【更新停止】転生して喜んでたけど原作キャラに出会って絶望した。…けど割と平凡に生きてます   作:ルルイ

37 / 51
第三十三話 戻った平穏と新たな日常

 

 

 

 

 

「平和だな~」

 

「ク~ン♪」

 

 闇の書の一件が終わって、俺の平穏な日々がまた戻ってきた。

 今は久遠と一緒に久々に神社でまったりと日向ぼっこをしている。

 もう季節は夏だけど、俺には凍気があるので関係なく快適な時間を過ごせている。

 

 闇の書を直死の魔眼で誤って夜天の書に戻してしまった後の事だ。

 グレアムさんは闇の書の事件の解決の報告とはやてちゃんの立場の確保の為の資料集めに本局に戻る事になった。

 霊力や負の念など管理局には理解の無い力があるから証明には俺の存在が必要になる。

 だけど、探査魔法にも引っかからない力や幽霊の存在を証明するのは非常に骨が折れる。

 というか本格的な調査になったら俺が研究対象にされそうなので、予知夢の知識通りに闇の書は改ざんされた物だったという事にして欲しいと頼んでおいた。

 直死の魔眼でバグだけ破壊してしまったという事になる。

 

 その事実を証明する為に無限書庫で闇の書に関する資料を集める事になる。

 なので予知夢で知ったということにして、ユーノの存在を紹介しておいた。

 ジュエルシードの事件とクロノ・ハラオウンから伝手が出来ると伝えると、知っていると応えられた。

 まあ闇の書の近くで別のロストロギア事件が起こったんだから、巻き込まれないか把握してても可笑しくない。

 

 アリアはまた連絡役として八神家に残ったよ。

 だけど事件が終わったから俺は八神家にいないと言ったら、口をあんぐりと空けて呆然としてた。

 まあ、その内また行くことになるだろうけどね。

 

 そのはやてちゃん率いる八神家の面々は、リインフォースさんの歓迎会をすると言っていた。

 俺も誘われたけど、気疲れしてたのといわゆる家族水入らずがいいだろうと言って遠慮しておいた。

 俺が遠慮すると久遠と那美姉さんも遠慮してそれぞれ帰る事になった。

 全ての問題が無くなったんだから、もう何事も無く仲良くしているだろう。

 

 

 

 俺ももう事件の事など気にせずに、久遠と仲良く日向ぼっこしてたんだけど…

 

「もう、話を聞いてよ、たっくんたら」

 

「お前はいつでも俺に愚痴りに来るな、美由希」

 

「クゥン」

 

 神社でのんびりしてたら美由希がやってきて、いつもの愚痴を楽しそうに語り始めた。

 なんでも最近家で飼い始めたフェレットが、飼い主が見つかって帰って行ってしまったんだそうな。

 

 フェレットって、ユーノだよな。

 たぶん闇の書の情報探しに無限書庫に引っ張っていかれたか?

 もしかしなくても俺のせいの可能性が高いけど、まあどうでもいいことだ。

 人間としていつまでもペットとして変われる事に疑問を持たんのだろうか、ユーノは。

 

「せっかくフェレット用のエサとか本とかいろいろ買ったばかりだったのに~」

 

 セーフだったのか、ユーノ?

 それともアウトか。

 さすがに使い魔とかとは違ってペットフードは食べられないだろう。

 いや、食えない事はないだろうけど、腹壊しそうだ。

 ペットフードを前に冷や汗を流すフェレットが思い浮かぶ…

 

「まあ、それでよかったんじゃないか?

