黒歴史自由帳   作:ゼロゼロ大神

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3ターン目

 

 

「やって来ました妖精の国!」

 

「何言ってるの?」

 

「様式美」

 

はいはい、キンクリキンクリ。

ざっと説明すると俺の目の前に居る女の子の名前はベラ。妖怪人間ではなく妖精。

彼女の住んでいる妖精の国が一大事だから助けて(はーと)という事らしい。

可愛い女の子には逆らえないというか逆らいたくないというか逆らえなくして欲しい俺は喜んで承諾。

Mじゃないよ。何でもいいだけだよ。節操ない言うな。

 

「妖精の国を出た途端にこの吹雪かあ。くそさみー」

 

「しょうがないでしょ。ポワン様のお願いを二つ返事でOKしたのあなたじゃない」

 

いやそこは別にいいんだよ。ポワンさん可愛かったし。というか妖精みんな可愛い。童顔多いけど。

用件は何か春呼ぶためのフルートパクられて春来ないんで取り返してこいって事だそうで。

どっかで聞いたことあるな。主に東の方の幻想の郷で。いやまああっちがオマージュしたんだろうけど。

季節が来ないってネタ結構見かけるよね。日本人以外には若干分かりづらいネタだと思う。

 

「メラメラメラー」

 

「わーあったかーい」

 

肌寄せあって暖めあう俺達。戦闘もメラギラ無双。ヒャドとか絶対禁止。死ねる。

暫く歩いていると氷の館が見えてきた。半日近く歩いたんじゃなかろうか。寒いのでとっとと済まして帰ろう。

取り敢えず門の前に着いたんだけど閉まってる。そりゃそうか。

他の入り口探すのも面倒なのでぶち破って進む事に。

氷で出来た館なのでメラゾーマぶち込んだら門が蒸発してしもうた。

本来こういう建物は対魔法処理がしてあるから魔法じゃ中々壊せないんだけど、

氷製という事で炎に弱いだろうと思ったらビンゴ。流石に1.5倍メラゾーマには耐えられなかったらしい。

中も障害物は大概氷なのでメラゾーマやベギラゴンで蒸発させる。

暫く進むと一面氷張りの床があった。流石に床抜けるのでこれは溶かせない。

だがしかーし。知識から事前に用意しておいた氷上・雪上用スパイクを履いていた俺に死角などない。

かなり鋭く頑丈なスパイクで、蹴り技や山登りなんかにも使えるので地味に役立つ。

 

「ほら、ベラ。つかまって」

 

「へ?え、えええっ!?」

 

滑ると危ないのでお姫様抱っこで抱えてあげると慌てたようにして顔を赤くするベラ。

イタズラ半分に至近距離から瞳を覗きこんでやるとぼーっとした表情に変わる。

俺の瞳って魔眼とかの類じゃなかろうな。

 

「あ、何だお前たちは!さてはポワンのぶべらぁっ!?」

 

何か出てきたので取り敢えず木刀で軽くシバイて眠らせる。

いやラリホー使っても良かったんだけどさ。気絶させた方が長持ちするし。

誤解?んなもん戻ってから解けばいい。なぜに今この場でやらにゃならんのか。

一応アテが無いわけでも無いしな。上手くいけばだけど。

 

「お~ほっほっホァッ!?ちょっ、ちょっとは喋らせなさい!?」

 

「ちっ、外したか」

 

何か雪の女王っぽい人が出てきたんで取り敢えず寒さの腹いせにメラミぶち込む。躱されたけど。

彼女は魔物ではないので殺しはしない。基本俺は魔物以外は殺す気はない。

盗賊団なんかも全員ふんじばって憲兵に突き出す事にしている。

彼女は仮にも女王だしこの妖精の国の法もよく分からんので、取り敢えずハッ倒して言うこと聞かせよう。

なーに、ちょっと"お仕置き"してやった後にこの瞳で見つめながら優しくしてやれば落ちるさ。…多分。

飴と鞭でしっかり躾けてやれば殺さずに済むだろう。流石に殺人(妖精だけど)は後味悪い。

 

「つーわけで泣き叫べやオラァッ!」

 

「きゃあああああっ!?」

 

