【更新停止】転生して喜んでたけど原作キャラに出会って絶望した。…けど割と平凡に生きてます   作:ルルイ

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第二十七話 なかなか話が進まない件

 

 

 

 

 

 はやてちゃんが方針を決めてから数日。

 ついに守護騎士達が現れるはやてちゃんの誕生日を明日に控えていた。

 それまでは俺の知る守護騎士達の特徴を話したり、先日のようにただ話をして平穏な日々を過ごしていた。

 

 守護騎士達が現れれば加速度的に事態は加速する。

 現時点で闇の書に篭った負の念の浄化は試していない。

 直ぐに防衛機能が働いて暴走を起こす可能性があるわけだから出来る限り万全の体制で行いたい。

 つまりはやてちゃんが守護騎士達と話をつけてから浄化を試してみると言う事だ。

 

 魔法に関しては俺も那美姉さんも何一つ知らない。

 魔法に対する知識の無い者達だけで闇の書に何かを行うのは少々不安だ。

 闇の書相手にどこまで魔法知識が意味を成すか分からないけどいないよりマシだ。

 浄化を試すのは守護騎士達の協力を得てからにしたい。

 そう考えて現れるまで待っていた。

 

 

 

 そうしてはやてちゃんが誕生日に守護騎士達が現れるはずの前日を迎えたわけだ。

 予定では午前0時に現れるはずだから、真夜中だけど俺も居合わせようかと言ったがはやてちゃんは遠慮した。

 

「真夜中なんやから拓海君とこの家族が心配するやろ。

 守護騎士さん達を迎えるのは私だけでええわ。」

 

「両親には前に説明したから必要なら夜中でも別に大丈夫だよ。

 まあ主に従う騎士達が他の人間がいることに難色を示すかもしれないから、いないほうがいいかもしれないけどね。」

 

「主とか従うとか、私はそんなことするつもりはあらへんよ。

 だたお話して手伝ってもらうだけや。」

 

「お話ね…

 まあ、はやてちゃんが納得いくまで説得を試せばいいと思うよ。

 ただ騎士達はこの世界の文化も風習も法律も知らない。

 間違った事を止める時は主でも何でもいいから命令してでも絶対止めて。

 守護騎士達の行動を制限出来るのははやてちゃんしかいないんだから。」

 

「そういうのは嫌いないんやけど仕方ないか。

 ほんまに心配性なんやから。

 じゃあ、また明日な。

 拓海君が来るまでに話を着けといたるわ。」

 

「前も言ったけど面倒事は嫌いなんだ。

 心配して問題が減らせるならそうしたほうがいい。

 それじゃがんばってね、はやてちゃん。」

 

「まかしとき。」

 

 そうして誕生日前日のはやてちゃんと別れて帰る事にした。

 ふと気づいたが、誕生日なんだから何かプレゼントを用意しといたほうがいいか。

 闇の書の事ばかり気にしてて気づかなかった。

 何か丁度いい物を用意しておくか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして翌日。

 俺は一応誕生日プレゼントをもって八神家を訪れた。

 今日は守護騎士達が現れているはずなので安全の為に久遠は連れていない。

 久遠の安全もあるが、守護騎士達は妖狐という存在を知ってるはずもないだろう。

 なので余計な警戒を与えない為にもと久遠は連れずに来た。

 

 途中で神社に寄って久遠にあってそれを説明したら、少し寂しそうな声で鳴いて納得してくれた。

 そんなことされたら俺も寂しいじゃないかと、一度抱きしめてから別れを惜しんでこっちに来た。

 いつも一緒だったからか置いてくるのがたまらなく辛く感じたぜ。

 今生の別れどころか一日の別れでもないのに。

 

 

 

 それはさておき八神家の呼び鈴を押した。

 インターフォンから聞こえたはやてちゃんの声に俺が来たことを伝えると、直ぐにドアが開いてはやて以外の人間が出てきた。

 現れたのは金髪の髪の二十歳くらいの女性。

 

「あなたがシャマルさんですか?」

 

「ええ、はやてちゃんの言った通り、私達の事知ってるのね。」

 

「一通りは…

 説明は全部終わってますか?」

 

「…まだはやてちゃんの話を聞いてるところよ。

 はやてちゃんが待ってるから入って。」

 

