「きゅ~」
「おーい、ヘンリーさーん。…駄目だこりゃ」
はいみなさんこんにちはアベルです。今?ラインハットの洞窟。何?キンクリ?イエス、高須クリニ◯ク。
とまあ冗談は置いておいて。ざっとここまでの流れを説明しよう。
まず町に着いた俺達は宿に泊って体を休め、翌日は1日デートに使った。
新しい髪留め買ってあげたら凄く嬉しそうにしてて…まあ、それは今はいい。
で、翌日にラインハットの洞窟へGO!…ところがどっこい。
なんとラインハットの洞窟の前に着いた直後、俺達の通った道の方から馬車が。
物陰に隠れて見ているとなんとヘンリー君が降りてきて、取り敢えず犯人らしき盗賊をシバイて確保した、という所だ。
まあ要するにほぼ予定通り。取り敢えず尋問は後でいいだろう。丁度馬車があったので放り込んでおく。
魔物使いの才能があるんだから動物も行けるだろうと思ったのだが、思った通り馬も言うこと聞いてくれた。
流石に魔物並の意思疎通は無理っぽいけど。
「ねえ、坊や?この子どうするの?」
「んー?この子多分ヘンリー王子。親父、教育係。きっと助けに来る。俺達、待つ。OK?」
「オッケー。あ、じゃあ洞窟探検しない?」
取り敢えず親父を待つ事にしたのはいいのだが、何かビアンカが洞窟に入りたがっている。
けど駄目。中にはきっとゲマさんが。少なくともゴンズとジャミ辺りは居るだろう。
ゴンズ・ジャミは兎も角ゲマはビアンカ守りながらではきついので却下という事で。
一応切り札もあるんだけどね。
「ん?なんだオマエ」
「あ?人間のガキか」
………あ。ゴンズとジャミだ。ぶたっぽいデカブツと馬っぽいナニカ。うわあ、直で見るとキメェ。
親父は間に合わなかったか。どうしよう?ゴンズは兎も角、ジャミって倒せるのか?
いや、倒せないなら人質なんて取らないよな。つまりあの時点で親父なら倒せたという事だ。
うーん、今の俺でも倒せるか?微妙だな…まあ、魔法も使えば行けるだろう、うん。
というわけで、不意打ち不意打ち。子供だと思って油断している間に…
ふふふ、最近使えるようになったコイツをお見舞いしてやる。
右手にイオナズン、左手にイオナズン…合成!
「食らえアホ共!メガイオナズン!!」
―ズゴオオオオオオオオオッ―
「「ぬわーーーーーーーーーーーーーーーっ!?」」
あ、吹き飛んだ。ちょっと爆発力高すぎるな。一撃で仕留められなきゃ逃げられる。
というか、その叫び声はお前らじゃねえ。
ふむ、しかし通常の3倍威力のイオナズン(大体5~600ダメージ)が合成して更に威力3倍(大体1500~1800)。
なんというゆで理論。しかし文字通りなのだから末恐ろしい。
あ、これマジであいつら死んだ?つーかMP30消費でこの威力ってチートってレベルじゃねえな…
いいんだろうか。物語として破綻してね?これ。
「ぐ、ぐうう…ま、まさか人間ごときにこのオレ様のバリアが破られるとは…」
「あででで…やりやがったなあ糞ガキ!」
あ、バリア付いてたんだ。しかもぶち抜くって。どんな威力だマジで。
けどバリア付きだと牽制程度は意味ないな。もう一発行っとくか?この年にしては膨大なMPの5分の1持っていかれたんだけど。
ゲマの事も考えたらあと一発が限度か?
よし、もう一発撃ってそれで力尽きた風を装う事にしよう。そうしよう。
メドローアみたいに違う属性同士だと消費MP跳ね上がるから、別のにしよう。
実際俺のメドローアって3000ぐらい行くんだよね。威力的にそんなもん。概算だけど。
流石に周りがえらいことになるので却下。今の俺でも最大MPの半分以上持っていかれるし。
「というわけで更に新技実験~♪ギガデイン+ギガデイン…合成!テラデイン!!」
―ズゴオオオオ(ry―
「「ぬわーーーー(ry」」
うはー…こりゃ2000ぐらい行ってるな。しかも全体技になってるし。これで消費30とかこえーよ。
「うぐぐ…」
「こ、このガキ…」
うわっ!?耐えやがった!?やっぱこいつらクラスになると数値そのままのダメージは食らってくれないかあ。
とはいえ満身創痍でボロボロ。こりゃあと一撃で落ちるかな?
