【更新停止】転生して喜んでたけど原作キャラに出会って絶望した。…けど割と平凡に生きてます   作:ルルイ

26 / 51
第二十三話 星砕く光と勇者の誕生

 

 

 

 

 

 再びアナァゴを演じてなのはちゃんとの会話の後。

 なのはちゃん達はアースラに行ってジュエルシードの探索に協力する形となった。

 さすがにアースラの動きを式神で追うのは無理なので、なのはちゃん達のその後の動きは分かっていない。

 

 管理局が来た事でジュエルシードの暴走の被害も十分対応出来るだろうと、俺は式神任せだった学校に戻って普通の生活に戻った。

 それでも様子を見る為に式神を出せるだけ出して街中を見回らせている。

 何度かジュエルシードの魔力の発動を感じて、直ぐに式神で確認しに向かわせても終わった後だった。

 

 そろそろ街中のジュエルシードは回収し終わっただろう。

 最後のジュエルシードは海底に眠っている。

 フェイトがそれを魔力で一斉発動させて見つける気だが、津波の影響とかが少し心配だ。

 俺はそれを警戒して、いつも海の方を気にしていた。

 

 

 

 そして五月を過ぎた頃。

 海のほうで強い魔力の波を感じ、その後直ぐに更に大きな魔力の発生を感じた。

 どうやら最後のジュエルシードが発動したらしい。

 

 直ぐに俺は久遠と共に海が広く見渡せる臨海公園まで来た。

 なんか見覚えある感じから、たぶん無印最後のフェイトとなのはの別れの場所だと思う。

 まあそんなことは今はどうでもいいと、強い魔力が感じる海の沖の方を見る。

 

 結界はちゃんと張られているみたいで、沖を見渡しても見た目何の違和感も無い。

 でも普通の天気なのに普段より波が高く打ち寄せてきている。

 そして感じる魔力はどんどん大きくなってるように感じる。

 

「なのはちゃん、ちゃんと戦えてるかな…」

 

 この前の様な事があったから、どうもなのはちゃんが原作通りに戦えてるのか不安になる。

 何かの食い違いが大きな間違いにならないかと俺は心配していた。

 

「拓海、式神は飛ばさないの?」

 

「海の上じゃ遮蔽物が無くて、鳥の式神を飛ばしても直ぐ見つかる。

 海の中もこの波を見る限り、魔力が発生している辺りはもっと酷いだろうから式神が持つかどうか。

 ここから魔力を感じ取ってどうにかなる事を祈るしかないよ。」

 

「クォン、拓海心配なの?」

 

「ああ、この波が酷くならないかとか、なのはちゃんやフェイトが大丈夫かとか、いろいろ考えてる。

 けど、一番気にしてるのは俺が今何も出来ない事かな。」

 

 表向きには関わらないと決めているが、それ以上に関わったところでどうにか出来るほど今の俺には力は無いだろう。

 魔力は使えるけどデバイスはないし、あってもどれほどの力を発揮出来るのやら。

 そして前回言ったなのはちゃんに求めた戦う覚悟も無い。

 決めてた事とは言え、何も出来ない事が今はもどかしかった。

 

「久遠も分かってると思うけど、なのはちゃん達が使ってる力はこの世界とは違う別の世界の物だ。

 お互いの世界から見て相手側の力がどう映るのか正直分からない。

 だけどきっと知ってしまえば、其の侭にしておくなんてことにはならないと思う。

 そんな騒動の中心に入り込みたくないし、巻き込まれたくも無い。

 だけど、この騒動を解決出来るなのはちゃんはまだ子供。

 そんな子に任せなきゃいけないのが不安で心配で、何も出来ない自分が酷く情けない気がしてね…」

 

 この間のなのはちゃんへの励ましからそんな思いがずっと強くなってた。

 戦いたくなんか無い、平凡に面白く生きてればいいって今でも思ってる。

 けど、子供に戦うのを任せて暢気にしていられるほど腐ってはいない。

 

 やっぱりリリなの世界に来て絶望した。

 この世界の不思議には面白い事はたくさんあるけど、起こる事件はとてもいいものじゃない。

 最後はハッピーエンドでもその過程がめんどくさすぎる。

 

 それに現実だから実際どこでズレて危ない目にあうか分からない。

 俺の言葉がなのはちゃんにあそこまで影響を与えるとも思わなかったしな~。

 フォローしてなかったらあそこでなのはちゃん退場してたかもしれない。

 

 今は元通りの話の流れになってるように見えるけど、世界の修正力って働いているのかな?

