【更新停止】転生して喜んでたけど原作キャラに出会って絶望した。…けど割と平凡に生きてます   作:ルルイ

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第四十話 デュランダルとレイジングハート

 

 

 

 

 グレアムさんには俺が知る限りの未来の事を伝えてから管理局から地球に戻った。

 今後起きる事件は全て次元世界での事だ。

 自分の住む場所でなければ無理に関わろうとする気は無い。

 出来ることに関しては多少は手を尽くすが、無理なことはしないつもりだ。

 

 なのはちゃんの撃墜事件に関しては正直どうしたものか。

 疲労の蓄積が大きな原因だから、俺が気を見れば疲労してるかどうか位はわかるけど、それ以上の事は出来ない。

 何時何処で事件が起きるとも知れないから、健康管理を見極めるのが精一杯。

 後はなのはちゃんの心理状態くらいか。

 

 今のなのはちゃんって原作とどう違うんだろう。

 魔法で相手を倒す事にちょっとくらい躊躇してると思いたいし(SLBを見る限り、見込み薄いが)、魔法に対する依存はどういったものだろう。

 事の原因は昔の父親の怪我のときの孤独だけど、俺が多少は相手をしてたからマシになってると思いたい。

 

 

 

 少しなのはちゃんの様子に気遣ったほうがいいと思いながら、今日はなのはちゃんと一緒に魔法の練習をすることになった。

 デバイスが手に入った事を話したら、一緒に練習しようと誘われた。

 デュランダルも実際に使ってみたかったので好都合だった。

 

 ちなみに管理局に行ってきた翌日だが、はやてちゃん達はまだ向こうに残っていろいろ手続きがあるみたいなので帰ってきていない。

 一週間くらいは掛かるんじゃないかとグレアムさんは言っていた。

 色々大変だと思うがグレアムさんがいるので危険な目に遭うとも無いだろう。

 戻ってきたら色々話を聞いてみよう。

 

「ねえねえ、早くたっくんのデバイス見せてよ」

 

「そんなに急かさすなって

 貰ったばかりでまだ慣れてないんだから」

 

 デバイスってのはこっちの機械と違って音声や意思起動が当たり前。

 ボタンなんて付いてないからちょっと戸惑うんだよな。

 声で起動なんてちょっと恥ずかしいじゃん。

 

「それじゃ、デュランダル起動」

 

【スタートアップ】

 

 カード型の待機状態のデュランダルを持ちながら命じると、俺の声に反応してカードが魔力光になってその場に青と白の杖が現れた。

 先っぽの方はなんだか戦闘機の頭のような鋭角で、一見槍のようにも見えなくは無いが長さはなのはちゃんのレイジングハートと同じくらいで、やはり杖として機能するのだろう。

 まあ容易に形が変形するんだから長さ調整位は簡単に行えるだろう。

 

 フェイトのバルディッシュみたいに魔力刃を出して槍としても使えるかもしれない。

 今のところそういう魔法はデュランダルに入ってないらしいけど。

 

「へー、それがたっくんのデバイスなんだ」

 

「ああ、氷結の杖デュランダルって言うらしい

 その名の通り氷の魔法が使えるみたい」

 

「そうなんだ

 こんにちわ、デュランダル」

 

【…………】

 

 デュランダルに向かって挨拶するなのはちゃん。

 だけどインテリジェントデバイスじゃないデュランダルはなのはちゃんに答えることは無く沈黙を保ったまま。

 もしかしてなのはちゃん、デバイスは喋るもんだと思ってる?

 

「なのはちゃん、デュランダルは基本的に会話は出来ないよ」

 

「え、でも私のレイジングハートはお話出来るよ

 フェイトちゃんのバルディッシュだってお話出来たもん」

 

「それはインテリジェントデバイスだからだよ

 デュランダルはストレージだから会話機能は無い」

 

「インテリジェント? ストレージ?」

 

 なのはちゃん、その辺りから知らなかったらしい。

 まあ事件中は知る必要の無い事だっただろうしな。

 一般的なデバイスが喋れる物だと思っても不思議じゃない。 

 

「デバイスにも色々種類があって、人工知能を備えてるのがインテリジェントデバイス

 ある程度デバイスの意思でも魔法を発動出来て、緊急時などには防御魔法を自動で使って持ち主を守ってくれる」

 

「そういえば初めてジュエルシードと戦った時にも、レイジングハートが魔法を使って守ってくれたっけ」

 

「で、人工知能を持たないのがストレージデバイス

 こっちは自動で魔法を使ってくれたりはしないけど、AIが無い分処理速度が速いらしい」

 

 実際の所に種類のデバイスには処理速度とか大差があるようには感じないんだよな。

 インテリジェントデバイスのほうが上級者向けだって話だけど、もしレイジングハートがストレージだったら最初のジュエルシードでやばかったんじゃないか?

