【更新停止】転生して喜んでたけど原作キャラに出会って絶望した。…けど割と平凡に生きてます   作:ルルイ

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第八話 この世は割りと不思議だらけ

 

 

 

 

 

 空を飛んでいるところを見られた翌日、非行少年(笑)が新聞に載ることはなかった。

 さすがにそれは無くてもその内世間で噂になって騒動になるんじゃないかと、ビクビクして極力外に出ないよう家に篭っていた。

 両親にまた心配かけていたが事情を話すわけにはいかなかったので、なんでもないと誤魔化すしかなかった。

 

 ところが一週間が経ち、二週間が経っても特に噂や騒動になることも無く平穏なままだった。

 空を飛んでいたのが気のせいと思われて噂が広まらなかったのかと思ったが、理由は別のところにあることがわかった。

 

 

 

 もしかしたら噂からニュースになっているのではないかとテレビを見ていたら、高機能性遺伝子障害病(通称HGS)という奇病の特集がやっていた。

 原因は分からないがその症状にかかると翼が生えて超能力が使えるようになるらしい。

 翼があるんだから当然空を飛ぶことも出来るんだろう。

 こんな超常現象が世間的ではないとはいえ認知されていることに驚いた。

 

 ネットで情報を集めてみたら、他にも実際に発生する霊障やそれを収める退魔師などが実在しているらしい。

 他にも確かだったり不確かだったりする超常現象は、一般的には早々無くてもあることが認められていた。

 人間一人が空を飛んでいても珍しくはあっても、大騒動になったりする事は無いんだろう。

 

 

 

 正直非常に安心した。

 超常的な力が世間に広まったらごくごく普通の一般人な両親が対応できると思えない。

 迷惑を掛けるのも嫌だが、関係が拗れて気味悪がられて捨てられるのはもっといやだ。

 両親に聞いたらHGSの事も退魔師の存在も一般常識程度に知っている程度で、好きとか嫌いとか特別な関心を持っていないらしい。

 だからいっその事と自分が異能を持っていることを両親に伝えた。

 

 

 

 

 

 病院に連れて行かれました。

 

 

 

 いやいや、頭の心配をされたわけじゃないよ!!

 実際に気弾や舞空術で空を飛んで見せたんだから!!

 病院に連れて行かれたのは、俺がHGSなんじゃないかという両親の心配からだった。

 

 そういえばHGSって超能力は使えるけど一応病気で、個別にさまざまな症状があるんだとか。

 その上最近俺が異能について調べてたり両親に聞いてたから、そのうえ異能を見せればHGSなんじゃないかと心配されるのは当然か。

 安易に教えてしまったと反省するが隠しているよりはずっといい。

 両親との家族関係はかなり良好なんだ。

 隠してて突然知られるようなことになれば、家族関係に皹をいれかねない。

 むしろ早く話せてよかったと思った。

 

 

 

 

 

 で、実際に連れて来られた海鳴大学附属病院。

 HGSは今だ研究が進んでいないらしく一般の病院では対応していない。

 この病院ならHGSに詳しい医者がいて調査してくれるらしい。

 

 診察室で待っているとすぐに白衣をきた女性が来た。

 銀髪のロングヘアーの外人の方で、小柄なせいか若いと言うより幼いという印象があった。

 

「はじめまして、担当をさせていただくフィリス・矢沢です。

 そちらのお子さんがHGSではないかと聞きましたが。」

 

「はい、うちの息子が不思議な力が使えるようになって。 そうなのではないかと。」

 

「どういったものでしょうか? ここで使っても問題ないのでしたら見せていただけませんか?」

 

「大丈夫か、拓海。」

 

 父さんと先生の会話を黙って聞いていた俺は頷いて舞空術で少し浮かび上がる。

 正直俺がHGSでないことは自分でも分かっているのだが、それをうまく説明できない。

 ならしっかり調べてもらってHGSではないと証明してもらったほうが両親も安心するだろう。

 

 舞空術は最初は全力でやったら吹き飛ぶほどの速度で上がってしまったから、どれほどの加減と圧力の駆け具合が分からなかった。

 今は気に圧力をかけるコツが分かったので、ドラゴンボール風の気溜めの炎のような気を出さなくても簡単に浮かぶくらいの事は出来る。

 もっともあの後から練習できていないので、自在に飛ぶのはまだ無理だろう。

 

「確かに・・・浮いてますね。

 ですがHGSかこれだけでは分かりません。

 遺伝子検査をさせていただきますが、HGSとは別の異能の可能性が高いですね。」

 

「どうしてでしょうか?」

 