 もしかしたら俺がフォローしなくても家族に相談して覚悟を決めたかもしれないし…

 

 

 …やめよう、仮定の話なんて。

 今はこうしてなのはちゃんは戦う事を選んでる。

 過程はどうあれなのはちゃんが真剣に悩んで選んだ道なんだから応援するべきだ。

 物語とか世界の修正力とか関係なく、一人の女の子が決意した事なんだって。

 

「くぅ、そんなことない。」

 

「久遠?」

 

「拓海は強いよ。

 前に久遠を助けてくれた。

 だから情けなくなんか無い。」

 

「……ありがとう久遠。」

 

 俺が久遠を助けれたのは偶然だとも思ってる。

 たまたま俺が久遠に気づいて助けれる手段を持ってただけだ。

 もう一度やろうとしたら、恐くて失敗しても可笑しくない。

 

 だから久遠の感謝は俺には相応しくないとも思うけど、久遠はきっと俺のことを信じてくれてる。

 そんな純粋な気持ちに応えたいと思うだけで俺はがんばろうと思える。

 俺には少しもったいないなという気持ちと一緒に。

 

「俺もなのはちゃんを信じてみるよ。

 今はそれくらいしか出来ないし、なのはちゃんの気持ちと決心は既に聞いてたから。

 きっと、大丈夫だ。」

 

「クォン、絶対大丈夫。」

 

「ああ。」

 

 

 

 そして一時間も経たない内に魔力の流れは止まり波も穏やかになった。

 最後のジュエルシードも封印されたようだ。

 全てのジュエルシードが回収されたことで町の安全は保障された。

 この件で俺のすべき事はもう無いか。

 

 いや、見届けるべきかもしれない。

 フェイトとの最後の戦いを…なのはちゃんの覚悟を…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 数日後、先日海での戦いを眺めていた臨海公園で、ついにフェイトとの決戦が行われるらしい。

 ジュエルシードが集まった事で一時帰宅していたなのはちゃんも式神で見つけて、アルフとの接触も確認した。

 流れは物語通りに進んでいると確信して、俺は式神を臨海公園に送り込む。

 

 早朝での戦いだったので、今日は久遠はいない。

 後で今日のことを教えてやらないとな。

 これまで俺に付き合ってくれたんだし。

 

 

 公園になのはちゃんとユーノ、そしてアルフがやってきた。

 フェイトはまだ現れていない。

 

『……見ていますか? アナゴさん。』

 

『え?』『もしかしているの?』

 

 そこで突然なのはちゃんが式神アナァゴの事を呼んだ。

 ユーノとアルフは予想してなかったみたいだが、何か話したいのか?

 

 始めはただ式神で見ていようかとも思ったが、せめて式神の姿だけでも現して戦いを見るのが礼儀と準備していた。

 俺は今状況を通して見ている式神に別の式神符を持たせておいた。

 その式神符にはギリギリまで気の力を込めて発動前の状態を維持していた。

 そしてそれを遠隔操作で発動させ式神アナァゴを出現させる。

 

 

-ボフンッ!!-

 

 

『良く見破ったなぁ、桃色光線の少女よぉ。

 いや戦士高町なのはと言うべきかぁ。

 お前の戦い、見せて貰いにきたぁ。』

 

『うわ!!』『こいついったい何処から!?』

 

 式神符は術式を書き切れれば大きさや形は関係ないので、書いた後の札を丸めておいて小さくしていた。

 この御蔭で見た目唯の紙くずに見えず、小さいのでわからなかったのだ。

 

『アナゴさん、この前はありがとうございました。』

 

『何の礼だぁ?

