Fate/Shining Night   作:ペンギン3

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リハビリ作品です。
二次創作書いてる時、自分どんな文章書いてたっけ?
と致命的なド忘れをするという、痛恨のミスっ!
だから書いて、調子を整えました。
大丈夫かなぁ、と不安が募る何か、です。

※あくまでリハビリの為、短編小説になっております。
要するに一発ネタですね。

↑連載決定しました(冷やし中華始めました程度のノリで)。


プロローグ 前半 『声、果てにまで届いて』

 俺が――。

 あの人と出会ったのは、絶体絶命の時だった。

 

 俺はその時、誘拐されていて、いつ死んでもおかしくなくて。

 薄暗い部屋に、閉じ込められて。

 じわじわと、俺以外の子が殺されていくのを目の当たりにして。

 そのせいで吐瀉物をぶちまけて、他のこの血と混ざって、酸っぱい鉄の匂いを醸し出して。

 

 どこにでもいるような普通の人間だった俺が、どうしてこんな目にあうのかと、そう思いつめて。

 救いはない、祝福もない。

 ここには、狂気に彩られし者の、変質的な凶行が存在するのみ。

 

 這いよる恐怖によって、自分の死が近いことを予見して。

 死ぬと直感していたけれど、死にたくなんてなかったから。

 だから俺は抵抗して。

 でも駄目だったと、両目をキツく閉じた時。

 

 ――そこに彼は顕現した。

 

 バチバチと紫電を散らしながら。

 不遜な目で、俺を見ていて。

 そうして彼が放った言葉を聞いて。

 俺は、思ったのだ。

 

 ――あぁ、ヒーローは、確かにいるんだ、と。

 

 それが、俺の人生の転換点。

 俺は普通の人間をやめて、彼に憧れて……。

 俺は彼と共に、この戦いに身を投じていくことになる。

 

 ――人間にとっての狂気と、魔術師にとっての歓喜の坩堝である、聖杯戦争へと。

 

 

 

「呼び出されていないサーヴァントは、あと一騎か」

 

「はい、時臣師。キャスターのサーヴァントです」

 

 聖杯戦争、冬木御三家が開催した魔術師たちの祭典。

 願いが叶うと言われる聖杯を巡っての、熾烈なる争い。

 遠坂時臣はその争いに向けて、万全の準備を尽くしてきた。

 一部の隙もない。

 

 余裕を持って優雅たれ。

 その家訓を投げ捨てて、ワイングラスを持ってグルグル回ってまで奔走してきたこと。

 そしてようやく……この戦いが始まるに際して、余裕を持てるまで準備が整ったところでもあった。

 

「綺礼、監視はしっかりと頼む」

 

「はい、アサシンに命じておきます」

 

 そう言い、時臣の他にこの場にいたもうひとりの男。

 彼の弟子、言峰綺礼は退出していった。

 あとに残ったのは、彼と――。

 

「キャスター、か」

 

 思案するように、時臣はひとりごちた。

 彼以外は誰も見えないこの空間で。

 しかしそれを聞き届ける者も、この場にはいて……。

 

『よもや危惧を抱いているわけでは、あるまいな?』

 

 それは傲慢さに満ちた、されど逆らえない力を持った声。

 一人だけで、いと高き場所に君臨するであろう者の声。

 今は一人っきりの――王の声。

 

「英雄王、貴方のお力がある限り、我々の勝利は揺るぎません。

 よもやキャスター如きに遅れを取るなど、ありえぬことです」

 

 どこか圧力をかけるような声に、時臣は臣下の礼を取りつつ、だが自信に満ちた声音で答えた。

 彼には絶対の自信があり、それを信じて疑っていない。

 それにはさしもの王も鼻白んだようで。

 

『ならば、良い。だが……』

 

 王の気配が消えゆく。

 霊体化をしていても、感じずにはいられない王の気配が。

 その消えゆく間に、王は一言、こう言って。

 

『それは本当に、キャスターであろうかな』

 

「――何?」

 

 それは王が、面白くない臣下を揶揄うだけの言葉で。

 単なる捨て台詞のようなものだったのだが……。

 もしや彼は、何かを予感していたのかもしれない。

 

 時臣は、ありえないと思いつつも、もしもの可能性に思考を巡らせて……。

 

 

 

 

 

「雁夜よ、よもやこれで終わるつもりはあるまいな?」

 

