ONI零の舞台は平安時代、彼女は人間なので、生まれ変わりです。
カネキとトーカは、喫茶店『天地丸』を訪れる。トーカが敵情視察だと、強引にカネキを付き合せたのだ。
元々、カネキも行ってみるつもりだったが。
店の中は、どこか和風の雰囲気を残している作りで、なにかノスタルジックを感じさせる作り。
「いらっしゃいませ」
長い髪の可愛い女の子が挨拶。制服も和風な感じがするデザイン。
「こんにちわ」
女の子にカネキは挨拶したけど、トーカは挨拶せず。
それでも女の子の態度は変わることはない。
店の奥から、司狼が出てくる。
「金木さんに董香さん、来てくれたんだ。いらっしゃい」
一度、2人に挨拶してから、可愛い女の子にカネキとトーカのことを紹介。
「この方々が『あんていく』の人たちなんですね、初めまして、私、バイトの坂町神奈(さかまち かんな)です。『あんていく』の噂は聞いていますよ」
元気よく名乗る。ライバル店の店員が来たと言うのに敵対心の欠片も見せない。見るだけで、優しい子だと解る。
「僕は金木研。大学生だよ」
相手が名乗ったので、金木も名乗る。
最初、トーカは何も言わなかったが、カネキに促され、
「霧島董香」
名前だけ名乗った。ライバル店と言うだけではなく、彼女は初対面の人間には気を許そうとはしない。
「そんなところで、立っていても仕方ないから」
司狼はカネキとトーカを席に案内。
席に着いた2人に、
「ご注文は、お決まりでしょうか」
神奈が聞いてきた。神奈の笑顔は商売スマイルではない、本物の笑顔。
一応、2人はメニューを見たが、最初から、注文の品は決まっている。それ以外は口には出来ないから。
「「コーヒー」」
金木ととトーカは、同じものを注文。
「お待ちどう」
途轍もないほどのナイスな身体つきをした女性がトレイにコーヒーを乗せて現れた。身体つきだけではない、顔も綺麗な美人。大人の色気が爆発している。男なら、見とれてしまうのも無理はない。
2人の前にコーヒーを置く。見た目とは違い、丁寧に。ちゃんと接客の心得は守っている。
「司狼から話は聞いた、よく来てくれたね。あたしや鈴鹿(すずか)。ここの店長だよ」
この女の人が『天地丸』の店長。芳村が司狼を『天地丸』の子と言っていたからには、この鈴鹿が司狼の母親。なるほどと、カネキ。確かに鈴鹿と司狼は似ている。司狼は母親似。
「『あんていく』の芳村さんの話は聞いているよ。一度、会ってみたいと思っている人物さ」
ムッとしているトーカ。相手が人間だからではない。ライバル店の店長だからと言う理由でもない。女性として、彼女のプロポーションに敵対心か燻っているのだ。喰種としてではなく、女として。
「なに鼻の下を伸ばしてるんだよ、ニヤニヤしやがって」
隣のカネキに噛みつく、完全な八つ当たり。
「鼻の下なんか、伸ばしていないよ」
語尾が小さいのは、もしかしたら、見とれていたかもしれないと内心、思っているから。
そんな2人を見て、豪快に笑う鈴鹿。
一口、コーヒーを飲んだトーカ。ますます、ムッとなる。不味いからではない、美味しいからだ。それでも、心の奥底では店長の淹れるコーヒーの方が上だという意志ががんばっている。
「美味しい」
素直なカネキ。
「店長の淹れるコーヒーが小川のせせらぎなら、ここのコーヒーは大海の荒波だ」
相変わらず、ユニークで解りづらい表現だなと、トーカの目が言っていた。
シンプルに言えば、芳村店長の淹れるコーヒーとは、タイプの違う、美味しさのコーヒー。
入口のドアが開いて、新しい客が入ってきた。店の中を見渡して、開いてる席に腰を下ろす青年。
お冷とおしぼり、メニューを持った神奈が接客。
さーっとメニューを見た客は、コーヒーを注文した。
「当店の新メニューのパンケーキがあります。ただいま、サービス期間中なので、コーヒーと一緒にいかがでしょうか」
客は、短い、本当に短い時間だけ、迷い。パンケーキも注文した。
そんなやり取りを見て、金木は、アレと思う。
(僕たちにはパンケーキを進めなかった。どうしてだろう?)