 そしてわぁれはガーディアン・アナァゴ。

 アナゴさんではなぁい。』

 

 この呼び方重要ね。

 

 で、実際お礼を言われるような事はしていない。

 もともと自分の失敗の後始末だし、それっぽい事言っただけで俺じゃあ説得力に欠ける言葉ばかりだ。

 それでなのはちゃんが納得したなら、それはなのはちゃんが自分で見つけた答えなんだろう。

 お礼を言われても情けない気持ちになるだけだ。

 

『私にいろいろ教えてくれた事です。

 だから私はフェイトちゃんと友達になりたい事に気づく事が出来ました。』

 

『……先日話した後ぉ、パァパに話を聞く事は出来たかぁ?』

 

『え? あ、はい。 お話しました。』

 

『そぉちらのほうが参考になったであろぉ。』

 

『お父さんのお話も役に立ちましたけど、えっとぉ…アナァゴさんのお話も為になりました。』

 

『……そうかぁ、お前がそう思うのであれば構ぁわん。

 わぁれは闇の守護者ぁ、戦う者ではなく守る者ぉ。

 そして普段は普通のサラリーマンなのでなぁ。』

 

『にゃあぁぁ!! サラリーマンだったの!?』

 

『このスーツが目に入らんかぁ。』

 

 改めて言うが、式神アナァゴの服装は紺のスーツにマントをつけたシャア専用マスクです。

 

 俺の言葉が実際どれほどなのはちゃんの助けになったか分からないが、力に成れたならまあいい。

 俺がどう思おうと重要なのは、なのはちゃんの心の在り方。

 間違いであるかどうかはなのはちゃんが決める事。

 それでいいか…

 

『この戦いは始まりにすぎぬぅ。

 お前はこれまで学んだ物と手にした覚悟を持って電気少女に挑むぅ。

 その先に進んで、初めてお前の思いを電気少女に届けることが出来よぅ。』

 

『はい、私も持てる力をぜんりょ≪時空管理局執務官クロノ・ハラオウンだ。

 少し話を『ぶるあぁぁぁ!!』

 

 

-バシュン!!-

 

 

 話の最中に空中に出現したモニターを式神アナァゴで拳による斬魔剣、つまり斬魔拳で打ち砕く。

 魔法の技術による物だから、魔力を断ち切って消し去る事が出来た。

 今回は全力で気を込めて作った式神なので、ある程度までは技を使えないことも無い。

 

『話の最中に横槍を入れるとは、無粋なやつよぉ』

 

『クロノ君空気読めなの。』

 

『『(コクコク)』』

 

 空気の読めないクロノの行動になのはちゃんも同意し、ユーノとアルフが一緒に頷く。

 

≪いきなり何をする!! 少し話を『ぶるぁ!!』

 

 

-バシュン!!-

 

 

 再び現れたモニター越しのクロノに斬魔拳を叩き込む。

 そして式神アナァゴで周囲に円を張り、魔法モニターが出る魔力流れを感知して出現を予測する。

 全力では張れないが十分な範囲をカバーできる。

 

『やれやれ、ぶるぁ!!-バシュ!!- このように空気が読めない上、ぶるぁ!!-バシュ!!- しつこい男がいるとは、ぶるぁ!!-バシュ!!- 管理局とやらは社交性が低そうだ、ぶるぁ!!-バシュ!!-

 これが文化の違いというやつかぁ、ぶるぁ!!-バシュ!!-』

 

『すごい、魔力の流れを察知して画面が出た所を全部叩き潰してる。』

 

『これがガーディアン・アナァゴの実力。』

 

『私には良くわかんないけど、クロノくんがしつこいのは十分分かったの。』

 

 こんなの隠し芸みたいなもので、式神アナァゴの戦闘力はたいしたことない。

 戦闘では設置型のバインドの存在を探知できるとは思うけど、今のところ魔導師と戦う予定はない。

 逃げる手段はそこそこあるけどまともに戦える自信は俺にはない。

 

