俺はなんだってこんなところに   作:駄作

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44話 吊られた女帝

「悔しいが、このままジョースターさん達とポルナレフ達に合流するしかない」

「・・くそッ!」

 

アヴドゥルの発言に、大樹は地面に拳を打ち付ける。

解っていても、どうしようのない苛立ち。

ぶつけるしか、払えそうにない。

 

本音を言えば、ホルホースはここで殺すのでなく、捕まえたかった。

襲って来た手前、死刑を言ったが。

アイツの能力はコンビを組まれると、本当に厄介だからだ。

 

加えて、傭われとしての繋がり、裏社会の情報が欲しかった。

何よりもDIOの情報も欲しいので言ったけど、外部の人間に詳しい情報を持たせないし、デーボと同じように情報の取捨選択できそうだから期待できないか。

 

「・・良い加減に離してくれないか?

もう、あいつは行っちゃたよ」

「・・?・・・・・」

 

褐色肌の女性は未だに、俺に抱きついていたので注意すると、疑問そうな顔から訝しげな表情に変わって、俺をマジマジと見てる。

正体が解ってるから手法も解るんだが、恐らく俺にアレを付けようとしたんだろうな。

 

バリアーで弾いてやりましたとも。

 

「仕方無い、アヴドゥルさん。

まず、合流しましょう」

 

憂鬱に大樹は振り向く。

 

女性がこっちを見続けてるが無視する。

関わってる暇はない。

後で、それとなく皆に注意しないとな。

 

「・・・・」

「・・?

アヴドゥルさん、なぜそんなに汗を流し・・!?」

 

アヴドゥルを見た瞬間に、冷や汗が流れる大樹。

 

馬鹿な、なんでコイツが!

 

「まだ、生きていたとでも!?」

 

 

『・・グッフフフ。

ポルナレフに斬られはしたが、お前たちを人質に取り、もうひとりスタンド使いが居る事を仄めかす事で、何とか膠着状態に持っていった。

アヴドゥルは俺を斬った見せしめだ!』

 

 

目の前のアヴドゥルからは、ただ、不自然に背中から血が溢れてる。

近くの、水たまりに体に斬られた痕が嫌でも見える。

ミイラ男がアヴドゥルを掴み、右手の仕込まれた剣で背を刺している!

 

糸の切れた人形のように倒れるアヴドゥル・・・。

 

「・・くッ!

(しまった!

こいつの能力はネタが割れてれば封じれるので、怖くないと考えていた!)」

 

汗を流し、焦りながら距離を確認する大樹。

そのまま、倒れたアヴドゥルに近づき、水たまりに映らないようにしゃがむ。

 

あの女が馬で鍋を弾いたのは、ホルホースを逃す為だけで無く、J・ガイルのスタンドが生きてるのが、どうしてか解ったから、時間稼ぎで逃がしたのか!

自身の能力が、効かなかった場合に備えて・・・。

 

目を女に向けると無表情そうに見えて、こちらを観察している。

恐らく、俺の頭が悪い推理でも、大きくは外れて無いはず。

 

「アヴドゥルさん!しっかりしてください!

アヴ・・!馬鹿な・・・呆気なさすぎる。

こんな、簡単に・・・・・」

 

気絶しているアヴドゥルさんを掴むと生きてるか、確認を行う。

確信した俺は、本来は花京院が行う演技を即興で行った。

 

生きてはいるのが解かるのに涙が溢れる。

ああ・・・俺は、また。

 

「守れなかったって言うのか・・!

承太郎、ジョセフさん!」

「「・・・」」

 

守れずに目の前で傷つく経験を再びする事に涙が止まらない。

 

承太郎とジョセフさんが気づいて、無言で近づく。

 

「いけない!こっちに来ては餌食になる!!」

 

俺がストップを掛ける。

既にここが相手のテリトリーだからだ。


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