【更新停止】転生して喜んでたけど原作キャラに出会って絶望した。…けど割と平凡に生きてます 作:ルルイ
久遠がお供になってくれる事が決まってから約一週間。
俺は久遠と共に街中を歩いてジュエルシードの探索を続けた。
その間に発動したジュエルシードはなのはちゃん達がちゃんと封印したのを、追尾させている式神から確認した。
ちなみに学校のほうは前回と同じく式神に代行させている。
事件が終わったらちゃんと学校行くんだからね!!
久遠と一緒に探索しているといっても、久遠は俺が抱えるか頭の上に乗っているだけだ。
俺が円を張りながら歩いてジュエルシードらしき物がないか周囲をしっかりと認識して街中を歩いている。
その間に未発動のジュエルシードを1つ発見する事が出来た。
いずれなのはちゃん達にそれとなく渡すつもりだが、今は陰陽術の本に載ってた封印の札で封印して神社の林の奥に隠しておいた。
ちゃんと封印出来てるか不安なので、そこにも監視用に式神を配置して発動したらすぐ解る様にしておいた。
最近式神が便利すぎる。
アニメではジュエルシードが明確にどこに落ちているかなんて殆ど描写がされていなかった。
巨大な樹が生えて町に大きな被害をもたらすジュエルシードも、どこに落ちていたかは描写されていなかったはずだ。
誰かが拾って、そして発動させてしまったくらいしかわからない。
俺の見つけたジュエルシードが巨大な樹を生やしてしまうジュエルシードだといいんだが…
この日は日曜日。
確かなのはが翠屋がやっているサッカーチームの応援をしていた日に、巨大な樹のジュエルシードが発動したはずだ。
マークしている式神の視覚からなのはちゃんがサッカーの試合の応援をしているのが見えた。
俺も近くの建物の影に隠れて何時ジュエルシードが発動してもいいように準備をしていた。
確かサッカーチームの選手の誰かがジュエルシードを持っていたと思うんだが…
「拓海、ここでジュエルシードが発動するの?」
「ああたぶん。
陰陽術の占いで今日ここで良くない事が起きるって出てたから…」
アニメの知識を誤魔化す為に久遠には陰陽術の占いだと説明していた。
実際陰陽術の占いは出来るようになっているし、曖昧な結果しか示さないが中る確率は割りと高い。
俺が見つけたジュエルシードも試しに占ってみた方角に進んだら見つかった。
偶然かもしれないが、当てずっぽうよりは信用できると思う。
正直アニメの流れを除いた細かなシーンがもう殆ど頭に残ってない。
大体の流れは十二分に残ってるけど、どうでもいいようなシーンは殆ど覚えてなかった。
巨大な樹の事件でなのはがジュエルシードをしっかり集めると意思を固める話だとは覚えてるけど、発動者のモブキャラの容姿なんてどうでもいい。
その上現実描写だから誰が誰だか比べようがないんだよ!!
発動前のジュエルシードはホントにただの石ころみたいなものだから、円で確認しても所持品のアクセサリと判別がつかない。
発動したらすかさず斬魔剣弐の太刀を放って発動を止めて、気による身体強化で走り抜けそのまま持ち去るつもりだった。
その為に顔がわからないように帽子を深めに被って準備してきた。
ジュエルシードの為とはいえ、これじゃただの引ったくりだ。
事件に関わってから自分の異能、碌な事に使ってないな。
式神による盗聴とか…
とか何とかいってる内にサッカーの試合が終わって、勝った祝いに翠屋に食事をしに移動した。
なのはちゃんもユーノを連れて友達の月村すずかとアリサ・バニングスと翠屋に付いて行った。
ジュエルシードはまだ発動しないのか?
サッカーの試合をしていた子達は店の中で食事を取り、なのはちゃん達は外のカフェテラスでユーノを愛でている。
俺は近くのビルの屋上から凝でその様子を見ていた。
ユーノって一応人間なんだよな。
淫獣だの何だのと言われてるけど、実際同年代の女の子に撫で回されてるのはどうなんだ?