 斬魔剣は結構有効かもしれないけど、ぶっつけ本番で試したいとも思わない。

 通信魔法くらいなら十分有効みたいだが…

 

 何度も発生するモニターを叩き潰して諦めたところに、円に別の存在を感知した。

 どうやらフェイトが来た様だ。

 

『さあ、高町なのはよぉ。

 ダンスの時間だぁ、招待客が来たようだぞぉ。』

 

『…フェイトちゃん。』

 

『フェイト!!』

 

 現れたフェイトになのはちゃんはただ真っ直ぐに見据え、再会したアルフは悲痛な声を上げる。

 

 

 戦いの前の語り合いが終わった後、なのはちゃんはレイジングハートを構え、フェイトもバルディッシュを構える。

 

『フェイトちゃん、私は賭けるの。

 ジュエルシードだけじゃない。

 私が手にした魔法の力、ジュエルシードやフェイトちゃんと戦った経験、困った時支えて励ましてくれた皆。

 その全部を出して全力でぶつかっていく。

 私が私である全てを懸けてフェイトちゃんと戦う。

 だから始めよう、最初で最後の本気の勝負!!』

 

 

 

 

 

 苛烈な空中戦を広げるなのはちゃんとフェイト。

 俺が通して見ている式神アナァゴとユーノとアルフはそんな空の戦いをただ見続けていた。

 

 デバイスがなければなのはちゃんも飛べないんだろうけど、一ヶ月くらいしか経ってないのにあんなに自在に飛んで戦えるなのはちゃんを改めてすごいと思った。

 俺は舞空術で一応自在に空を飛べるけど、よく考えたら空中戦が出来るほどの手札ってそんなにないんじゃないか?

 気弾などは出せるけど飛びながら自在に制御出来るほど練習はしてないし。

 

 最近はジュエルシードの件であまり訓練出来てなかったし、空中でも使えそうな技術を考えてみるかな。

 海鳴流と剣術じゃ空中戦をあまり活かせないしな~。

 出来そうなのは斬空閃とそこからの派生技が使えそうなくらいだし。

 操作系の気弾の練習をしてみるかな。

 

 戦闘技だけどドラゴンボールのピッコロが17号にやった気弾の包囲攻撃をやってみたいな。

 まずは練習に操気弾をやってみるか。

 これを必殺技と言い張ったヤムチャはすごい。

 

 

 

 いろいろ考えている内に、戦いも佳境に入ってきた。

 フェイトが巨大な魔法陣を展開して、なのはちゃんはバインドに捕まっている。

 傍でユーノとアルフが黙ったままワタワタしている。

 

 ……あーたぶん念話してるのか。

 この式神アナァゴは気で作成しているから魔力要素はゼロ。

 当然念話も聞こえない。

 

 気と魔力の性質上、一つの術に併せて使う事は出来ないし。

 そういえば咸卦法、一日一回試し続けているけどなかなか出来るようにならないな~。

 よく考えたらネギまじゃ練習方法とか描写はされてなかった。

 まあ、そんなに使いたがってるわけじゃないからいいか。

 

 

 

 そんな事よりも上空で起こってる戦いだ。

 フェイトのフォトンランサーファランクスシフトがなのはちゃんに放たれた。

 先ほど考えたピッコロの技にも負けないような連続魔力弾。

 なのはちゃんはあの魔力弾の雨を自慢の防御で耐え抜くだろう。

 

 そういえば俺って防御は堅に頼りっぱなしだな。

 魔法戦のような火力の打ち合いなんてやったことなかったから考えなかったな。

 戦うような事にはなりたくないけど、防御の術も考えておくか。

 

 

 

 連続魔力弾によって発生した煙幕が晴れるとバリアジャケットを少し破いたなのはちゃんが現れた。

 

『今度はこっちの番だよ!!』

 

【ディバインバスター】

 

 猛攻を耐え抜いたなのはちゃんは反撃の狼煙を上げる。

 フェイトはディバインバスターを防御魔法で防ぐがそれは次の一手への布石。

 

『受けてみて、ディバインバスターのバリエーション。』

 