 AIによる補佐がある分、どちらかと言うとインテリジェントのほうが初心者向けだよな。

 

「じゃあ、たっくんのデバイスはお話出来ないんだ」

 

「そういうことだね

 この二種類の他にもいくつか種類があるらしいよ

 はやてちゃんとこのシグナムさん達が使うベルカ式は、近接戦闘を主体としたアームドデバイスって言うらしいし

 魔導師と融合する事で魔導師の能力を拡張するユニゾンデバイスなんてのもある

 リインさんがそのユニゾンデバイスなんだって」

 

「へぇー……って、えぇーー!!

 リインさんがデバイスなの!?」

 

「普通の人にしか見えないよな」

 

「うん、レイジングハートとは全然違うの」

 

 どっからどう見ても普通の人間にしか見えないよな。

 日本人には見えないから容姿は特殊だけど、デバイスみたいな機械要素がこれっぽっちも見えない。

 まあシグナムさんたちみたいな魔法プログラムとして体を作ってるんだろうな。

 良く考えたら俺の式神も擬似的に生物を作る辺りは同じだし。

 

 今の所デバイスは大きく分けて四種類だけど、STSでは補助専門のブーストデバイスなんてのもある。

 調べてみれば他にもいろんな種類のデバイスがあっても不思議じゃない。

 デバイス自体にも興味は尽きないな。

 

「インテリジェントの方にも興味はあるけど、俺はデバイスが話せても話せなくてもどちらでもいいよ

 魔法自体に興味があるから使えるのなら今はこれで十分だし

 そろそろ魔法の練習始めようと思うけど、結界張ってくれる?」

 

「え!? えーとその…」

 

 デュランダルは闇の書の封印が目的だったから、凍結封印のエターナルコフィン以外には初歩の魔法の術式は入っていなかった。

 はやてちゃん達が戻ってくるのと一緒にアリアが戻ってきたら教えてもらえるけど、それまでは初歩の魔法しかデュランダルは使えない。

 

 ちなみに入っているのは誘導弾のシューター・プロテクション・バインド・バリアジャケットのみ。

 バリアジャケットはストレージじゃレイジングハートみたいに自動ではやってくれないから結局使えない。

 まあ、まだどういう服装にするか決めてないからいいんだけどね。

 なのはちゃんみたいな制服にも見える出歩いてても可笑しくない普通の服装っぽいのがいい。

 クロノのトゲ付みたい服装は、こっちじゃ恥ずかしくて出歩けない。

 

 ともかくデュランダルには結界の魔法は入っていないので、魔法の練習をするならなのはちゃんに結界を張ってもらうことになる。

 たとえデュランダルに結界魔法が入っていたとしても、いきなり俺に使えるかわからないけど。

 ところがなのはちゃんに結界を頼んだらドモられた。

 もしかして…

 

「もしかしてレイジングハートにも結界魔法が入ってないの?」

 

「そ、そうじゃないの…

 ただその、私じゃうまく使えないの」

 

「使えない?

 レイジングハートには魔法自体は入ってるのに?」

 

「うん、ユーノ君に何度かやり方を教わってるけど、どうしても出来なくって…

 ユーノ君が言うには適正の問題なんだって

 だ、だけど他の魔法は使えるよ!!

 砲撃魔法とかすごく得意なんだから!!」

 

「いや、知ってるから…」

 

 なのはちゃんと言えば砲撃魔法の代名詞。

 魔砲少女とすら呼ばれるくらいだからな。

 そういえばなのはちゃん自身が結界魔法を使ったことは無かったっけ。

 大抵はユーノが代わりに結界を使ってて。

 攻撃魔法が得意じゃないユーノとはまるで逆ってことか。

 

「じゃあ、どうやって魔法の練習するつもりだったの?

 結界が無いと派手になる魔法とか使えないよ」

 

「たっくんが使えるかなと思って…」

 

「俺はデバイス貰ったばかりの初心者なんだよ

 それにデュランダルには結界魔法が入ってないから使えないし」

 

「あうう…

 いつもユーノ君に結界張ってもらってたから忘れてたの」

 

 魔法の練習しようと思ったらいきなり行き詰った。

 今はユーノも守護騎士達もいないから結界魔法は誰も使えないし。

 派手にならない程度の練習でいいか。

 俺の方には大した魔法は入ってないし。

 

【マスター、よろしいですか】

 

「どうしたの、レイジングハート?」

 

【彼に結界魔法を試してもらってはいかがでしょうか】

 

 結界が使えなくて困っていたらレイジングハートがなのはちゃんに声をかける。

 だけどデュランダルには結界魔法入ってないんだけど。

 