しかも不意打ちで吹き飛ばしたあとに連打したもんだから攻撃されてねえし。
あ、攻撃に耐えられるかとか分かんねーじゃん。
「ぐ、ぐおおおおおおおおおっ!!」
「おわあっ!?」
と思ったらゴンズが殴りかかってきたあっ!?
右からの薙ぎ払いをしゃがんで躱し、そのまま振り下ろされる鉈を横に飛んで回避する。
地面で一回転してその勢いのままに立ち上がろうとすると、今度はジャミが突っ込んできた。
突進を躱すと丁度ビアンカ達と俺との間に2体が入った形になる。
そのままでは不味いので相手が動き出す前に一瞬で斬りかかった。
「瞬剣、ハヤブサ斬り!」
「ぬおっ!?」
歩法を組み合わせて高速で迫る俺の斬撃を片腕で受け止めるジャミ。
バリアがあるためダメージは0だが、これで構わない。
俺とジャミは至近距離。そして目の前には今のリアクションで開いた口。
となれば殺ることは一つ。右手の剣に体重を掛けたまま、左手をジャミの口の中にツッコむ。
突然の事に怯んだ隙に、左手に待機させていた呪文を解き放ってビアンカ達の方へと飛び退る。
「イオナズン!!」
―ズドンッ―
「ぐぼおっ!?」
普通よりも短い爆発音が響き、ジャミが奇声を上げた直後。
ラインハット洞窟の前に真っ赤なトマトが弾け散った。
おお、グロいグロい。
「な!?ジャミ!?」
相方のグロい死に様に気を取られるゴンズ。
しかしそれは完全な隙だよ。
右手に火炎剣、左手にメラゾーマをチャージ!
「隙ありッ!メラゾーマ充填!超・火炎斬りッ!!」
「ぐ、ぐああああああああああああああああああっ!!!」
見たか、これが俺の魔法剣だっ!
………あ、倒しちゃった。しかもMPがー。半分以上持っていかれた。
その上火炎斬りとハヤブサ斬りのせいでHPとまで減ってるし。
やべ、ゲマどうしよう。
「うわー、アベルすごーい」
「へえ、本当に強いわね、坊や」
いや、キミらよく今の見てて平然としてるな。弾けトマトだよ?
というか見てないで援護ぐらいしろよ。メラゾーマとかマヒャドとかあるでしょーよ。
折角俺が必死に教えてこの前使えるようになったってのに。
…あ、そうだ。それがあった。
なら俺は全力でぶちかまそうかな?
まあ、倒すのは無理だろうけど勝つぐらいならなんとか。
「ほほほ、まさかゴンズとジャミがやられるとは思いもしませんでしたね~」
「っ!」
この喋り方…ゲマ!
咄嗟に声の方を向くと洞窟の中から現れる一人の男。
魔道士っぽいローブを来た魔王の片腕。
俺の"知識"では俺を人質に取り親父を殺した悪夢の元凶。
………実験台キタ━(゚∀゚)━!!
「ほ?なんだか嬉しそうですねえ。どうかされたのですか?」
「ははは、ちょっとね。ビアンカ、ユキメ、こないだ教えた"アレ"頼むわ」
一瞬三人揃って不思議そうな顔をするも、二人は理解したのか「任せて!」と答えて抱きあう。
それを見たゲマは魔力の高まりを見て危険と判断したのか遮ろうとするが、
そんな事をさせる俺ではない。
スクルト+ピオリム+バイキルト、合成!スピオキルト!20消費。
んでもってピオリム+ハヤブサ斬り+ツバメ返し、合一!
「神速・飛瞬連斬!でぇぇえええやぁぁぁああああああああああああああああッ!!」
「むっ!?おおおおおおおっ!?」
そらそらそらそらそらァッ!
