腕が折れて半年な俺、部屋でリハビリ中。
ホグワーツの医療は凄いな、原型留めて無くても治る。
もうギプスは外せるがやっぱり本調子じゃない、試しに錫杖を素振りしてみる、ダメだ痛い、一応また包帯で固定しておくか。
手早く外していた包帯を巻き直し机に座る俺、何だかんだ毎日勉強と言う名の研究をしてるなぁ。
で、今の課題は、(プロテゴの形状の調節)だ。
考えて見れば、原作でのプロテゴは防護膜を展開し、呪文などを防ぐ事が出来る呪文だ、上位の物はかの許されざる呪文をも防ぐ、らしい
俺の〈プロテゴ・エンゴージオ〉の原型である〈プロテゴ・マキシマ〉などまさしくそれ、まあ俺は魔力も練度もショボいからアバタケダブラ撃たれたら一発お陀仏だけどね。映画だか原作だかでホグワーツ全体に展開したフリットウィック先生とは訳が違う。
ていうか、あれ魔力の破片でもアウトだったような、まあそれはどうでもいい。
そんなプロテゴだが、一応物理的な壁でもある様子、だってこれ呪文以外も余裕で弾くもん。この前レンガ落ちてきたの防いだらレンガの方が粉々になった位だ。
これを部分展開すれば、中々面白い呪文になる、例えば俺の大事なこの錫杖にかければ規格外の固さの撲殺兵器に早変わりだ。
あと俺の折れた腕を保護と同時に完全に固定して今すぐ包帯要らずで普通に動かせるかも?プロテゴは衝撃も含めて完全に防御するからね。
「ほふぅ」
まあ早い話、プロテゴで腕の骨折誤魔化せないかここ半年ずーっっっと試していた訳だ、結果は包帯巻いてる今が説明してくれてる。
あぁ、骨折したまま一年終わるのか・・・形が変えられるのは分かってたんだけどなぁ。
俺、初プロテゴを爆発として展開した訳だし、それだけでもやれるか散々試したけど、結局出来たのは最初のアレが最後だ。
「あーあ、嫌だなあ」
今日で一年生もおしまい、原作で盛り上がり所の最優秀寮の表彰もうちの寮最下位だったから談話室お通夜みたいだったな。
俺は知ったこっちゃ無いけどね、研究成果以外は得ても虚しいだけさな。
「ヨーテリア・グリンデルバルド!
見つけたぞ今日こそイマージェの仇を」
「エンゴージオ」
困った時のエンゴージオ、股ぐらか顔面に向けてどうぞ。
この前のゴリラを研究の実験体にしてから毎日のように色んな奴が仇討ちにくる。つーか殺してねーよ、ただ新呪い試しただけだろ、まだ医務室で鮫を殴らせろとか喚いているらしいがな。
さて、顔面にエンゴージオ直撃したアホは放置して、さっさと駅に向かいますかねぇ。
列車に乗ってからは静かなものだった。
俺のコンパートメントには誰も来ず一人寂しくカエルチョコを食べるばかり、ピーちゃんも眠ってて寂しい。
「・・・はぁ」
外の風景を見ながらため息をつく俺、何だかなぁ、落ち着くけど、虚しいなぁ。
ダンブルドアは多分帰って来ないし、一人家で過ごすのかな。つまんね。
あ、研究に没頭出来ると思えばまだいいか、プロテゴの研究仕上げようかな。一人な分よく進むだろう、一人な分ね。
・・・フィルチ達のせいだぞ、一人になった時寂しくて仕方無くなってる、そんなキャラじゃないっての俺は。
「グリンデルバルド、空いてるかな?」
黄昏てたらリドル坊やご入室、いつものように小馬鹿にした笑みを浮かべてる。
「君は本当に人付き合いが無いな。
僕らが居ないといっつも一人じゃないか」
「ほっとけ」
名前のせいだよ8割くらいはな。この名前のせいで誰も寄り付きやしない、本当に何でこんな名前で転生したのかな。
「この本は?山積みになってるけど」
「研究資料」
机に置いといた本に興味を持ったリドル坊や。この本はどれもホグワーツの図書館から借りた物だ、帰ってからも研究がしたかったからね。
一応プロテゴ以外にエンゴージオとかその他の魔法の応用にも手を出してたし出来れば一つは成果を出したい。再現魔法もそうだが独自の魔法にも興味がある。
「研究ノート?見せてもらうよ。
・・・わお、何これ、物凄い論理ばっかり。
というか何このプロテゴ活用理論って」
「プロテゴ活用理論!そいつは凄い、プロテゴの形状を変えて離れた物体に物理的に干渉出来ないか試した、結果はただのプロテゴ。
でも形状が変えられるのは証明済み、だから私頑張った、再現したい物の一つだから。
とにかくプロテゴを遠くに展開する事から始めた、結果はまずまず、5メートル先の物体にもプロテゴの保護膜は発現した、今の所形は変えれてない、変えれれば押し潰すくらいなら出来るのに、研究が必要」
某ダークファンタジーを再現しようとした研究だ、プロテゴをかけてから形状を調節して保護膜内の物に物理的に干渉するという物、再現できれば動きを止める、押し潰す、ねじ切る等、かなりの用途が考えられる、凄いやろ。
「お、おお」
「ねね、まだあるよリドル。
教えてあげるネあげるネあげるネ!」
「グリンデルバルド、落ち着け、主に目がヤバい」
「今度はエンゴージオの応用、エンゴージオをかけるとその部位が丸ごと肥大する、でも中身の一部分だけ肥大出来ないか試した。
結果は惨敗、やっぱり外面もどうしても肥大する、そこで錫杖で突いて直接体内に叩き込む事にした、場所によっては成功の目処ある、適切な場所を探す。
使いこなせば医療にも使えるよ!」
ミスれば漏れなく爆発四散するがな!