「じゃ、お邪魔します。」

 

 ここ数日で何度も遊びに来てたが、はやてちゃん以外が迎えるのは初めてだったので少し調子が狂った。

 家の中に上がって居間に入ると…

 

 

-ギロッ-

 

 

 はやてちゃんの他に守護騎士らしき三人がいて一斉にこちらを見た。

 擬音が聞こえそうな視線で睨まれて、あまりの迫力につい堅をして防御態勢を取ってしまった。

 明らかに友好的な雰囲気でなく空気が重かった。

 三人のうちのポニーテールの女性、恐らくシグナムさんが俺の前に出た。

 

「貴様が主はやての言っていた拓海とやらか。

 何が目的だ。」

 

「シグナム!!」

 

 まあ予想していたが随分と警戒されているらしい。

 はやてちゃんが止めるつもりで名を呼ぶが、シグナムさんは俺を警戒して視線を外そうとしない。

 俺より少し下っぽい子供に見えるヴィータとケモノ耳付きの男性ザフィーラも視線を外そうとせず、気配を探れば後ろからシャマルさんも俺を見ているのがわかった。

 

 なんという四面楚歌、最悪の状況とは言わないが精神的に辛い。

 ただでさえめんどくさい事件で頭が痛いのに、こんなプレッシャー掛けられれば胃がキツイです。

 とにかくソファーでいいから座りたいなと思いながら、状況の悪さにため息をつく。

 

「拓海君は友達言うとるやろ!!

 仲良うせなかん!!」

 

「しかし信用できません。

 闇の書の存在を知っていた事といい、我等が現れるのを事前に知っていた。

 あなたを利用しようとしていないとは限りません。」

 

「拓海君はそんなことせえへんわ!!

 そう何度も言うとるやろ!!」

 

「しかし!!」

 

 予想以上に説得どころか話自体が難航しているらしい。

 これじゃあギル・グレアムの存在まで話せてるかどうか。

 はやてちゃんの足と闇の書の関係すら説明してないんじゃないか?

 いきなり闇の書をどうにかするのが一歩目で躓いてしまった感じだ。

 闇の書をどうにかする覚悟、足りなかったかな…

 

「…はやてちゃん、とりあえず話はどこまで進んだの?」

 

「え、えっとな、皆の歓迎に美味しいもん作って一緒に食べとったらだいぶ時間が経ってもうて。

 その後話し始めたのはええんやけど、拓海君の事説明したらえらい疑われてもうたんや。

 誤解解く為に今いろいろ話してたところなんや。」

 

「つまり話の半分も説明出来てないって事か。」

 

「……ごめんな。」

 

「…はぁ。」

 

 もう一度ため息をついてから騎士達の視線など気にせずにソファーに座り込んで、とっとと話を進める事にする。

 俺の信用とか騎士達の警戒とかはこの際後回しにしていいだろう。

 まず俺の知る事態を全部伝えなきゃ何が正しいのか、騎士達も確認の取り様がないだろう。

 

「はやてちゃん、まず俺が知ってる事を説明するから信用云々はその後でいい。

 シグナムさん達もとりあえず話を全部聞いてから判断して欲しいんだけど、それでいい?」

 

「……いいだろう。」

 

 

 

 

 

 俺がまず話し始めたのは予知夢という形で闇の書の存在を知ったと言う事。

 予知夢と言われても普通ならいきなり信じないが、これについては守護騎士達もレアスキルのような物と納得してとりあえずは信じた。

 聖王教会の某預言者さんの予言は古代ベルカ式のレアスキルらしいから、予知夢=予言のような物と認識してくれたんだろう。

 

 それで知った闇の書は完成すれば主を取り込み世界を滅ぼしかねない暴走を起こすと話すと、そんなことは信じられないと闇の書の守護騎士として否定した。

 ここで俺は闇の書がはやてちゃんの足を麻痺させてる原因だと言った。

 

「闇の書がどういう物か知ってるんだったら、主に対する影響も熟知してるだろ。

 闇の書が主に危害を加えるものじゃないと言うなら、これを否定してくれ。

 確かシャマルさんが治癒や補助の専門なんでしょう。

 魔法ではやてちゃんの足を少し見てくれませんか?

