・オリ主
・チート&俺TUEEE
・謎カリスマ
・地の文無し
・ステラ&ミーアその他救済
などの要素が含まれます。ご注意下さい。
1話
「ライル様、通信越しに失礼します」
「あーい」
「前方に二隻の不明艦の反応を確認。片方はザフト船籍でありもう片方は識別信号を出していません」
「あー?…識別信号無しだー?民間船でも通常の軍艦でもないってかー。当然ジャンク屋や傭兵でもない、と」
「この時勢です。恐らくは作戦行動中の軍艦かと」
「やらかしてんのか」
「MSの出撃を確認。丁度戦闘へ突入する模様です」
「って事は不明艦は連合か?面倒な事になりそうだなー。まさか見た者は殺すとか言い出さないだろーなー」
「可能性としてはあり得ます。それと、寝ながらチップスを食べるのは行儀が悪いですよ」
「いいじゃないか"家"の中なんだから。エリスは気にしないだろー?」
「ええ、私に行儀という概念は有りませんので。必要とされる場面であれば相応に振る舞うだけです」
「じゃあ気にしない。さて、取り敢えず発進準備するか。警戒宜しく」
「ルート変更は無しということですね。畏まりました」
「んー」
「それと…」
「ん?」
「今ライル様の隣で寝ている"私"ですが、少々疲労が溜まっているようです。予備と交換しておきます」
「あー、昨日はかなり燃えたからなー」
「昨夜はお楽しみでしたね」
「そりゃあもう。エリスも大分染まってきたな」
「ライル様の謎発言はいつも耳にしていますので」
「謎発言言うなよ。オタクの公用語だよ」
「それと、以前チェックされていたゲームが発売されましたので、データを取り寄せておきました」
「ボケを流すなよ。まあ、ありがと。他になんかあったっけ?」
「現在進行形であてのない旅をしているということ以外に問題はありません」
「いや、アテあるからね?ジャンク回収しながらコロニーを転々とするのが目的の旅だからね?」
「人それを行き当たりばったりと言います」
「いいじゃないかー、どうせご大層な宿命背負ってるわけでもなし、生きたいように生きれば。俺は満喫してるよ」
「満喫、という点に関しては同意いたします」
「んー、しかしそれもそろそろ終わりかな」
「と、いうことは?」
「時期が来た、って事なんだろうねえ。恐らくこれから…今直ぐにでも、始まるかな。いや、もう始まっているのか」
「いつもの勘、ですか」
「信じるかい?」
「あなたを疑うはずが有りません。それが"私"のレゾンデートルです」
「オーケイ。多少出遅れた感はあるが…そろそろ退屈していた所だ。愉しませてもらおうじゃないか」
「出撃準備、完了しました。ドール部隊は現状3機がオーバーホール中、残り9機は未だ未完成です」
「俺のは?」
「システム換装及び更新中につきサブを一時凍結中です。それに伴いビットもオミットされています」
「銃と剣でやれってか。ま、チュートリアルにしちゃ妥当な所か」
「よろしいのですか?」
「なーに最初から予想はしてたさ。なにせ生粋のゲーマーでね。主人公機ってのは乗り換えやパワーアップが無いとな」
「畏まりました。スケジュールはそのように調整しておきます。……出来る事は限られて来ますが」
「誰が死のうが関係ない。誰が生きようが関係無い。それは俺自身も同じ事だ」
「怖くは無いのですか?」
「元パンピーだ。そりゃ怖いさ。ケドネ、マンガやアニメで言うような覚悟とか実感とか、そういうのは生憎感じたことがない」
「人は言いました。意思なき力は暴力であると」
「暴力結構コケコッコー。俺は俺の意思で俺のために俺の思うように最大限力とエゴを振りかざす」
「ヒーローとは程遠い思考ですね」
「ヒーローになんざなりたくないからな。何が悲しくて英雄になんぞならにゃならん。パンピー上等」
「どちらかと言えば悪役の思考だと思われますが」
「大多数の一般人なんてそんなもんだ。痛みも実感も伴わないものに意義はなく、ただ目先と自分のために僅かな力を総動員する」
「ライル様の場合はその力が人よりも大きいだけ、という事ですか」
「その結果人が死のうが生きようが、そこに他人の生死以上の感動は無い。酷く薄く曖昧な実感すら伴わない悲劇なんて、悲劇じゃない」
「人には倫理というものがあるそうですが」
「人殺しダメ絶対。まあ、刷り込みのようなものだな。俺も最初は感じたものだ。ま、数機落とせばすぐ慣れたけどな」
「ゲーマー舐めんな、ですか?」
「最初はね、殺すということに忌避感も感じたよ。けどすぐ気付くんだよねえ。『なんだ。いつもと変わらないじゃないか』って」