可愛らしい悲鳴を上げて俺の火炎斬りを避ける雪の女王…一々めんどいな。雪姫(ユキメ)でいいや。

俺の火炎斬りは単に気…所謂HPを消費して発動するものじゃなく、気と魔力の両方を込めて発動する特殊な特技である。

要はHP消費の火炎斬りにメラ系をプラスした剣技という事だ。詠唱要らずで高火力。欠点はHPとMP両方消費する所。

まあそんなわけで俺の一撃を食らった床はあえなく蒸発。

さすがに自分の氷で滑ったりはしないようだが、こちらもスパイクあるのでモーマンタイ。

ベラを適当に隅っこに置いといて、本格的に斬りかかる。

 

「合一奥義、瞬炎剣、火炎隼斬りッ!!」

 

「きゃあああああああああっ!?ああ!服があっ!」

 

うおっ、いい眺め。元々女王様!って感じのドレスを着ていたのだが、このドレス胸元とか肩とか足元とか露出が結構多い。

それが切り裂かれ、炎に寄って一部燃えた事で非常にR15的な事になっている。

これ倒す頃には全裸になってたりしないだろうな。マジ体子供で良かった。大人だったら襲いかかってたわ。

なんせこの人も美人なんだよなあ。それもかなり俺好み。苛めたくなる。

 

「合一奥義、飛炎剣、火炎ツバメ返しッ!」

 

「なんなのよーっ!?」

 

炎を纏ったツバメ返しをぶち込んだら更にきわどい事に。しかし見えそで見えない。

え、相手の魔法?フバーハさんパネエッス。あとマホカンタチート。

ああ、ちなみに今俺が使っているのはこの前思いついた技法。

前述の通り特技に魔力を込めて強化する事を思いついた俺は、

なら全く関係ない特技と呪文を合わせたらどうなるんだろう、という事で開発したのが合一奥義。

メラ系纏わせたツバメ返しとかハヤブサ斬りとかね。炎に弱いゾンビ系なら火炎ゾンビ斬りとか。

この合一奥義、特技+呪文以外にも特技+特技も可能。

呪文+呪文が出来るんだから特技でも出来るんじゃね?という無茶苦茶理論が通っちゃったのだ。

これを見た親父は何か遠い目してたな。ニアそっとしておこう。

 

「合一奥義、飛瞬剣、隼返し!」

 

ハヤブサ斬り万能過ぎワロタ。ハヤブサ斬りの速度でツバメ返しの二連斬撃ってもう悪夢だよね。俺でも避けれねーよ。

でもね、これまだ先があんの。

右手にピオリム左手にメラミ。んでもって隼返しの体勢。うん、予想出来たかな?

 

「合一技法最終奥義!神速・業火連斬!!」

 

「なっ!?きゃあああああああああああああああああああああっ!!」

 

ピオリムを剣に直接掛け、メラミを纏わせて神速の太刀を振るう。何でこの木刀折れないんだろ。てかその前に燃えね?

まあようわからんが親父がくれたので何か特別なんだろう。

で、炎を纏った剣戟を連続で6回浴びたユキメはあえなく撃沈。

いやー、殺さない程度に痛めつけて倒すってかなり難しい。

これからはこういう縛りプレイで剣術磨こうかなあ。魔法もまだまだだし。

メラミではない、メラだぐらいは出来るんだけどさ、メラゾーマクラスは流石にねえ。

 

「う、うう…」

 

そんな事を考えていると、まだ気絶していなかったユキメがうめき声を上げる。

とはいえもうマトモに戦闘出来る状態では無いだろう。

む、戦闘不能を確認したらファンファーレが。レベル上がったな。殺さなくても上がるんだ。相変わらず謎システムだな。

兎も角これでレベル12。そういやまだマーキング変えてない。竜紋矢印の下書きどこやったかなあ。

まあ取り敢えず今は目の前の美人さんをどうにかしないと。

フルート取り返して、誤解解かせて、もう二度としないように躾ける。

なあに、簡単簡単。もう許してって言うまで虐めればいいだけだ。さあてどんな風にしよっかなあ♪

 

「ベラ~、俺ちょっとこの人いじm…ゲフンゲフン。お話してくるから、そこで待ってて」

 

「へ?あ、うん。分かった」

 