そんな時はこう言えば解決する、ん?間違ったかな?だ!ヒャッハー!
「OK落ちつくんだグリンデルバルド。
これ以上は流石に何かやらかしそうで怖い」
「ほふぅ、暑い暑い」
どうも研究になると熱くなっちゃってダメだ、周りが見えなくなる。あと少しで裏声で叫ぶとこだった。
「研究熱心な事だ、ところでグリンデルバルド」
何だねリドル坊や、そげな楽しそうな顔して
「実は僕もある二つの研究をしている。
成功すれば表彰なぞ目じゃない栄光が掴める、やりがいもある。君好きだろ?そういうの」
ほー?エリートなリドル坊やが研究の良さを解せるとは。
目をギラギラさせながらふんぞり返るリドル、どうやら相当に御大層な研究らしい。ちょっと興味ある。
「そりゃ、どんな研究だ?」
「一つは君には関係無いが、もう1つは一概にそうとは言わない」
俺が訪ねるとリドルは満足そうに頷いた。
大袈裟に手を広げ、厳かにいい放つ。
「不死の研究、だ」
・・・なんだ、聞いて損したわ。
トム・リドルは落胆していた。
このヨーテリア・グリンデルバルドという女、粗暴で乱暴で無気力な彼女だが、魔法の研究にだけは異常なまでの執着を見せる。そんな彼女がこのビックタイトルに食い付かないとは。
「グリンデルバルド、不死だぞ、不死。
死なないって事だ、君なら分かるだろ?」
「あっそ」
興味無さげにチョコをくわえ、外を眺める彼女。
「おいおい、夢物語じゃないんだ、本当に永遠を生きる術があるんだよ。
君なら手伝わせてもいい、本当だぞ?」
リドルは自分以外は信用しない、絶対に。
しかしこの女なら、自分の後ろに歩かせてもいい、だってこいつは唯一自分を真正面から堂々と力業で打ち負かした女だからだ。
そこまで買っている彼女の反応にリドルは焦った
「君が不死になれば間違いなく偉大になれる、研究だって楽しい筈だ、そうだろ?」
「興味ない」
バッサリと切り捨てカボチャジュースの瓶を中年男性の如く豪快にラッパ飲みする彼女。
リドルは猛った、僕の所有物の癖に何様だ、と。
「見損なったぞ、ヨーテリア・グリンデルバルド、貴様の事はあのジジイと同じ位買っていたのに、そこまで志が低いとは、魔法族の面汚しめ」
「リドル、私を見ろ」
煮えくり返っていた感情が急激に冷めた。
普段のように激昂するでも無く、彼女は静かに促すようにリドルに言い放った。
その彼女の目は、いつものように死んではいなく、かといって時々見せる輝きも無い。
リドルはそのアメジスト色の目を見て思った。なんて真っ暗な目なんだろう、と。
「死ぬってのは唐突なモンでしかも一瞬だ、どんなに積み上げた物もどんなに努力した事もその一瞬で全部ぶっ壊れちまう。
死ぬってのは終わりだ、自分の全部の終わりだ、嫌だよな、怖いよな?死にたくないよな?でもよ、そう思ってられるのはいつまでだ?生きてる内に全部壊れた時までか?生きてる内に全部終わっちまった時までか?生きてる内に全部無駄になった時までか?」
それら全てを味わったが如く、血を吐くように告白するように言葉を繋ぐヨーテリア。
「そうなった時、ソイツはどう思う?
教えてやるよ、(死にたい)だ」
特徴的な錫杖で首を掻き切る動作をする彼女。リドルは薄ら寒い気分だった。何でこいつは一度死んだような口振りをするんだ?自分が今正に、その状態だとでも言うのか?
「で、死にたいと思ってもソイツは死ねない。
死ぬのは怖いんだ、誰だってそうだ、自分で死ぬなんて恐ろしくて出来ない。
だから殺されるのをひたすら待つ、でも結局怖いからそれからも逃げる。
それでもある時パッと死ぬ。その時ソイツは救われるんだよ、生きる事から。
でもよ、そこで死なないって、どうよ?ソイツは一体全体、どこで救われるんだ?」
気が付くとヨーテリアは目の前にまで顔を寄せていた。
無意識に顔を反らすと、右腕で無理矢理に正面を向かされ、彼女の暗い眼差しがゼロ距離でリドルの目に突き刺さる。
「私を見ろと言っただろう?
なあリドルよう、ソイツはいつ救われるんだ?」
――あの時は殺されるかと思った。
後の2年の夏、リドルは付き従う有象無象にそう語った。
ヨーテリアの台詞を一ヶ所修正