「っぐ、があああああぁぁァァ!!?!!?」

 

 あと一騎、それが揃えば聖杯戦争は始まる。

 その前に、と言って。

 彼、間桐臓硯は、期待をしていない駒の、最終調整に取り掛かっていた。

 

「ほれ、ほれ、もっと頑張らんか雁夜」

 

 彼は嗤いながら、地べたに這い蹲っている自身の息子を杖で鞭打つように叩く。

 何度も、何度も、体に覚えさせるように。

 それ以外にも……臓硯の息子、間桐雁夜は辛苦に苛まされていて。

 

 口、耳、鼻、果ては目からも、彼の中に虫が入り込んでいく。

 嬉々として、彼を巣だとでも思っているように、どんどん侵入して行って……。

 そうして体に居つき、脈動し始める。

 よもやそれは、人間の扱いではなかった。

 そして魔術師の修練であっても、常人にはとても目を向けられるものではなくて。

 

「呵呵、もう少しだぞ雁夜。

 桜も耐えているのだ、耐えてみせい」

 

 雁夜の隣、そこには少女がいた。

 可憐な少女、だけれど虫に、貪られていて――。

 それに雁夜は、無力さと憤怒で、頭がおかしくなりそうで。

 

 呵呵、呵呵、と老人の哄笑が地下室に響き渡る。

 あとに残るは、間桐雁夜の絶叫と、感情を殺した少女の姿のみ。

 だけれど、少女は思うのだ。

 

 お父さんが助けてくれる、姉さんが助けてくれる。

 ――捨てられたのにか?

 そう、少女の中の老人は笑っていて。

 だから少女は、心の中に住まう老人に、言い返したのだ。

 

 ――その時は、正義の味方が助けてくれる。

 

 少女は無垢にもそう信じて、今を耐える。

 いつか終わりが、来ると信じて。

 

 

 

 

 

「ランサーよ、調子は万全であろうな?」

 

「っは、我が主よ。見事聖杯を勝ち取ってみせます」

 

 この問答はどれくらいしたか。

 そんなことをランサーのマスター、ケイネス・エルメロイ・アーチボルトは考えていた。

 冬木市ハイアットホテルのフロア全てを貸し切っての魔術工房。

 それを完成させ、あとはサーヴァントが全騎揃うのを待つだけとなっていた。

 しかし、どうにも落ち着かない。

 

 何故か?

 それは戦いを待つ武者震いのようなものか?

 ――それもなくはないが、大きな原因ではない。

 

 では、魔術工房に不安があるのか?

 ――それこそまさか、ロード・エルメロイの魔術工房は完璧である。

 

 では、では、何故?

 分からない? そんなことはない。

 彼女に、目を向ける。

 実に明白な答えが、確かにそこにはあった。

 

「ケイネス、そんなに心配しなくても、ランサーはキチンとやるわよ」

 

 ソラウ・ヌァザレ・ソフィアリ。

 ケイネスの婚約者であり、この聖杯戦争においてもケイネスのパートナーである彼女。

 しかし彼女は……。

 

「だから、ね。

 安心してランサーを信じていましょう?」

 

 ランサーに、してはならない目をしていて。

 ケイネス・エルメロイの婚約者が、他の男を気にしている?

 馬鹿な、そんなことがあって良いはずはないっ!

 

 この戦いには、自らの泊を付けるために来たのに、これでは本末転倒ではないか。

 ケイネスは自らの魅力に疑問を持ち、そうしてランサーに嫉妬する。

 だが、それでも彼は耐える。

 聖杯戦争さえ勝ち残ったならば、ランサーとはそれまでなのだから。

 

 ――ソラウ、その時は、お前も目を覚ますはずだ。

 

 自らの栄光を信じて疑わない男は、ここにもいて。

 彼は勝利を、婚約者に捧げると誓っていて。

 だからこそ、まだ辛うじてランサーを信用していたのだ。

 

 

 

 

 

「おいっ、ライダー」

 

「何だ坊主、ギャンギャン騒がしいぞ」

 

 マッケンジー宅、2階。

 そこにライダー主従は姦しく存在していた。

 上から聞こえてくる喧騒に、夫妻は今日も元気で結構なことだと笑っていて。

 

「何だじゃないっ!」

 

 捲し立てる少年、ウェイバー・ベルベット。

 耳元で騒ぐから、仕方がなくライダーは彼を見たのだった。

 

