【更新停止】転生して喜んでたけど原作キャラに出会って絶望した。…けど割と平凡に生きてます   作:ルルイ

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第二十八話 話し合いにならなかった件

 

 

 

 

「さあ、構えろ

 どこからでも掛かって来い」

 

 え?

 なぜが八神家の庭で、俺に向けてシグナムさんがレヴァンティンを構えています。

 どうしてこうなったかと言うと、

 

 

 

 あ・・・ありのまま起こった事を話すぜ。

 ギル・グレアムの一件を話そうとしたらシグナムさんより待ったが掛かった。

 はやてちゃんを守る事に異論はないが俺を信用するかは話は別だと言われた。

 

 そして気づいたら庭にいて、シグナムさんがレヴァンティンを構えて臨戦態勢になっていた。

 ヴィータとザフィーラはそれを静観の構えで見ているだけ。

 戦闘狂とかバトルマニアとかそんな甘っちょろい存在を前にしたわけじゃない。

 もっと恐ろしい存在を前にして訳の解らない困惑とデジャブを感じてるぜ。

 

 

 

 真面目にどうしてこうなった。

 戦う予定なんかこれっぽちもないんだけど。

 というかまともに戦えるわけないだろ!!

 美由希と違って相手はデバイスだぞ!!

 

 俺抹殺されちゃうのか!?

 はやてちゃんのいないうちに存在抹消されちゃうのか!?

 

「って、冗談じゃないんだけど!!

 何でヤり合わなきゃいけないんだ!?」

 

「お前が信頼出来るか見定める為だ

 私も剣士、太刀筋を見れば相手の真意くらいわかる

 その木製とはいえ剣は飾りか?」

 

 飾りです!!と言ってやりたいが持っているのは愛木刀と呼んでいる海鈴。

 飾りだとは言いづらいし、念のために持ってきてたのが裏目に出た!!

 丸腰でも置いてくれば良かった…。

 

「そもそもデバイスと木刀じゃ武器が違いすぎるだろ!!」

 

「私の剣はこれしかないのでな

 安心しろ、魔法は使わん

 お前は魔力は持っているようだが魔法は使えんようだからな」

 

 それでも木刀とデバイスじゃ素材の強度が違うよ。

 非殺傷設定とかあるから切れたりしないよな。

 あれ…でもミッドじゃなくて古代ベルカ製のデバイスだし斬れる?

 気とか使わないと真面目にやばいんじゃないの?

 

「そっちの二人も見てないで止めてよ!!」

 

「無理だな、シグナムバトルマニアだし」

 

「……」

 

 ヴィータは諦めろと言って、ザフィーラは我関せずと黙っているだけ。

 はやてちゃんがいないから味方がいない。

 この状況どうしろと!?

 

「…剣を持つのなら剣で語れ

 男ならそれくらいの覚悟を見せてみろ」

 

「ん…」

 

 ……覚悟、ねえ。

 最近その言葉ばかり考えてたから、そう言われると弱い。

 覚悟というよりどちらかというと諦めで、俺は海鈴を構えてシグナムさんに向き合う。

 

「漸くその気になったか」

 

「男とかどうとかはどうでもいいけど、覚悟と言われると引けなくって

 はやてちゃんを助けるのに協力するって一度覚悟を決めたから

 ただ俺は全力でなくても勝つつもりでいくから」

 

「構わん、来い」

 

 俺は堅ではなく攻撃を察知する円を展開。

 それとは別に海鈴に気の強化と周を全力でしておく。

 武器の性能差が大きすぎるからこれ位しても問題ないだろう。

 

「(何だ、アイツから感じるこの威圧感は…)」

 

「いくぞ!!」

 

 俺は美由希の時のように瞬動で一気にシグナムさんに向かっていった。

 速さに少し驚いたシグナムさんがそれでも剣で受けようとする。

 

「!!(まずい!!)」

 

 が、剣で受け止めるのをやめて、とっさに横に飛びのいて俺の攻撃をかわした。

 

「何やってんだよ、シグナム」

 

「今のは確かに速かったが受け止められない訳でもあるまい」

 

「…いや、無防備に受け止めていれば危なかった

 拓海よ、今何をしようとした」

 

