輪をかけて謝罪させて頂きたい・・・今回ヨーテ嬢出ないです・・・
代わりにパパさんが出ます。
リトル・ハングルトンで起きたリドル一家殺害事件。
その容疑者が逮捕されてから、二週間の時が過ぎた。
絶海の孤島に建つこの世の地獄で刻一刻とその男は弱り続け、今やうわ言のように「指輪をなくした、親父に殺される」と呟くだけの、衰弱死を待つのみの存在と成り果てている。
何の罪もない
彼を捕らえた魔法省の役人達も、概ねそういった考えを持ち、彼が犯人であると断定していた。
大きな間違いである。
彼らは知らないのだ。
本当は容疑者、モーフィン・ゴーントは無罪であった。
彼が自白した事件の詳細は偽の記憶であり、彼の杖から検知された ″許されざる呪文″ は、まったくの別人が放ったものだ。
魔法省は気付くべきだった。
モーフィンが凶行に及んだと思われる時間帯に、リトル・ハングルトンで未成年が魔法を使用したのを、 ″十七歳未満の者の周囲での魔法行為を嗅ぎ出す呪文″ が、しっかりと検知していた事を。
しかしながら多くにとって不幸にも、そして犯人からすれば
いちいち、検知した履歴が残っている筈もない。だからこの事は誰も知らず気付かれぬまま、事件ごと忘れ去られるのみだ。
多くが納得して忘れておしまい。
大団円とは、つまりまったくソレで良いのだ。
さてしかし。真犯人は一体どこへ行ってしまったのか?
リトル・ハングルトンを離れ、一晩をグレート・ハングルトンで過ごし、ロンドンへと戻った彼は今、どこへ行ったのか?
彼が逃げるようにロンドンから向かったのは東。
テムズ川河口部に位置する、海に面した自治都市。
サウスエンド・オン・シー。そしてその街が誇る長い長い埠頭、サウスエンド埠頭。
その中ば辺りに、その少年は居た。
道を行く女性の誰もが振り返るようなハンサムな顔立ちと、そこそこに高い身長。
しかし、彼はそれらが すべて薄暗んでしまう程に、濁りきった暗い眼差しをした少年だった。
トム・マールヴォロ・リドル。それが、彼の名前だ。
まるで全てがどうでもいい、自分は何もかも諦めているし、何もしたくない・・・そんな疲れきった目をしている彼がしている事は、その退廃的な様とはミスマッチな事に釣りである。
別に、趣味として好んでいる訳ではない。
何も考える事のない過ごし方として、パッと浮かんだのがソレであっただけだ。
釣糸の先のウキが沈み、リドルが竿を振り上げる。
バチャバチャと水を跳ねる音と共に釣られたのは、一匹の小さなマスだった。
目の前で元気にマスが暴れる。しかしリドルは表情を変える事なく、興味なさげに針を外し逃がしてしまった。
大物だろうが何だろうが持ち帰る気はない。キャッチアンドリリースという奴だ。
小さな容器に入った釣り餌を針につけ、彼は再び釣糸を垂らそうとした。
しかし不意に小さな子供の声が聞こえ、彼は声が聞こえてくる方を横目で見据えた。
街側から楽しそうに騒ぎながらやってくるのは声の通り、まだ幼い可愛らしい男の子であった。
その隣には、二本の竿を持った穏やかに微笑む男性も居る。
順当に考えて、父親だろう。
「こっちだよ
「走りすぎて転ぶんじゃないぞー」
どうやら、親子で釣りに来たらしい。
リドルはぎり と歯軋りし、釣り餌を外して足早にその場を去った。
ソレは賢い行動だったのだろう。
今、一番目にしたくないものがまさしく あの親子のようなものなのに、隣で釣りなどされては、きっとリドルには耐えられなかった。
「おっきいのが釣れたら、ママが料理してくれるんだって!」
「そりゃぁいい! ようし
「わーい!」
去り際に会話が聞こえたがどうやら、あの少年も トム というらしい。
男の子としては、実にありふれた名前だ。
一つの街に二人は居るんじゃないかというくらいに、多くの男の子がその名前をつけられるだろう。
ちょうどリドルと、彼の父親のように。
やはり、リドルの判断は英断だった。
あの場に長く居れば、あの親子へ危害を加えてしまったかもしれない。
レンタルしていた釣具を返すときのやりとりがぶっきらぼうになってしまったが、そんな事を気にする余裕はリドルにはなかった。
釣具を返した後、彼はサウスエンド・オン・シーの街を宛もなく さまよいに出た。
目的なんてない。興味を惹くものもない。
ただ ただ、何かから逃げるように無気力に過ごすだけだ。
結局、小さなパブに腰を落ち着けた彼は、店内の声を聞き流しながら、ただ細い通りを眺めていた。
ーーあの男は妹を、メローピーを捨てやがったのよ!
