我が名はグリンデルバルド   作:トム叔父さんのカラス

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6話 楽しい魔法開発日和

「アーガス、そこの資料取ってくれ」

「はいよ、上級魔法編だな」

 

 お昼休憩、俺達は談話室の机を占拠し、山積みになった資料を読みある呪文を探していた。

 勉強が嫌いな俺達が何故こんな事をしているのかと言うと、まあ俺の気紛れである。

 この前の〈プロテゴ〉の暴発、しかしあれはあの一年の魔法を、それはそれは完璧に吹き飛ばした。

 今になって思えば、あれに似た物を俺は見たことがある、確実に。しかもそれは大層俺の心を踊らせた物だ。

 それが再現出来るかもしれない、そう思うと居ても立っても居られなかった。

 で、俺達が探す呪文だが、それは ″最上級の爆発呪文″ と ″魔法の強化″ 、 ″呪文による自傷の防止″ 、以上の効果を持つ呪文だ。

 今回俺は爆発呪文とプロテゴを組み合わせ両者を並行に強化、その上で自分に影響が無い、そんな魔法を作ろうとしている訳だ。

 幸いプロテゴはダンブルドアを脅して数日間でマスターした。

 後は呪文を探し組み合わせる術を模索し、完成した物を然るべき場所でド派手に遠慮無くぶっぱするだけだ。

 

「ほふぅ・・・」

 

 そうなんだが・・・驚くほどに見つからない、フィルチおじさんにまで手伝わせてこれだ。

 なんつー体たらく、ほんと俺デスクワーク苦手ね。

 

「〈ボンバーダ〉これは凄いぞ。簡単なレンガ壁くらいなら吹き飛ばせる」

「吹き飛ばしちゃダメだ、爆発でないと。自分の周囲を巻き込みながら弾くから」

「うぅん、中々無いな、リドルを呼べばいいんじゃないか?」

 

 ああ?

 何を言うフィルチボーイ。何でリドルに頼むんですかねぇ。

 

「あいつは俺の友人じゃない。アーガス、お前とは違う」

 

 大体俺相当無理言ってんのよ?

 気紛れに呪文を作るなんて、馬鹿の発想だ。

 何故って、誰も成功してないからだ。

 呪文てのは俺・・・いや前世の俺みたいな非魔法族、つまりマグルからすりゃ、一つのでかいプログラムみたいな物だ。

 そして俺はプログラムを組み合わせた言わばゲームか、システムを作ろうとしている。

 無知な一般人がゲーム、システムを作れるか?

 答えは否、それが出来る奴は天才か、よっぽどの努力馬鹿だ。

 ・・・ん? フィルチさん!? 何故半泣きになっとるんですか!?

 

「アーガス、どうした、何をそんな、辛いならもういいんだぞ」

「友達っ、友達って、ふぐっ、うううう」

「泣くな、どうしたんだよ」

「グリンデルバルド? 何でフィルチを泣かしてるんだ」

 

 呆れたように半目になったリドル坊やが居た。

 違うよ俺じゃないよ、手伝って貰っただけだよ。

 

「俺のせいじゃない」

「いやこの場じゃどう考えても君だろ。

 君性格キツイからな、無意識でもやりそう」

「そうなのか?アーガス」

「違う、グスッ、もう、大丈夫だから」

 

 涙を自力で止め言うフィルチおじさん。

 どうしたって言うんだよ管理人さん、てかリドル坊やがフランクになってる件。

 

「リドル、随分素を出してるようだが、馴れ馴れしいじゃないか? お?」

「なんか君に気を使っても無駄だなって思って」

「もっぺん言ってみろ、口を縫い合わせてやる」

「おお、怖い怖い」

 

 このクソガキついに本性が出たな?

 よろしい首をへし折って眠らせてやろう、きっと死ぬほど疲れてるだろう?

 

「で、この本は何だい? 談話室の机全部使う価値は?」

「ある。ただのお坊ちゃんには理解できない偉大な境地がそこに有る」

「僕孤児だって言ったよね?」

 

 こめかみをヒクつかせながら笑顔になるリドル。

 知らんし聞いてない、どっか行け邪魔。

 

「ヨーテが新魔法を作っている」

「へえ、どんなの?」

「自分中心に爆発起こして、それ利用して呪文を吹き飛ばすらしい」

「プロテゴで良くね?」

「や″か″ま″し″い″!!」

 

 煩いわエリート坊やがロマン嘗めんな。

 営業にだってソイツは必要なんだよ、というか何でフィルチおじさんとそんな親しく話してんのよ

 

「この後飛行訓練とクィディッチがあるのに」

「パス、そんなどうでも良い事してられん」

「一応授業なんだけどなあ、レイブンクローと合同だし」

「ヨーテ、一回休憩しよう。夜通しやってたんだ、倒れちまう」

 

 うーん、やっぱりそうかあ、どうにも目が痛い上に、クラゲみたいな猫が飛んでるのが見える。

 弱いなぁこの体、前世じゃ余裕だったのに。

 

「・・・息抜き、しとくか」

 

 ダルいが仕方無い、ちょっとだけだ。

 もしかしたらヒントが掴めるかも。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「言われるまで箒は取らないように!