「で、騒ぎ立てて何なのだ」

 

「お前、もうすぐ聖杯戦争が始まるってのに、こんなことしてて良いのかよっ」

 

 ビシッ、とウェイバーが人差し指を指した先には、テレビ画面の姿が。

 ”大戦略”、とデカデカと表示されていた。

 戦略シミュレーションゲームである。

 

「良いも何も、他にすることなんてあるのか。えぇ? 坊主よ」

 

 そう、実際はライダーの言う通り、大人しくしているのが得策である。

 一般人の家を工房にするのは、夫妻に迷惑が掛かるから実質的に不可能。

 自分の部屋を、簡易工房にするのが精々である。

 それに、町を出歩いても、サーヴァントと戦えるわけでもない。

 昼間であるし、第一全てのサーヴァントが揃う前に消耗するのは、下策の一言。

 故に、ライダーはこうしてゲームをしながら時間を潰しているのだ。

 

「なにぃ? 略奪できんぞ、このゲーム!」

 

 ピコピコと動かして、部隊を前進させるライダー。

 だけれど、途中で補給切れになって総反撃を食らっていた。

 慌てて補給車を生産し始めている。

 

「何やってんだか」

 

「余の時代は略奪や協力を得て、補給事情を解決していたのだ」

 

 寒い時代になったものよのぉ、と零しているライダーに、ウェイバーは溜息を吐く。

 落ち着かなかったのだ、彼は。

 他のマスターが何かをしているんじゃないかと考えると。

 自分だけが、遅れを取っているような気持ちになる。

 それで負けたら、余計に惨めに感じるから……。

 

「辛気臭い顔をするなっ、坊主」

 

「げふぅっ!?」

 

 思いっきり、背中を叩かれる。

 空気が抜けていく感じがして、そしてケホケホと咳き込んでしまう。

 

「なぁにすんだよっ、お前!」

 

「鬱陶しい暗さは飛んだな」

 

 怒りの声を上げるウェイバーに、ライダーは平然とそう答える。

 するとウェイバーはキョトンとしたあと、はぁ、と溜息を吐いた。

 

「お前なぁ」

 

「なに、心配することはない」

 

 更に言葉を紡ごうとしたウェイバーを遮る形で、ライダーは胸を叩きながら言う。

 

「余は征服王だ。

 征服王イスカンダルだ、負けなどせん」

 

 それに、とウェイバーの方を向いて、人懐っこい笑みを、ライダーは浮かべて……。

 

「坊主のサーヴァントでもあるのだぞ?

 それでも心配なのか」

 

 それを聞いたウェイバーは、毒気を抜かれた顔で、しかしそっぽを向いて。

 

「……絶対、勝つからな」

 

「おう、余に任せておけ」

 

 ふんっ、と鼻を鳴らすウェイバーの背中を、再度バシバシと叩くライダー。

 いちいち痛いんだよお前っ!

 そんなウェイバーの声とライダーの笑い声が、マッケンジー邸に木霊して。

 

「元気ですね、貴方」

 

「結構なことだよ、お前」

 

 夫妻はそう言い合って、また笑っていた。

 

 

 

 

 

『キリツグをお願い、セイバー』

 

『お任せを、イリヤスフィール』

 

 純粋な目で、そうセイバーにお願いした白い少女。

 それに然りと、騎士の彼女は頷いていて。

 だからこそ……。

 

「セイバー、何か考え事?」

 

「いえ、大したことではありません」

 

 白い女性、あの少女が大きくなったらこうなると、容易に想像がつく姿。

 その姿を見て、やはり白い少女と重ねてしまう。

 そうして約束は、更に大きくなっていって。

 

「アイリスフィール」

 

 セイバーは、真剣な声で、彼女に声を掛けて。

 

「何? セイバー」

 

 童女のように首を傾げる彼女に、今一度宣言をする。

 

「貴方は私が守ります。どんな時でも」

 

 少女との誓いを、ここにもう一度……。

 

「ダメよ、セイバー」

 

 しかし、それはアイリスフィールによって拒まれる。

 柔らかい笑みで、しかし確かな拒絶を持って。

 

「貴方のマスターは切嗣よ。

 そこは履き違えてはダメなのよ、セイバー」

 

 その言葉に、私は頷いて……。

 でも、と彼女に向き直る。

 

「貴方も守るべき一人ですから」

 

 如何なる時でも、私が彼女を守ろう。

 