ポカンとした様子のベラは一旦放っておいて、ユキメが出てきた扉を潜ると廊下が続いている。

途中ユキメの寝室らしき部屋があったのでベッドに寝かせ、

いつも携帯している冒険用具の中からロープとロウソクとよくしなるナニカを取り出す。

いやあ、一度やってみたかったんだよねえ。

さて、どんな声で泣いてくれるのかなあ。ふっふっふ。

 

 

 

 

 

 

「もうしない?」

 

「うん、もうしない」

 

皆さんこんにちは、ベラです。今私の前にはよく分からない光景が広がっています。

ザイルとかいう人は誤解していた事を聞いてポワン様に謝り倒していて、

誤解を解いてフルートを返してポワン様に謝った雪の女王様は何故かアベルに抱きついてる。

アベルを抱きかかえるようにして抱きしめていて、アベルは雪の女王様の豊満な胸に顔を埋めて幸せそう。

雪の女王様…アベルは長いって言って雪姫(ユキメ)って呼んでるんだけど、

そのユキメ様はアベルに名前を貰って凄く嬉しそうにしていた。

思わず抱きしめられたアベルがすっごく幸せそうだったのがムカツク。貧乳はステータスだもん。

ここだけ聞くとアベルが可愛がられているように思えるんだけど、実際は違う。

だって何故かアベルが命令すると1も2も無く了解するの。

さっきだってユキメ様が謝り終えるとアベルが「よく出来ました」ってユキメ様の頭を撫でながら褒めて、

そしたらユキメ様が幸せそうな表情で「ありがとうございます♪」って。

普通にしてるとため口なんだけどアベルが叱ったり褒めたりすると敬語になる。

 

「…ベラ、何があったのですか?」

 

「わ、分かりません…悲鳴らしきものが聞こえてきただけで…」

 

氷の館でアベルが戻ってくるのを待っている時、館の奥から何かが聞こえたの。

耳を済まして聞いてみると「きゃあああっ♪」とか「ふわああああっ♪」とか「もっと嬲ってー♪」とか聞こえてきて。

何が何だか分からないけど取り敢えずアベルの悲鳴じゃなかったから素直に待ってたんだけど…

私の所に戻ってきた時は幸せそうに恍惚とした表情を浮かべたユキメ様に抱きつかれてて、

アベルは何か頭痛そうにこめかみを抑えてた。何か「予想外過ぎる…」とか「でもこれはこれで…」とかブツブツ言っていた。

最初はげんなりしてたけど、今じゃもう胸の感触を堪能しているみたい。ふんっアベルのえっち。

 

「あ、そうそう。私坊やに着いて行くわよ」

 

「あ、はい………ええええええええええっ!?」

 

いきなりのユキメ様の爆弾発言。流石のポワン様も驚いたようだ。私も驚いた。

アベルはやっぱり…みたいな顔してるけど、満更でもなさそう。

ユキメ様とポワン様で言い合いになっているのを止めもしないのはそういう事なんだろう。

ユキメ様は「追放処分って事でいいじゃない」とか「また嬲って欲しいもの」とか言っていて、

ポワン様は「そこまで出来ません」とか「何を言っているの?」と困惑顔。

結局1時間ぐらい言い合いが続いて、最後の方なんかはお互いの悪口とか愚痴の言い合いになっていた。

 

「あなたは………ハァ、もういいです。アベルさん、申し訳ありませんがお願いできませんか?」

 

「ええ、勿論いいですよ。最初からそのつもりでしたし」

 

「ふふふ、流石坊やね。また一杯可愛がってね?」

 

ユキメ様?可愛がるのは逆なんじゃ…まあいいか。

結局ユキメ様はアベルの監視付きでのみ人間界への移動許可、

対外的には短期追放処分、という事で落ち着くみたい。

何故かアベルに監視される事を喜んでるユキメ様とか、ユキメ様の巨乳を堪能しているアベルとか、もうわけがわからない。

なにこのカオス?っていう状況。もう疲れた。今日は帰ったらゆっくり寝ようそうしよう。

 

 

 

 

 

 

「…アベル」

 

「…坊や」

 

「「この女(子)誰|(かしら)?」」

 