無気力に通りを見つめる彼の脳裏に、おおよそ人の言語とは思えないが、そんな意味を持った声が響く。
またか。
ため息をつく気にもならない。
リドルは瞳を閉じ、肘を立てて両手の指を組ませた上に瞼を乗せた。
もう、何日もこうだ。
自分の意思とは関係なしに、リトル・ハングルトンでの出来事が頭に浮かんでくる。それも、リドルにとって不愉快なものばかりが。
ーー帰れ! お前は私の息子じゃない、我が家から出ていけ!
自分が殺した、父親から投げ掛けられた言葉だ。
リドルは苛立たしげに顔を歪め、次々と浮かんでくる あの日の記憶を振り払おうとした。
けれど、グズグズの泥水から這い上がってくるような不快な記憶は、彼の意思に反して脳内に響き渡るのだ。
ーーおしめぇだぞ、オメェはおしめぇだッ!
ーーあの薄汚い泥棒猫の息子ですって!? なんて汚らわしいッ!
ーーうるさい、うるさいうるさいッ、このイカれた異常者がッ!
ああ。
まったくもって、何なのだろう。
記憶が沸き上がってくる度に感じる、この言いようのない苛立ちは。
頭の中が腐ったヘドロ混じりの泥水に浸されていくような、ドス黒い不快な感覚は。
無意識に組み合わせた指に力が籠り、ギリ と噛み合わされた奥歯の間から音が鳴る。
ーーお前達みたいな人種をこの私がッ! 愛する訳が無いだろうッッ!?
特に悪質な泥が、彼の脳内を浸した。
彼は一度深呼吸し、″店に入ったからには″ という良識的判断から頼んだレモネードを飲み干し、気を沈めようとした。
しかし、一緒に口内へ飛び込んできた大きな氷を無意識に噛み潰している事から、恐らく失敗したのだろう。
そのぐらいに、耐え難い怒りだ。
「クズめ」
感情を抑えきれず、彼は悪態をついた。
自分の身内は尽くクズだった。
不潔な気狂いの伯父に、不愉快極まりない祖母。目の前で伴侶が殺された事も察せずに丸腰で向かってきたあらゆる意味で哀れな祖父。
・・・そして何よりも、父親。
トム・リドル。
この世の何よりも耐え難い。
悪態をついて、ある程度は落ち着いた脳に再び血が上ってくる。
許せない。許せるわけがない。
魔法の「ま」の字すら使えもしないマグルの分際で、魔法使いという特別な存在である母と己を捨て。
挙げ句の果てに、愛する訳がないなどと言い捨てた父親。
その 血 が己にも流れているばかりか、名前までもが同じだなんて!
だが、リドルの怒りが、彼の理性を引き千切る寸前に。
彼の頭は急激に冷まされ、まるで平常心になったかのようにリドルは落ち着き始めた。
何故か。
なんの事はない。
感情が振り切れて、逆に何も感じなくなってしまっただけだ。
不様な事だ。彼は真顔の内に、そう自虐していた。
ぼんやりと前を見据えた瞳が、窓ガラスにうっすらと映るリドル自身を見つめる。
酷い顔だ。
特に、この泥のように濁った暗い黒い瞳。
まるで死人のようだ。感情を一切感じさせない、ただ光を反射するだけの無機質な目だ。
まったく、あの世話のかかる面倒な女のようではないか。
ーー貴様も、父親の名に悩まされていたな。
嘗ての友人の事を思い浮かべると、少し楽になった。
ほんの少しだけ、救われた気がした。
普段なら屈辱的だが、今はそれでいい。
屈辱的であっても、何故か気持ちが落ち着くのには変わらないのだから。
そうやって、ホグワーツでの日々を思い浮かべながら、リドルはぼんやりと外の通りを眺め続けていた。
だが、唐突に視界に入り込んだ ″ ありえないもの ″ を見て、彼の思考は綺麗さっぱり吹き飛んだ。
彼の視界を横切ったのは、
背が高く、豊かな金色の巻き毛を持つ何者かが、外の通りを通っていったのだ。
「馬鹿な」
自分でも口に出していたが、彼は席を立ってしまっていた。
有り得ない。奴がこんな所に居るはずがない。
いや、奴の家が何処にあるかなんて知らない。
だが、幾らなんだって偶然にも程がある。
ありえない。そうであったとしても、会って何になる?
もう縁は切った筈だ。
席を立って手を着いたまま、彼は行くべきか行かざるべきか考えた。
しかし、ある一つの思考が、彼に行く事を決意させた。
″
・・・だが悲しいかな、その効力はとっくに切れていた。
ソレは彼の精神状態が証明していたし、彼ならば息をするより簡単に理解できていた。
けれど代金を払いパブを出てしまったのは、それだけ彼が追い詰められていたし、期待してしまっていたという事なのだろう。
パブを出たリドルは、先程の何者かが歩いていった方向へ向かった。
もうとっくにその人物は見えなくなってしまったが、この辺りは路地裏を除けば分かれ道なんて存在しない。
それに、″ わざわざ路地裏に行くなんて普通じゃない ″
ならば、道なりに進むのが道理というもの。
自分の理論を信じて、リドルは足早に通りを進んでいく。
そうして、しばらく進んでいた時だ。
ーー居た!