「HGSを持つ患者には共通して姿形は違えど翼(フィン)が発生します。

 ですが拓海君にはその症状が無いのでHGSではないんじゃないかと。」

 

「なるほど。」

 

 その日は遺伝子検査を含めたいくつかの検査をして終わった

 

 

 

 

 後日結果が出たので改めて病院に来た。

 

「検査結果ですが特に問題ありませんでした。

 やはりHGSとは関係の無い異能ではないかと。」

 

「そうですか・・・」

 

 父さんは安心したような少し落ち込んだような様子だった。

 病気ではないと分かったけど、実際何がどうなっているのか分からないんだ。

 帰ったらもう一度両親と気について話そう。

 ちゃんと制御出来ているから大丈夫だって説得しないと安心できないだろう。

 

「あの、私個人の知り合いに異能について詳しいかたがいます。

 何か分かるか保障は出来ませんが、よろしければご紹介いたしましょうか?」

 

「ほんとうですか? よろしくおねがいします!!」

 

 この騒動はまだまだ続きそうだ・・・。

 

 

 

 

 

 更に後日、フィリス先生の紹介で異能について知っている人に会うことになった。

 あの後帰ってから両親に気の力について話して、ちゃんと制御出来ているから安心してほしいと説得した。

 一応信じてもらえたが、異能について知っている人に会うことに変わりは無かった。

 理論的に説明するのは小学生の俺には無理があるので感覚的な説明だ。

 俺の説得だけでは全部はさすがに信じられないんだろう。

 

 まあ俺自身異能について知っている人とも話してみたい。

 この世界の異能ってのはどういうものがあるのか知りたいしね。

 

 そして会う場所だが、なぜか喫茶翠屋だった。

 誰かの陰謀か? 仕事での紹介ではないから何処かの施設というわけにはいかないのは分かるけど何でココなんだ?

 余計にややこしいことにら無ければいいけど。

 

 

 

 翠屋には家族で指定の時間より先について待っていた。

 着いてすぐに私服姿のフィリス先生が見た目同い年くらいの女性を連れて入ってきた。

 

「こんにちわ、お待たせしてしまいましたか?」

 

「いえいえ、われわれもつい先ほど来たばかりなので。」

 

「そうですか、では紹介させていただきますね。

 こちら神咲那美さん、退魔師をなさっている方です。」

 

「はじめまして、神咲那美です。

 今日はよろしくお願いします。」

 

「こちらこそよろしくお願いします。

 ところで随分お若いようですが・・・」

 

 父さんがフィリス先生と見た目同い年くらいの神咲さんの年が気になるのは仕方ないだろう。

 フィリスさんと違って日本人だからか、中学か高校生だとしか思えないからだ。

 

「すいません、私はまだ15の若輩者でして。

 本当なら姉を紹介したかったのですが、仕事で遠くへ行っているので。

 よろしければ姉と連絡が取れ次第、改めて話し合いの場を設けさせていただきますが・・・」

 

「いや、かまいません。

 正直私には異能というものがまったく分からないもので。

 この子は大丈夫だと言っているのですが・・・」

 

 仮にも息子の言っている事を信じられないとは言えないのだろう。

 そろそろ気を暴露したことを後悔してきたかも・・・

 

「そうですか、えっと君の名前は?」

 

「山本拓海です。」

 

 神咲さんから見れば俺はたしかに年下だが、前世の価値観から俺からも神咲さんは子供に見える。

 そんな彼女から子ども扱いされるのはどうにも違和感を感じる。

 

「拓海君は空を飛べるって聞いたんだけど、もしかしてこの前八束神社の上を飛んでたりしてませんでした?」

 

「えっと・・・確かに初めて飛んだときその辺りを飛んでました。

 もしかしてあの時境内にいた巫女さんって神咲さんだったんですか?」

 

「ええ、普段はあの神社で巫女のアルバイトをしているんです。」

 

 そういえばいつも気の制御訓練をしていた林がある神社は八束神社という名前でした。

 あの時の巫女さんって神咲さんだったのか。

 見られたのが異能に詳しい人だったから、噂とか話題とかにならなかったのか。

 

 偶然、じゃないよな。

 この町で異能を知ってて退魔師で更には巫女だなんて要素満載の女性。

 絶対とらハシリーズのどれかのヒロインの一人だ。

 その知り合いだって言う、フィリス先生も案外そうかもしれない。

 とらハはPCゲームだったから手が伸びにくかったけど、こんなことならやっておくべきだった。

 まあ転生するとは思わないからなー。

 

「それで神咲さんは拓海の力について何か心当たりがありますか?」

 

「まずは見てみない事には何とも・・・

 ココは人が多いので場所を変えましょう。」

 