 なのはちゃんの展開した巨大な魔法陣に周囲の魔力が集っていく。

 どんどん集まって大きくなる魔力球にフェイトは脅威を感じて動こうとするが、今度はなのはちゃんがバインドをフェイトに掛けていた。

 

 見覚えのある展開にスターライトブレイカーが放たれるのを確信する。

 式神アナァゴでは魔力を感知できないから見るだけしか出来ないが、目に見える魔力球の大きさだけでその力の強大さが分かった。

 周囲の魔力を集めているだけあって魔力球の拡大は止まる事を知らない。

 そしてなのはちゃんが杖を魔力球越しにフェイトに向けて構える。

 

『これが私の全力全開!! スターライトブレイカー!!!』

 

 

-ドゴオオォォォォォンンン!!!!-

 

 

 魔力球を通して放たれた桜色の魔力の激流は、バインドで身動きの取れないフェイトを一瞬で飲み込んで海に高い水柱を立てた。

 スターライトブレイカーの魔力の激流が収まるとフェイトは浮かんでいたが、気を失っていてそのまま海に落ちていった。

 

 生のスターライトブレイカーを見た感想を言おう。

 人に向かって撃つものではない。

 型月風に言うなら対人ではなく対軍・対城宝具と言ったところだ。

 

 なのはちゃん、傷ってのは物や体だけじゃなくて心にも出来るものだぞ。

 あんなもの受けたら体よりも心に傷が残る。

 その辺りちゃんと理解しているかーい?

 二次創作みたいにバンバン撃ってたら魔王って言われて当然だよ。

 

 覚悟は見せてもらったけど、先にスターライトブレイカーを見ていたら戦ったフェイトの覚悟に賞賛を送りたくなる。

 いや、砲撃に飲まれてもそのまま海に叩き込まれずに飛んでた事に賞賛を送ろう。

 

 あ……バインドで固定されてて動けなかっただけか。

 なのはちゃん、やはりそれは鬼畜過ぎるだろう……

 

 

『恐ろしい力だぁ。

 あの力、使い誤らなければ良いがぁ…』

 

『なのは、すごい…』

 

『フェイト、死んだりしてないよね…』

 

 ユーノとアルフもあまりの威力に驚いて口が塞がらない様子。

 非殺傷設定というものがなければ確実に死んでんじゃないか?

 つまり死んでしまうであろうを食らっておきながら生かされたという事だ。

 最高の拷問と言えるんじゃないか?

 

『喋るイタチよ。

 いや、勇者ユーノ・スクライアよぉ。』

 

『ゆ、勇者?』

 

『そうだぁ、お前が高町なのはに魔法を教えたのであろぉ。

 もし高町なのはが魔法の使い方を誤ったとき止めるのはお前だぁ。

 その時あの魔法と向き合わねばならないお前は正に勇者だぁ。』

 

『無理無理無理無理無理ー!!!

 あんなの僕止められないよ!!』

 

『ユーノ・スクライアよぉ。

 己が行いには常に責任が伴うぅ。

 ジュエルスィードの責任は取ろうとする事は出来てぇ、高町なのはの魔法には出来んのかぁ。』

 

『あれと向き合うくらいならジュエルシードをもう一度最初から一人で探したほうがましだよ~!!』

 

『まあ、あんなのアタシも食らいたくないよ…』

 

 なのはちゃんの魔法の扱いは、実際ユーノの責任だから仕方なかろう。

 なのはちゃん怒らせてSLB食らわない事を祈るしかない。

 

『あの魔法の扱いについて言い聞かせておけばよぉい。

 人に向けるには少々危険だぁ、となぁ。』

 

『うぅ、分かりました…』

 

『がんばんなよ。』

 

 ユーノの未来に幸あれ。

 

 

 

 

 

 その後、海に落ちたフェイトをなのはちゃんが救い上げた所に、フェイトに紫の雷が降り注ぎバルディッシュを破壊し、持っていたジュエルシードは虚空へと消えた。

 なのはちゃん達がフェイトを連れてアースラへ戻ろうとした時、俺(式神アナァゴ)の前に再び通信魔法が開いた。

 