「いつもと変わらない、ですか」
「回線なんて勝手に開くもんじゃない。全周囲通信だって死に際にわざわざ開いて悲鳴なんて上げない」
「どれだけ悲壮な覚悟も、悲痛な叫びも、届かなければ意味は無いと」
「マンガやアニメじゃないんだ。殺した相手の悲鳴なんて聞こえない。むしろこう思ったよ『撃破演出無いなんてクソゲーじゃないか』」
「画面越しに生命の実感すら伴わず知りもしない相手が死んだ、それだけという事ですか」
「ゲームと変わらないんだよ。本当に死ぬというだけ。最初は忌避感を感じても、すぐに慣れる」
「中には殺人の重責に心を壊す者も居ると聞きますが」
「そんな繊細な神経してなかったってこったな。この目で人が死ぬ所を見たこともある。事故だけどな。あの衝撃よりは軽かった」
「かくして戦いを受け入れた、という事ですか」
「快楽殺人者じゃないんだから積極的に殺す気もないけどな。消極的になる気も心をやられる気もない。……安心出来たか?」
「……はい。人心解析データSランク要項として記憶します」
「わざわざ持って回った言い回しを。ま、心配して帰りを待ってくれる女が居るっていうのはいい事だよな」
「……私は厳密には男女という区別に当てはまりませんが」
「女型なんだから女なの。体も女だろ。というか男とヤッたとか思いたくないからそこは受け入れろ」
「……重要度ランクAで記憶します」
「よろしい。さて、俺の方の準備も出来た。目も覚めたし覚悟も完了。食いたかったチップスは食いきった」
「思い残す事はありませんか?」
「あるさ。まだ新作ゲームをやってない」
「では、お早いお帰りをお待ちしております。……カタパルト解放、発進、どうぞ」
「ああ、行ってくる。メシ作って待っててくれ。……ライル・ブリックス、シュヴァリエガンダム、出るぞッ!」
・
・
・
「不明艦ですって!?こんな時に!?」
「おいおいどうすんだ艦長。ザフトとドンパチしながら不明艦の相手なんて出来んのか?」
「船籍はどうなっている?」
「ジャンク屋連合の勢力識別信号を出していますが、個体識別信号は確認できません」
「偽装船の可能性もあるな。どういたしますか、艦長」
「――フラガ機、発進しました!」
「とにかく、時間を稼がなくてはいけないわね。ウェザリウスさえ撤退させられれば――」
「不明艦からMSの発進を確認!機数1!」
「なんですって!?」
「あっ!MSから通信が来ています!」
「繋いで!」
「やあやあこんにちはっと。お困りかな?」
「ええ、お陰様で。……私が本艦の艦長、マリュー・ラミアスです」
「へー、こりゃまた随分と美人な艦長さんだ。今夜どう?」
「(ピキッ)生憎と、軽薄な方は好みではありませんので」
「そうかい?ゆるい感じが好みだと直感したんだが……外れたかな?ま、それは兎も角。単刀直入に言おう。援護、要るか?」
「その前に、所属と氏名を名乗ってもらおう」
「おや、副長さんか。真面目そうだねー。これからどんどん苦労しそうな気がするよ」
「……余計なお世話だ」
「申し訳ありませんがこちらも時間がありません」
「ジャンク屋連合所属、チーム名ウェヌスのライル・ブリックスだ。戦闘支援を提案する」
「……そちらに利があるとは思えませんが」
「単純な話しさ。俺らはジャンク屋だが傭兵も兼業してる。傭兵ギルドにも登録してるからな」
「相応の報酬を、という事ですか」
「そちらは新型を無事地球まで届けたい。こちらは報酬と最新技術が間近で見られる。ウィン・ウィンという奴だよ」
「なっ!」
「ほお、その様子じゃ当たりか」
「あ……」
「ナタル……いえ、私も反応してしまったわね。腹芸はどうやら彼のほうが上手のようよ」
「商売人なんでね。形式を重んじる軍人さん相手のやり方も知っている」
(なるほど、経験も豊富であるとのアピールも兼ねているのね)
「……いかがなさいますか、艦長」
「………………正直、今は少しでも戦力が欲しいわ。報酬は後払いでもいいかしら?」
「ええ。最新技術を見せていただけるなら無料でも構いませんが」
「流石にそれは無理ね」
「それは残念。とりあえず数も少ないし連携は期待出来ないな。そちらの新型に合流して敵を分断する」
「現在我が部隊のMAが敵艦後方を狙っています。敵艦撤退までの時間稼ぎをお願いします」
「時間を稼ぐのは構わんが……別にあれを全滅させてしまっても構わんのだろう?」
(っ!なんて自信……)
(決まった!一度は言ってみたいセリフベスト10!)