リドルは、道を歩く背の高い金髪の人物を見つけた。
堂と背を張って歩くその後ろ姿は見れば見るほどに、リドルが良く知る ″ とある少女 ″ によく似ている。
なんという事だ。あるいは、本当に彼女なのか?
最早、すがるようにリドルは後を追っていった。
しばらくして、リドルが追っていた人物は不意にするりと進路を変えた。
行き先は通りの横道・・・いや、そんな物はない。
その人物が入っていったのは、
ここでリドルは、ピタと足を止めた。
先程までに期待に突き動かされていた体が、一瞬で全身へと警告を鳴らした。
ーー・・・何故だ?
先程自分でだって考えた事だろう。
″ わざわざ路地裏に行くなんて普通じゃない ″
どう考えてみても、用事があるとは思えない路地裏へと自ら入っていく。
違和感しかないだろう。何の目的で、そんな ″ 人目につかない暗い場所 ″ へと入っていく?
リドルは懐に入れた愛杖を抜いた。
もしかしたらあの馬鹿の事だから、道に迷いでもしたのかも・・・そんな思いもあったが、やはり今は不審感が勝っている。
好奇心とも言えるかもしれない。
彼の己への自信と、怖いもの見たさのような奇妙な感情が、彼をこの無鉄砲な行動へと誘導していた。
リドルは路地裏へと入っていく。
思ったよりもこの暗く狭い道は入り組んでいて、金髪の何者かはとっくに見えなくなっていた。
彼は最大の注意を払いつつ、そんな薄暗い路地裏を進む。
いつでも自衛出来るよう、杖は真っ直ぐ前へ。
先手を取れるならば負けはない。
例え ″ 許されざる呪文 ″ に頼らずとも、己はそこいらの不審人物に破れるような魔法使いではない。
ホグワーツ魔法魔術学校でもついぞ、彼が打ち負かされた事は一度だってなかった。
ただ一人、彼の友である魔女を除いて。
「・・・ッ!」
不意にT字路の入り口にて、右側通路から聞こえた物音に反応したリドルは、通路から死角になる位置へと滑り込んだ。
それ以上に物音は聞こえてこない。
だが此方も、物音は一切立ててはならない。
意表を付き、先手を取る。
次に相手が音を立てた時・・・少しでも動いた瞬間を狙う。
リドルは、息を殺してその瞬間を待った。
そして、通路から再び物音が響いた。
リドルが飛び出す。
獲物に襲い掛かる蛇さながらに、音もなく素早くT時路の真ん中に躍り出た彼は、音のした通路へと杖を向けた!
誰も、居ない。
「・・・ネズミか」
ゴミ箱から抜け出した鼠が、死に物狂いで逃げていく。
どうやら、鼠がゴミを漁っていただけらしい。
それを薄汚い壁にまで張り付いて、息まで殺して・・・。
我ながら、なんと間抜けな事か。
リドルは杖を下ろし、安堵の溜め息をついた。
その安堵がいけなかった。
「え?」
不意に背後から肩に手を置かれたと思った瞬間。
リドルは顎に一撃を食らい、フラついた瞬間に杖を叩き落とされる。
そのまま襲撃者は彼を壁に叩き付け、リドルの胸ぐらを掴む。
そして、信じられない程の腕力で彼を宙吊りに持ち上げたのだ!
「ぐッ・・・!?」
一瞬遠退いた意識が覚醒したその時、リドルは信じられないものを見た。
それは、彼の友人が居る事よりも、″ もっと信じられないもの ″ だった。
「″知らない人へ ついて行くな″ と。教わらなかったのかね?」
その人物は、確かに豊かなホワイトブロンドの巻き毛を持っていた。
リドルよりも高い身長と、ソレに違和感のない体格、そして堂とした佇まい。
どれもが、彼の記憶にある少女と一致していた。
だが、その男は。
確かな美貌を持ち得ていたが、髪色と同じ色の髭を生やした、老いた男であり。
それでいて、確かにリドルより高い身長だが、彼と大差なかったあの少女よりも背の高い、威圧感のある大男であった。
何よりも、その顔には。
あの無機質ながらにも、時々暖かみのある光を向けてきた、アメジスト色の瞳はなく。
代わりにあったのは、人を人と思わないような、リドルが今までに見たことのないくらいに冷たく、恐ろしい。
真っ黒い左目と、底冷えするような灰色の右目。
「ゲラート・グリンデルバルド ・・・!!」
史上最悪の魔法使いが、そこに居た。
「・・・さて、お坊ちゃん」
グリンデルバルドは、低く、しかし愉快げな声色でリドルへと語りかけた。
「何を思って私を追っていたのかは知らないが、君は杖を抜いて私の前に現れた」
懐から杖を取り出し、ナイフのようにリドルの首を這わせて彼は笑う。
「生かしておく理由は無いと思うんだが・・・どうかな?」
普段のリドルならば憤怒に駆られる所であったが、今はそれどころではない。
完全に、命を握られている。
杖は足元にあるし、抵抗した瞬間に何らかの呪文により自分は死ぬ。
完全に詰みだ。
ーークソ・・・僕とした事が!