半魚人とトカゲのマスクの喰種。知り合ったばかりの喰種同士だが、妙に気が合って、意気投合。コンビを組んだ。
2人の考えた作戦は1人が人間を追いかけて、もう1人の隠れているポイントに誘い込んで挟み撃ち。
美味しそうな女性を見つけたトカゲのマスクが、ポイントに追い込んだまでは作戦通りだった。そこに鬼の面が現れ、持ち上げるのも大変そうな大きな剣で半魚人のマスクを切り捨てた。
その間に女性は逃げる。
トカゲのマスクは恐怖のあまり、その場にへたれ込む。
鬼の面を被った相手はトカゲのマスクに興味を示さず、倒れている喰種から、半魚人のマスクを剥ぎ取る。
今しかない、そう考えたトカゲのマスクは、なんとか立ち上がって逃げ出す。
途端、体が切り裂かれ、倒れた後、止めに首を切り落とされた。
立っていたの真戸と亜門。真戸の手には、今しがた、トカゲのマスクを仕留めた、芋虫を思わせるクインケ『フエグチ壱』が握られている。
「ダメですよ、喰種を逃がしちゃ」
真戸と亜門、両者が見回り中に半魚人とトカゲのマスクから、逃げ出してきた女性を保護。この場所を聞きつけて駆けつけてきた。
「貴様が『マスクコレクター』か」
余裕の見える真戸とは違い、亜門は敵対心を隠そうともせず、アタッシュケースを開き、大型の金棒型のクインケ『ドウジマ1/2』を取り出す。
《『マスクコレクター』それは俺の事か?》
ボイスチェンジャーの声。クインケを構える2人に対し、鬼の面は剣を収める。
有無を言わせず、真戸が攻撃、鬼の面は、ひょいと躱す。
更なる攻撃を繰り出すが、それも躱した。
続いて亜門の連続攻撃。当たれば骨折で済めば運がいい。
その攻撃を紙一重で、躱し続ける。その上、真戸の攻撃も避ける。背中に大きな剣を背負っているのに恐るべき身体能力。
突然、攻撃を辞めた真戸。
「剣を抜きませんね。どうやら、私たちの敵ではないようです」
クインケをアタッシュケースにしまう。
躊躇するものの、上司である真戸が収めたので、亜門もクインケを収めた。
「私たちは喰種捜査局の捜査官。そちらの名前を教えてもらえませんかね。『マスクコレクター』はこちらで、勝手に付けた名前になので」
丁寧な口調だが、目は笑っていない。クインケを収めても、油断はしていない証し。
《O、N、I、ONI。俺は退魔士のONI》
鬼の面、ONIは、そう名乗る。
「退魔士だと」
ふざけたことを言いやがってと、亜門の目が言っている。
「お前はなんなんだ、人間なのか、それとも喰種なのか、何が目的なんだ」
一気にまくし立てる。
「彼は喰種ではありませんよ、私の勘がそう言っています」
真戸の勘は鋭い。こと喰種に関しては外したことはない、真戸が執念で得た能力。
「ですが、その背中の剣、それを、軽々しく、扱うのも尋常ではありません。その剣は、何なのですか?」
クインケをこよなく愛する真戸、興味津々。亜門も初めて会った時、クインケを見せてほしいとせがまれた。
《こいつは『大通連(だいつうれん)』だ。こいつに認められれば軽く振れる》
どうやら、クインケをではないようだ。
《俺の目的は喰種を始末すること、それが仕事だ》
亜門の質問に有った目的も答えた。
何か亜門が言おうとすると、スーッとONIは真戸を指さす。
《あなたに死相が出ている。このままでは死に至る、気を付けるといい》
ほんの一瞬、驚いた顔をしたが、
「とっくに自分の命など、捨てているよ」
すぐに笑顔になる。
そのまま、ONIは立ち去ろうとする。亜門は阻止しようとしたが、真戸が止める。
「君の見立てだと、私は、後、どのぐらい生きられるのかね」
信じていないわけでも、ふざけているわけでもない、本心から聞いている。
《このままだと、後、一月以内》