(……何だか無性に不安になるのは気のせいだろうか)
・
・
・
「くっ、アスラン!」
「キラ!お前がなぜそんなものに乗っている!俺達と来い!」
「あの船には……仲間が乗っているんだ!」
「ちぃっ、こいつちょこまかとっ!」
「イザーク!アスラン!先行し過ぎです!合流してください!」
「ひゅー、燃えてるねー二人共」
「取ったぞ!ストライク!」
「しまった、後ろを!?」
「キラ!」
「おおっと、とぉころがギッチョンッ!」
「なっ!?ビーム兵器!?どこから!?」
「ちぃっ、何だ貴様!」
「俺、参上!ってな。おいそこのガンダム。俺はお前の味方だ。赤いのはくれてやる。他は任せろ」
「えっ!?は、はい!」
「Xシリーズに似た機体!?別の新型なのか!?」
「ちぃ、邪魔をするなーッ!」
「おおっと、そんな単調な攻撃が当たるか!……どうやら乗りこなせてないっぽいな。機体の特性把握は基礎の基礎だろーに」
「アスラン!イザーク!」
「ニコルか!あの新型を頼む!俺はストライクを!」
「イザーク、援護するぜ」
「ち、こいつもちょこまかと……ナチュラル風情がッ!」
「よっはっとっと。そんなヌルい攻撃ではなあ!ゲーマー舐めんなッ!」
「くそ、なんだコイツ当たりゃしねえ!」
「僕達の攻撃が読まれてる!?」
「くるっと一回転して回避~♪こういう機動ってかっこいいよなー」
「後ろを取られただと!?くそ、なんだこの機動性はッ!」
「機体性能に大幅な差は無しか……互いに調整不十分ってとこだな。ま、しょうがないか」
「ちっ、3対1でかすりもしねえのかよ……冗談キツイぜ」
「イザーク!射線を塞がないで下さい!」
「このナチュラルがーッ!落ちろーーーッ!」
「おっと、そうそう落ちてたまるかよっ!ソコだっ!」
「なっ、抜き打ち!?ぐあっ!!」
「ディアッカ!」
「悪い、片腕やられた!」
「イザーク!この敵並じゃありません!技量は僕達以上です!3機で連携して攻撃を!」
「ふざけるなッ!この俺がナチュラルごときにしてやられるなどッ!」
「見えてるんだよッ!」
「ぐああっ!!」
「イザーク!」
「ぐ……こいつ、未来が見えるとでも言うつもりか!」
「生憎と機動予測は十八番でね。ゲームでも読み負けだけはしたことないんだよッ!」
「くそ……ふざけるなーーーーーッ!」
・
・
・
「凄い……たった1機でXナンバー3機を圧倒してる……」
「……艦長」
「ええ、彼の強さ、尋常ではないわね。機体もそうだけれど、彼自身も」
「言うだけのことはあるという事ですか。……コーディネーター、でしょうか」
「さあ、それは分からないわね。それに後で聞けるでしょう。フラガ大尉は?」
「ジャミング下のため通信途絶、未だ連絡ありません」
「上手くやってくれているといいのだけれど……」
・
・
・
「く、アスラン!」
「キラ!どうしてそんなものに乗る!どうして連合に味方するんだ!」
「君だって乗っているじゃないか!それにあの船には僕の仲間が居るんだ!」
「お前だってコーディネーターだろうに!」
「コーディネーターだナチュラルだって、君は!」
「ぐあっ、キラ!連合は、ナチュラルは俺達コーディネーターの敵なんだ!」
「くうっ……それでも、あれに乗っているのは僕の仲間達だ!大事な友達なんだ!」
「ちぃ……だからってなぜ俺達が戦わなければならない!」
「君が、君達が仕掛けてくるから!僕にしか出来ないなら、僕がみんなを守るんだ!」
「お前はっ!あいつらを取るっていうのか!」
「く……君が退いてくれないから!」
「退けるわけがない!退くわけにはいかない!キラ!俺と来い!俺はお前を討ちたくなんて無い!」
「それでも……それでも、守りたい人達が居るんだああああああああッ!」
「く、うああああああああああああああッ!」
・
・
・
「イージス中破!武装の5割を損失!戦闘続行困難です!」
「……イザーク達はどうなっている」
「3機とも小破、武器損失全体で3割、エネルギー残量3機とも5割を切りました!」
「艦長」
「謎の新型とやらに予想以上にしてやられたな。やはり奪取直後の機体を投入するのは早計だったか」
「ッ!艦後方に熱源、MAです!デブリに隠れて接近したものと思われます!」
「な、なんだと!」
「この感覚……ムウ・ラ・フラガか!」
「敵MAより熱源反応、攻撃来ます!」
「回避しろ!」
「間に合いません!うあっ!」
「ぐうう……損害報告!」
「右翼ブースターに被弾!航行能力72%!敵MA離脱していきます!」
「一撃当てて即離脱か。見事なものだな」
「か、艦長、どうされますか?」
「潮時だな。撤退信号を出せ」
「はっ!」
・
・
・
「どうなってんだよ、こいつは!」
「く、あのブレードが厄介ですね。まさかPS装甲に実体剣が効くなんて……」
「あのビームもヤバイ。あのストライクとか言う奴の砲撃並だぜ」
「そらそらそらそらッ!踊れ踊れッ!」
「ぐ、くうっ、ちぃっ!きさまああああああああああっ!」
「精彩を欠いたな!そこだッ!」
「ぐ、ああああああああッ!」
「イザーク!」
「ひゅー、一瞬で両腕持って行きやがった!」
「これは……撤退信号!?イザーク!退がって下さい!」
