『CCG』による『アオギリの樹』の掃討作戦が始まった。結果は『CCG』の勝利。
しかし、討伐できたのは末端ばかりで、幹部は姿さえ、現さなかった。
掃討作戦前に幹部たちは地下に潜り、その身を隠したのだ。そして、ほとぼりが冷めたころ、再び活動するつもり。
喫茶店『天地丸』には、あれから、ちょくちょく、『CCG』の捜査官が来るようになった。
中には露骨にスカウトするものもいたが、今のところ、態度を保留している司狼。
内心、いまいち、『CCG』を信用しきれないし、喰種を絶対悪とも見なすことは出来ない。
亜門も来ていたが、来るたびに鈴鹿がわざとらしく、色気で挑発し、からかうので、最近、来るのが減った。
かなり気に入ったようで、一番、来店が多いのはジューゾー。回復した篠原と共に訪れる。
手作りのお菓子を頬張るジューゾーを楽しそうに見ている篠原。傍から見れば親子の様。
本日は捜査官の来店はない、姿を隠した『アオギリの樹』の幹部たちの探索が忙しいらしい。
捜査官が居ないので、カネキとトーカが来店。
いつものようにコーヒーを注文。2人が喰種と知っているのに、司狼の接客サービスは変わらない、鈴鹿の態度も同じ、
また司狼のことを知っているカネキとトーカの態度も変わらない。
カネキとトーカにとって、『あんていく』以外で落ち着ける場所に『天地丸』なった、捜査官が来ていなければだが。
「なぁ、カネキ。店長、最近、嬉しそうじゃないか?」
コーヒーを一口啜るトーカ。
「トーカちゃんも、そう思った。僕も何か機嫌がいいなって、それに四方さんも」
普通の人が見れば、店長の芳村も四方も普段と変わらないように見えるが、常に傍にいる2人には、そう見えた。特にトーカは付き合いが長いから、余計に感じていた。
何かいいことがあったんだろうかと、カネキとトーカは思う。
ドアのカウベルが鳴って、神奈が来店。
「こんにちわ」
元気一杯で挨拶、これから、バイトに入る。
鈴鹿と司狼。カネキとトーカ、順番に挨拶。
「あっ、そうだ、司狼さん、高槻泉の新刊出たたの知っています」
高槻泉の新刊、それにカネキが反応した。カネキはかなりの高槻泉ファン。
ただ、今回はゴタゴタが続いていたため、新刊の情報を見逃していた。
「どんな本なんですか?」
カネキが興味を示したので、読み終えたばかりの本を鞄から出す。『怨情パラドックス』と言うタイトル。
カネキはあらすじを読んでみた、何気なく、司狼も付き合う。
『人間を憎み、皆殺しを企む酒呑童子、それを止めようとする、侍の金時郎。だが金時郎も鬼で、元々は酒呑童子とは親友だった……』
そこまで読んで絶句する司狼。この内容は……。
早速、カネキは読みたそう。
「よかったら、貸してあげますよ」
「ありがとう、でも、後で本屋で買うことにするよ」
高槻泉の本は、いつも買っている。
「あっ、でも、男の人には買いづらいかも、内容がBLですから」
無自覚で言ってしまう。
ますます、絶句する司狼。
『怨情パラドックス』は、敵対し、戦い合いながらも愛し合う酒呑童子と金時郎。結構濃厚な濡れ場もあり。
これは高槻泉の司狼に対する意趣返し。
そのことに気が付いた鈴鹿は大声で笑った。
ラストは鈴鹿の笑いで締めたかったので。