 飼い主が見つかったって事だろ(人間の尊厳が保たれただろうし)」

 

「うん、まあね

 飼い主がいるならその人も可愛がってただろうから仕方ないって思うんだけどね

 やっぱり寂しいな~

 久遠、ちょっと慰めて~」

 

「やめい」

 

 俺の傍で丸まってた久遠を抱えようとした美由希の手を叩き落とす。

 久遠の愛らしさでユーノが居なくなった寂しさを紛らわそうという気持ちはわからないでもない。

 だが久遠をユーノの代用品になど勿体無さ過ぎる。

 そこらの野鼠でも追いかけてろってんだ。

 

「そもそも俺と久遠は今忙しいんだ

 とっとと帰ってくんない?」

 

「そんなこと言ったってここでボーっとしてるだけじゃない

 私の話相手くらいになってよ~」

 

 …仕方ない、ちょっとからかう程度に遊んでおこう。

 適当に美由希で遊んでるのも平穏な日常が戻ってきたことを実感出来るしな。

 

「あー…≪君は相変わらずだな、美由太君

 だけど御免ね、今クーちゃんと日向ぼっこ中なんだ≫(大山のぶ代ボイス)」

 

「わっ、たっくんの声がドラ○もんに!?」

 

「最近はわさびもまあいいかなって思ってる

 だけど、のぶ代とは年季が違うよね

 ≪そもそも君って奴はどうしていつも僕に頼るんだい?

 ちゃんと一人でがんばらなくちゃダメじゃないか≫」

 

「アハハハハ、似てる似てる!!」

 

「≪学校でまた嫌な事でもあったのかい?

 またテストで悪い点取っちゃったんだろう

 ちゃんと勉強して宿題もやりなよ≫」

 

「あ、あれ?」

 

「≪またお兄さんに苛められて楽しんでるのかい

 いつもいつも思うけどたまには一人で立ち向かってみたらどうなんだい?

 そんなんじゃ僕がいなくなったらどうするんだよ≫」

 

「これって私が説教されてる?」

 

「≪君はホントにダメな奴だな~≫」

 

「ほっといてよ!!」

 

 ふむ、やはり美由希はこうでなくては。

 ドラ○もんの声で責められたり慰められたりするのは地味に効きそうだ。

 じっくり遊んでみよう。

 

 

 

 

 

 美由希を言葉攻めで遊びまくっていたら、神社の石段を誰かが登って来る気配がした。

 この気ははやてちゃんと守護騎士達かな。

 守護騎士達も魔法プログラム体ではあるけど、食事などを行える事もあって気を感じる事は出来る。

 ただし基本が魔法による魔力で出来てるせいか、普通の人より気が小さくて歪な感じがする。

 

 普通の生き物は魔力は無くても平気だが、気が完全に底を突くと死にかねない。

 だけど守護騎士達は食事をしなくても大丈夫らしいから気を生成する必要もないけど、魔法で構成されてる体だから魔力が完全に尽きることは消滅を意味する。

 

 つまり普通の生物と完全に真逆なんだろう、彼らは。

 もしかしたら練習すれば気を使えるようになるかもしれないな。

 彼らにとって気は食事によって生成される不要な力に過ぎないだろうし。

 

 あーでも、プログラム体だから気を貯蓄する為の器なんて無いか。

 気を生成出来てるのは本来の機能にない副次作用で受け止める為の器が無いから、たぶん生成した直後から霧散してしまっているんだろう。

 だから感じられる気も瞬間生成量とイコールだから少ないし、生成のされ方も本来の機能じゃないから歪に感じるんだろう。

 

 守護騎士達と気の関係の考察を自己完結すると、美由希も石段を登ってくる気配に気づいたみたいだ。

 ふっと何かを感じたような顔をして石段の方を振り返る。

 

「ん~、はやてちゃんが来たかな~?」

 

「≪へえ、美由太君にしてはがんばったじゃないか

 えらいえらい≫」

 

「もう、それやめてよ!!」

 

 まあ十分遊んだし、そろそろこの声やめとくか。

 あまりやりすぎると逆に美由希を甘やかしちゃいそうだし。

 そうこうしている内に石段をはやてちゃんと守護騎士達が上がってきた。

 流石にはやてちゃんはまだ歩けるようにはなってないので、ザフィーラに乗せられて石段を上がってきてた。

 前回は美由希が抱えてここまで来たよ。

 

「こんにちわぁ、拓海君

 やっぱりここやったんか

 あれから家に来てくれへんから気になっとったんよ

 久遠と美由希さんも一緒なんやな」

 