「くそッ!くそッ!くそおおおおおおおおおおおおおおッ!」
・
・
・
「悪いな、逃した」
「いえ、撃退出来ただけでも僥倖です。支援有難うございました」
「ま、仕事だからな。ビジネスの話は今するべきかな?」
「それは、今後も協力していただけると考えてよろしいのですか?」
「相応の報酬さえ貰えればな。とりあえず俺は一旦船に戻る。契約の話は担当の奴とそっちに行くから乗艦許可を頼むよ」
「了解しました。援護に感謝します」
「通信、切れました」
「ふう、なんとか一段落着いたわね」
「相当ぶっ壊したみてーだな。当分敵さんも追ってはこれんだろう」
「艦長。あのジャンク屋ですが、信用してよろしいのですか?」
「そうは言ってもね、助けて貰ったのは事実よ。おかげで消耗は最低限で済んだわ」
「ああ、俺達にはストライクしか無かったからな。これで坊主も少しは楽になるだろ」
「ですが、得体が知れません」
「つったって、相手は一応正規の傭兵みたいだぞ?」
「確認が出来ない以上確証はありません。それに、我々は極秘行動中です」
「そりゃあそうだが……」
「ジャンク屋旗艦接近、並航体勢に入りました」
「ジャンク屋旗艦より入電、人員2名の乗艦許可を求むとのことです」
「あ?たった二人なのか?」
「……許可すると伝えてちょうだい。非武装は徹底して」
「了解しました」
・
・
・
「あなた達は……」
「ん?お、お前があのガンダムのパイロットか」
「あ、はい。キラ・ヤマトです」
「ライル・ブリックス、ジャンク屋兼傭兵だ。こっちは相棒のエリス。一応俺の女だ」
「初めまして」
「あ、えと、初めまして(うわー、凄く綺麗な人だなあ)」
「よろしくな。……どうやらキラは民間人みたいだな」
「え、分かるんですか?」
「そりゃおめえ、見りゃ分かる。軍服に着られてる上に軍事教練を受けた形跡の無い体と立ち振舞い。さすがにな」
(やっぱり分かる人には分かるんだ。僕も訓練とかした方がいいのかな……)
「大体考えてる事はわかるが、別に好きにすればいい。何もしなくても才能を発揮出来る奴も居るしな」
「あ、は、はい(なんで分かったんだろう?顔に出てたのかな?)」
「民間人のまま終わりたいなら別に必要も無いさ。MS乗りならシミュレータだけでもやっていけん事も無い」
「軍人というのはMS戦以外の使い道も考慮されているので、短期間MSに乗るだけなら肉体訓練や知識は最低限でいいでしょう」
「はあ……」
「そういうこった。っと、来たかな」
「え?あ、ラミアス大尉。フラガ大尉も」
「よ、坊主」
「改めまして、連合軍所属アークエンジェル艦長のマリュー・ラミアス大尉です」
「同じく、ナタル・バジルール少尉だ」
「メビウス・ゼロのパイロットのムウ・ラ・フラガ大尉だ。気軽にムウって呼んでくれ」
「ジャンク屋チーム『ウェヌス』リーダー、ライル・ブリックスだ。ライルでいい」
「同じくメンバーのエリスと申します。苗字は無いのでエリスと呼んで下さい」
「こちらの契約書類は彼女が持っている。契約に関しては彼女に一任してあるから、確認と協議を」
「了解しました。あなたはどちらへ?」
「格納庫、と言いたい所だが無理だろう?パイロット2名と話がしてみたいのだが」
「なら食堂へ行くか。丁度飯の時間だしな」
「へー、軍艦の食堂か。興味があるな」
「フラガ大尉、勝手に……」
「まあ、食堂であれば構わないでしょう。フラガ大尉、キラくん、お願いね。エリスさんはこちらへ」
「おう」
「はい」
「畏まりました」
・
・
・
「へー、じゃあジャンク屋歴長いのか」
「もう10年になるかな。最初は戸惑うことも多かったけど、今じゃすっかり慣れたよ」
「お前若く見えるけど歳いくつだよ」
「戸籍上は今年で24になるな。なりたての頃は苦労したよ」
「戸籍上はって、謎の多いやつだな」
「男も女も秘密が多いほうが魅力が増すのさ。ジャンク屋や傭兵やってる以上情報は大事だしな」
「ジャンク屋に傭兵、ですか。初めて見ました」
「普通だろ?」
「えっと……はい」
「ははは、正直だな。いいことだよ。ま、実際ジャンク屋だろうが傭兵だろうが十人十色だからな。NもCも関係無くな」
「ま、そりゃそうだ。どっちが一方的に良いも悪いも無いわな」
「そう……です、よね……」
「悩みあり、って感じだな。精々悩めよ。必死で悩んで自分で出した答えなら、きっと前に進める」
「前に、ですか?」
「人や状況に流されたり、思考を停止して訪れた結果が悪いものなら、そいつはもう前には進めない。無理に進もうとすれば壊れる」
「だから悩んで自分で答えを出せってか。いいこと言うじゃねえか」
「若い頃の苦労は買ってでもしろと言うしな。躓きそうになったら俺達周りの大人が支えてやる。だから立って歩け。前へ進め」
「…………はい。有難うございます」
「ま、なんかあったら相談しろ。少なくともお前より経験豊富な大人は周りに幾らでも居るんだからな」
「はい」
「で、一段落着いたとこで聞きたい事があるんだが……」
「俺の機体か?船も含めて、かな」
「ああ。ありゃどこ製だ?Xナンバーに似た機体、しかもそのXナンバーを数機纏めて相手に出来る性能」
