まだまだ未熟な点等あるかとは思いますが、以前書いたものよりより読みやすく、また楽しんでいただけるものになっていれば幸いです。
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長々と失礼いたしました。
真っ青なザンジバル級サングレ・アスルと宇宙港とを結ぶ連絡通路を、崩した軍服の青年が歩いていく。足取りこそしっかりとしたものであるが、額には脂汗が浮かんでいる。
青年の名前はアール・ミュラー・インノセンツィ。クラン「三つ首龍の紋章」のメンバーである。このサングレ・アスルは三つ首龍の紋章の所有艦の一隻なのだ。
アールがサングレ・アスル側の隔壁に近づくと、既に認証を終えていたのか自動で開きアールを中に迎える。見ると、通路にはアールと同い年ほどの女性が荷物を抱えて通り過ぎようとしているところであった。
彼女は顔色の悪いアールを見つけると、持っていた荷物をその場に置いて駆け寄ってきた。
「ちょっと、アールさんどこ行ってたんですか。休まないとって言ったのはアールさんでしょう」
「いや、知り合いが来てたんだよ。大丈夫だから」
「いいから早く戻ってください! 艦内で倒れたらどうするんですか」
彼女、ヤマネ・ランはアールの袖をつかむと、半ば無理やり艦の奥へと引きずっていく。
クランの旗艦キマイラは、今も前線で戦闘任務を継続中である。サングレ・アスルは構成員の往還や補給物資の輸送、別宙域での戦闘などが主任務であり、現在もメンバーの交代のため宇宙港に停泊中である。
各艦にはそれぞれメンバーの私室が設けられており、アールのものはこちらのサングレ・アスルにあった。ランはアールを引きずったままそれらのある居住スペースへと向かう。もちろん、荷物は置いてきたままだ。
「自分で歩けるから、大丈夫だって」
「鏡を見てから言って下さい。私も暇なわけじゃないんですよ、もう」
アールの抗議を意にも介さず、ランはずるずると歩いていき、一つのドアの前でやっとその歩みを止めた。
「お疲れ様です。はい、おやすみなさい」
アールを投げるように部屋に放り込み、ランは去っていった。最近このクランに入ったばかりの新人なランであるが、入団試験をくぐり抜けてきただけはありその実力は確かなものである。アールはそんな彼女の教育係を仰せつかったのだが、この状況ではどちらが教育役か分かったものではない。
アールはおとなしく自室のベッドに横たわり、目を閉じた。落ち着いたせいか、息遣いが段々と荒くなってくるのを彼は感じた。間もなく自分を襲う激痛をごまかすため、彼はいつもこれまでの出来事を思い出す。この痛みが決して理不尽なものでも、謂れのないものでもないことを思い出すために。