「こんにちわ、はやてちゃん、他の皆も

 漸くやる事やり終わって、俺もなんか気疲れしてたから控えてたんだよ

 そっちの皆も生活に慣れる為にいろいろ準備が必要だったんじゃない?」

 

「まあ、確かに新しく来たリインの洋服やら必要な買い物があって大変やったわ

 けど皆楽しんでるで

 拓海君のおかげや」

 

「それはどうも

 それで今日はどうしたんだ、みんな揃って」

 

「町を皆に案内してるんよ

 これからこの町で生活するんやから良く知っといてもらわんと

 神社の近くに寄ったから、もしかしたら居るかな思うて登ってきたんよ」

 

「なるほどね」

 

 今は守護騎士達の皆も私服姿でゆったりしている。

 リインさんも初め見た黒いタイツのような姿ではなく質素なワンピース姿だった。

 その姿を見ているのに気づかれると少々恥ずかしそうに俯いてた。

 初々しいというかなんというか。

 

 そんな彼らの様子を見てると、その後ろから小さな影が飛び出してきて俺の傍まで寄ってきた。

 八神家に在住中の猫姿のアリアだった。

 どうやら一緒に来てたらしい。

 

『拓海、何ではやての家に来ないのよ』

 

 直後、念話で声をかけてきた。

 普通に話さないのは美由希という知らない人物がいたからだろう。

 まあ久遠が話せるのは知ってるから別にいいんだけどね。

 

『あの子の家じゃ私は余所者なのよ

 居心地が悪くてしょうがないわ』

 

『ああ、なるほどね

 やっぱり彼らとは仲良く出来ない?』

 

『そういう問題じゃないわ

 守護騎士達はどうでもいいけど、はやてには負い目があるのよ

 家族が出来て幸せそうな姿を見るのは私にはちょっと辛くてね』

 

 そう言って俺に寄り添ってくるアリア。

 顔を擦り付けてくる仕草で撫でて欲しがってるのがわかったので、片手でいつも通り撫でてやる。

 もう片方の手は俺の膝の上に乗っている久遠の背中に乗せていた。

 

 当の久遠はこの前の一件でアリアと少々険悪なのか、傍に居るアリアを円らな瞳がちょっと睨んでいるように見える。

 それに気づいたアリアも久遠を睨み返すようにして毛を逆立ててた。

 

『久遠だったわよね

 ちょっとそこ退いてよ

 これまで拓海と一緒にいたんでしょ』

 

『や、ここ久遠の場所

 泥棒猫はどっか行っちゃえ』

 

『ちょ、久遠どこでそんな言葉を!?』

 

『クゥ、美由希のお話』

 

 そういやそうだったー!!

 あれで美由希をからかった時、久遠もいたんだっけー!!

 今後美由希をからかう時は久遠の教育に宜しくない言葉は使わないようにしないと。

 

『いいじゃないのよ、ちょっとくらい!!』

 

『ダーメー!!』

 

 ニャーニャークークーとお互い鳴き始めて一発触発になる。

 こんな近くで暴れられるのは勘弁だから、片手ずつ二匹とも纏めてゴットハンドで撫でて諌める。

 

「ク~ン」「うにゃぁ~」

 

 すると一発触発の気配が消えて、あっという間にリラックスしたような感じになる。

 自分でもやってて少し恐くなるな、この技は。

 まあ、二匹とも可愛いんだからいいんだけどね。

 

「二人とも無理に仲良くしろとは言わないけど喧嘩するなよ

 喧嘩するならもう撫でてやらないぞ」

 

「やだ!!」「それは嫌!!」

 

「じゃあ細かいことで喧嘩するなよ、ほら」

 

 俺は少し久遠を隅に寄せてアリアも一緒に膝の上に乗せてやる。

 二匹くらいならギリギリだけど俺の膝の上にも乗る。

 そしてまた両手で二匹とも撫でてやると、二匹とも気持ち良さそうに丸まって寝転がった。

 やっぱり喧嘩するより仲良くしてるほうがいいな。

 違う毛並みだけど二匹ともモフモフしてて気持ちいい。

 足に感じる二匹の重みも温かみがあって心地よい。

 

「たっくん、その猫ちゃんはどうしたの?