【私から彼のデバイスに結界魔法の術式を送ります

 適正があれば使うことが出来るかもしれません】

 

「えーと……どうしよっか?」

 

「俺は構わないけど」

 

 いきなり結界魔法を使えるか判らないけど、使えるならデュランダルの魔法が増えるのはありがたい。

 実質使える魔法が三つというのは寂しいからな

 まあ物は試しとデュランダルに術式を受け取ってみるか。

 

 

 

 

 

 デュランダルでレイジングハートから結界魔法を貰って試してみると、案外簡単に成功してしまってなのはちゃんが少し落ち込んだ。

 術式の構築はデバイス任せだけど、使用する魔力は俺の物だ。

 その御蔭か術式を構築する感覚がなんとなく判った。

 何度も使ってればデバイス無しでも使えるようになるかも。

 

 術式の構築後に結界が広がっていく感覚が円に少し似ていた。

 そのせいか円と同じくらいで結界の広がりは止まった。

 シャマルさんの結界だったらもっと大きく出来たけど、初めて使って成功したなら上出来だろう。

 

「初めて魔法を使ったのに一回で成功させちゃった

 私が何度やってもうまくいかないのに」

 

「適正の問題なんだろ

 なのはちゃんだってジュエルシードの時には魔法は始めてばかりで使ってたじゃないか」

 

【その通りです

 マスターは恐らく魔力の収束に適正があり、逆の拡散か広範囲には適性がないのでしょう

 結界などの広範囲維持はもっとも適さないのだと思われます】

 

「そっか…

 やっぱり何でも出来るって訳じゃないんだ」

 

「魔法ってのは生まれ持った資質が一番重要らしい

 出来ない事をやろうとするより出来ることを伸ばしたほうがいいよ」

 

 俺は能力の御蔭でいろいろ出来るんだろうけど、それでも基本となる資質はどうしようもないんだろう。

 フェイトやシグナムさんみたいに無条件での魔力変換資質は生まれつきらしいし。

 デュランダルには元から凍結の為の機能がついてるから俺にも凍結変換が使えるけど、無ければ変換する術式を覚えないと出来ないだろうな。

 効率も生まれつきの資質よりは悪いんだろうし。

 

「うん、そうだね

 私も出来る魔法で頑張るよ

 ところでたっくんが結界張ってからなんだか寒い気がするんだけど何でだろう?」

 

「たぶんデュランダルの特性が原因だな

 こういう風にも効果が現れるのか」

 

 デュランダルには凍結変換の術式が入ってるわけではなく、変換機能としてついているらしい。

 完全に凍結魔法に特化させる為なのか、固定機能なのでデュランダルで使った魔法は全て凍結変換がされることになる。

 つまり今張った結界も凍結変換がされているので、結界内部が寒くなるのは当然の事だろう。

 

「そういうわけだから多少寒いのは我慢して

 多少の調整くらいは出来ると思うけど、まだデュランダルの使い方はあまり知らないから」

 

「うん、これくらいはへっちゃらだよ

 じゃあ、魔法の練習始めよっか」

 

 幸い我慢出来ないほどの寒さではないので問題はなかった。

 威力を上げる事が出来たなら結界内を冷凍庫みたいな低温環境に出来そうだ。

 そういう魔法も面白いかもしれない。

 

 

 

 漸く始まったなのはちゃんとの魔法の練習。

 結界は展開出来たら維持自体はそれほど手間ではないみたいで、デュランダルで他の魔法も使えた。

 とはいえ俺は魔法初心者だし、なのはちゃんは感覚で魔法を使っていたので知識は殆ど無いから誰かに教えられるような物じゃなかった。

 

 始めに使ったシューターのスフィアも、なのはちゃんのアドバイスはパッとしてギュッとしてビューんなんていう擬音を使った説明だった。

 まあ魔力の玉を出すだけならなのはちゃんと同じ位の数は出せた。

 だけど高速で複数飛ばして制御するのは、なのはちゃんに全然及ばなかった。

 流石射撃魔法を得意としてるだけあって、明確な才能の差を感じられた。

 

 結局はシューター同士で空中鬼ごっこをするという、いつもの遊び兼訓練になった。

 俺のシューターがなのはちゃんのシューターを追いかける形になる。

 逆だとあっという間に追いつかれるから練習にならなかった。

 

 プロテクションはとりあえずなのはちゃんのシューターを受けることで試し、防御することは容易に出来た。

 そこでなのはちゃんがディバインバスターを試そうとした所で流石に止めた。

 さっきも言ったがバリアジャケットは設定してないから纏ってもいないので、俺の魔法防御は低いだろうからプロテクションを抜かれたらまともに食らうので遠慮したい。

 とりあえずシューターを止めれるだけの防御魔法は使えたからいいだろうと思った。

 