 どうやら直感で海鈴に込めた気の威力を察知したらしい。

 全力でやったからレヴァンティンに材質で負けないくらいにはなったと思ったけど、シグナムさんの様子から大きく上回っていたようだ。

 良く考えたら全力で打ち込んだことなんて、美由希との模擬戦でもなかったからどれくらいの威力がわからん。

 少し加減しておこう。

 

「俺は魔法とかは使えないけど、気という物を使った技はいろいろ使える

 実戦経験なんてないから大して強くないけど、威力だけならシグナムさんの反応を見る限りなかなかあるらしい

 庭を壊したくないから物を壊すような技は使わない

 それ以外の技は使わせてもらう」

 

「気、だと?」

 

「身体強化などに特化した魔力と思ってくれればいい

 だから見た目通りの身体能力じゃないから、そちらも魔法を使ってもらって構わない

 庭の物を壊さない程度にだけど」

 

「ふっ、面白い」

 

 シグナムさんが身をかわした状態から立ち上がり、再び剣を構える。

 

「そういえばお前が知っていたので名乗りをしていなかったな

 私はヴォルケンリッターの将、剣の騎士シグナム

 そしてわが剣、レヴァンティンだ」

 

≪よろしく≫

 

 レヴァンティンがたぶんドイツ語っぽい言葉を喋ったけど、魔法の御蔭か言葉は解んなくても意味が伝わってきた。

 魔法便利だな、デバイス便利だな。

 

「名乗りをするって本気でやるってこと?

 俺戦う気ないんだけど

 まあ名乗られたら名乗り返すのが礼儀なんだろうし

 名前は山本拓海、聖祥大学付属小学校四年生

 一応この木刀にも海鈴って名前付けてる」

 

 前に海鈴に霊力が篭るようになって那美姉さんに見せたら霊刀のようになってると言われた。

 大切にしてきたり、霊力を込め続けたからだろうと言う見解だ。

 それならそれでこれからも大事にするつもりだ。

 木製だからそれほど丈夫じゃないけど、修復方法も見つかってるからいつまでも大事に出来そう。

 

「そうか、海鈴という名があったか

 木刀であろうと己の剣であるなら名を与えても恥ずべき事ではない

 先ほどは完全にお前を侮っていた

 今度はこちらからいくぞ」

 

 勘弁して。

 

 シグナムさんから先ほどとは違い魔力の放出を感じる。

 その力はレヴァンティンにも流れて恐らく全体的に強化された。

 痛くてもワザと負けとけばよかったかな~と少し思ってしまった。

 

 瞬動ほどではないが普通では考えられない速さでシグナムさんは俺に打ち込んできた。

 俺は円を展開していたので、細かな動きを察知して落ち着いて攻撃を回避する。

 その一太刀だけでは終わらずシグナムさんは連続でレヴァンティンを打ち込んでくるが、俺は時には避けて時には海鈴で受け流して守りの体制を取り続ける。

 

 シグナムさんの攻撃は素早くて重いが身体強化で何とか受け止められる。

 動きに関しても美由希と同程度くらいなので何とか避けたり受けたりして捌ききる事が出来ている。

 美由希との遊びを含んだ稽古をやってなかったら相手にもならなかっただろう。

 

 あれ、仮にも守護騎士の将と同じくらいの機動力で動く美由希って…

 気で強化しているのもあるけど能力高すぎないか?

 対応出来る俺が言うのもなんだが、高町家の能力ってどれくらい?

 

「全力ではないとはいえシグナムの剣を捌ききるとはな」

 

「本気でやってんのか、シグナム」

 

「やっているとも

 私の剣を捌いているのはこいつの実力だ

 しかもまだ余裕があるようだな」

 

「いや、全然余裕ないんだけど」

 

「息切れ一つせずに良く言う」

 

 気を鍛え続けたせいか、不本意ながら体力に一番自信がある。

 受けに回ってるから十分捌いてるけど、攻撃に移る余裕はあまりない。

 出来ない事はないけど当てる自信はないし逆に攻撃を食らいそう。

 そもそも本気で殴ったら痛そうだから、攻撃よりも受けや回避が美由希との稽古でも主流だ。

 

「受けでばかりでは勝つ事は出来んぞ」

 

「どうやって勝つかなーって考えてたとこ」

 

「ならその方法、見せて貰おう!!」

 

 シグナムさんが何らかの魔法を使い、俺の正面から消える。

 視界から消え失せたが円を展開していた俺には周囲のことは全部把握している。

 上からの斬撃!!