 久遠と同じで喋ってたけど」

 

「にゃ!?」

 

 今更念話をやめて喋ってた事に気づいたアリア。

 撫でられるのを気に入ってくれるのはいいけど迂闊過ぎるぞ。

 

「アリア、別に気にしなくていいぞ

 美由希の言ってる通り久遠が喋れるのを知ってるから、お前が喋っても問題ない」

 

「え、そ、そう?」

 

「アリアって言うんだ、可愛いね

 ほらおいでー」

 

「……(プイッ)」

 

 美由希がアリアに手招きして抱こうとしている。

 だけど美由希を一瞥してアリアは再び俺の膝の上に久遠と一緒に丸まる。

 

「ありゃ?」

 

「美由希に遊ばれる趣味はないそうだ」

 

「そんな~…

 うぅ、誰かユーノが居なくなった悲しみを癒してよー

 いっそユーノもお話出来てお別れを言ってくれたらよかったのに」

 

 お喋り出来るけどな。

 次会った時、ユーノは追求されたりしないかな。

 なのはちゃんが魔法の説明を家族にして、ユーノの存在が明らかになったらどうなることやら。

 

「ところではやてちゃん、そっちの人達は?」

 

「あ、私の新しい家族です

 美由希さん、紹介しますね」

 

 はやてちゃんが守護騎士達を美由希にそれぞれ紹介し始める。

 逆に美由希の事は俺との付き合いで出来た友達だって守護騎士達に言ったら、美由希が何か感動してた。

 美由希、友達が少なかったのか?

 

 順番に名前を教えていって、最後のはやてちゃんが乗っているザフィーラの番が来た。

 ペットポジションであるザフィーラはやっぱり最後だった。

 

「そんでもってこの子がザフィーラや

 私を乗せてもちゃんと歩いてくれるからすごいやろ」

 

「へぇー、おっきな犬だねー

 この子も喋れたりするの?」

 

「喋れるで」

 

「へ?」

 

 美由希も流石にザフィーラまで話が出来るとは思ってなかったようで、ボケッとした声を漏らす。

 ちょっとした暴露にザフィーラ自身慌てたようではやてちゃんに念話で話しかける。 

 

『あ、主、よろしいので?』

 

『かまへんかまへん

 久遠もアリアさんも喋っとるやし今更やろ

 ほら、ザフィーラ挨拶』

 

「む、むぅ…

 ザフィーラだ、よろしく頼む」

 

「ホントに喋ってる…

 最近喋る動物って多いのかな?

 なんだかホントにユーノが喋れてても可笑しくないなー」

 

 ホントに次に美由希がユーノに会った時の反応が楽しみだ。

 

「美由希さん、さっきからユーノって名前がよう出るけど何なん?」

 

「そうだ、聞いてよはやてちゃん!!

 実はね…」

 

 そしてはやてちゃんに先ほどのユーノが居なくなったことの愚痴を語りだす美由希。

 その様子を守護騎士達はただポカンと見つめるばかりで手持ち無沙汰になっている。

 とり合えず話は長くなりそうだから、各々近くで寛いでればと俺は守護騎士達に言っておいた。

 

 

 

 その後は美由希の話をはやてちゃんと話に興味を持ったシャマルさんが聞き役になり、はやてちゃんを背負っているザフィーラは必然的に一緒に聞かされることになってる。

 ヴィータは以前遊んだ傀儡符を持ってないかと聞かれたが、一応作って置いたが今は持ってなかったので、代わりに普通の式神符を渡しておいた。

 使い方を教えたら早速札に魔力を込めて特大サイズの呪いウサギを作って動かし始めた。

 試作品だった傀儡符よりは使いやすいだろうし、術式の書き込みも熟練してたからそこそこ強度もある。

 ヴィータ自身も乗れるようなサイズだったので頭に乗ったり、逆に抱えられたりして遊んでいた。

 

 残りのシグナムさんとリインさんは俺の近くで他の皆の様子を見守っている。

 外見年齢の高い二人は、まるで皆の保護者ポジションだ。

 