 バインドはなのはちゃん相手に試したらとりあえずは成功したけど、バリアジャケットごと凍りついた。

 凍った部分は魔法も阻害するらしく、なのはちゃんがバインドを破るのに少し苦労していた。

 普通のバインドでも凍結変換が付くだけで結構違う物になるらしい。

 変換機能は強制でも割と使えそうだ。

 

「凍結変換って面白いんだね

 私と同じ魔法でも違う魔法みたいなの」

 

「確かに特性が付くという時点で別の魔法とも言えるかも知れないな」

 

「レイジングハートにはそういう機能ってないんだよね」

 

【はい、ありません

 そもそも魔力の変換を自動で行われるデバイスは一般にはありません

 本来は本人の資質か専用の魔法を持って魔力が変換されます】

 

「えっと、レイジングハートや普通のデバイスじゃ無理ってことだよね

 デュランダルが出来るのは特別だから?」

 

 確かにデュランダルはストレージでも特別なデバイス。

 魔力変換が自動で行われる機能が一般的なら、誰でも当たり前のように使ってるだろう。

 そうしないのは恐らく結果に見合わないほどの異常なコストが掛かるんだろう。

 ストレージよりインテリジェントのほうが高価って聞くけど、デュランダルは闇の書を封印する為に作られたデバイス

 普通のストレージよりも金を掛けてそうだ。

 もし壊れたりした時、修理出来るかな…

 

【はい、デュランダルは例外的なデバイスです

 彼女、フェイト・テスタロッサのような魔導師が普通の魔力変換資質の持ち主です】

 

「フェイトちゃんが?」

 

【彼女の魔法が電気になっているは魔力変換資質によるものです】

 

「ちなみにはやてちゃんとこのシグナムさんは炎熱変換

 つまり魔力を炎に出来る資質を持ってる

 他に使える人は知らないけど、出来る人は初めから当たり前のように出来るんだって」

 

 気の性質変化では俺も色々な性質が出来たので、魔力では出来ないかと試してみた。

 だけど気みたいにうまく変化させることは出来なかった。

 変化しなかったわけじゃないけど、変化させるのに時間は掛かるし効率も悪かった。

 魔力の性質変化には資質が重要みたいで、資質が無いなら術式を使わないと出来ないらしい。

 まあ、デュランダルみたいに特別な方法も存在するみたいだけど。

 

「魔導師にも色々あるんだね」

 

「というか、なのはちゃんはユーノにそういうこと聞いてないの?」

 

「え!?

 えっと……ユーノ君には魔法の上手な使い方を教わってただけだから…」

 

「つまり実戦ばかりで知識はあまり手を出してないわけか」

 

「あうぅ…」

 

 なのはちゃん、運動神経無い割に脳筋だな。

 勉強はそこそこ出来るほうだと思ってたんだけど。

 この様子だとあまり勉強をしてたわけじゃないか。

 

「なのはちゃんも実戦ばかりじゃなくて勉強もしてみような」

 

「うん…」

 

 数日後にはやてちゃん達が戻ってきた後の勉強会になのはちゃんはちょくちょく参加することになる。

 それからせっかくなので結界のように、レイジングハートから魔法の術式をいろいろ貰う事が出来た。

 なのはちゃんの結界のように適性がなければ無用の長物になるけど、なのはちゃんは高い魔力と資質を持ってるけど特殊な資質を持ってるわけじゃないから、大抵俺にも使える可能性のある魔法ばかりだろう。

 

 まとめてデュランダルに送られてきたみたいなので、今日の魔法の練習が終わって帰ってから確認したらSLBも入ってたのにちょっと驚く事になった。

 これまで入ってるなんて思ってなかったけど俺に使えるのだろうか?

 かめはめ波と見た目似てるのに、湧き上がる感情はとても恐れ多いという畏敬を覚えるんだが…

 

 そもそもこれ、簡単に誰かに教えていいのか?

 フェイトとの決戦見たらやばいモンにしか思えないんだけど。

 核兵器のスイッチをポンと渡されてしまった気分だ。

 

 まあこれにも適正とかもあるだろうし、感覚で編み出した物だからなのはちゃんにしか完全に使いこなせないだろう。

 なのはちゃんは先天性の特別な資質は無いけど収束魔法の適正が高いから、溜めて放つ砲撃魔法に向いている。

 もし俺が同じ魔力と魔法を使っても同じ威力にはならないだろう。

 それでも使えないことは無いんだろうけど。

 まあ魔法の練習の参考にさせてもらおう。

 

 

 

 

●レイジングハートの所有する魔法取得


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