「俺の腕……と言いたい所だが流石に無理があるか。まあ、似てるのはしょうがない。そもそも似てるのはそっちだ」
「何だって?」
「Xナンバーのデザイン、あれは今までのMSとは大違いだ。おかしいと思わないか?普通デザインは似たものから、だろ」
「……確かに、ジンとは違いすぎるな」
「言われてみれば……」
「その上新技術に新機構。まさかそれが何もないとこからぽっと湧いた、なんて考えるバカもそうは居ない」
「元になったものがある、って事か……」
「ビーム兵器は元々艦船に搭載されていて、小型化の試作が行われていた。PS装甲もMSに限らず新たな装甲材として研究されていた」
「デザインもか?」
「動力や推進装置だってそうだ。より良い性能の確保のために、色んなコロニーや基地で幾つもの試作品が作られた」
「あれもその一つなんですか?」
「正確には違う。コロニーや施設が襲撃されたりして壊滅・破棄された機械・技術・データを、ジャンク屋としてサルベーシしたんだ」
「で、それを完成させて組み合わせたのがあれってわけか」
「まだ完成はしてないけどな。機体自体は出来てるが、特殊なシステムの搭載や細かい調整には時間がかかるんだよ」
「なるほどな。ってことはあの船もか?」
「戦艦だって色んな形が考えられた。その中の一つの設計案を元に、集めた材料を組み合わせて作ったんだ」
「つまりなにか、あのヤバ気な性能のMSも、それを運用してるあの艦も、全部ジャンクの継ぎ接ぎだってのか?」
「そういうこった」
「っかー、コーディネーターってのはえげつねえな。開発者連中が自信なくすぜおい」
「ん?いや、違うぞ?」
「は?」
「え?」
「いや、だから俺コーディネーター違う。俺ナチュラル。天然モノだから」
………
「「ええええええええええええええええっ!?」」
・
・
・
「はい、署名を確認しました。これから宜しくお願いします」
「ええ、宜しくね。けどいいの?戦闘ごとにBランクの報酬か技術提供、それ以外に発生した利益不利益の一切を請求しないなんて」
「はい、ライル様からはそう指示されています」
「それならいいのだけれど……」
「ライル様は気まぐれかつ享楽的な方なので、あなた方と行動を共にする事自体が利益になると判断されたのでしょう」
「ん?それはどういう意味だ?」
「あなた方と行動を共にすれば、面白い事が起こるだろうと考えたということです。あくまで推測ですが」
「なっ」
「ナタル。いいでしょう、こちらとしても利益はありますし否はありません」
「それでは、技術交流についてですが」
「補給や修理はそちらで出来るのね?なら、こちらは一切の情報・技術を提供するつもりはありません」
「はい、その点に関してはライル様も出来ればとの事でしたので。それではなく、こちらからの技術提供に関してです」
「何?そちらからの技術提供?」
「はい。ライル様からはBランクまでの技術情報の提供、補給物資及び整備設備の提供の2つを許可されています」
「ちょ、ちょっと待って!こちらは渡さないと言っているのよ?」
「はい。当然こちらの設備を利用される場合は利用された範囲内のログと解析記録は得る事になりますが」
「それでも、技術提供と補給だなんて……」
「ライル様からは『補給に関しては呉越同舟、技術に関しては趣味だ』と」
「呉越同舟はまだ分かるけど、趣味って……」
「ライル様は自身が持つ技術を秘匿する意思は低いようですので。元々、拾い物だからと仰っていました」
「それにしたって……他の人はなんて言ってるの?」
「それは、私とライル様以外のクルー、という意味でしょうか」
「ええ」
「そういう意味でしたら、私とライル様以外にクルーは居ませんと答えさせて頂きます」
「な、なんだとっ!?」
「ちょっとまって、あれだけの船と機体を二人で運用してるの!?」
「正確には艦の制御及びMS戦闘補助を行う擬似人格AIと、
各種運用や整備、生活面の補助を行う人員が居ますが、それらは数に含みません」
「それは、どうして?」
「私を含め、ライル様以外の乗員は人間では無いので。この情報はBランクですが、一部Aランクを含むのでご了承下さい」
「な、なんだと!?」
「はあ、驚きすぎて少し疲れたわね……」
「お察しします」
・
・
・
「改良した遺伝子をクローン技術で複製し、培養した肉体に人格データをインストール……?」
「そんな事が、可能なんですか?」
「可能も何も、お前ら見ただろう。エリスが動いて喋ってるのを。アレの本体のプログラムは今も船の中だ」
「そんな……」
「言っておくが生命の冒涜なんて言わんでくれよ?水やら炭素やらの材料集めて人の形だけ造るのと変わらん。そもそも生まれてない」
「それは、そうだが……」
「ようは服と同じだ。裸のプログラムに肉体という服を着せて、傷んだら取り替える」
「そいつらは、生きてないのか?」
「脳はあるがそれが勝手に電気信号を発した事は無いな。単に培養槽で細胞を分裂させてDNA通りの形にしただけだからな」
「そもそも生まれてきてない以上人権も無い、か」