 ピクリとでも動かしたら、ホグワーツからつまみ出してやろう。

 さてお前たち、飛行訓練の教官は、このホグワーツ森番オッグが受け持った。

 俺はクィディッチが大好きだ、だから箒で怪我をするのは絶対許さん」

 

 オッグっていうのか前任様。

 ていうか超優秀じゃん、森番で教官かよ。見るからにスポーツマンだから信頼感ヤバい。

 

「まずは箒を取ってもらおうか。簡単な事だ、箒に手をかざして一言だ。

 ″上がれ!″ さあ、やってみろ」

 

 オッグが指示を出すと、スリザリン、レイブンクロー両方が箒を動かそうと躍起になる。

 リドル坊やは一発。フィルチおじさんはやはりというか、ピクリとも動かない。

 で、俺だが。

 

「上がれ、上がれ、上がってください」

 

 箒が地面をのたうち回っていた。

 何で? 素直に俺の物になってよ。

 

「上がれ、上がりなさい、上がってちょうだい、お上がりなさい、上がってくださいまし」

 

 言い方変えてもダメなの? おいおい、お嬢様言葉まで使ったぞ。

 

「ブフッ、ふふふ・・・」

 

 リドルてめぇ笑ったな? 笑ったなお前。

 

「 上 が れ オ″ ル″ ァ″ ァ″ !」

 

 ドスの効いた声で箒に叫ぶ。

 するとのたうち回っていた箒がスッと手元に収まった。

 周囲の言うことを聞かなかった箒までだ、フィルチおじさんの分もか、ワロタ。

 

「グリンデルバルド、やるな!

 その威勢の良さに1点、スリザリンだ!」

 

 おっほほ、点数まで貰っちゃった。気分がいいのう周り縮み上がってるけど。縮み ″上がれ″ ってか? 不愉快ですわぁ。

 

「では箒に跨がって少し浮いてもらう、膝ぐらいで止めていいからな」

 

 さて、箒に跨がってみよう。

 跨がった瞬間、簡単に膝まで浮かび上がった。おお、ヨーテリア感動。

 案の定フィルチおじさんは浮かび上がらず酷く不満そうな顔をしている。

 リドル坊や?ドヤホバーがうざい。

 

「ひっ、ひぃぃ!」

 

 レイブンクロー生が皆の頭の高さまで上がる。これはテラネビルの予感!?

 

「マートル! 何やってる!?」

「わたっ、私じゃ無いわよぉぉ!?」

 

 ふわりふわりと浮かび上がったと思えば、突然きりもみしながら上空へぶっ飛んだ。

 ・・・マートル?

 そういやあのレイブンクロー生メガネだったな、それでニキビで顔が残念・・・ふむ。

 ・・・アイツ嘆きのマートルじゃねぇか!?

 箒を飛ばしマートルを追いかける。ハッキリ言ってグラグラ飛行だが構いやしないどうせ高高度だ。

 あのままマートルが行方不明になるくらいならそれくらい目を瞑ってやる。

 しかしマートルの飛行、あれ意識飛ぶな。もはやきりもみですら無い、あれドリルだわ。

 

「誰か止めてぇぇぇぇぇ!?」

 

 マートルに追いすがり、どうにか並走する。

 

「あ、あんた! この際札付きでもいいわ、今すぐ助けてちょうだい!

 このままだと私、汚いスプリンクラーになっちゃうわ!」

 

 そういうレベルの話じゃ無いんですが。

 とにかくマートルに手を伸ばし、掴もうとする。

 その瞬間、マートルの軌道がずれ、箒によるうち下ろしが俺の箒の尾をそれは見事に削り取ってくれた。

 そしてその拍子に俺の箒に引っ掛かるマートル、やばいガクンってなった。

 

「ああああ何よこれえええ!?」

 

 俺の台詞だよ落ちてんだよ斜めにぃ!

 ホグワーツ向きにはできたが、これ確実に壁に激突するよな。

 

「死ぃっ、死ぬ、死ぬのよ!? 壁に当たって砕けて死んじゃうのぉぉ!」

「黙ってろブス!」

 

 どうすんだよ、死んじまうぞ!?

 畜生、せめてあの魔法を完成させたかった、ああ! 壁が、目の前に! 目の前に!