愚かな数分前の自分自身を殺してやりたい。
だが今は目の前の男だ。このままでは自分で殺す前にコイツに殺される。
抵抗は無駄。口八丁で、どうにかするしかない。
「いいのか・・・!」
「ウン?」
カラカラに乾いた喉から、リドルは掠れるように声をひり出した。
「僕は未成年だ・・・! 僕の近くで魔法を使えば、魔法省がソレに勘づく!」
ほう、と。
グリンデルバルドが小さく相槌を打った。
「イギリスで騒ぎを起こした事がバレるのは、貴方にだって不都合な筈だ・・・!」
ふむ、と彼は再び相槌を打つ。
合理的な考えの持ち主ならば、当然考慮するだろう。
以前リドルが幸運薬を使った時には、
だが今は違う。
この男がそんなものを使っているとは思えない。
ならば魔法を使った瞬間に、魔法省がすッ飛んでくるだろう。
相手が手練れであろうと時間を稼げばいいと、最初からタカを括っていたからこそ、リドルはこんな無謀な行為に出たという感覚もある。
彼なりに咄嗟に考え付いた、苦し紛れの一言。
リドルはさらに畳み掛けようと口を開いたが、グリンデルバルドはつまらなそうに遮った。
「それで?」
一瞬、リドルの心臓が止まった。
ただの錯覚ではあったが、ソレは現状では洒落にならないものだ。
「確かに、イギリスで問題を起こせば、そう・・・。
アルバス・ダンブルドアの目を引くことになるだろう」
淡々と、グリンデルバルドは言葉を続けた。
「確かに私には不都合だ。魔法は使えない」
ずいと顔を寄せながら、目の前の男は冷たく微笑んだ。
「ならば素手で殺すとしよう」
リドルを掴みあげた馬鹿げた腕力が、彼の白い首をへし折らんばかりに締め上げた!
一瞬で呼吸が止まる、だけではない。
頭へと上る血液が塞き止められ、リドルの意識が消え去る瞬間が、秒刻みに迫ってくる!
死ぬ。
本当に殺される。
ーー冗談じゃない・・・! こんなところで、こんなところで・・・!
「僕は・・・! ホグワ″ーヅの″・・・生徒だ・・・!!」
顔を蒼白にしながら、リドルはどうにか途切れ途切れに言葉を繋げた。
ぴたりと、首を締め上げる力が止まる。
「僕を・・・殺せば・・・ッ、アルバス・ダンブルドアが・・・!」
その隙を狙い、リドルは更に畳み掛ける。
反応はあった。もう、これしかない!
「ダンブルドア先生が・・・黙ってないぞ・・・!」
曲がりなりにも、彼が敬意を払うものの一人。
その名前を、目の前の男へと叩きつけた。
「・・・ふ、くくっ」
ほんの数秒後。グリンデルバルドは、静かに笑った。
「このゲラート・グリンデルバルドを脅すか・・・。
どうして、なかなか逸材とは居るものだな。
いや、アイツの教え子ならば、すべからくか」
腕が離され、地面に落とされたリドルは激しく咳き込んだ。
だがグリンデルバルドから、新たに攻撃を加えられる事はない。
彼はリドルが落ち着くのを、ただ静かに見つめていた。
「君の名は何だったか」
呼吸が落ち着いた頃になって、グリンデルバルドはリドルへと手を差し伸べてきた。
リドルが睨むように上目遣いに見上げるとグリンデルバルドは尚更面白そうに笑う。
何故だか、先程まで感じていた恐ろしさは消え失せていた。
「・・・ トム・マールヴォロ・リドル」
「そうか。非礼を詫びよう、ミスター・リドル」
リドルはグリンデルバルドの手を取り、立ち上がった。
ーー・・・それで、何故こうなる。
リドルは、グリンデルバルドに連れられ再びパブに入店していた。
「もう夕方だ。腹が減ったろう」と手を引かれ、抵抗もせずに入ってサンドイッチを頼んだリドルもリドルだが。
目の前で史上最悪の魔法使いが、よりによってカレーを食らっているというのはどういう事なのか。
それも、マグルの店で。
その事をリドルは真っ先に指摘したのだが、グリンデルバルドは「私が魔法使いの店に入れるとでも?」と御尤もな正論を返してきたので、押し黙るしかなかった。
「食わんのかね? 死にかけた分、旨かろうに」
先程とはうって変わって親しみすら感じさせる声色で、グリンデルバルドはそう言った。
その殺しかけた輩はどこのどいつだ と、負の感情を全力で表した眼差しで彼を睨みつつ、リドルは別の事を考えていた。
ーー何故、わざわざ英国に?