同年代の女の子に成れる久遠を良く撫でてる俺が言うのも何なんだろうな。
「なあ久遠、俺いつも久遠の事撫でてるけど嫌じゃないか?」
「拓海が撫でてくれるの気持ちいいよ?」
「でも久遠も一応女の子だろう?
女の子を撫で回すのってどうかと思うんだけど。」
「クゥ? 久遠は拓海が好き。
だから久遠を撫でていいの。
久遠は拓海に撫でてもらいたい。」
あーうん、こんな風にストレートに好きって言って貰うのは初めてだな。
親愛的な意味だろうけど、好きだって言って貰うのはとても気持ちが暖かくなる。
子供に戻って性欲的な感情が薄くなってるからか、異性の好意でも純粋に嬉しくなれる。
大人になったらこうはいかないんだろうな。
「そっか、俺も久遠のことが大好きだ。
何時までも仲のいい友達でいような。」
「クォン♪」
そう言って俺は久遠を抱えなおして優しく撫でてやる。
俺だってまたいつか大人になるから、何時までこうしていられるかわからない。
けど、この久遠を愛おしいという気持ちはずっと大事にしていきたいと思った。
久遠を愛でつつも翠屋のほうに目を向けていると、サッカーチームの子供達が店から出てきて解散してしまった。
不味い、誰がジュエルシード持っているか分からないままバラバラになっちまった。
これじゃあどこでジュエルシードが発動するか分からない。
「拓海、どうするの?」
「待って、もう一度占ってみる。」
俺は霊力を集中して陰陽術による占いを行う。
本格的なものなら他にもいろいろ準備しなければならないが、何時発動するか分からない以上準備はしていられない。
せめてジュエルシードが起こす災いが発生する方位だけでも分かればいいと占う。
意識を集中して占いを続ける事約一分。
何か良くない事が起ころうとしている気配を感じ取れた。
「分かったぞ久遠!! こっちだ!!」
「クォン!!」
久遠を抱えたまま身体強化をして占いで災いの起こると出た方角に進む。
同時に俺の中で霊感が働きだした。
何かが起こるという、久遠の時の様な違和感が示す警告。
ジュエルシードが発動するのはもう間近だと霊感は言っていた。
家屋の屋根伝いに身体能力任せで飛び越えていく。
霊感がこの辺りだと示すと、俺は立ち止まって辺りを見回す。
「この辺りで何かが起こるはずだ…」
「拓海、あそこ!!」
「なに!?」
久遠が教えてくれた先には翠屋のサッカーチームのジャージを来た男の子と、それと一緒にいる女の子が。
凝でしっかり見るとその手にはジュエルシードが…。
まずい!!
-キィィィィン!!-
そう思った瞬間にジュエルシードは発動して、そこから樹が現れて見る見る成長して枝や根っこが伸び始めた。
成長にともない、枝や根っこが周囲の建物を壊していく。
気づいた周囲の人たちは逃げ出すが樹の成長速度の方が速い。
こんな状況じゃ、なのはちゃんが来るのを待ってる余裕なんてない。
「久遠!! あの枝とか根っこから人を守れるか!?