右からの薙ぎ払い、左下からの逆袈裟、そのまま一回蹴りを入れて更に左上からの縦一閃。
そしたら今度は下からの突きを放って躱されたらそのまま乱れ突き!
後方に飛んだ相手に追い縋って更に斬撃を都合5度放つ!
「ぐうっ…なんという高速の連撃。これは流石に防ぐしかありませんねぇ…」
中々余裕そうな声を出しているが実際反撃の隙は無いだろう。
スピオキルトで全能力が上がっている状態での高速連撃だ。
ピオリムを合一させた事でMPが8消費。残りMP約50。メドローアは無理だな。
あれはメラゾーマとマヒャドがそれぞれ3倍ずつの消費に跳ね上がる。その代わり威力がえげつないけど。
俺の合成メドローア、約70消費で威力3000近く。
いやあ、チート乙。てかドラクエのダメージじゃねえよ。
まあ上位魔族だと半減ぐらいはして来るらしいんだけどね。
魔王とか大魔王クラスだと3分の1とか5分の1ぐらいしてくるんじゃなかろうか。
そんな事を考えている間に1ターン経過。二人の準備が整った。
「イオラ!」
「ぬぐっ!?」
目眩ましにイオラを一発ぶちかます。
至近距離で小範囲に絞り、更に顔面向けてぶっ放してやった。
さすがにコレは堪らなかったようで、大きな隙を晒してしまうゲマ。
スピオキルトで上がった身体能力をフルに使い、一瞬で二人の後方へと飛ぶ。
そして両手に必殺の一撃をチャージし同時に二人に合図を出す!
「今だ!」
「「――合体!!究極対消滅呪文(オメガメドローア)ッ!!!」」
俺が二人に教えた魔法…ビアンカのメラゾーマとユキメのマヒャドを合成する合体魔法、オメガメドローア。
相反する属性を合わせるのはかなりシビアで、
俺のメラゾーマとユキメのマヒャドでは出力が違いすぎて上手く行かなかった。
だが、出力が同等の二人なら完成させられる。
発動に時間がかかるのが難点だが、威力は折り紙つきだ。
そうして放たれたオメガメドローアが無防備に体を晒したゲマを巻き込んで盛大な大爆発を起こした。
―ズズッ………ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ―
「ほぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!?」
よっしゃあ!直撃!
ギリギリ二人のMPを使い果たしての超特大呪文!威力にして約3000!勝った!第三部完!
いや、まだ第一部だけどね。幼年期編的に考えて。
しかし相手は魔王の右腕。恐らく半減ぐらいはしてくる筈。
となると半分も削れていない筈。…周りの地形変わってるんだけどなあ。塔の上での戦闘とかよく無事だよね。
爆煙が晴れると、そこには体中から出血しながらもまだまだ元気そうなゲマが立っている。
流石にこの威力には驚いたようだがまだ倒せない。
「ぐ、ぐあ…まさか後ろの子達までこれ程の魔法が使えるとは思いませんでしたよ…」
「ふふっ、私だってアベルの役に立てるんだから」
「ええ、坊やだけに任せておくのは嫌だもの」
心底驚いた様子のゲマに対し、当然というように胸を張ってみせるビアンカとユキメ。
ビアンカは微笑ましくてユキメはイイ感じに揺れている。何がとは言わない。
余計な事を考えていたら睨まれた。後ろに居るのになぜ分かるのか。
まあそれは兎も角、二人のおかげで俺の方も準備万端だ。
さあ、こいつも持っていけ!
「右手にギガデイン、左手にギガデイン、合成!テラデインッ!!」
―ズガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンッ―
「ほほほおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!?」
粉砕☆玉砕☆大喝采!!フーハハハハ!
見たか!これが真のテラデインだ!