「最初はプログラムだけだったんだが体を与えてやりたくなってな。グレーな範囲内で用意したんだ。予想以上に便利になった」
「その過程で破棄した数は?」
「今まで消費した分も含めて284体」
「……生命を、奪ったんですか?」
「言い訳に聞こえるかもしらんが、そもそも生きてない。生まれていない。ただの肉塊だ。……生命は、宿らなかった」
「宿らなかった?」
「俺がやってるのは実現すれば快挙だ。前の肉体の情報をフィードバックし、遺伝子調整をした人間を数週間で完成させる」
「確かに、それが実現すれば戦争は終わるな。最高クラスのコーディネーターが山のように湧いて出てくる」
「だが、ダメだった。これを研究して居た連中はな、無理矢理作ったバケモノに、ついぞ"魂"と呼ばれる類のナニカを宿せなかった」
「どうして、ですか?」
「わからん。それが人類の神秘、人が生まれること自体が奇跡と呼ばれる理由なんだろうな」
「同じものを1から育てる事は出来ても、0から10を造る事は出来なかったって事か」
「酷いもんだったよ。破棄された肉塊が山のようになっていてな。そしてその全て、生命宿らぬただの肉塊だった」
「で、その技術を回収して彼女の体に使ってるってわけか」
「奴らにとっては大失敗だったんだろうが、俺とエリスにとっては十分だった。むしろ下手に生命が宿っていたら使えなかったな」
「お前がまだまともな方の思考してるって分かって安心したぜ。最初はぶん殴ってやろうかと思ったが」
「僕は……よく、分かりません。生命を造るとか、弄ぶとか……」
「分からないならその方がいいさ。それに俺は後悔も反省もしていないし、俺なりにエリスを愛しているよ」
「はははっ!そりゃいいな。女ってのは大事にするもんだ」
「そういうコト。思う所もあるだろうが、俺は俺の意思でやっている。やめる気はないよ」
「ま、納得は正直出来ないが理解は出来た。少なくとも見過ごせるぐらいにはな」
「それは重畳。どうだ、キラも女作れよ。帰りを待ってくれる女ってのはいいもんだぞ」
「え!?え、えっと、その……」
「ははは!坊主にはちと早かったか?」
「いやいや、プラントじゃもう成人だろ?気の早い奴はガキこさえる歳だ。候補ぐらい居ないのか」
「え、いや、その、いいな、って思う娘は……あ、でもその子は」
「彼氏持ち、か?下手すりゃ婚約者か。略奪愛かー燃えるな」
「おいおい、煽ってやるなよ」
「そう言いつつ顔が笑ってるのはどこのどいつだよ」
「あう、えと」
「何なら初体験だけでも済ますか?エリスの予備があるぞ。ハニートラップ用の奴が」
「ええっ!?」
「おいおい、そんなもんまであんのかよ」
「露骨に興味示したな。情報共有だけ行なって人格を切り離してあるから厳密にはエリスじゃないがな。
幾ら何でも自分の女をハニートラップには使わないさ。容姿も変えてあるしな」
「何パターンもあるのか?」
「変装も兼ねてるからな。俺のそっくりから適当に組んだ美男美女まで。使いドコロが限られるから数は少ないけどな」
「一つくれ(`・ω・´)キリッ」
「ちょ、ムウさん!?」
「おー、後で部屋に届けてやる。連れ歩くなら言え。適当に設定でっちあげてやるよ」
「ははは、お前良い奴だな」
「オマエモナー」
「あ、あの、僕そういうのは……」
「いや、坊主。実際問題これは洒落にならないんだ。男に限らず人間には欲求がある。坊主ぐらいの歳なら特にな」
「悶々としている状態では仕事が手に付かなかったり精彩を欠いたりする事も珍しくはないな」
「守る相手が居るってのも大きいが、単純にストレスを溜めないってのも大事だ」
「特にお前ぐらいの歳はそういう事でストレスを溜めたり、変な揉め事を起こす事も多い」
「坊主は知ってるか分からんが、通常の軍隊でもこの手の問題ってのはかなりでかいんだ」
「なにせ殆ど男所帯だからな。毎日むさっくるしい連中と殺し合いしてりゃそりゃ色々溜まる」
「大昔は酷かったらしいが、今でもその手の問題が無いわけじゃない」
「慰安婦問題、軍人による婦女暴行、上官の権威を傘に来たセクハラやわいせつ行為の強要」
「さっきコイツが言ったみたいにハニートラップってのもある。経験の無いやつは引っかかりやすい」
「は、はあ……なるほど」
「お前だって男女関係のトラブルで仲間と喧嘩したり、その結果誰かを守れなかったりなんて嫌だろ?」
「それは……確かに」
「経験してみるって割り切るも良し。本気で恋愛してもいいぞ?ちゃんとしたの用意するから」
「本気で……ですか?」
「まあさっき言ったような存在を本気で愛せるかって問題はあるが……俺は割り切った上で愛してる」
「割り切った、上で?」
「そういう存在だと理解し、割り切る。その上で歩み寄り、愛する。男女関係に限らず大事なことだ」
「お、いいこと言うね」
「別に世界に女は一人ってわけじゃない。どんな形になるにせよ、今のお前からは成長出来るはずだ」
「成長……」
「子供である部分を少しでも減らして成長できれば、それでも見えてくるものもあるだろう。救えるものもあるだろう」
「見えるもの……救えるもの……」
「おいおい、お前なんか洗脳しようとしてねえか?」