そう言い残して、去っていく、ONI。
「何故、止めたんですか。それに真戸さんに死相が出ているなんて、失礼な奴だ」
死相が出ていると言われた、真戸以上に憤慨している。ただのたちの悪い冗談に思えない、だからこそ、憤慨しているのだ。
「彼は喰種ではない。『CCG』の敵ではありませんよ。できれば味方になってほしいぐらいです」
ふと、何気なく空を見上げる。そこには星空と月が見えていた。
「あと、一月ですか……」
真戸の表情。亜門には悲しそうな、それていて愉快そうな、そんな感じに見えた。
20区に逃げ込んだ喰種の笛口親子の内、母親を仕留めたものの、報復にウサギのマスクを被った喰種、通称『ラビット』に捜査官の草場が殺害され、その場は真戸が撃退した。
後日、今度は『ラビット』に真戸が殺害された。
ONIの警告通り、1か月以内で。
『CCG』の本部のある1区。
亜門も面当てと右目の部分に黒い眼帯を合わせたマスクを被った喰種に負傷を負わされた。その相手、通称『眼帯』は亜門を殺さなかった。
今も亜門には、その理由が解らない。
元来、鍛えている亜門は多少のキズなど、ものともしない。肉体のキズよりも、上司である真戸を失った心の痛みの方が大きい。
(俺がONIの警告に、もっと、注意していれば……)
どうして、もっと真剣に、あの警告のことを考えなかったのかと、後悔。
「よう、亜門」
話しかけてきたのは、特等捜査官の丸手斎(まるで いつき)。嫌味な性格で、部下たちからも、あまり慕われてはいない。
彼の所属する、対策Ⅱ課は、分析や作戦立案など、『CCG』のブレインを務めている。
そんな上司を前にしても、嫌な顔一つ、見せない、亜門のいいところ。
「真戸のことは本当に残念だったな。私も旧友を失って悲しいよ」
そう言ったのは大柄な亜門よりも、さらにガタイのいい男。彼も特等捜査官の篠原幸紀(しのはら ゆきのり)。丸手とは違い、性格も良く、部下のにも、よく慕われている。
どんなピンチの時も諦めず、確実な成果を上げることから『不屈も篠原』と呼ばれ、亜門のアカデミー時代の教官でもある。
「そうそう、亜門。局長がお呼びだ」
そう丸手に言われ、流石の亜門も、少々、緊張する。内心、真戸の件で、何か尖られるかもしれないと思った。
「何か、お呼びでしようか、和修局長」
喰種捜査局、本局局長、和修吉時(わしゅう よしとき)の前で、ピシッと姿勢を正す。
「そう緊張しなくてもいい、亜門一等捜査官。咎めるつもりで呼んだのではない」
人格者として知られる和修局長は、亜門の緊張を解いてやる。
亜門の横には、丸手と篠原がいた。
「呼んだのはONIの件だ」
退魔士を名乗った鬼面のONI。喰種ではないようだが、普通の人とも思えない。
いまだ、亜門は彼の正体を知らない。『眼帯』のことは気になるが、ONIのことも気になっている。
「退魔士と呼ばれるものたちは、大昔、確かにいた。和修家が喰種討伐を生業にしていたように、化け物退治を生業にしていたものたちだ。和修家の古文書にも記述されている」
和修家とは、独自の技術で喰種討伐を生業にして来た、一族で『CCC』の創立者でもある。
和修吉時の父親、常吉(つねきち)が現総議長。
大昔、退魔士がいた、亜門と篠原は初めて聞く情報。
和修局長と親交のあった丸手は、退魔士のことを聞かされ、いろいろ、ONIのことを調べ回っていた。
「『大通連』だが、私の先祖も欲したことがあり、調べた文書があった。『大通連』は所有者を選ぶ性質があり、選ばれたものは軽く振れるが、選ばれなかったものは重すぎて持ち上げることさえ、出来ない。和修家のものは誰も選ばれず、入手をあきらめたとあった」