 ――だからどんな相手でも、決して私は屈しない。

 

 白い彼女は、ただ微笑んでいて。

 

 

 

 

 

 煙草を、吸う。

 久々の味。

 これから漂うであろう硝煙の、先駆けのような煙が漂う。

 

「聖杯、戦争」

 

 7人のサーヴァントが聖杯をめぐって殺し合う。

 そんな血にまみれた戦い。

 男……衛宮切嗣は、だから思うのだ。

 これで、全てを終わらせると。

 

 今まで沢山殺してきたから。

 親しい人も、殺してきたから。

 よもや引けない、どれだけ愛おしい重石が出来たとしても。

 ――だからアイリ、済まない。

 そう、心の中で謝ってしまって。

 

 彼女の結末を想像する度に、身を引き裂きたくなる。

 だけれど、だからこそっ。

 この地で流れる血が、人類最後のものとすると。

 

 ――それを邪魔する者がいるならば、容赦なく、抹殺すると。

 

 

 

 

 

 私のお願いを、騎士の彼女は然りと頷いてくれた。

 キリツグ、私のお父さん。

 それにお母様も、聖杯戦争に参加することになって……。

 

 私に暖かな愛を注いでくれるのは、あの二人だけだったから。

 だからお願い、どうか二人を無事に返して。

 それが私の唯一のお願いだった。

 だからもし、その私の願いが聞き入れられないのなら。

 

 ――私は誰にお願いをすれば良いんだろうね。

 

 一先ずは、お空に浮かぶお星様に、私はお願いを続けていて……。

 

 

 

 

 

 

 

 

「君、もうちょっと頑張ってよ」

 

「ヒギィィィィィ!!?」

 

 恐怖、今この場を掌握する感情を表すならば、それが一番的確だろう。

 目の前で、男の子が、裂けれていって……。

 それを実行する、男が確かにいて

 

「うわぁ、良い色してんじゃん、キミィ」

 

 そう言って、彼は更に解体を続けていく。

 ――血だまりが、部屋を鉄の匂いで包んでいって。

 次第に男の目の悲鳴は、小さくなって。

 そうして、びくん、と小さく跳ねて、男の子は動かなくなった。

 

 おかしい、おかしい――おかしい。

 

 どうしてこんなことになっているのか。

 どうして俺は捕まっているのか。

 そんなことが、分からないのだ。

 

 狂気の空間。

 一人の狂人が描いた、暗い部屋の紅いアート。

 それがこの場に蔓延していて、俺は吐き気が止まらなかった。

 

「んー、残念。

 動かなくなっちゃったね」

 

 本当に残念そうに、だけれど彼は、次に俺を見て。

 

「でも、ま、君が残っているし、まだ大丈夫だよねっ」

 

 どこか嬉しげに、狂気の彼はそんなことを言う。

 

 怖い、怖い――怖いっ!

 

 俺に近づくなっ!

 そう、心が悲鳴を上げている。

 助けて、助けて、と心臓が跳ね上がって。

 

 必死に動く。

 だれど、ロープに絡まって動けない。

 死にたくない……死にたくないっ!

 

「こらこら、暴れんなって」

 

 蹴りを一発、腹に喰らう。

 げほっ、と空気を吐き出して、唾が飛び散る。

 

「あーあ、汚しちゃった。

 掃除するのは俺なんだから、勘弁してくれよなぁ」

 

 そう言いながらも、彼はすごく嬉しそうで。

 手に持ったメスを、遊び道具のように振り回していて。

 

「俺を……どうするつもりなんだ」

 

 小さな声で、僅かに漏れたのはそれ。

 そんな当たり前なことを聞いてどうする。

 そう、どこからか呼びかける声も、して。

 

「ん? そんなの決まってんじゃん」

 

 今更だなぁ、とメスを持った彼は言いながら。

 俺の頬を少し裂いて……。

 

「素敵なおもちゃさ、君は」

 

 そんな、おぞましいことを言ったのだ。

 ……死ぬのか、俺は。

 さっきの男の子のように。

 腹を裂かれて、血を吹き出しながら。

 

 ――ナイフが、迫る。

 鈍い光と共に、俺に傷つけようと、グングンと。

 

 なんて……冗談。

 だって、今まで普通に過ごしてきたのに。

 何で急に、こんな目にあっているんだ。

 

 全てが……嘘みたいだ。

 今目を閉じて、次に目を覚ましたら、何時もの布団の上なのかもしれない。

 お母さんも、お父さんも、一緒に家にいて。

 そうして、笑って怖い夢を見たと、そう言えるのかも……。

 

 

 

 

 

 Q.本当に?