 

「なに!?」

 

「フンッ!!」

 

「ガッ…」

 

「シグナムが一撃もらった」

 

「拓海というやつ、思った以上になるな」

 

 シグナムさんの上からの斬り下ろしに見る事なく避けて、着地するタイミングに合わせて気を込めた掌底を腹に叩き込む。

 腹に衝撃を受けた事で息を詰まらせて、そのままシグナムさんは少し吹き飛ぶが余裕で着地した。

 気を込めた攻撃を全力で人体に叩き込んだらどうなるか、想像したくなかったので自然と加減してたのでたいしたダメージじゃないだろう。

 

「…今のはなんだ、私を見ていなかった筈なのに見ているかのように避けた

 それに完全に攻撃に合わされて掌底をもらってしまった」

 

「気による知覚技術、俺の周囲に魔法で言うサーチャーを張ってると思えばいい

 そのおかげで周囲にある物の動きは手に取る様に解る

 シグナムさんの細かい動きもね

 だから俺に不意打ちは通用しない」

 

 そうでなきゃ魔法による加速についていけない。

 なのはとフェイトたちの戦いを見る限り、加速魔法で速くなっても反射速度は速くなるわけじゃないから加速中に正確に攻撃は出来ないから、攻撃のタイミングで加速は解ける。

 ああそういえば、美由希の御神流に神速なんてか即時戦闘なんていう魔導師びっくりの技能があったっけ。

 もしなのはちゃんだけじゃなくて家族に魔力があったら、フェイト初戦で終わってたな…。

 なのはちゃんも御神流習ってて高町家総出撃なんて事になってたら…

 

 悪夢だな、忘れよう。

 今はとっととシグナムさんとの手合わせを終わらせよう。

 

「なるほど、面白い技術だな

 最初の一撃を見る限り、今の掌底は手加減したな」

 

「本気で人を殴れないんだよ

 稽古や模擬戦は結構あるけど、あんたらと違ってなりふり構ってられない実戦なんてしたことないんだ」

 

「ただの手合わせとはいえ、それでは相手に対して失礼だぞ」

 

「俺は騎士とか崇高なものじゃないから、自衛さえ出来る力があればいいんだよ

 その為ならある程度卑怯でも別に形振り構わない」

 

 美由希との模擬戦のおかげで太陽拳とかの他にも無数の妨害翻弄技を考え付いたからな。

 この点は真面目に美由希に感謝してる。

 シグナムさんに使ったら怒られそうな気がしたので卑怯っぽい技は控えたんだけどね。

 

「なるほど剣士ではなく戦士と言うわけか

 良くわかった」

 

「いや、戦わないに越したことはないんだけど

 とりあえずもう終わりでいい?」

 

「いや、次で最後にする

 レヴァンティン」

 

≪エクスプロージョン≫

 

「ちょ!?」

 

 シグナムさんの言葉に、レヴァンティンがカートリッジをロードする。

 すると剣の刀身に炎の魔力が取り巻いた。

 

「無理無理無理無理無理ぃー!!!

 それやるってことはアレだろ!?

 危ないからやめて、庭も壊れる!!」

 

「大丈夫だ。

 ヴィータ、封鎖領域を」

 

「しゃーねえな」

 

「見てないで止めてよ!!

 さすがに死ねるよ!?」

 

「……すまん」

 

 封鎖領域が張られて世界の色が変化する。

 結界が張られた事で庭は壊れることはないけど、取り込まれた俺は壊れます。

 ザフィーラもさすがに悪いと思って謝るが、それなら止めてくれ!!