あー、うん、そっか。ユキメって見えるんだ。それとも実体化とかしているんだろうか。

多分力の強い個体だからとかなんとかあるんだろう。

しかしこれは困ったことになった。何せ巨乳美女とパツキン美幼女に挟まれているのである。

コレは流石に幸せ過ぎて死ぬかもしれん。

ふふふ、ユキメのおっぱいはふわふわだなあ。揉みしだくのもいいし顔を埋めても幸せ。

ちょっとキツめに見える美女を屈服させる事のなんと甘美な事か。

こんだけセクハラしても許されるんだから子供は得である。ユキメの場合大きくなってもさせてくれそうだけど。

それに嫉妬してるビアンカも可愛い。嫉妬の仕方が私も構ってとか捨てないで、って感じで可愛い。

捨てるわけないのにねえ。ロリコンでは無いぞ。決して。あくまで同年代だ。ちょとませてるだけだってば。ホントだって。

 

「二人共俺の大切な人で、将来絶対幸せにしてあげたい人だよ」

 

「あべる…もう、ばかっ♪」

 

「ぼうや…ふふふ、"たつ"ようになったら言いなさい。精通させてあげる♪」

 

なに言っちまっとんじゃこのアマ。じゃなくてユキメ、それ以上マジいけない。

まあお世話にはなりますけどね?ええ、私の愚息がお世話になりますとも。

いやあ、幸せだなあ。

何?リア充滅びろ?だが断る。…最近電波受信多いな。自重自重。いやあ、ほんと幸せだ。

 

「なあ、アベル?わしにも説明して欲しいんだが…」

 

この親父が居なければ。

いやだってめんどくせえよ。妖精の国行ってちょっと調教したらメロメロになって着いて来たとか誰が信じるんだよ。

縛って垂らして嬲っただけだぞ。なぜ惚れる。なぜ落ちる。

言い訳なんて考えてねえし思いつかねえよ。グレるぞゴラァ。…あ、もう遅かったか。

いや、そうではなく。マジどうしよう?

取り敢えずレヌール城辺りで拾ったことにするか。

レヌール城の城主の末裔で、最近そのことを知って様子を見に来た所、偶々狩りに行っていた俺と遭遇。

俺達がレヌールの亡霊を救った事を話すと、お礼をしたいと着いて来た。

俺の苦手な氷結魔法とかちょっと昔(数十~百数十年前)の事に詳しいのでそれを教えて貰おうと思った。

そんな所でいいだろう。適当に話合わせて貰えばいいや。

後は俺が旅する時は同行して手助けしてくれるんだとでも言えばいい。

うん、我ながら即席にしては完璧じゃなかろうか。

 

「ほう、そんな事が。そういう事でしたらユキメさん、息子を宜しくお願いします」

 

「ええ、お任せ下さい。立派にして見せますわ」

 

うん、このおっぱい相手なら絶対立派になれる。あと5年もあれば。俺の息子も宜しくお願いします。

で、冗談は置いといて。本気で着いてくる気らしいので色々仕込んでみよう。いや、エロい意味でなく。そっちもあるけど。

氷使いなんだしさっさとマヒャド憶えさせて、俺とお前で超融合(メドローア)だ。

一人での合成魔法でなく、二人での合体魔法。

それも俺の得意なメラ系最強メラゾーマと、氷の妖精(?)のユキメによるヒャド系最強マヒャド。

何ならブレス系覚えてHP消費の方の炎と氷も混ぜてみようか?上手くいくか分からんけど。もしかしたらやらん方が強いかも。

うん、きっと小さい村ぐらいなら軽く消し飛ばすに違いない。

…………………そんな風に、思っていた時期もあったのさー。

 

 

 

 

 

 

「ふふふ、坊や。マヒャド!」

 

「ユキメ。メラゾーマ!」

 

「「合体魔法、究極対消滅呪文(オメガメドローア)!!」」

 

―チュドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン―

 

…………ゑ。

思わずユキメを抱きしめる。ユキメも俺を抱きしめた。柔らかい。気持ちい。全て忘れて浸ってしまいた。

だって、だってさ…俺達の視線の先には…

 

「…消し飛んだわね。山一つ」

 

「消し飛んだね、山一つ」

 