「失礼だなおい。ま、確かにいい事ばかりじゃない。お前達子供が総じて嫌う、嫌な大人に近づくって事でもある」
「嫌な、大人」
「けど結局最終的にそれを決めんのは坊主自身と、坊主を見る奴次第だな」
「ま、あくまで選択肢の一つだ。肉体関係と言わなくても、キスや手を繋ぐ程度でもいい」
「ああ。別にただ喋るだけでも構わねえ。こういう状況だからってのもあるがな。坊主、お前には触れ合いが足りねえ」
「ふれあい」
「体同士の触れ合い。心同士の触れ合い。それが無いまま戦争なんかしてたら、いつか壊れるぜ」
「こわれる……」
「ま、今直ぐとは言わん。必要になったら言え。とりあえず適当なのを一人送るから会話ぐらいしてみろ」
「おっと、俺の方も忘れないでくれよ?」
「ああ、久々に出来た友人だ。とっておきをくれてやるよ」
「っしゃあ!」
「………………何が、しゃあ!なのかしら?」
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「……そう、あなたは彼を愛しているのね?」
「人間の言う愛と同じものかはわかりません。ただ、私のこの気持ちを説明する言葉を他に知りません」
「……そう。正直生命の冒涜とかそういうのはよく分からないわ。あなたの事がそれに当たるのかも」
「そもそも、特定の定義など無い問題ですから」
「だろうな。嫌う者は嫌い、許容する者は許容する」
「コーディネーターとの問題も、そういう所に端を発しているのよね……」
「少なくとも私は、私の体を得るために多くの肉塊を廃棄したという事を知った上で、ライル様には感謝しています」
「……そう。なら、いいわ。この話は終わりにしましょう。感情論以上に結論の出るものでも無いもの」
「ご配慮に感謝します」
「着いたぞ。ここが食堂だ」
「彼らは居るかしら?」
「はい、ちょうどあそこに……」
「っしゃあ!」
「………………何が、しゃあ!なのかしら?」
「ライル様?」
「……………………まりゅー?」
「……あー、エリス?」
「はい」
「手配、よろしく」
「畏まりました」
「ってちょっと!?」
「待て、話が読めん」
「あー、気にせんでいい。こっちの話だ」
「というか、エリスさんは今ので分かったんですか?」
「ライル様と私は非接触回線で接続されていますので。バイタルや発言など、逐次記録しています」
「マジか?お前勇気あるなー。浮気もできねえぞ?」
「これが傍に居るのに他に要らんだろ。エリスより良い女なんて滅多にいないぞ?」
「そりゃまあ美人でナイスなスタイルだが……って睨むなよラミアス大尉」
「まあ、そもそも浮気しても頓着するような思考回路してないんだが……そんなドブネズミを見るような目で見ないで下さいよ」
「はあ。冗談はともかく、良好な関係を築けたようで何よりです」
「あ、あはは……えっと、ラミアス大尉達はもう終わったんですか?」
「ええ。ひと通りは。幾つかご本人に確認しておきたい事があるのだけれど……」
「ああいや、回線越しに報告は受けていたから大丈夫だ」
「あ?ずっと俺らと喋ってただろ」
「並列思考は現代人の必須スキルってね」
「お前ほんとにナチュラルかよ……」
「ライル様、補給物資その他の準備整いました」
「ああ、ありがとう。ラミアス大尉?」
「非接触回線とは便利ですね……了解しました。私の権限で着艦許可を出します」
「では続きは格納庫で。行きましょうか」
「ええ」
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「ねえ、ちょっと何アレ」
「ああ、フレイか。なんでもさっきの戦闘で助けてくれた傭兵部隊の連中らしいよ」
「あれ、ジャンク屋じゃなかったっけ」
「正確には両方だな。あそこに居る彼女らはその旗艦から補給物資を持ってきてくれたんだ」
「補給物資!じゃあもうご飯我慢しなくていいの!?」
「ご飯も水も解決だってさ」
「やったあ!」
「ギリギリらしいけどね。それでも最短距離で月まで行けば十分持つってさ」
「しかも危なくなったら彼らのツテで補給を確保してくれるって約束してくれたんだ」
「マジで!?太っ腹だなあ」
「戦闘にも参加するらしいし、キラの負担も減るんじゃないかな」
「そっかあ。キラ一人じゃ大変だもんね。良かったぁ」
「……ねえ、あの人達もコーディネーターなの?」
「詳しくは聞いてないけど、リーダーはナチュラルらしいよ?あのMSに乗ってた人」
「ナチュラルがMSに乗れるの!?」
「はー、すげえな。あの女の人達はコーディネーターなのか?」
「さあ。詳しくは聞いてないけど、ナチュラルでもコーディネーターでもないって」
「なにそれ」
「知らないよ。本人に聞いてみたら?」
「え、いやそれは流石に……ってフレイ!?」
「ねえ、あなた達コーディネーターなの?」
「いえ、遺伝子に手を加えてはいますが厳密にはコーディネーターとは違います。ライル様を除くクルーは全員クローンですので」
「く、クローン?」
「あなた方一般兵及び民間人には最大でもCランクまでの情報開示しか許可されていませんので、これ以上は開示出来ません」
「コーディネーターではないのね?」