いや、さっきのは失敗だったんだよね。ギガデイン合成したのに拡散しちゃったから。
これで3000以上の威力は出る。メガメラゾーマの3000弱と違ってこちらは完全に3000超え。
数百の差はデカいのだよ。主に自然破壊的な意味で。
とはいえこれも半減されているだろう。まだ生きている筈だ。ったく、こっちはもうスッカラカンだぞ。
一応メラゾーマ待機させておくか。これで本当にカラだ。
「ぐ、ぐぅぅ…まさかこの私がここまでやられるとは…」
流石にボロボロだけど、戦闘不能ってほどじゃない。
多少動きに影響は出るだろうけど、まだまだ戦えるようだ。
マズイな、スピオキルトが切れる。このターンでラストだ。
「く、かくなる上は…むっ!?……マズイですね。此処に来て増援ですか。…仕方有りません、退かせて頂きましょう」
そう言って一瞬で撤退していくゲマ。
ルーラでも使ったのか他の転移呪文かなんかなのか。
よく分からんが退いてくれたようだ。そしてゲマの最後のあの言葉。恐らく…
「アベル!?ビアンカにユキメも!大丈夫か!」
遅いよ、親父。
・
・
・
「そうか、そんな事が…大変だったな」
あの後。捕らえた盗賊やヘンリーは途中の爆音で目をさましていたようなのだが、
俺達の戦い…特に最後の二発を見て完全に恐慌状態に。
俺達が尋問するとあっさりと全て吐いてくれた。
結局それが決め手となって王妃は投獄。ヘンリーは真面目に親父の教育を受けているようだ。
"知識"では確かマトモな奴に育っていた筈だし、ちゃんと教育していけば大丈夫だろう。
親父は暫く滞在してヘンリーのサボりぐせなどを矯正した後、また母さんの手掛かりを探す旅に出るようだ。
俺も今回の事でゲマに目をつけられたのは確実なので、慎重に動かないといけない。
まずは天空装備を集めよう。使えないとしてもパクられたらコトだ。
剣はサンタローズに隠してあるからいいとして、残りはルドマン氏のとことテルパドールとセントベレス山か。
ルドマン氏のとこも大丈夫だろう。そうそう簡単には渡して貰えないだろうし。
テルパドールには一度行っておこうか。予知能力者だもんな、アイシスさん。色々聞けるだろうし。
セントベレスは後回しだな。最後のカギ要るし。
「まあ何とかなるよ」
「もう、アベルったら」
もう、ビアンカったら。…痛い痛い、叩かないで。
ごほん。問題はこれからどう動くかだ。原作と同じ年まで他の地域を巡るか、それともⅤ地域をさっさと済ますか。
ゲマと接触してしまったし、当面はこっちで頑張ろうと思う。光の教団の始末ぐらいはつけたいな。
何にしてもまずは最後のカギが無いと魔界への扉が開けれない。天空の鎧も回収しないといけないし。
最悪吹き飛ばしてもいいんだけど、それで行けるかどうか分からない。
とはいえゲットするにはブオーン復活必須か。その辺から調べようかな?
「そうね、まずは馬車を用意した方がいいんじゃないかしら」
うーん、確かに徒歩ではきついしなあ。移動手段って意味ではルーラも必須か。
あ、でもまだルーラ完成してないかな?俺の知識が役に立てばいいんだけど。
最悪他の土地で覚えるしかないか。
取り敢えずユキメの言うように馬車を手に入れよう。
「ならわしからラインハット王に頼んでみよう」
頼むよ、親父。
さて、当面の目標は馬車ゲットしてルーラゲットだな。
次に船。盾とかリングの件も兼ねてルドマン氏にでも交渉してみようか。
そしたらブオーン退治で、天空城とマスタードラゴン復活で、教団と魔界に乗り込むと。
後は戦ってレベル上げないとな。どっかにメタキンの湧き場無いだろうか。
「ま、がんばりますか」
「「おー」」
・
・
・
・
・
……………おかしい。おかしいおかしいおかしい。なんだこれは。どうなっている。
…おかしい。なぜこの世界には私の知らない地名や大陸があるの?
なぜこの世界には"私"が居ないの?なぜこの世界の"彼"は…ゲマを退ける程強いの?