………うん、帰ろう。全て忘れて帰ろう。山なんてなかったんや。オメガメドローアなんてなかったんや。

ああ、帰ったらまたビアンカを可愛がらないと。

夜になったらユキメに目一杯可愛がってもらおう。今日はきっと精通記念日だ。

あは、あはは、あははははははははは…

 

 

 

 

 

 

「?…どうしたの、アベル」

 

「ん?いや、何か変な電波受信したような気がして」

 

具体的に言うと、近い将来に起こるであろう悲劇的な。その後幸せな事もあったような気がするけど。

何かよく分からないんで気にしない事にしよう。うん、それがいい。

まずはユキメを鍛えないとな。最低限マヒャドぐらいは使えるようになって貰わないと。

そうだ、何も恐れる事なんてない。技術の発展に犠牲は付き物なのだよゲドー君。

いや、だからそうではなく。なんだろう、俺としたことが変な電波に毒されている。

気にしない気にしない。

 

「取り敢えず旅には同行して下さるのですな?なるほど」

 

「なあ親父話があるんだ」

 

丁度いい。ここで話を付けておこう。

原作では途中で死んでしまったため成り行きで俺が親父の遺志を継ぐことになった。

しかし今回親父を死なせる気は毛頭無い。第一ゲマ相手でも捕まるようなヘマをする気はない。

親父から離れず、勝手な行動を取らず、相対したらメドローアだろうが何だろうか問答無用でぶちこむ。これで良し。

親父と合流出来たら俺がマホカンタ張って親父が斬りかかるだけでも勝てそうな気もする。

ただ、確かゲマはステータス的にはミルドラースの変身前より強かった筈だ。

メラゾーマ、マホカンタ、激しい炎辺りを使ってきたのは記憶にある。

つまりラスボスの第一形態倒せるぐらいじゃないと勝てないという事か。

炎耐性の高い防具に、フバーハなどをプラスして戦えば退かせる事ぐらいは出来るだろう。

というわけで、少しわがままを言わせてもらおう。

 

「俺、親父と別行動を取ろうかと思うんだ」

 

「何?」

 

俺の言い分はこうだ。

俺は親父の旅の理由が探しものであることに薄々気付いていた。

だけど俺が居ると旅も探しものも捗らないし、俺だって親父に守って貰いながらじゃ成長出来ない。

親父は俺のためにも死んだ母さん(生きてるけど)のためにも探しものを早く終えて帰ってきて欲しい。

それまで俺は自分なりに少しずつ歩を進めて旅をしていき、いつか親父がピンチの時は駆け付けられるような力を手に入れる。

幸いにも俺にはユキメが居る。俺の旅に着いて行くと言ってくれた。

だから二人で旅をして、少しずつ色んな物を見て、ちょっとずつ強くなって、何時か母さんの仇を討ちたい。

と、いった具合だ。俺は母さんの死因は知らない。幼い頃に亡くなったとしか聞いていない。

けど親父のことだ。俺が母さんの事について、何か気付いているぐらいは思っているだろう。

だからここでそれを匂わす。俺は母さんが誰かに殺されたと思っていて、仇を討ちたいと思っていると。

話のピントを母さんの事にずらすことで、俺の旅立ちの話を認めさせようという魂胆もあったりする。

 

「………そうか。そうだな、お前はまだ幼いが、強さは十分にある。体も、心もだ。

 …だが、復讐は考えるな。復讐に囚われてはいけない。それだけは肝に銘じろ。いいな?」

 

「…ああ、分かったよ。親父」

 

そりゃまあまだ生きてますし。

兎も角、これでいい。きっと親父には苦労も心配もかける。

それでも俺は親父を失いたくは無いし、母さんを取り戻したい。他の大陸の事もある。

少なくとも、ここでは俺が主人公なんだ。重い物語なんて背負う気は無い。目指すなら、誰もが羨むハッピーエンドだ。

 

「…ユキメ。まだガキだけど…頼むよ。支えてくれ」

 

「…ええ、分かったわ。坊や」

 

コレでよし、と。きっとまだこの後色々と話が続くんだろう。打ち合わせもしないといけない。

けど、これでどうにか当面の目標は立った。後は、突き進むだけだ。

絶対に誰も死なせない。皆纏めて幸せにしてやる。それが、俺の夢だから。

 

「私も行く!」

 

………………………ゑ?