 そうすれば確認出来るはずです。」

 

「……シャマル。」

 

「解ったわ、シグナム。

 はやてちゃん、ちょっと足を診せてもらっていいですか?」

 

「あ、うん、お願いするわ。」

 

 シャマルさんがはやてちゃんの傍に来てベルカ式の魔法陣を展開する。

 以前見たなのはちゃんたちが使っていたミッド式と違って三角形のような魔法陣だ。

 

 シャマルさんは時間を掛けてはやてちゃんの足を診察し続ける。

 途中何かに驚いて念入りに何度も確認してる。

 そして魔法陣が消えて診察を終えた。

 

「その子の言った通りはやてちゃんの足が動かないのは闇の書が原因だわ。

 闇の書との繋がりからはやてちゃんの足に影響が出てる。

 ほうっておいたら麻痺が広がって命の危険も。」

 

「そんな馬鹿な…

 ……魔力を蒐集して闇の書を完成させれば治すことも出来るはず。」

 

「それやっちゃいかん言うとるやろ!!」

 

「しかしそれではあなたの御身体が!!」

 

「はやてちゃんのことも含めてどうにかしようと話してるんだ。

 さっきも言ったけど完成すれば暴走して主であるはやてちゃんを取り込む。」

 

「確かに闇の書が主はやてに害を為している事は認める。

 だがそれだけで闇の書の完成が暴走を起こすと信じるわけにはいかん!!」

 

「あたしらは闇の書の守護騎士なんだ!!

 闇の書の事はあたしらが一番良く知ってる!!」

 

 シグナムさんの否定にヴィータも賛同し、残り二人も黙ってはいるが同意しているみたいだ。

 ところでヴィータってヴィータちゃんなのかヴィータさんなのかどっちで呼んだらいい?

 見た目年下だけど実際は年上になるのか?

 

 ……普通にヴィータでいいか。

 久遠も封印されてたとはいえ生まれた年数から考えたら300歳くらいだし。

 久遠に年下も年上も関係ないよ。

 可愛いは正義なのだから。

 

 と、話がずれたがはやてちゃんが説得しきれないことは予想していたので、他にも闇の書に対する守護騎士達の矛盾内容を考えてきてる。

 俺を信じるかどうかはともかく論破する自信はあった。

 

 戦って勝って納得させる?

 原作なのは達の真似なんか出来ないよ。

 俺武闘派じゃないし、そもそも戦って勝てるほど思い上がっていない。

 だったら戦わずに終わらせる方法を考えて、戦いになるようなら可能なら逃げるよ。

 

 出来ないなら……どうしよう?

 ジュエルシードの時は原作の流れに任せられたけど、今度は流れ完全にぶっ壊してるし。

 後戻りできないのは解ってたから戦わないにしても逃げられないな。

 

 ともかく俺は口で守護騎士達に勝つ。

 この後はギル・グレアムも控えてるんだ。

 はやてちゃんの味方である守護騎士達にいつまでも梃子摺っていられない。

 

 

 

 闇の書に異常があることを示す内容は他にいくらでもあった。

 まず過去の完成後の状態を守護騎士達が覚えているかどうか。

 指摘してみれば完成した事があったはずなのにそれをまったく思い出せない事に戸惑ってた。

 

 次に管理局の闇の書に対する対応。

 守護騎士達の主観で完成後の力に脅威を抱いているから敵対しているというのは納得出来る。

 だけどそれなら何故闇の書は転生してここに存在するのか。

 

 これまで管理局は破壊すれば転生するとわかってるのに破壊するのか?と聞いてみた。

 暴走が無いのであれば主を殺さず倒せば次の主を求めて転生することは無い。

 闇の書がこれまですべて完成したわけじゃない。

 完成してない書の主は制圧出来ないほど脅威ではない。

 例え封印が闇の書に効かないと仮定しても、主を確保しておく事で転生を抑えることが出来るはず。

 なのに何故闇の書を管理局は破壊して転生させねばならないのかと言う説明に、守護騎士達は説明出来ずに口を噤んだ。

 

 そして闇の書の本来の名、夜天の書という名前。

 この名前は闇の書の本来の名前だと言って心当たりが無いかと聞いてみれば、全員何かしらの違和感を感じて否定しきれなかった。

 