 神咲さんに連れられて翠屋を出る。

 今回はほんとに待ち合わせの場所だけだったな翠屋。

 どうしてもリリなのに関わりのある場所だと過剰反応しちゃうな。

 なのはちゃんの家族らしき人たちの姿は見えたが、なのはちゃんの姿は見えなかったし。

 経営者の子供とはいえ、そうそういつも店にいるというわけじゃないんだろうけど。

 

 

 

 神咲さんに連れられてやってきたのは、何時も来ていた林のある八束神社。

 何時も来ていたけど最近は来れてなかったからちょっとだけ懐かしく感じる。

 そのままいつも入っている林とは違う、神社の広めの裏手にきていた。

 

「ココなら広くてそれほど人は来ません。

 拓海君、あなたの力を見せてもらえますか?」

 

「えっと、何でもいい?」

 

「はい、いいですよ。」

 

 単純に力を見せてといわれてもどう知ればいいのか困った。

 とりあえず目に見える気弾を掌から出してそのまま浮かばせる。

 その様子を両親とフィリス先生が離れて見ていた。

 

「・・・・・・触れても大丈夫でしょうか?」

 

「えっと、大して力を込めてないから、たぶん大丈夫。」

 

 実際気弾は勢いをつけないとたいした威力は出ない。

 圧力をかけることを覚えたからそれをすれば威力も増しそうだが、この気弾には特に攻撃性を込めていないので大丈夫なはずだ。

 そもそも他の誰かに触れさせたりすること自体初めてだ。

 

 神咲さんはおっかなびっくりで指で突いて安全を確認した後掌を当てて触れる。

 じっと意識を向けて何なのを感じ取っているような様子だ。

 

「・・・・・・命の力を感じますね。

 たぶんこれは生命力を力に変えてを使う気だと思います。

 直接目にした事は無いですが、おそらくは間違いないでしょう。」

 

「生命力を使うということは、拓海は大丈夫なんでしょうか?」

 

「生命力は生きているなら誰でも持っている力です。

 使いすぎなければ何も問題ないでしょう。

 その力を使えるのは拓海君が気を使うことに人より突出した才能があるからだと思います。」

 

 気を使えるのは努力したからだよ。

 能力で成果が出るのは確信しているのもあるけど。

 

「拓海君、あなたはこの力をどう思いますか?」

 

「え? んー割と便利な力だと思いますよ。

 これを使うと足も速くなるし。」

 

 とりあえず俺の感覚でさしあたりの無い答えを言う。

 実際は戦闘技能にも使えるから、使い方次第でかなりヤバイと分かっている。

 予想外にも気版のメドローア、相転移砲なんか撃てるようになっちゃったし・・・。

 

「確かにあなたにとっては便利な力かもしれませんが、他の人がどう思うかは分かりません。

 その力を恐れてあなたを拒絶するかもしれません。

 そしてあらゆる力はは使い方によっては簡単に危険なものになってしまうものです。

 そのことを決して忘れないでください。」

 

「はい。」

 

 殆ど予想していた内容だ。

 実際使うにあたって他の人からの目を気にすることだから、この前失敗したけど見つからないようにしていた。

 気の力の危険さは先ほどいったとおり危ないって十分理解している。

 そのために気の制御だけは常に練習を続けているのだから。

 

 俺自身の安全を両親に伝えてから、神咲さんは仕事の伝手で他に気を使える人を探そうかと聞かれたが俺が断った。

 他に気が使える人がいるなら話をしてはみたいが、別に気を使って何か特別なことをしたいというわけじゃないからだ。

 平凡な日常が大事なものだと理解しているので、これ以上事を大きくしてほしくない。

 両親も俺の安全が分かったのだから納得してくれてるみたいだし。

 

「では、もし何かありましたら知らせてください。

 気については専門ではありませんが、何かお力になれるかもしれませんので。」

 

「いろいろ有難うございました。」

 

 結果的に両親には迷惑をかけてしまったが、これで騒動のは終わりそうだ。

 しかし、とらハのヒロインぽい人物が現れたけど、この世界ってとらはのストーリーもちゃんと起こってるのか?

 確かなのはの兄の高町恭也が主人公だったよな。

 まさか本当にギャルゲ的展開で複数のヒロインにフラグ立てて、あるいは全部回収しちゃってたりするのか?

 

 

 

 ・・・・・・ナイナイ。

 さすがに三角関係くらいは成立しても、ほんとにハーレム作るなんて現実的に考えてありえない。

 むしろ修羅場でスクールデイズみたいな落ちになるんじゃないか?

 スクールデイズ恐くてやったこと無いけど・・・

 

 

 

 

 

●本日は修得なし


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