 

 

 

 

 

 

 

 

「折角綺麗な感じでまさに序章・完!って時に…」

 

「ううぅ…だってアベルと一緒に居たかったんだもの」

 

そう言われてしまうと何も言い返せない情けない俺。

結局あのあと爆弾発言をしたビアンカを3人で説得するも失敗。

しょうがないからダンカンさんに話して止めて貰おうと思ってアルカパへ。

事情を話した後ビアンカは「アベルと一緒に冒険するのが夢だった」と暴露。更に説得。

すると予想以上にあっさりとOKしてしまうダンカンさん。小母さんの方も少し心配そうながらも止めず。

あるぇー?と不思議に思っていると、ビアンカのご両親はビアンカがこういう事を言い出すのを予想していたらしいのだ。

そして言われたらどうするかを話し合い、俺になら任せられるという事で幾つかの条件付きで了承することにしていたらしい。

条件としては定期的に連絡を寄越し、1年に1回は帰ってきて顔を見せる。

絶対に俺が守りぬき、重傷を負ったら理由次第で一緒に旅するのを諦める。

暫く準備期間を設けて旅立つ前に必要なことをしっかりと覚える。

以上が条件だそうだ。要するに心配しないで済むようにしてくれ、という事だな。

本当に了承しちゃっていいのかと聞いたのだが、俺になら安心して任せられるとのこと。

あるぇー?何かご両親にまで好感度高くね?そっちは俺なんもしてねえよ?

と思ったら親父から色々聞いていたんだとか。親父、何を喋ったのかを問いただしたら。

 

「お前が天才だという話をしたぐらいだな」

 

「恥ずかしい話してんじゃねぇーーーっ!?」

 

親父のやつ知らんとこで親馬鹿発揮してやがった。

そりゃアルカパでも知り合った人とかにちょこちょこ魔法やら技やら見せたりしてたし、

旅の魔道士とかいう人と魔法の発展性について熱く語り合ったりしてたせいか俺の事噂になったりしてたけども。

流石にちょっと噂広まりすぎじゃねと思ったらあんたが肯定してたからなのか。

知ってんだぞ、一部で天才魔道少年とか呼ばれてるの。

新技法はあんまり見せびらかして無いのになんでだと思ったらまさかの原因親父。

結局そのまま打ち合わせまで済ませてしまい、今丁度準備が終わった所、というわけだ。

流石に旅するための知識教えてたら数日かかってしまった。

んで、昨日親父が呼び出されてラインハットに出張。

俺も一日遅れで後を追う事にした。

 

「私達もラインハットに行くの?」

 

「泊まるのはね。目的地はラインハットにある洞窟」

 

そう、これが俺が考えたプラン。

まず親父と別行動を取る。これは成功。で、親父がラインハットに行ったら一日遅れで後を追う。

親父はヘンリー王子の教育係として呼ばれたため、そのままラインハットに滞在。

俺達もラインハットに一泊して体を休めた後、ラインハットの洞窟へ。

そこでヘンリー誘拐犯を待ちぶせしてシバキ倒してヘンリー奪還。

その後ヘンリーを助けに来た親父と合流、ゲマを追い払うという作戦だ。

ヘンリー誘拐に出遅れた場合は全力で後を追う。目的地が分かっているのだからなんとか追いつける筈だ。

ヘンリーを助けた直後や助ける前にゲマが出てきたら、とにかく時間を稼ぎ隙を見て逃げる。

ゴンズ辺りが出てきたら取り敢えずぶちころがす。駄目なら同上。

ただビアンカやユキメを連れて行った時の問題は俺が原作の親父の二の舞になりかねない所だ。

ヘンリー助けてさっさとトンズラこくにしても俺一人の方が確実だ。適当に理由つけて町で待たせとくか。

ルーラ使えりゃなあ。無い物ねだりしてもしょうがないけど。

 

「ま、細かい事は着いてから状況次第だな」

 

「ふーん?良く分かんないけどま、いっか。それじゃしゅっぱーつ!」

 

元気に腕を振り上げるビアンカに合わせて俺もおーっ!と振り上げる。

多少の不安と未来への希望を胸に、俺達はアルカパの町を出た。

 

 

 

 

 

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