「ふむ……はやてちゃん。

 彼らが現れた時に言った言葉を正確に覚えてる?」

 

「え? えーと、騎士の忠誠の言葉っぽかったけど正確には覚えとらんわ。

 それがどうかしたん?」

 

「俺の記憶が正しかったら…

 シグナムさん、確認の為に守護騎士の皆ではやてちゃんに言った忠誠の言葉を聞きたいんだけど。」

 

「それは主にのみ告げる騎士の言葉だ。

 信用できぬ者に軽々しく話す気はない。」

 

「シグナム、話したって。」

 

「…主はやてがそう仰るのであれば。」

 

 はやてちゃんの言葉に従って、シグナムさんははやてちゃん向かって跪く。

 それに従って他に三人もシグナムさんと同じ様に跪いた。

 

「初めて会うた時もそうやけど、こういう風に跪かれるのは慣れんわ。

 やけど拓海君が確認の為言うしお願いな。」

 

「では…『闇の書の起動を確認しました。』」

 

「『我等、闇の書の収拾を行い主を守る守護騎士にございます。』」

 

「『夜天の主の下に集いし』「「「!?」」」」

 

「あ、夜天の主言うとる。」

 

「だろ。」

 

 ザフィーラのセリフのところでしっかり夜天の主と言ってる。

 良く指摘されてた所だったから覚えてて良かった。

 

「もし闇の書なら、闇の主になるだろ。

 闇の書が起動する度に言う前口上みたいなものだから、記憶に残ってなくても名残のような形で残ってたって事だ。」

 

「そ、そんな馬鹿な…」

 

「どういうことだよザフィーラ!!」

 

「い、いや、俺にもわからん…」

 

「えっと、あの、その、え~と…」

 

 自分達の口から自然に出てた『夜天』と言う単語に狼狽する守護騎士達。

 シグナムさんはショックを受け、ヴィータは『夜天』の名を出したザフィーラを責め、ザフィーラも自然と出た名前に困惑するばかり。

 シャマルさんは周りの事態におろおろするばかりで、どうにも他に比べて慌て方が微笑ましい。

 なんか那美姉さんっぽいんだけど…

 

「とりあえず俺の言ってることがいい加減な事じゃないとは納得してくれた?」

 

「……ああ、認めざるをえないな。」

 

「何言ってんだよシグナム!!」

 

「認めろヴィータ。

 我等の知る事の出来ないところで闇の書に何かが起こっている。

 そして我等自身にも自覚出来ていない記憶の損失、或いは改ざんがある。

 少なくともこいつの言ってる事が間違いだと言い切ることはもはや出来ん。」

 

「……訳わかんねえ。

 あたし等に、闇の書に何が起こってるって言うんだよ…」

 

「「……」」

 

 俺の言葉を全面的には認め切れていないが、少なくとも何かがおかしいとは認めてくれた。

 彼らにとっては闇の書あってこそ主が選ばれる。

 騎士達のとって主は重要だが、前提である闇の書がおかしいとなれば自己の存在に疑問を持つことになる。

 既に記憶すら異常があると自覚したんだ。

 不安にならざるをえない。

 

「だ、大丈夫やて、何とかなる!!

 その為に話し合いをしてるんやから。」

 

「主はやて…」

 

「はやてちゃん…」

 

「「……」」

 

 はやてちゃんが重い雰囲気を察して皆を元気付けようとするが、依然雰囲気は暗いまま。

 あまりの落ち込みように自己の在り方に疑問を持ちすぎて、はやてちゃんの意思に従うべきかどうかすら疑問を持たないか心配だ。 

 少なくとも協力してもらえず、闇の書を守る為に浄化の妨害でもされたら、どうすることも出来なくなるかもしれない。

 そこまで深刻に受け止められるとは思ってなかった。

 そんな時に……

 

 

-プルルルルルルッ-

 

 

 家の電話の受信音が鳴った。

 誰からと思い、はやてちゃんが電話の通知を確認すると…

 

「あ、しもうた石田先生や。

 今日定期検診やったのすっかり忘れとったわ。」

 

 はやてちゃんは受話器を取ると話し始めて相槌を何度か打つ。

 

