【更新停止】転生して喜んでたけど原作キャラに出会って絶望した。…けど割と平凡に生きてます   作:ルルイ

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第十話 相変わらず修行でも、ほのぼのと

 

 

 

 

 霊力の練習をしていたことで、舞空術の練習が更に遅れた。

 普段八束神社には那美姉さんと久遠くらいしかいないので、林の奥ではなく境内で飛ぶ練習しようと思った。

 久遠とも仲良くなっていたので、抱えながら5メートル位の高さをゆっくり飛び回っていた。

 

「久遠、すごいだろ。

 初めはろくに飛べなかったけど最近漸く飛べるようになったんだぞ。」

 

「クーー!!」

 

「いいな~、自由に空を飛べるのって。」

 

「那美姉さんも飛んでみる?

 たぶん抱えればいけると思うけど。」

 

「えっと・・・・・・ちょっと怖いからやめとくね。」

 

「久遠もけっこう楽しんでるんだけど、なぁ。」

 

「クゥ。」

 

「うぅ・・・」

 

 少し悔しそうな那美姉さん。

 

 神社の周りを自由に飛べるようになったけど、高く飛ぶと遠くから誰かに見られるので低くゆっくり飛ぶだけで満足できなかった。

 もっと高く早く飛ぼうと思えば飛べると思うんだけど、人目を気にして出来ないのがネックだった。

 そこで夜になれば空を飛んでいても見えないだろうと、こっそり夜中に抜け出して飛んでみることにした。

 

 

 

 真夜中になってから全力で飛び立つと、地面があっという間に離れていって町全体を見渡せるようになった。

 空から見た夜景だけあって地面に星が輝いているように見えてとても綺麗だった。

 人の目で見えない高さまで来ると、海のほうで自由に思いっきり飛び回った。

 

 

 割と全力で飛び回っていたが一時間経っても気が尽きることは無かった。

 気の圧縮のおかげで使用効率もだいぶ上がっているみたいだった。

 そろそろ帰ろうと思って町の上空まで戻ってきたが・・・・・・

 

 上から見たら自分の家がどのあたりなのか分からん!!

 上空からの風景なんて地図を見るのと全然違うからさっぱり分からない。

 しかも夜なので余計にどこがどこなのかわからない。

 

 場所の確認に人気の無い場所に下りてみたら、そもそも海鳴市ですらなかった。

 飛び回っているうちに少し遠くの町まで飛んで来てしまっていたらしい。

 幸い知っている海鳴近隣の町だったので方角だけ確認して飛んだら、今度は海鳴を通り過ぎて逆の町まで着いてしまった。

 海鳴上空まで来ても家の場所がわかんなかったので降りてから走って帰ることになり、家に帰り着く頃には空が明るくなりだしていた。

 

 

 

「そんなことがあったんだ。

 朝までに家に帰りつけないかと思って大変だったよ。」

 

「夜中に黙って家を抜け出すからだよ。

 拓海くんはまだ子供なんだから、出かけるときはちゃんと親に言いましょうね。」

 

「そういう問題じゃないと思うんだけど?」

 

「クー。」

 

 何処かボケてる那美姉さんの一面を知った。

 

 

 

 

 

「ところで久遠って何か出来るんですか?」

 

「え?」「クゥン?」

 

 仮にも妖狐なんだから何は不思議な力のひとつくらいはあるだろう。

 そうでなきゃ魔法少女のお供でないだろう。

 

「やっぱり妖狐だから狐火とか火を出せたりするの?」

 

「えっと、久遠は火は出せないけど雷は出せるわ。

 後は・・・・・・久遠。」

 

「クー!!」

 

-ポンッ!!-

 

 那美姉さんに抱えられていた久遠が地面に飛び降りると、軽い音を立てて煙が舞い上がった。

 直後その場所には、俺と同じくらいの年の那美姉さんとは違う巫女服を着た金髪のポニーテールの女の子がいた。

 ただし頭から大きな狐耳とお尻からモフモフの尻尾が生えていたが・・・。

 状況から考えて久遠だとは思うけど・・・・・・。

 

「・・・・・・(ぽかーん)」

 

「クォン?」

 

「あら、拓海君驚いちゃった?」

 

 正直どう反応していいかわかんなかった。

 人化の可能性はあると思ってたけど、普通ケモノ耳がついた人間なんて違和感バリバリだろう?