 

「結界を張っていれば周囲の被害を気にせず全力を出せる

 この技を知っているなら説明は必要ないな

 お前も全力の一撃を見せてみろ」

 

「見せてみろって言ったって…」

 

 一応海鳴流の一番の奥義は斬魔剣終の太刀だけど、あれは絶対の非殺傷の剣。

 気に込めた意思を相手に打ち込むことで、相手の意識を攻撃して気絶させるなり思いを伝えたりする技だ。

 技の打ち合いになったら相手に当てることは弐の太刀の性質で出来ても、お互いに攻撃のタイミングだから防御も出来ずにこっちも相手の攻撃を受ける。

 まさに諸刃の剣と言う事だ。

 

 こんな土壇場の状況で終の太刀の弱点に気づくなんて。

 ヤッパリ実践ハ大事ダナー。

 厳しい状況に現実逃避しかけるがシグナムさんからの気迫と魔力に海鈴の構えを解く事が出来ない。

 もう逃げられませんか、そーですか。

 

「もうどうなっても知らないからな!!」

 

 俺は錬で練り上げて気を全力で使う時に行う体内での圧縮を行う。

 全力で気を練って圧縮する事で気の質は向上して、圧縮の為に気を体外に漏らさない絶をしても漏れてくる気が陽炎のように体から立ち昇る。

 

「それがお前の全力か!!

 気という力を感じる事は出来ないが、この威圧感からどれほどの物か良くわかる」

 

「アイツ、唯のガキじゃねえな」

 

「今更だな」

 

「うっせー」

 

 錬だけでなく圧縮によって精錬された気は通常よりも強い力を発揮する。

 それは舞空術などの出力に関係するだけでなく、気そのものの質も向上するのを訓練で気づいた。

 戦闘にも非常に有効だが、気を溜める隙が出来るから戦いながらとかは出来ない。

 まさに大技を使う前の溜めという事だ。

 

 高質化した気を海鈴に流し込んでいく。

 霊刀化してから気の通りなどがどんどん良くなっていく海鈴は、他の物に比べて自分の体の一部のように纏わせ易くなっていた。

 その御蔭で高質化した気による周も維持しやすい。

 更にそこから気の性質をシグナムさんとは真逆の性質、凍気に変えていった。

 

「!! 凍結の変換資質か!?」

 

「魔力と同じで気も性質を変化させることが出来る

 炎気も出来るけどたぶんシグナムさんほどは使えないから真逆のこっちを選ばしてもらう」

 

「お前はほんとに面白いな」

 

「戦う為に覚えた技じゃないんだけど」

 

「では何の為だ」

 

「暑い日対策」

 

「フッ…確かにそれは便利そうだ

 だが今はその力で我が剣を受けてもらおう」

 

「そのつもりだ、暑すぎるのは我慢出来るけど焼かれるのも斬られるのも我慢は出来ないから」

 

「ではいくぞ!!」

 

 シグナムさんが炎を纏ったレヴァンティンを振りかぶって俺に向かってくる。

 俺も凍気を海鈴を中心に収束して、凍気で青白く輝く海鈴で迎え撃つ。

 

「紫電一閃!!!」

 

「極大・氷河剣!!!」

 

 

-ガキャアアアァァァァァンン!!!!-

 

 

 炎を纏ったレヴァンティンと凍気の輝きを放つ海鈴がぶつかると強烈な音が響き渡った。

 ぶつかり合った衝撃で周囲の建物の窓ガラスが一斉に割れる。

 剣達のぶつかり合ってる場所からは、音をたてながら炎の魔力と凍気が鬩ぎ合っている。

 

「うぐぐぐぐ…」

 

「やるな!! 紫電一閃を受け止めるか!!」

 

「嬉しそうに言うな!!」

 

 悔しがれとは言わんが喜ぶなよ、このバトルマニアが!!

 海鈴に気を全力で込めたから体を守る気の防御が甘くてレヴァンティンの炎が熱い!!

 それに力では押されていて何とか支えている感じだ。

 足だけじゃ踏ん張りきれんと、舞空術の感覚で背中から気を少し出して推進力にする。

 

「おりゃあぁぁぁ!!」

 

「まだ力を出すか!?

 はああぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 気の推進力で一瞬だけ押し込めたが、それに耐えてシグナムさんとの鍔迫り合いは拮抗する。

 こうならもう自棄だ!!!

 気を全部使うつもりでやってやる!!