 

「〈プロテゴ・マキシマ〉ァ″ァ″ァ″ァ″!!」

 

 研究成果の副産物、盾の呪文の最上級。

 使ったことの無いぶっつけ本番。出来なきゃ死ぬ、やぶれかぶれだった。

 しかし俺の錫杖はそれに反応し、俺達の前に分厚い光の膜を展開した。

 結果俺達はピンボールの如く跳ね返り、校庭にまっ逆さまに落ちた。

 いや待て、結局死んじまうぞ!?

 

「い″や″あ″あ″あ″あ″!!」

「クソがぁぁぁっ!!」

 

 折角マキシマ成功したのに!

 

「うおおおお!!」

 

 地面にぶつかる直前に横からの衝撃。地面の染みには成らずに済んだらしい

 

「ヨーテ、怪我、無いか」

 

 フィルチおじさああん!! 大好き、愛してる!

 スライディングキャッチとかイケメンすぎるっ。でもさ、出来れば肩に担ぐなよ。

 

「アーガス、助かった」

「気にすんな。友達、なんだぞ」

 

 わーお女の子なら胸キュン物やで。

 そういやマートルは、リドル坊や!? 何故マートルをお姫様だっこしてるですか!?

 

「グリンデルバルド、彼女は無事だよ」

「ご苦労リドル。マートル、お前を助けた理由を教えよう」

 

 自分をお姫様だっこしていたリドルに地面に下ろされ、呆けているマートルの顎を指で上げさせる。

 

「ほあ」

「俺はある魔法を探している。爆破では無く、爆発呪文だ、知っているか?」

 

 聞くとマートルはきょとんとしたが、しばらくして困惑気味な顔になる。

 

「そんなの、私知らないわよ」

「そうだろうな、だが問題無い、これからお前にそれを調べて貰いたい。

 お前ならホグワーツ内どこでも行けるだろ?」

「はあ?あんた何言っちゃってるのよ?

 私にそんな事出来るわけないわよ」

「えっ」

「え?」

 

 え、いやだって嘆きのマートルでしょ?

 ゴーストなら壁抜けだって、え? あれ、そういえば何でゴーストを触れ、え。

 動揺しながらマートルの頬をやたらめったら撫で回す。

 

「ちょっと、何すんのよ」

 

 うん、クソが。

 

「何で生きてんだよォ″ォ″ォ″ァ″ァ″ァ″!!」

「はあああああ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 迂闊だった。

 原作でのイメージ強すぎてずっとゴーストだと思ってた。何で助けたんだろ、あーあ。

 

「助けなきゃ良かったなぁ」

「そんな!?」

 

 中庭で勉強中の俺に悲鳴みたいな声をかけるゴーストじゃない役立たず、マートル。こいつがゴーストならどんなに役に立ったか。

 

「ちゃんと手伝ってるじゃない。

 ていうか私使うなら手動かしなさい」

「うざいなあ可愛くないなあ」

「私が半分泣いてるの知ってるなら、あんた相当な鬼畜ね」

「ヨーテはツンデレなんだよ」

「いや馬鹿で考えなしなだけさ」

「お″ま″え″ら″ァ″!!」

 

 好き放題言いやがって錫杖ぶつけんぞ。

 全く呪文は見つからないし、体力は無駄に使うし、最近厄日ばっかりだあ!! もう嫌だ!

 

「・・・あら、これなんかどう?」

 

 マートルが開かれたページを見せてくる。

 指差す先には、〈エンゴージオ〉? 効果は対象を肥大させる、ははは

 

「爆発って言ってんだろがあ″あ″!?」

「ぐぼぼぼ!?」

「グリンデルバルド! 絞まってる!」

 

 死ね! 今死ね! すぐ死ね! 離せリドル、今ゴーストにしてやる!

 

「ガホッ、あのね、あなた視点が狭いのよ。

 プロテゴ・マキシマが使えるなら、それを急速に肥大させたら周りの物全部吹っ飛ばすじゃない、爆発と変わりないわよ。

 膜が広がるのはあんまり爽快感無いけどね」

「は?」

 

 プロテゴ・マキシマを急速肥大・・・? つまり全部弾いて吹き飛ばす膜を拡張展開?

 予定と違うが、自分に無害でかつ防御能力のある広範囲魔法だな。

 ・・・え、これは、マジか。

 俺は無意識にマートルの手を取っていた。

 

「結婚してくれ」

「はあ?」

「お前は女神だ、結婚してくれ」

「はああああ!?」

 

 天啓、神からの啓示! 俺は、やったぞ、神様!

 

「Yeahhhhh!!きっ、たあああ!」

 

 魔法、完成したああ!!

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