「リインさんとはやてちゃんの状態はどうですか?」

 

「私の方は今のところ何も問題ない

 一切蒐集をしていないから大した力は出せないが、我が主はそれを必要とはしていないからな

 主はやての足も病院で検査を受けて、リハビリを行い続ければいずれ歩けるようになると石田先生が言っていた

 突然良くなった事に頭を悩ませていたが、原因である私として非常に申し訳ない」

 

「あまり自分を責めるな、リインフォース

 主はやてに何度も咎められているだろう」

 

「そうだったな、シグナム

 本当に主はやてはお優しい方だ。」

 

「ああ、その通りだな」

 

 どうしよう…こいつら忠誠心が高すぎて話し方が硬い。

 正直聞いていると何処の時代劇の忠臣同士の会話だってんだ。

 いやまあ古くて家臣って意味じゃ間違っちゃいないんだろうけどな。

 

「もうちょっと普通に話したらどうなんだ

 そんなんじゃはやてちゃんも堅苦し過ぎるってその内言うんじゃないか?」

 

「…すまない、もう告げられてしまった」

 

「我らも出来る限り主の願いに応えようと思っているのだが、普通に話すというのが良く判らないんだ

 古くから騎士として戦ってきたせいなのだろうか」

 

「だけど、ヴィータ達は平然と話してるように見えるけど?」

 

 視線の先には、美由希が話すだけでなくはやてちゃんやシャマルさんも世話話を始めて、そこへ特大呪いウサギに乗ったヴィータがはやてちゃんの名を呼びながらやってきて、その状況でもなおはやてちゃんの足代わりであろうという忠犬振りを示しながら黙っているザフィーラがいた。

 

「ザフィーラはともかくヴィータとシャマルさんは随分自然とはやてちゃんに付き合ってるけど?」

 

「…私達がおかしいんだろうか?」

 

「同じ守護騎士の筈なのだがな…」

 

 他の面々と比べられて落ち込む二人。

 騎士としては十二分に立派な性格なんだろうけどな

 

「はやてちゃんは自分に仕えるよりも、二人に何か楽しみを見つけて欲しいんだと思う

 何か好きな事ややりたい事を自由にやればいいんじゃないか?」

 

「主はやてにも同じ様な事を言われてしまったのだが」

 

「主に仕えることこそが我らの存在意義だったから、他に何かやりたい事など考えたこともない」

 

 ダメだ、こいつら筋金入りだ…

 はやてちゃんも案外この二人の性格に少し苦労してるんじゃないか?

 後で聞いたら、その通りでもうちょっと何とかならんかな~って相談されたよ。

 

「私に出来ることは剣を振るうことだけなのでな

 …そうだ、拓海

 よければ一戦「却下」……そうか」

 

「私は自由に行動できる事自体が無かったから、本当にどうしていいのかわからない

 ただ…」

 

「ただ?」

 

 リインさんは楽しそうに会話をしているはやてちゃんを見ながら、嬉しそうに薄っすらと微笑む。

 そんな様子の横顔を見て、俺は少しだけ見惚れてしまった。

 

「もう壊さなくて済む、この平和な日常を私は楽しいと感じている

 私のしたかった事はきっとこんな日々を送る事だったんだと思う

 主と騎士達が笑い合える光景を見続けられるだけでもう一杯なんだ

 これ以上、今は何も望めない」

 

「…そっか、ならそれでいいんじゃないか?

 無理に探したってはやてちゃんの願いに応えるだけになる

 はやてちゃんと一緒に過ごしてれば何かしたい事、自分に出来る事が見つかるさ」

 

「……そうか」

 

「自分に出来ることか…」

 

 

 

 後日聞いた話によると、シグナムさんは近くの剣道場で非常勤講師をしてみることになる。

 リインさんはシグナムさんの話を聞いて、自分もどこかで働けないかとアルバイトを探してみることにするそうだ。

 はやてちゃんにいろいろ買ってもらってるからせめてもの恩返しだそうな。

 二人とも少しずつではあるがはやてちゃんとの生活で新しい自分を見つけ始めていた。

 

 

 

 

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。