 けど実際に見てみると、割と普通に髪の毛との雰囲気が調和して不自然さを感じなかったんだ。

 それよりも久遠が見た目同い年くらいの女の子だと認識してしまったことに戸惑った。

 とりあえずいつも通り、頭をゴッドハンドで撫でてみる。

 

「クゥ? クー♪」

 

 反応はいつも通りの久遠でも、人の姿だからすごく複雑な気持ちになる。

 ケモノ耳があるとはいえ普通の子供に動物的ななつき方をされてたら困るだろう。

 

「久遠、狐の姿に戻って。」

 

「クゥ? クォン!!」

 

-ポンッ!!-

 

 再び煙が立つと元の子狐の姿に戻る。

 元に戻った久遠を俺は抱きかかえてまた撫でてやる。

 

「うん、久遠は子狐の姿のほうが俺は好きだな。」

 

「クォン♪」

 

「あらあら。」

 

 とりあえず人型の久遠の事はなかったことにした。

 気にしてたらこうやって撫でるのがやりづらい。

 久遠は子狐、久遠は子狐。

 

 

 

 

 

「『~♪~~♪~~~♪

 ~♪~~♪~~~♪』」

 

「~♪」

 

 アニメのリリなの一期のエンディング『Little Wish~lyrical step~』を思い出したので久遠に聞かせてみた。

 さすがなのはCV田村ゆかりが歌ってる曲だけあって気に入ってくれた。

 また俺はまだ声変わりのしていない子供なので、自分でも驚くほど高い音で歌えた。

 歌は得意ではないが歌うこと自体は好きだったので、前世の他のアニソンもそろそろ忘れだしてるし歌って思い出してみるかな。

 今なら女性ボーカルの曲も綺麗に歌えるし。

 

「よし久遠、今度はもっと他の歌を練習してくるから期待してろ。」

 

「クゥン。」

 

 

 

 そういうわけでリリなののアニソンを思い出しながら練習を始めた。

 とりあえず田村ゆかりボイスのエンディングシリーズの一つ『星空のSpica』を練習していたら妙な変化が現れた。

 

『~♪~~♪

 ~♪~~♪~~~♪

 ~♪』

 

 なのはの声に似せるつもりで練習していたら、気のせいかホントになのはの声に似てきた気がしたので録音して聞いてみた。

 自分でもびっくりするほど田村ゆかりボイスです。

 田村ゆかりボイスを出すつもりで努力して歌っていたら能力が働いて、田村ゆかりボイスが出せるようになったのか?

 能力って異能以外にも働くのか・・・。

 とりあえず他にもいろいろ試してみるか。

 

 

 

 

 

 後日、神社にて久遠と那美姉さんの前でミニコンサート。

 

「『~♪~~♪~~~♪

 ~♪~~♪』」

 

「ク~♪」

 

「歌がとってもうまいのね拓海君。

 普段と声が別人みたい。」

 

 別人の真似をしてますからね。

 今度は第一期オープニング『innocent starter』でフェイトCV水樹奈々ボイスです。

 こっちも練習したら出せるようになりました。

 他にも前世の有名な声優のを思い出しながらやってたら、大抵似せることが出来るようになりました。

 

「実際声をだいぶ変えてるからね。

 那美姉さん、ちょっと声をあ~って出してもらえる?」

 

「えっと、あ~~~~~~っと、これでいい?」

 

「うん、あ~、あ~~、あ~~~、こんなとこかな。

 俺の声、どんな風に聞こえます?」

 

「え!? えっと、もしかして私の声かしら?」

 

「クー!?」

 

 更にいろんな声を試すようになって、即席で相手の声を真似出来るようになった。

 那美姉さんも久遠もびっくりしている。

 

「いろんな歌声を真似てたら出来るようになったんだ。

 この声を使って歌手になってみるのもいいかも。」

 

「そ、そうねぇ・・・

 ところで自分の声を聞くのってちょっと恥ずかしいんだけど・・・」

 

「んー・・・久遠、今度はこの声で歌ってみよっか?」

 

「クー♪」「や、やめてぇ。」

 

 面白そうだったが那美姉さんが涙目立ったので諦めた。

 久遠は残念そうに見えたのは気のせいかな?

 

 

 

 

 

●拓海は舞空術を完全習得した。

●声帯模写を覚えた。


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