「悔しいが、このままジョースターさん達とポルナレフ達に合流するしかない」
「・・くそッ!」
アヴドゥルの発言に、大樹は地面に拳を打ち付ける。
解っていても、どうしようのない苛立ち。
ぶつけるしか、払えそうにない。
本音を言えば、ホルホースはここで殺すのでなく、捕まえたかった。
襲って来た手前、死刑を言ったが。
アイツの能力はコンビを組まれると、本当に厄介だからだ。
加えて、傭われとしての繋がり、裏社会の情報が欲しかった。
何よりもDIOの情報も欲しいので言ったけど、外部の人間に詳しい情報を持たせないし、デーボと同じように情報の取捨選択できそうだから期待できないか。
「・・良い加減に離してくれないか?
もう、あいつは行っちゃたよ」
「・・?・・・・・」
褐色肌の女性は未だに、俺に抱きついていたので注意すると、疑問そうな顔から訝しげな表情に変わって、俺をマジマジと見てる。
正体が解ってるから手法も解るんだが、恐らく俺にアレを付けようとしたんだろうな。
バリアーで弾いてやりましたとも。
「仕方無い、アヴドゥルさん。
まず、合流しましょう」
憂鬱に大樹は振り向く。
女性がこっちを見続けてるが無視する。
関わってる暇はない。
後で、それとなく皆に注意しないとな。
「・・・・」
「・・?
アヴドゥルさん、なぜそんなに汗を流し・・!?」
アヴドゥルを見た瞬間に、冷や汗が流れる大樹。
馬鹿な、なんでコイツが!
「まだ、生きていたとでも!?」
『・・グッフフフ。
ポルナレフに斬られはしたが、お前たちを人質に取り、もうひとりスタンド使いが居る事を仄めかす事で、何とか膠着状態に持っていった。
アヴドゥルは俺を斬った見せしめだ!』
目の前のアヴドゥルからは、ただ、不自然に背中から血が溢れてる。
近くの、水たまりに体に斬られた痕が嫌でも見える。
ミイラ男がアヴドゥルを掴み、右手の仕込まれた剣で背を刺している!
糸の切れた人形のように倒れるアヴドゥル・・・。
「・・くッ!
(しまった!
こいつの能力はネタが割れてれば封じれるので、怖くないと考えていた!)」
汗を流し、焦りながら距離を確認する大樹。
そのまま、倒れたアヴドゥルに近づき、水たまりに映らないようにしゃがむ。
あの女が馬で鍋を弾いたのは、ホルホースを逃す為だけで無く、J・ガイルのスタンドが生きてるのが、どうしてか解ったから、時間稼ぎで逃がしたのか!
自身の能力が、効かなかった場合に備えて・・・。
目を女に向けると無表情そうに見えて、こちらを観察している。
恐らく、俺の頭が悪い推理でも、大きくは外れて無いはず。
「アヴドゥルさん!しっかりしてください!
アヴ・・!馬鹿な・・・呆気なさすぎる。
こんな、簡単に・・・・・」
気絶しているアヴドゥルさんを掴むと生きてるか、確認を行う。
確信した俺は、本来は花京院が行う演技を即興で行った。
生きてはいるのが解かるのに涙が溢れる。
ああ・・・俺は、また。
「守れなかったって言うのか・・!
承太郎、ジョセフさん!」
「「・・・」」
守れずに目の前で傷つく経験を再びする事に涙が止まらない。
承太郎とジョセフさんが気づいて、無言で近づく。
「いけない!こっちに来ては餌食になる!!」
俺がストップを掛ける。
既にここが相手のテリトリーだからだ。