おかしい。おかしすぎる。こんなことは想定外だ。だって、私が"介入"していないのにこんなこと。
この世界は、私が知っているものと違いすぎる。
…会わなければ。本当は今は時期尚早。でも、会って確かめなければならない。
・
・
・
「…初めまして」
「…?………っ!?」
早朝。街の外に出て鍛錬をしていた彼に声をかける。まだ幼い彼は汚れを知らないかのように澄んだ瞳をしている。
やはりこの頃の彼は可愛らしいものだ。少しの力で簡単に手折れてしまえそう。
…でも、ゲマを退けた実力は本物。レベルは低いけれど、その戦闘技術と魔法は才能とかいう次元を超えている。
声を掛けられた彼はこちらを振り向き一瞬怪訝そうな顔をする。
しかし直後彼の顔が驚きに染まった。…間違い無い。彼は私を知っている。
―ドサッ―
「へ?」
「答えなさい。あなたは何者?」
彼が反応出来ない内に地面へと押し倒し、首元にナイフを突きつけて脅しをかける。
武器なら爪なり魔法なりあるのだけれど、やはり脅す目的ならナイフが一番効果的である。
彼は何が起きたのか理解できていないのか、驚いた表情のまま大人しくしている。
…というよりは見惚れている?…確かに容姿にはそれなりに自身があるけれど、
この状況で相手に見惚れるというのは余りにも危機感がなさ過ぎるだろう。
「答えなさい」
「答えなさいって…」
目を白黒させていて、何かしら考えているようだがその視線は興味津々といった様子。
まるで知識でしか知らなかったものを直接見て驚いているかのようだ。
もしかて知識でしか知らないのだろうか?
考えられる可能性としては砂漠の女王のような予知能力者や、私と似た存在から話を聞いていた、など。
けれどどうも敵意も恐怖心も無いようで、暫くした後自分の中での整理が付いたのか、妙に恥ずかしげな表情でこう言った。
「うわー、エレノアに押し倒されるとか…えっと、優しくお願いします?」
………、何を考えているのだろう、この子は?
・
・
・
・
・
いやー、巨乳美女に全身で押し倒されるとかいい経験したわー。
というか、何で居るの?まさかこの世界って同人も混ざってんの?同じ勇者何人も居たりしないよね?
あ、何か有りそうな気がしてきた。というかいいのかこれ。俺は好きだからいいけど。
でも彼女が居るという事はそっちの設定とかもあるんだろうか。
おっと、知らない人のためにご紹介。彼女はエレノア。
ピンクブロンドを腰まで伸ばし、薄紫の瞳とその美貌によって妖艶さを醸し出す美女。
服はタイトでシンプルなドレス。上下が繋がっていてチャイナ服っぽい感じ。
装飾は両サイドのリボン以外無いごくごくシンプルな装いで、色もベージュ色と地味。
胸元の部分だけが黒で、胸の上半分から上は無い所謂ノースリーブ。
下半身はスリット…というか前後に分かれたスカートで、ふとももが最高です。
纏っている外套も茶色で裾がボロくなっていたりと、なんというかアサシンっぽい風貌。
ただものすっごい美人なので全体的に見ると綺麗なんだけどね。
耳が所謂エルフ耳で結構長い。あと瞳孔が猫みたいに縦になっている。外見で彼女が魔族だと分かるのはこの2点ぐらいだ。
そう、何を隠そう彼女は魔族なのである。しかもミルドラースの元片腕。
彼女の登場する同人ゲーでは、彼女の「他者の力を奪い与える能力」でただの人間をミルドラースという魔王にした。
で、そのミルドラースさんに捨てられて、主人公のリュカに助けられて改心。
しかしリュカと自身が至った結果が気に入らず過去へと飛び、それから何度も過去をやり直している。
目的は魔王を作る事。自身の能力によって己の限界を知ってしまい絶望し、
そして俺の才能を羨ましく思いながら協力。力を与えて魔王にし、その魔王の傍に居続ける事を望む…だったかな。
「…本当に知っているのね」
「まあね。言ったろ?俺には"知識"があるって」
彼女は信用出来る人なので全部話した。似たような境遇だしね。俺は知識として知っていて、彼女は経験として知っている。
俺の知らない成功の歴史も失敗の歴史も彼女は知っている。
彼女の協力があれば恐らく俺はもっともっと強くなれるし、魔王だって倒せる。
…けど、そうなると俺は魔王になるのか?そしたら勇者に倒される運命と永遠に戦うのか?