 

 俺が気を更に出せばシグナムさんも更に魔力を発揮して力を出していく。

 お互いの力が負けまいとトンドン力を高めていき、そして…

 

「「あああぁぁぁぁぁぁ!!」」

 

 

-ドオオオオォォォォォンンン!!!!-

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただいまー、皆の服買って来たでー

 って、どうしたんや拓海君にシグナム!!

 二人ともぼろぼろやないか!?」

 

「な、何があったんですか!?」

 

 はやてちゃんとシャマルさんが服を買って、漸く帰ってきた。

 その直後、やりあったせいでボロボロになった俺たちを見て驚いた。

 

「いえ、ちょっと拓海と手合わせをしたもので」

 

「て、手合わせ?」

 

「んな訳あるか!!

 家が吹っ飛ぶような戦いを手合わせなんて言わねえ!!」

 

 あの後、お互いの力のぶつかり合いが限界に達して、そこを中心に爆発が起きた。

 気の強化のお陰で重傷は負わなかったが、シグナムさんの炎と爆発でところどころ火傷した。

 おかげで服も当然ボロボロで、両親になんて説明すればいいのやら。

 

「い、家ぇ!!

 どういうことや、どっか壊れたんか!?」

 

「大丈夫です、結界を張っていたので周囲は無傷です」

 

「結界内じゃ大惨事だったがな!!」

 

 爆発の影響で周囲もボロボロ。

 結界内の八神家は爆発で半分が吹き飛んだ状態だった。

 

「そんなボロボロで怪我はないんか!?」

  

「わ、私が治癒魔法使えるので診ます!!」

 

「いや、大丈夫だ

 既に拓海が治してくれた」

 

「「は?」」

 

「霊気という手合わせで見せてもらった気とも違う力の治癒術だったが完治している

 お前はほんとに多芸なやつだな、拓海」

 

「お褒めに預かり光栄と言いたいけど、無意味な戦いをして怪我した時に治すつもりでヒーリングを覚えたわけじゃないんだがな」

 

 ヒーリング覚えといてほんとによかった。

 美由希との模擬戦はさすがに怪我させない様に手加減してるから今まで必要なかったし。

 初めてまともに使う事になったけど、自分で戦った相手と一緒に治す事になるとは思わなかったよ。

 

「無意味な戦いではないさ

 少なくともお前の剣と実力は見ることが出来た

 つまらん嘘を吐くような奴じゃない事は解った」

 

「それは一応信用してくれるってことか

 確かにあんなにがんばったのに無意味だったら骨折り損の草臥(くたび)れ儲けだ」

 

 というかホントに何で戦わなきゃいけないのさ。

 話し合いでいいじゃん、戦う必要ないじゃん。

 戦って何でも決めるようじゃ危ない人だよ。

 ほんとにこの人将でいいの?

 

「と、とりあえず怪我がないんやったらええんやけど

 拓海君が不思議な力使える事は知っとったけど、全部は知らんかったからな

 ……それよりシグナム!!」

 

「は、はい!!」

 

「拓海君と仲良うせなあかん言うたやろ!!」

 

「いえ、これは手合わせなので…」

 

「そんなボロボロになるまでやることやないやろ!!」

 

「そもそも有無言わさずだったからな」

 

「た、拓海…」

 

 これくらいの仕返しくらい別にいいだろう。

 シグナムさんが困ってるがフォローする気はない。

 

「ヴィータとザフィーラはどうしとったんや!!」

 

「あたしはその…」

 

「将の意思でしたので」

 

「止めんかったちゅう事やろ!!

 全員正座や!!」

 

「「「は、はい!!」」」

 

 はやてちゃんの剣幕に反論を許さずに三人は正座することになり、シャマルさんはその様子におろおろするばかり。

 確か今日守護騎士達が現れて初日だったよな。

 はやてちゃん、家長としての素質がありそうだ。

 

 STSで何で管理局の部隊長になんか目指したんだろう?

 魔法を生かすためでも役職になんか着かずに事務仕事でもよかったんじゃなかろうか。

 家族で生活に困らない程度に仕事をすれば、皆と一緒の時間がもっと取れただろうに。

 闇の書事件の償いの延長かな。

 

 まあ、そんな事気にせずに生活出来るようになればいいな。

 それが今のはやてちゃんの小さな願いなんだか。

 

 

 

 

 

●極大・氷河剣を披露


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