『≪時空管理局所属艦アースラ艦長リンディ・ハラオウンです。

 先ほどはうちの執務官が失礼しました。≫』

 

 今度はクロノではなくリンディさんがモニターに現れた。

 現れるとは思っていたが、クロノと違って一応TPOを弁えていたのでちゃんと対応する。

 

『先ほどの男であったなら、また叩き切ってやろうかと思ったところだぁ。

 で、用件は先ほどの謝罪だけかぁ?』

 

『≪いえ、出来ればお話を伺いたいので、あの子達と共にこちらにいらっしゃっては如何かと。≫』

 

『わぁれは話す事などなぁい。

 わぁれの役目はジュエルスィードの回収がすぅべて終わり、町の平穏が守られた事で終わっているぅ。

 そぉもそもこの戦いを見たのは高町なのはの覚悟を見る為ぇ。

 これはわぁれの高町なのはに語った言葉の責任だと判断したからだぁ。』

 

 そもそもそうでなければ式神アナァゴの姿で管理局の前に現れるつもりはなかった。

 だからこそ、向こうの行動も大体読んでどういう返答をして乗り切るか考えていた。

 

『≪ジュエルシードに関しましては、今は時空管理局が全権を持って回収に当たっています。

 後は先ほど持ち去られたジュエルシードとフェイト・テスタロッサの黒幕を抑えることですべて終わります。

 ですのであなたの回収したジュエルシードの調書と、正式なお礼と町にご迷惑をおかけした謝罪をしたいのです。≫』

 

 その言葉を待っていた!!

 

『謝罪だとぉ……』

 

『≪え、ええ。≫』

 

『でぇは、ジュエルスィードによって被害を受けたひとぉびとに補償を要求するぅ。』

 

『≪それは…≫』

 

『出来ぬであろうなぁ。

 お前らの組織がいかぁに次元を越えて活動する組織であろぉと、この世界においては非公式な組織でしかなぁい。

 ジュエルスィードの件で一番迷惑を受けたのは、わぁれでもお前らでもなぁい。

 罪なきこぉの町のひとぉびとだぁ。』

 

 実際巨大樹の一件で家を壊されたり怪我をした人が大勢いる。

 今も病院に入院してる人もいるだろうし、家を壊されて住む場所に困ってる人がいるかもしれない。

 

 なのはちゃんが魔法に出会った動物病院だって、実はさざなみ寮の管理人さんの奥さんがやってる場所らしい。

 病院が半壊しちゃってもう大変だって那美姉さんから又聞きした。

 ジュエルシードの事を話せないから、どっちも原因不明という事で処理されて、何処かから補償が出るはずもない。

 そんな困った状況がまだニュースでも話題になっている。

 

『お前らに出来る事はぁ、これ以上この町に被害を与えぬよう己の仕事を遂行する事だけだぁ。

 でぇはわぁれはここで失礼させてもらうぅ。

 わぁれもそろそろ出勤の時間なのでなぁ。』

 

 式神アナァゴがサラリーマンな設定は忘れてはいない。

 

『もう何か言う事は無いかぁ?』

 

『≪…いえ、いろいろご迷惑をおかけしました。≫』

 

『わかればよぉい。

 最後にぃあの少女達の事を頼んでおこぉ。

 子供を守るのが大人の仕事だぁ。』

 

 今は俺も子供だという事は突っ込むな。

 

『≪わかりました。≫』

 

『でぇはさらばだぁ。

 ぶるあああぁぁあぁぁぁぁ!!!!』

 

 

-ドオオオォォォォンンン!!!-

 

 

 この前の時のように式神アナァゴを爆発させる事で目くらましつつ、式神符を焼き尽くして処分完了。

 繋がりも同時に消えて、これでジュエルシード事件は俺の中で終わった。

 この後フェイトがどうなるかはなのはちゃん次第だが大丈夫だろう。

 原作通りとかじゃなく、なのはちゃんは覚悟を俺に示してくれたから。

 

 

 

 

 

●式神の遠隔発動を公開


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。