『大通連』は所有者を選ぶ。ONIもそんなことを言っていた。
「1000年ほど前に、その『大通連』を使う、凄腕の退魔士がいたらしい。ただ、記録が古くてな、綺麗な女性だったとか、少年だったとか、曖昧で、名前すら解らなかった」
和修局長から聞いた話を、亜門は自分の頭の中で整理する。
「だったら、俺が見たONIは、その退魔士の子孫か……」
和修家も続いているからには、退魔士の家系も続いているかもしれない。日本には、創業、何百年の老舗は、結構あるから。
「まー、その可能性が、一番高いわな」
と丸手。
「で、ONIのことだが、調べて幾つか解ったことがある」
話を続ける。
「依頼者、主に喰種被害者の遺族が、ONIに敵討ちを頼み、ONIは依頼を果たした証しとして、喰種のマスクを持ち帰る。そのマスクと引き換えに、依頼料を受け取る。ONIは気に入った仕事しか受けないそうだ。まるで仕事人気取りだな」
ONIの通称『マスクコレクター』の元となった、仕留めた喰種から、マスクを回収して帰るのは依頼を完遂した証拠のためだったのか。
「どうも、パソコンのネットに依頼を書き込むと、受けるときだけ、電話がかかってくるんだと。今、馬淵にそのネットを探らせているが、全然、尻尾を掴ませるねぇ」
困ったように頭を掻く丸手。馬淵は対策Ⅱ課の捜査官で、パソコンを得意としている。
「仇を果たしたいなら、何故『CCG』に任せない? そのために『CCG』はあるんだぞ」
あの時、ONIがトカゲのマスクを見逃した理由も解った。依頼を受けていないからだ。
喰種被害者の遺族の気持ちは、痛いほど解る亜門。喰種に親を殺された子供たちを見るたびに、憤りを覚えた。
少しでも、そんな人たちを減らしたいから、亜門は喰種捜査官になったのだ。
なのに金で喰種を敵討ち頼むなんて、そんな気持ちが湧き上がる。
「自分で仇を討ちたいんじゃないか」
今まで黙って話を聞いていた篠原が口を開く。
「大切の人を殺された恨み、悔しさ、悲しさ。できるなら、自分自身で仇を果たしたい、だが、そんな力は自分にはない。だからこそ、せめて、金を払って、自分の代わりに仇を討ってもらう。それとも、私たちが喰種を討伐するまで待てない。そのどちらかだろう」
篠原の言うことはもっとも。亜門も自分の手で真戸の仇を討ちたいという思いはある。
しかし、『CCG』の正義を固く信じている亜門は、納得できない気持ちは消すことが出来ない。
「後な、『アオギリの樹』がONIを狙っているとの情報を掴んだ」
丸手の言った『アオギリの樹』とは、喰種を人間の上位種とし、人間も喰種も弱肉強食で支配するべきと考えている、喰種の組織の中でも、最も過激な組織の1つ。
「どうもONIが狩った喰種の中に『アオギリの樹』の喰種が何人かいてな。あいつらにしてみれば、このままではメンツが立たない、そこで見せしめってわけだろ」
弱肉強食ルール、喰種至上主義の『アオギリの樹』がメンバーを何人も始末され、それも喰種ではないものに退治されては、メンツが立たないのも当然。
それは聞き捨てならない。鬼の面を被っていたとはいえ、体格からしてONIは、まだ少年だと、亜門は判断していた。
「ならば、早く、ONIを『CCG』で確保、いや、保護するべきだ!」
退魔士と名乗っていても、子供が喰種に殺されるのを黙ってはいられないのが亜門。先程の気持ちも吹っ飛ぶ。
「分かっている。今、丸手たちにONの所在を調べさせている」
和修局長は亜門を落ち着かせる。
「報告書でも、ONIの実力は並の捜査官以上だ。特例で『CCG』に迎え入れることも考えている」
和修局長の言葉は偽りではない。
本来、喰種捜査官はアカデミーなどの訓練機関を出て、捜査官に任命されるが、今までに特例が無かったわけではない。
