
これは・・・ピンチだな。
「貴女どうかしたの?」
「んっ?」
声がする方に振り返ってみるとそこには怪しい人物がいた。
ベージュのキャスケット帽を深く被り、
口元には大きめのマスクをし、
UTX学院の上に黒のコートを羽織った女の子がいた。
普通なら話しかけたくはないタイプだな。
「ちょっとした野暮用だよ」
「ねぇ、良かったら教えてくれない?」
「ここで見せたら大騒ぎになるんだよ」
「・・・・・ちょっとだけだから」
めんどくせぇ。
アタシは他の連中に見えないように怪しい女の子にチラッとプラチナカードを見せた。
だが、彼女は驚かずにアタシの反対の手を掴むと急かすように引っ張って来た。
「お、おい!いきなりどうしたんだよ」
「ずっと待っていたのよ!それに選ばれた人が来るのを・・・!!」
「はぁ?」
怪しい人じゃなくて、頭がおかしい人でした!
コイツも希みたいなスピリチュアルなヤツなのか!?
だが、彼女がゲートに近付くと自動的に開き、
警備員の人もお辞儀をして来た。
おい、この子なんなのよ!!
「ツバサちゃん!」
その一言でピタッと彼女は止まった。
あれ?ツバサ?いま、ツバサって言ったよな。
アタシが振り返れば、そこにも見たことのある2人が立っていた。
「ツバサ、その方は?」
「幸運の女神様・・・かな♪」
アタシの手をギュッと掴んで離さない女の子。
彼女はいつの間にか変装をすべて取っ払って嬉しそうにアタシの顔を覗き込んでいた。
そう、目の前に綺羅ツバサがいる。
*****
「ようこそ、UTX学院へ!改めまして、A-RISEの綺羅ツバサです」
「私は優木あんじゅ、ツバサちゃんが強引に連れて来ちゃったみたいでごめんなさいね」
「同じく、A-RISEの統堂英玲奈だ。うちのリーダーは多少強引な所があるから大目に見てくれると助かる」
「まぁうちの学校にも似たヤツが居るから気にすんな。おっと、アタシは天宮咲!よろしく」
まさかのA-RISEとこんな形で話し合うなんてな。
小泉が居たら、気絶してるなこりゃあ。
それにしても・・・雑誌でしか見たことないからな。
綺羅ツバサ。
おデコがチャームポイントっぽいが、アタシ的にはデコピンしたい。
さっきからずっとアタシを興味津々な雰囲気で見てくる。
めんどくせぇ。
優木あんじゅ。
おっとりとしたおねえさんって感じ。
それに癖なのか時折髪を弄っている。
統堂英玲奈。
大人っぽい雰囲気を持ってそう。
こりゃあ、女受け抜群だな。
これが初めてアタシが目にしたA-RISEメンバーの印象だ。
「天宮さん、プラチナカードを一応見せて貰ってもいいかしら」
「んっ?別にいいけど、なにかあんのか」
「偽者のプラチナカードを持って来る人が多いんだ。このプラチナカードは今回1枚だけなんだ。だから、偽者を持ち出すファンが殺到していたんだよ」
「じゃあアタシのも偽者の可能性があるんじゃないのか?それなのにココまで連れて来ちゃって・・・」
「それならちゃんと私が確認したから大丈夫よ!ほらっ♪」
プラチナカードの裏面には改めて見るとサインらしきモノが描かれていた。
だからそれでアタシをココまで連れて来たのね。
「それにしても・・・天宮さんってそんなに冷静ね。私達を前にしてるのに・・・」
「あぁん?普通だったらどうなんだよ」
「こうキャーって驚いたり、落ち着かなかったり、サインを求めて来たり、ずっと俯いてたりとか色々とあるの」
「そうね、私も天宮さんみたいなタイプ初めて見たかもしれないわ」
今のアタシを説明すると
ソファの背もたれに体を預け、
堂々と脚を組み、
腕も組んでいる状態で話をしている。
「これがアタシの普通。君達が知ってる普通とは違う訳よ」
「ツバサ、全員が私達のファンじゃない。彼女のような存在もいるんだ」
「でも、私達のことは好きなのよね♪」
「いんや」
まさかの一言にツバサはポカンと口を開けたままアタシを見ている。
あんじゅは「あらあら~」と口の前に手を置いて驚いており、
英玲奈は真剣な表情でアタシを見ていた。
「アタシが興味があるのはスクールアイドル!グループがどうとか曲がどうとかはなんにも興味ない!!」
「だから・・・私達にも興味はない・・・っと」
「大当たり♪」
茶化すように指で銃を作って英玲奈を撃つ素振りを見せた。
A-RISEが全国レベルなのは知ってる。
けど、それだけだ。
アタシの心にはなにも響かない。
さっきまでの空気は一変してしまい、ピリッとした空気へと変わった。
だが、その空気を断ち切るようにツバサが机を叩いて前のめりになってアタシにこう叫んだ。
「なら貴女を私達のファンにしてみせる!!」
ツバサの言葉にアタシはにやけていた。
あのA-RISEのリーダーが真剣な表情でこんなアタシに宣戦布告。
アイツと似た感じ・・・。
「それはちょっと楽しみ・・・かな?」
「んふふっ、覚悟しといてね」
「あぁ・・・雨宮さんの期待に答えよう」
他の2人もやる気らしく、ツバサの横に立つとツバサは立ち上がりアタシの横にやって来て携帯を取り出した。
「これもなにかの縁だから、連絡先交換しよっ!!」
「そんなの大丈夫なのかよ」
「天宮さんなら大丈夫!」
「へいへい」
アタシの携帯に3人の連絡先が登録された。
A-RISEと友達なんて普通ないだろうな。
アタシって幸運なのかな?