 

 

 

 例題です。

 ここに、一人の少年がいました。

 

 誘拐された少年です。

 少年は、いま自分が殺されかかっているのを、理解しています。

 

 それでも、夢を見ようとしていました。

 自分に都合が良いように、こんなのありえないと、そう思って。

 

 少年は、どうすることもできないと、そう判断してました。

 手足をロープで縛られて、動けない状態だからです。

 

 ナイフは、確実に近くまで迫っていました。

 悩んでいるうちにも、ナイフは確実に迫ってきています。

 少年は……泣いてしまいそうです。

 絶望に、打ちひしがれています。

 

 ――どうすべきですか?

 

 少年は、瞼を閉ざして終わりを待つべき?

 少年は、夢へと逃避すべき? 

 少年は、少しでも抗うべき?

 

 少年は――

 

「ふざけんなぁ!」

 

 少年は――抗いました。

 

 ジタバタと、哀れにも思える程の心もとない抵抗で。

 すると、どうでしょう?

 

 どうなりましたか?

 助かりましたか?

 

 どうにもなりませんでしたか?

 助かりませんでしたか?

 

 それは――

 

 

 

 

 

「うわっ、あっぶないなぁ」

 

 俺は必死に抵抗する。

 ロープで手と足を縛られていても。

 芋虫の体当たりみたいな抵抗であったとしても。

 だって、だって――死にたくなんてないんだからっ!

 

「死んでたまるかっ!」

 

「君にそれを決める権利なんてないよっと」

 

 蹴りを……また喰らう。

 体重差ゆえか、今度は少し宙に浮いて。

 そうして、机にぶつかって。

 いくつかの本が、バサバサと落ちてくる。

 

「大変だ、こりゃ」

 

 そう笑いながら、そんなことを彼は言って……。

 それよりも、目の前の楽しみを覚えようと、必死のようで。

 

 ――だから、

 

「こんなことする子には、お仕置きしなくちゃね」

 

 ――幾つか崩れ落ちた本の中に、ページが開けているものがあって。

 

「君ぃ、覚悟は出来てるかな?」

 

 ――俺の頬から、血が滴るのにも気付いてなくて。

 

「ほら、そろそろお楽しみの時間――」

 

 彼が何かを言おうとして、でもそれは止まってしまって。

 ――ようやく、彼は異変に気がついたのだ。

 

「な、なんだよっ、これ!」

 

 俺の血が滴った本が、鈍い光を放っていて。

 殺された男の子の血が、徐々に魔法陣を描いていって。

 ナイフの彼は、どこか興味津々に興奮していて。

 

「これって確かっ――」

 

 彼が、光っている本が何かを思い出した時……。

 

「ぐぼらぁっ!?」

 

 彼は勢いよく吹っ飛んでいった。

 そこには、知らない”誰か”がいて……。

 紫電を散らしながら、俺の目の前に立っていて 

 

「お前の声は届いた。

 たとえ、青空の下であろうとも」

 

 彼は、白い軍服のようなものを、身に纏っていて。

 

「輝きを持つも者よ。

 尊さを失わぬ、若人よ。

 お前の声を聞いた。ならば、呼べ。私は来よう」

 

 傲岸不遜に、俺を見下ろして――

 

「サーヴァント、セイヴァー……いや」

 

 彼はそうして首を振って、改めて俺を見てから――

 

「ニコラ・テスラ。

 眩い輝きを守護するものだ。

 まぁ、そうだな……」

 

 そんな、自己紹介をした。

 そうして彼は少しだけ逡巡してから。

 

「さしずめ、正義の味方とでも思ってくればいい」

 

 そんな、格好いいことを言って……。

 

「お、俺」

 

 この人に何か言わないとと、そう思って。

 

「××士郎って言うんだ!」

 

 結局、できたのは自己紹介だけだったのだった。




龍之介と子供士郎のキャラがつかめなくて、喀血しそうです(白目)
というか、zero勢は大抵悲惨すぎて、書いてる僕が吐きそうでした。
どういうことなの……。
あと、桜井節が使いこなせなくて、悲しかったです(小学生並みの感想)。
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