目の前でカレーを食らっているのも十分ワケが分からない事柄だが、何よりも理解できない事が一つ。
それは、彼の天敵であるアルバス・ダンブルドアの膝元とも言える この英国に、たった一人で居るという事だ。
さっきも、彼の友人が居る事よりも余程信じられない事柄であると、リドルはそう感じた。
今もまったくもって同じだ。
何が目的で、この男がイギリスに訪れたのかが、さっぱり分からない。
「何が目的ですか?」
「ウン?」
唐突にリドルが口を開き、グリンデルバルドはカレーを食らうのをやめた。
「何を求めて、英国に? それも、たった一人で」
聞いて答えるとも思えなかったが、危害を加えられる気配はない。
聞くだけ聞いてみる。そんな軽い感覚で、リドルはそう尋ねた。
すると、目の前の男は愉快げに笑いながら右手に持ったスプーンをクイクイと上下させた。
「カレーを食いに来た。
イギリスのはしばらく食っていなくてな、恋しくなってしまった」
そこまで言い切った後、グリンデルバルドは半分ほど平らげたカレーを再び食らい始めた。
ーーそんなワケないだろう。
思案しなくても分かることだ。
どう考えても、適当にはぐらかされたに違いない。
もっとも、万に一つ答えるかどうかという感覚で尋ねただけであるし、それ以上に問いただす必要もない。
「昔はとある友人と評判の店を食べ歩いたものだ。
気を抜くとソイツが食えんほどの辛口にすり替えやがるから、何度も痛い目に遭わされたよ」
古くからの友人に話すような口振りで、目の前の男はそんな事を言い始めた。
リドルは再びそんなワケがあるかと
どう考えても、はぐらかすための口弁に適当なバックストーリーを付け足しただけであるのに、何故か疑いきれない。
それどころか、思考とは裏腹に自分は、目の前の犯罪者に徐々に慣れてしまっている感覚がある。
そこまで考えて、リドルはハッとなった。
そうだろう、先程まで殺し合いでもしているかのように奴の一挙一動に気を張っていたのに、たった今緩められたではないか。
呆れさせる という手段を用いて。
警戒を、少しずつ解きほぐされている。
そこまで辿り着き硬直したリドルに気付いたのかそうでないのか、目の前の男はにんまりと笑った。
怖い男だ。リドルはグリンデルバルドをそう評価した。
史上最悪の闇の魔法使いと称される実力者でありながら、人の心を掌握する術にも長けている。
なるほど。きっと何人もの魔法使いが、こうやって警戒を解かれ、あるいはたぶらかされて。
ある者は殺され、またある者は闇の道へと引き摺り込まれていったのだろう。
「そう警戒するなよ。話が弾まん」
すっかり完食してみせたカレーの皿へスプーンを置きながら、グリンデルバルドはそう言った。
「ところで、ホグワーツの生徒と言っていたね?」
鋭く此方を睨むリドルへ対し、彼は朗らかにそう問い掛けた。
「ええ、そうです」
ーーそれが、どうした。
付け足しそうになった言葉を飲み込みながら、リドルはそう短く答えた。
するとグリンデルバルドは、「そうかそうか」と愉快げに笑った。
「その ″ とある友人 ″ もホグワーツ出身だったよ。
今やソイツとも疎遠になってしまってな・・・酷く懐かしいものだよ。
ところで一つ尋ねたいんだが、ミスター・リドル?」
「ヨーテリア・グリンデルバルドという女を知っているかね?」
「尋ねたい」という一言に身構えていたリドルの背に、ぞくりと悪寒が走った。
「・・・どうして、そんな事を?」
動揺を表に出さないように、逆にリドルは問う。
「可笑しいかね? 自分の・・・アー、
ソレについて気に掛けるのは、父親の常だと思うのだが」
リドルの問いにむしろ、困惑したような
「随分昔に、アレの母親に
苦笑いしながら、彼はそう続けた。
それだけ聞けば、娘を想う父親の台詞に違いないだろう。
そんじょそこらの者であれば、この史上最悪の闇の魔法使いに、ほんの一握りの人間性を見出だすかもしれない。
そうして、ポロっとヨーテリア・グリンデルバルドについて情報を漏らしてしまうだろう。
だが、リドルは違う。
彼はこの歳の少年少女とは比較にならない程に賢く、また嘘や取り繕った外面の内の・・・腐臭と言ってしまっていいソレを嗅ぎ分ける術に長けていた。