『CCG』最強と言われる、有馬貴将(ありま きしょう)は、最年少で特等まで上り詰めた。彼はアカデミー出身ではなく、特例で捜査官になった。
「……」
今、篠原が組んでいる相棒、鈴屋什造(すずや じゅうぞ)も、特例で捜査官になった。
有馬やジューゾーと同じく、ONIも『CCG』が欲する人材だろう。
『CCG』が考えているより、『アオギリの樹』の情報網は大きく、行動は早かった。
標的を始末して、マスクを回収し、立ち去ろうとしたONIは、自分に向けられた殺気に気が付く、それも辺りを、ぐるっと覆っている。
ハッと上を見上げれば、周囲の建物の屋根と言う屋根に、フードの付いたマントを着たマスクの集団が立っていた。マスクのモチーフはドクロ。
一斉に飛び下り、瞬く間にONIを包囲。抜け出すすき間はない。
最後に歯をむき出して笑う黒いマスクを被った小柄な男が飛び下りる。この黒いマスクが、この集団のリーダー。
《『アオギリの樹か』……》
すぐに集団の正体を見破る。ドクロのマスクは『アオギリの樹》のもの。
「仕事人気取りで、俺らの仲間に手を出した、テメーが悪いんだぜ。弱い人間のくせに」
攻撃の合図を出そうと、黒いマスクが手を上げた。この腕が振り下ろされたとき、一斉攻撃が始まる。
『アオギリの樹』の喰種の誰もが、嬲り殺しをやるつもり。そうしなければ見せしめにならない。
今にも腕を振り下ろそうとした瞬間、風が走った。
宙を舞う、『アオギリの樹』の喰種たち。地面に叩き付けられた体は切り裂かれている。
気が付いた時には、ONIは包囲網に飛び込み、『大通連』を振り回していた。
「!」
黒いマスクが驚いている間にも、何体もの喰種が斬られていく。
『アオギリの樹』はONIが喰種でない。クインケとは違う特殊な武器を使って、喰種退治をしていることまでは情報を掴んでいた。だが、このパワーとスピードまでは考慮していなかった。
赫子を出す間もなく、斬られる喰種たち。赫子を出すことが出来たものも、赫子ごと斬られてしまう、次から次へと。
「テメー!」
彼の赫子、羽赫を弾丸のように飛ばす。羽赫は瞬発性に優れた赫子で、このように遠距離から飛ばして、使うことも出来る。
『大通連』の一振りで、撃ち放たれた赫子を全て弾き飛ばす。
「何だと!」
次の瞬間、一気に間合いを詰めるONI。黒いマスクは次の攻撃を出す前に、腹を殴られる。地べたを転げまわる黒いマスク。
常人よりも高い運動能力、固い皮膚、耐久力。そんな喰種の頑丈な体が何の防御にもならないほどの威力の拳。
ONIは特殊な武器を使う人間。喰種が人間より上、その思い込みが、この失策の原因。
何とか、立ち上がった時には、黒いマスク以外の『アオギリの樹』の喰種は、全員、切り捨てられた後。生き残っているのは黒いマスクのみ。
殴られた拍子に、マスクが剥がれていた。黒いマスクの素顔はトーカによく似ていた。
「き、貴様、人間なのか」
まだ腹が痛く、息が苦しいが言葉を絞り出す。
《お前はどう思う?》
『大通連』を片手に、落ちたマスクを拾い、投げて返した。
《失せろ》
恥辱的な言葉。今にも飛びかかろうと思った黒いマスク。
それでも、なんとか、冷静さを取り戻した。ONIが1人で勝てるような相手ではないのは明らか。
こんな場所で、黒いマスクは死ぬわけにはいかない理由がある。
「この礼は、必ずするからな!」
怒りに満ちた言葉を残し、マスクを被って、ジャンプ。屋根伝いに逃げて行く。
追うことはなく、ONIは『大通連』に付いた血を払い、背中に背負った鞘に納めた。
鈴鹿母ちゃんも出ていましたね。ONI零では、最強のキャラだと思います、色んな意味で。