俺は発動したジュエルシードを止める!!」
「大丈夫、久遠も戦える。」
-ボフンッ!!-
抱えてた久遠が地面に降りると煙と立てて人型に変身する。
だけど、変身したはいいが…
「って、久遠大人の姿に成れたのか!?」
変身した姿は祟りの時の大人の姿だったりした。
たまに見る女の子の姿だと思ってたから驚いた。
容姿は俺から見て高い身長に狐耳に五本の尻尾、そして太ももにスリットの入った巫女服。
目のやり場に困ります。
「うん、こっちの姿の方が強い。
だけど疲れるからいつもは子供の姿。」
「そ、そっか、じゃあ頼む。」
「まかせて。」
久遠の大人姿にかなり驚かされたが、何時までも驚いていられない。
ジュエルシードの発動を止めるべく、俺は舞空術で飛んで発動元まで近づいていく。
ここからだと距離がありすぎて斬魔剣弐の太刀を当てられそうにない。
久遠は雷で成長する枝や根っこを片っ端から打ち砕いて周囲への被害を押さえている。
雷は複数同時に放たれて、その上威力は普段よりも上がっているように見える。
上から様子を見る限り久遠の方は大丈夫そうだったので、俺は発動しているジュエルシードに集中する。
ジュエルシードは発動者の二人を巻き込んで樹の成長に乗って上に登っていく。
俺はそれを追いかけるが、成長する枝がそれを遮る。
「邪魔ぁ!! 斬魔剣!!」
魔力で出来た樹だから斬魔剣が有効かと思い放った。
だが普通に切れただけでそれほどの効果を得られたように感じなかった。
「実体化しているから魔力じゃなくて普通の物質扱いか。
なら連撃!! 斬空閃!!」
ただ連続で斬空閃を放つだけだが、飛ぶ道を遮る枝をどんどん斬空閃で切り開いていく。
美由希を練習台に連続で撃ってた事があったから、一発目と二発目のタイムラグを殆ど無くして連続で放てる。
そして発動したジュエルシードと気絶してる発動者二人の前まで来て…
「とっとと止まれ!! 斬魔剣弐の太刀!!」
発動者を傷つけない様に斬魔剣弐の太刀を放ちジュエルシードの魔力を吹き飛ばした。
-バシュウゥゥゥゥ!!!-
ジュエルシードの魔力が吹き飛ぶと発動が止まり、そこから巨大な樹は魔力素の粒子になって崩れ始めた。
俺はジュエルシードを確保して解放された発動者二人を両腕で抱えると地上に降りた。
降りると枝や根っこの成長が止まった事で役目を終えた久遠が待っていてくれた。
「拓海、お疲れ様。」
「久遠もありがとう、助かったよ。
後の騒動に巻き込まれないようにとっととここを離れよう。」
「うん。」
抱えていた二人を安全そうな場所に置いて、俺と久遠はその場を離れた。
さすがに人に見られて噂になりそうなので、今日の事を那美姉さんに話して対処してもらうことになった。
那美姉さんは仕事の関係で政府の人とも繋がりがあるらしい。
ジュエルシードの事自体は話せないが、巨大な樹の対処を俺と久遠がした事だけは話した。
顔も深めの帽子で隠してたし、これで世間に噂は広まったりしないだろう。
俺達がその場を離れてジュエルシードを封印符に包んだ頃に、なのはちゃんとユーノが対処に現れたのを式神を通して確認した。
今回は仕方なかったかもしれないが対処が遅すぎる。
間近にいた俺が言うのもなんだが、それでもそこそこな被害が出てしまった。
すぐに止められたからよかったが、ほっといたら今頃大地震並みの災害になっていたかもしれない。
『ひどい……。 ユーノくん、これは?』
『この被害の大きさを見る限り、人がジュエルシードを発動させちゃったんだ。
けどまたジュエルシードの反応が消えてしまっている。
どうなっているんだろう。』
『だけど早く探さなきゃ。
またジュエルシードが発動しちゃったら大変なの。』
『うん、そうだね。』
二人はジュエルシードを探すようだが、今は俺が回収したものを渡せそうに無い。
発動現場には人が集まってきてるし、こっそり回収させるには封印符は外す事になる。
また発動したら堪ったものじゃないので、別の機会に渡すことにする。
今回の事でなのはちゃんもジュエルシードに対する認識を改めてくれたはず。
もうちょっとしっかりしてほしいと思ったが、そこで俺も考え直す。
何でこんな大事件に9歳の子供が対処しなきゃいけないんだ。
そういうのは物語の中だけだが、この世界は俺の認識で物語の世界。
だけど現実に子供が事件を解決しないといけないというのはどう考えても厳しいものがある。
俺はとっととジュエルシード事件が終わってほしいと願わずにはいられなかった。