だから、ほんの一瞬だけ目の前の男が見せたモノを、見逃さなかったのだ。
ヨーテリアについて尋ねたいと言った時に覗かせた、ドス黒い悪意を。
「アイツをどうするつもりですか?」
いい加減、目の前の男の機嫌を損ねかねないと思いつつも、リドルは史上最悪の闇の魔法使いへと食って掛かってみせた。
頭では危険だと分かっていたが、何故かそうせざるを得なかった。
しかしながら、グリンデルバルドは怒ったような素振りはなく、むしろ驚いたように軽く目を見開いていた。
だがそれも一瞬の事。すぐさま、彼は愉快そうな笑みを浮かべた。
「君の知る事ではない」
そして短く、そう告げた。
これで、ハッキリした。
この男は自分の娘に対して、何の愛情も持ってはいない事も、この男が何をしに英国へ潜入したのかも。
ヨーテリア・グリンデルバルドを、始末しに来たのだ
「貴方は愚かだ」
勝手に口から言葉が出た。
何故だか、自分の身内の事を思い出すのと同じくらいにハラワタが煮えくり返っていた。
これ以上は本当にマズい。落ち着け、黙るんだ。
そう理性的な思考が必死に自分を制止していたが、リドルはソレ等の一切をかなぐり捨てていた。
ーー黙るな。
ーー言ってやれ。
ーーこの男の事を、認めるな。
「アレは、ホグワーツ魔法魔術学校の生徒であり、アルバス・ダンブルドアの養子だ。
貴方がその・・・何かをするのなら、ダンブルドアは誰も見たことがないくらい激怒するでしょう。
・・・勝てますか? 自分の事を、不死身のスーパーマンとでも思ってはいませんか?」
そんなモノ、存在しないのに。
リドルはそう、締めくくった。
流石に死んだか と、彼は静かに思考していた。
だが不思議と、後悔はしていなかった。
やるならやれ。だがただでは済まさないぞ・・・などという、ヤケになったような思いで、彼は目の前の男を睨み付けていた。
しかし、グリンデルバルドは未だに怒る様子はない。
それどころか、あの人を食ったような愉快そうな笑みを浮かべたままではないか。
杖を抜く素振りもなく、この男はただ口を開いた。
「本当にそうかな?」
一瞬、リドルの思考が止まった。
ショックを受けたわけでも、ましてや殺されたわけでもない。
単純に、発言の意味が分からなかった。
「スーパーマンとやらは知らぬが・・・本当に、不死者が存在しないとでも?」
その言葉を聞いて、ようやくリドルの思考が追い付いた。
だが、即座に否定した。
「あり得ない」
ほぼ無意識に、リドルはそう呟いた。
不死者。この世でもっとも恐ろしい、死を克服した者。
歴代魔法使いにもソレに当たるものは居ない。かの高名なる錬金術師、ニコラス・フラメルすら何百年と追い求め、未だに不完全であるソレ。
このトム・マールヴォロ・リドルですら、足元すらも見えてこない境地。
超越者。夢物語でしかない、だからこそ誰もが夢見る者。
「否。ソレは確かに存在する」
リドルですらあり得ないと思ってしまっていたソレを、この男は簡単に肯定してみせた。
「知らんだろうなぁ。アイツがこれを秘匿せんとは思えん」
怒りや疑いすら霧散させて、自分の話を食い入るように聞くリドルを見て満足げに微笑みながら、グリンデルバルドは再び語り始めた。
「ギリシャで生まれた古い魔法だ。
″ 腐ったハーポ ″ だったか? そのイカれたジジィがやってのけた、禁忌中の禁忌と言える」
腐ったハーポ。
たしか、あのバジリスクを造ったと言われる、闇の魔法使いだった。
つまり、バジリスクと同レベルの碌でもない代物と見て間違いない。
「この私ですら、おぞましいと思ってしまえる物だ。
こんなにも手前勝手で、歪で、許しがたい魔法はそうない」
焦らすように、グリンデルバルドは本題に入ろうとはしない。
リドルの反応を見て楽しんでいるに違いないのだが、今やリドルは話を聞くことに夢中で遊ばれている事にも気付かない。
「分霊箱、あるいはホークラックス。奴はそう呼んだそうだ」
ついにその名が、グリンデルバルドの口から紡がれた。
「この魔法は・・・正に、魂を分ける呪文だ。
あるおぞましい事を行い・・・自分自身の、魂を、真っ二つに引き裂く・・・!