「恐らく、それは無い」
「へ?」
…彼女の話では、"この世界のエレノア"は存在しなかったとのこと。
つまりこの世界のミルドラースは正真正銘の魔族で、同人で出たシナリオやストーリーとも無関係。
あくまで本編作品のごちゃ混ぜ世界のようだ。
…しかしそうなると彼女が居るのは何故か。
まあ過去への時間旅行でなく、単純に並行世界への旅と考えれば簡単な話なんだけど。
今回彼女が辿り着いた平行世界がここだった、というだけである。
「んー、じゃあもう行く?時間無いっしょ」
「そんな事まで知っているのね…でも、行かない」
「ほぇ?」
彼女曰く、元々やり直しを始めたのは馬鹿みたいな結末を変えるため。
最強の魔王を作るなんてのは一度諦めた目的で、でも諦めきれない目的。
最終的にどうなるかは分からないけれど、馬鹿みたいじゃない結末が見れるのなら俺に着いてくるのもいいかもしれない、
という考えらしい。俺を最強の存在にするのは確定。そして出来れば魔王にしたい…と。
でも作中で主人公も言っていたが、魔王のあり方なんて魔王しだいだ。
それこそ滅びこそ我が喜びな魔王でも、優しい王様を目指してもいい。
彼女が言う"魔王"の定義とは、何者にも負けぬ力を持ち、この世界で圧倒的に自由な存在、という事らしいのだ。
何かどこぞの麦わらゴム人間が言っていたようなセリフだな。この海で一番自由な奴が海賊王だ!的な。
まあ要するに最強たれ、というのが彼女の望みだそうだ。
うん、バッチコイ。
「あ、でも魔王になる!とか言ったらビアンカ辺りにしばかれるな」
「…はぁ、あなたという人は。兎も角それは今はいいでしょう。私はあなたに着いて行こうと思います」
そして、俺の…この世界の行きつく先を見たい、と。
ふむ…何かデメリットあるっけ。メリットは…力一杯ゲット。理由つけてヤり放題。移動手段確保。
最後のカギとかマスタードラゴンとかマジ要らん子。
デメリット…私だけの魔王様になって(はーと)ってか?いや、夜の魔王様なら喜んでならせて頂きますけども。
というか上手いことやればこの子ゲット?なにそれ嬉しい。これで結構可愛いいとこあるんだよなあ、エレノア。
特にデメリットは見当たらないかなあ。魔王になるかとかそれこそ成り行きだし。
なりたきゃなる。なりたくなければならない。それこそ自由。
けど本当に自由てんなら"王"になんかなりたくないけどね。気ままに暮らしたいよ。
「力を示してこその魔王です」
さいですか。いっそ友好的な魔族や魔物だけ集めて国でも作る?
あ、そういえばグランバニアって魔物居るんだっけ。マーサ母さんの不思議パウワ~のおかげで。
じゃあグランバニアを人間と魔族の国にしちゃえばいいじゃない。
文句のあるやつはそれこそ黙らせればいい。
「…力有る者たらんとしてくださるのなら形や場所は問いません」
よっしゃ言質とったどー!よし、ビアンカ辺りは早々に"教育"してやらねば。
マモノコワクナイヨー。マゾクミンナイイヒトダヨー。ボクワルイスライムジャナイヨー。ピギー。
「…大丈夫なんでしょうか」
いやいや、そんな不安全開って顔せんでも。
きっと大丈夫さ。俺は運命なんかに負けない。魔王は勇者に倒されるもの?
残念でしたー。俺の知識には魔王主人公とか普通に居ますー。
穴掘って地下生活とか変な学校入って魔王判定受けたりするのはやだけどさ。
「ま、心配するな。今までの何十何百何千回の俺の分、ちゃんと幸せにするからさ」
「っ!?………ええ、よろしくお願いします」
あはは、頬染っちゃって可愛いな。
さあて、何かよくわかんない事になってきたけど頑張るぞー。
…まさかだけど、ニ◯動ネタとかまで混ざってないだろうな?そこまで責任負えんぞ。
ま、いいか。取り敢えず見つけた美女美幼女は片っ端から幸せにしていけばいいのさ~。
そういえばエレノアはベストエンドの時に最強の俺に身も心も支配されるのが望みだったとか言ってたな。
今俺の目の前に居るエレノアはどうだか知らないけど…身も心も支配する、か。いいなそれ。ふっふっふ…
「アベル?」
「何でもなーいよ」
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