「誰だ?」

 

「確か病院のはやてちゃんの主治医。

 足の件で通ってるんだ。

 こっちの世界は魔法が認知されてないから原因不明の病気って事になってる。」

 

「…そうか。」

 

 俺がシグナムさんに聞かれて答えると、はやてちゃんの足の関係だったからか、またうつむいて気を落とす。

 直ぐに電話は終わって、はやてちゃんは受話器を戻す。

 

「定期検査やったのすっかり忘れとったわ。

 直ぐ行ってくるからちょっと家で待っといてな。」

 

「お供します。」

 

 シグナムさんがそう言うと、他の三人もそれに従って動く。

 少し不安はあったが少なくともはやてちゃんには仕える気は変わらないらしい。

 …が、

 

「そんな格好で外に出たらちょっと不味いで。

 私一人で行って来るから待っとき。」

 

「しかし…」

 

 シグナムさん達は現れたばかりの全員真っ黒な薄着姿。

 服としての機能は果たして無い事もないけど、少々出歩くには不味い格好だ。

 

「だったら誰か一人はやてちゃんに付き添ってやってくれ。

 その間に俺が残りの三人に話を進めておくから。

 …シャマルさん、お願いできますか?」

 

「えっと、何で私なんですか?」

 

「容姿的に付き添うに適した人物だから。

 シグナムさんも当てはまるけどリーダーなんでしょ。

 重要な話には立ち会うべきでしょ。」

 

「…ああ。」

 

 俺の話をとりあえずは聞く気があるらしくシグナムさんが同意してくれる。

 

「残りの二人は見た目が子供と、大人でもケモノ耳付きだし。」

 

「誰が子供だ!!」

 

「むぅ…」

 

 ヴィータは反論するが、ザフィーラはうなるだけで反論しない。

 

「そやな、付き添うてくれるんやったらシャマルかなあ。

 あ、やけど服はどうしよう。

 母さんの服残っとったかなー?」

 

「確か守護騎士達は、主の決める騎士甲冑ってのがあったでしょ。

 それって一度決めたら変えられないの?」

 

「良く知ってるな……

 すべては主の意思だ、変えられない事はない。」

 

「じゃあ騎士甲冑を服代わりに、はやてちゃんがシャマルさんの違和感のない服装を考えてあげれば?

 イメージさえあれば直ぐ出来るもんでしょ。」

 

 バリアジャケットの決定はなのはちゃんの時も直ぐだったし、同じ物だから直ぐ出来るだろうと思った。

 

「それでええかな、シャマル。」

 

「はい、私は構いません。」

 

「ついでに服もみんなの分買ってくるわ。

 拓海君が来る前に寸法測っといたんよ。

 なるべく早く帰ってくるから拓海君お願いな。」

 

「…わかりました。」

 

 はやてちゃんが出かけるときになって俺がプレゼントをもって来てたのを思い出した。

 後でもいいけどしっかりはやてちゃんに渡しておこう。

 

「すっかり忘れてたけど、これ誕生日プレゼント。」

 

「あ、ありがとな。

 忙しいんやから用意せんくってもよかったのに。」

 

「まあ、せっかくの友達の誕生日だしね。

 中身はただの時計付きの置物だから。」

 

 話をして手渡すのすっかり忘れてしまうところだった。

 

 

 

 

 そしてはやてちゃんは服装を変えたシャマルさんと共に病院へ出かけていった。

 正直残りのメンバーの雰囲気が重すぎるが、ちゃんと説明しとかないといけないと気を入れなおす。

 

「シグナムさん、一ついいですか?」

 

「なんだ。」

 

「彼方達は闇の書に何かがあると分かっても、主であるはやてちゃんを守ってくれますか。」

 

「……我等は騎士だ。

 主に仕えてこそ存在意義がある。

 主はやてを守る事に異論はない。

 たとえ危害を加える原因が闇の書であってもだ。」

 

 はやてちゃんの力になる事は確約してくれた。

 これならギル・グレアムの一件には協力してくれるだろう。

 

「だったらまずはやてちゃんの為にやらなきゃいけないことがある。」

 

「何をだ。」

 

「……猫探し。」

 

 

 

 

 

 


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