そうして分かれた魂を、あらゆる物体へと縛り付ける。
・・・その時、その者は異常な存在となる。
例えその者が滅びたとしても、片方の魂が残る限り、その者は永遠にこの世へ縛り続けられる」
「そう。死ぬことが出来なくなってしまう」
「そして魂を引き裂く方法だが・・・これこそが、この魔法の禁忌たる由縁だ。
恐ろしい事さ・・・決して、許されるべきではない。嗚呼何故、このような魔法が実在してしまうのだ、私には到底理解が出来ない!」
大袈裟に身ぶり手振りを加えながら、グリンデルバルドは熱烈に語り続ける。
「・・・そして、その方法とは」
唐突にクールダウンした目の前の男は、満面の笑みを浮かべながら両手の指を組み合わせた。
「人を・・・殺すことだ」
囁くように、グリンデルバルドはそう締めくくった。
きっと、目の前の少年はさぞ不愉快さに、あるいはおぞましさに身を抱くことだろう。
健常な者であればソレが正解だ。人殺しなど、怯えてすくまざるを得ないだろう。
そう、彼は予想していた。
「・・・えっ?」
だが、目の前の少年は怯えるどころか、不愉快そうな素振りすら見せない。
それどころか小さく声を上げ、酷く困惑した様子だった。
訝しむグリンデルバルドに対し、目の前の少年は確認するようにこう尋ねた。
「 ・・・それだけ? 」
ちょっと驚かされた、では済まなかった。
心底驚いた様子で、グリンデルバルドは目を見開いて硬直してしまった。
その様子を見たリドルは、自身のとんでもない失言に気付き、慌てて取り繕うとした。
だが。
「ハハハッ! ハーッハッハッハッ! アァーッハッハッハッハッハーァ!!」
唐突に大笑いし始めたグリンデルバルドに遮られた。
「本っっ当にアイツときたら・・・ふくくっ、節穴すぎる、節穴すぎるぞ!
それともアイツは、そういう輩を好む奴だったのか? ウハハッ、結局は私と同類であったようだな!!」
「ち、違う・・・コレは、その、僕は・・・!
もっと、恐ろしい事を思い浮かべてーー」
「そうさな。そういう事にしておこう」
笑いを抑えながら、グリンデルバルドはそう話を切った。
「だが実際、それだけだ。
簡単だ。実に簡単だ・・・しかも手段は問わない。
私はやらないが、不死とは実際簡単になれるのだよ」
「何故ですか?」
打算抜きに、リドルはそう尋ねた。
不死。死を超越した、究極の存在。
この世の最も恐ろしい物と縁を切る、全人類の悲願。
それが目の前にあって、尚且つ簡単に行える。
なのに、実行しない。
ソレが、リドルには理解できなかった。
そんな純粋と言える問いに対し、グリンデルバルドは良い質問だ、と教師のように頷いてみせた。
「おぞましいからさ」
非常に短い答えだった。
「これは持論だが、魂にも記憶が存在する」
人差し指を真上に立てながら、彼は更に言葉を続ける。
「ゴースト共が居るだろう? 奴等は、脳ミソも体組織も無い癖に生前の記憶と、容姿を持っているな?
何故だ? 代わりになる物などない、むしろ奴等には魂しかない。
ならば、魂に記憶が染み付いていると言って良いだろう」
「魂に・・・?」
そう、魂にだ。
グリンデルバルドは、力強く頷いた。
「で、だ。そんな大事な魂を引き裂いてその身から離すなどしたら、ソイツはどうなる?
己の記憶と、形態を覚えている魂を引き裂いて、他所へやってしまう?
その後に残ったのは果たしてソイツ自身なのか?
記憶と形態を引き千切られ、手元から失ったソイツは、何になってしまうのだ?」
この数十分の間で最も真剣な顔をしながら、グリンデルバルドはひたすらに語り続ける。
そして「答えは一つだ」と、彼はリドルを見据えた。
「
リドルもグリンデルバルドも、しばらく口を開かなかった。
だが少しして、グリンデルバルドが微笑みながら目を閉じた。
「つまらん話になってしまったな。
ところでミスター・リドル」
再び目を開けたグリンデルバルドは、親しげな様子でリドルと目を合わせた。
「私は君を気に入った。
そこいらの魔法使いと違い君は聡明で、才気に満ち溢れており、かつ度胸もある。
その価値は、多少の無礼を笑って許すほどに大きい」
彼の言葉にきょとんとした様子のリドルに対し、グリンデルバルドは彼を指差しながら言葉を続けた。
「ヨーテリアを連れてくれば、君を我が配下に迎えよう。
その後に何なら、アレを君の嫁にしても良い。
仮にも私の血を引いた女で、アレの母親もいい女
容姿は悪くないはずだと踏んでいるが、どうだね?」
それは、勧誘だった。
グリンデルバルドは、自身にも物怖じせずに物申すばかりか、脅してみせ、食って掛かってみせたこの少年をいたく気に入っていた。
間違いなく本心から この少年を認め、配下に加えようと考えていた。
きっとここで聞き入れていれば、リドルはグリンデルバルド勢力の幹部として、歴史に名を残していただろう。
ダンブルドアすら、ゲラート・グリンデルバルドと共に打倒してしまったかもしれない。
だが、そんな未来は無い。
「たった一人の娘を、よくそんな風に言えますね」
再びリドルの声に怒りが宿り、彼はグリンデルバルドを睨み付けていた。
ゲラート・グリンデルバルドは地雷を踏み抜いたのだ。
トム・マールヴォロ・リドル自身が気付いてはいない、彼の神経を逆撫でする、正しく逆鱗と呼ぶべき物を。
「あれは、貴方の物ではない」
怒りを込め、しかし静かに。
氷のように冷たい眼差しをしながら、リドルはそう言い放った。
「・・・
グリンデルバルドは微妙な顔をしながら、そのオッドアイを閉じた。
「やはり貴方は愚かだ。
僕は貴方なんかに従わない、ヨーテリア・グリンデルバルドも連れてこない。
さっさと故郷へ帰ってしまえ。ダンブルドア先生に打ち負かされる前に」
年齢に不相応な覇気を込めて、リドルはゲラート・グリンデルバルドの勧誘を蹴り飛ばした。
「そうか」
少しだけ、残念そうにグリンデルバルドは苦笑いしていた。
「よろしい。君に免じて、さっさと帰るとしよう。
だが一つだけ訂正させておくれよ・・・一つだけだ」
不適な笑みを浮かべて、グリンデルバルドはリドルを見据えた。
「アルバス・ダンブルドアは、絶対に私に挑まない」
「何だって?」
リドルは怪訝な顔をしながら聞き直した。
「何度でも言おう。アイツは私とは戦わん。
恐らく奴は私に勝るが、それでも・・・いや、むしろ、故に。
このゲラート・グリンデルバルドに挑むことはない。
そりゃあ、そうだろうさ? 何せ私に勝つという事は、即ちーー」
そこまで言った途端、急にグリンデルバルドは口を閉じた。
この日見た中でも、一番度し難い表情をしていた。
眉を潜め、口を真一文字にし、目を閉じかけたなんとも言えない表情だ。
何を考えているか、正確には検討がつかない。
だがリドルの見立てでは・・・本当に信じられない見立てではあるが、こう感じた。
ーー・・・憂いている?
「話が長くなった。もう止そうじゃないか」
突然、グリンデルバルドは強引に話をやめた。
「ええ。もう話す事はありません」
リドルからしても、最早話す事は無かったので好都合であった。
ふと窓から見た空は、もう暗い。
かなり話し込んでしまったらしい。この時間に汽車はあっただろうか?
「英国には、
困ったような顔をしていたリドルへ、グリンデルバルドが何かを投げて寄越した。
何か硬貨のような物の入った黒い袋と、同じく黒い本のような物だ。
「5ガリオンが入ってる。釣りはいらん。
それとその本・・・ホークラックスについての書物だ。
もし、君が不死を望むなら・・・上手に使いなさい」
「どうも」
「料金は払っておこう・・・またな、ミスター・リドル」
二度と、会いたくもない。
あえてその一言は言わず、リドルはパブを後にした。
大通りに戻ったリドルは、懐に入れた杖を抜いて、何もない暗がりへとただ向けた。
これが、ナイト・バスを呼び出す合図だ。
ほんの少しして、通りの右側から一台の車両が現れた。
紫でカラーリングされた、縦長の何とも言い難いデザインのバスである。
リドルの目の前で止まったバスのドアが空いて、中から車掌の無愛想な挨拶をしてきた。
「
碌に返事もせず、行き先に自身の孤児院を伝えたリドルは、バス内に設置されたベッドへと横になった。
いくら彼と言えど、今日は疲れる事が多すぎた。
釣りに来たと思えば、史上最悪の魔法使いに殺されかけたり、矢鱈と長く話し込んだり。
彼ですら、パンクしてしまいそうな日だった。
だが、収穫はあった。
追い求めた不死。ソレが、今やこの手の中にある。
大事に抱えた黒い本を見て、リドルは胸が高鳴るのを感じた。
魂を引き裂く。そして不死になる。その手段が、この本にある。
人殺しなどとうにした。ならばすぐにでも、自分は不死となり得る!
そこまで考えたリドルは、グリンデルバルドが言った一言が思い浮かび、一気に思考が冷めてしまった。
酷く真剣に彼が言った一言が、何故か頭から離れなかった。
ゲラートお父さん「お会計で」
店員「お客さん、宗教かなんかやってんの?」
ゲラートお父さん「〈オブリビエイト〉(テンション上げすぎた・・・)」
・11月14日 ゲラートお父さんの発言を修正。
魂を引き裂く→魂を引き裂いてその身から離す
お父さんが重要視しているのは魂をその身から離す事であって、ただ引き裂く事ではありませぬ。