「ナチュラルでもコーディネーターでもない、としか答えられません」
「そう……」
「そもそも、我々はライル様のために生まれ、ライル様のために存在しています。
ナチュラルにせよコーディネーターにせよ、敵対や差別をするという感情や思考回路を私達は持ちあわせて居ません」
「じゃあ――――」
「なあ、フレイって時々凄い根性あるよな」
「そうね、サイよりあるんじゃない?」
「ちょ、ミリアリア……」
「俺、あんなにズケズケ言えないよ……」
「質問しまくってるなー。上手くはぐらかされてる気もするけど」
「need to knowって奴だろ」
「なにそれ?」
「ライルさんが言ってたんだよ。ほら、例のリーダーさん。軍人の心得だってさ」
「あー、確かにそれっぽい」
「意味は分かるな」
「知りすぎると危険って意味もあるんだってさ」
「ってそれつまりフレイが危険ってこと?」
「え、うそ止めなきゃ!」
「だ、大丈夫でしょ。そのためにはぐらかしてるんだろうし」
「まあ聞かれたらマズイことを聞かれて答えはしないよな」
「あ、話終わったみたい」
「…………」
「フレイ?」
「え?あ、ああサイ……」
「どうしたの?」
「ううん、なんでもない」
「彼女達、どう?」
「よく分からないけど……信用は出来ると思うわ。少なくとも自分たちがコーディネーターっていう意識は無いみたい」
「そうなんだ」
「どっちかって言うとあのライル、だっけ?その人の私兵とか腹心みたいな感じがしたわ」
「へー。まあ同じ部隊の仲間だしそんなもの、なのかな」
「というか、あれはもう至上主義の域に入っているわ。死ねと言われたら死ぬわよ、あれ」
「ま、マジか……」
「よく分かんなないなあ」
「同感」
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「クローン体の機械への生体部品化、NJ影響下でも高速・高精度の通信が可能な非接触回線、電子精霊と電子妖精……」
「オーバーテクノロジーのオンパレードですなこれは。上辺の情報だけというのも有りますが、丸で理解出来ない次元ですよ」
「これ、全部ザフトが?」
「一部は連合のものも。クローン系技術などですね。どちらのものでもないものもあります。当然、我々独自のものも。
非接触回線などは設計段階で頓挫していたものを、私達とライル様とで生体部品を用いる事で完成させたものです」
「複合技術というわけね……よくもまあこれだけ集めたものだわ」
「ライル様の勘はよく当たりますので」
「勘って……当てになるの?」
「ライル様の勘に沿って調べればジャンク化したばかりの部品がごろごろ、などというのも珍しくはありません」
「それもう超能力じゃないか?」
「私も何度か疑い幾らかの検証や検査も行いましたが、確証は得られませんでした」
「真面目に調べたのか……」
「結論として、とても勘がいい、ということに」
「それで済む話では無いと思うのだけれど……まあいいでしょう。これは全てCランクね?」
「とりあえずはということで。気になる技術がありましたら、Bランクまでのデータを送信致します」
「分かったわ。有難う」
「では、次に物資の補給状況ですが」
「こちらでも確認したわ。嗜好品まであるなんてね……」
「ライル様が酒類、煙草、ゲーム、菓子類などを好まれるため常備しています」
「避難民丸々賄える量を、か?」
「職業柄長期間補給を受けられないことも考えられますので。場合によっては人員数が増加することも考慮しています」
「ああそうか、作れば作るだけ増えるんだもんな」
「傭兵なのだからこういった事態も想定しているでしょうしね」
「一部嗜好品に関しては流石に量が限られるので、制限をかけさせて頂きますが」
「しかしこれで月まで持つのか?」
「状況次第ですが、十中八九持たないかと。ご安心下さい、補給部隊を既に動かしていますので」
「んなもんあるのか?」
「正確には索敵や補給から緊急時の特攻も視野に入れた汎用部隊ですが」
「よくまあそれだけ」
「人手に関しては問題ありませんし、資金はジャンク屋と傭兵業で十分以上に稼げています。
別働隊と言っても、最低限の役割をこなすだけの簡単な部隊ですので、維持費も然程かかりません」
「なるほどなあ。確かにそういうのが別にあれば安心して動けるわな。普段は適当なとこで待機させてりゃいいんだし」
「兎も角、補給に関して問題が無い事は確認しました。協力に感謝します」
「最後に人員の提供ですが」
「これはどういう事?」
「ムウ・ラ・フラガ大尉からの打診をライル様が受け、許可したものです」
「ちょっと大尉、勝手に……」
「いやいやそうは言っても大変だろ?明らかに人手が足りてない。彼女らは万能みたいだしな」
「汎用型から特化型まで数種類のプログラムパターンが用意されていますので」
「それは、そうだけれど……」
「整備員とかCICは兎も角、調理場やら衛生兵やらは彼女らに手伝ってもらってもいいだろう」
「立ち入りと閲覧の制限を頂ければそのように致しますが」
「機密に触れない事なら格納庫を任せても良いと俺は思ってる」
「それは……分かったわ。とりあえず今回は調理師と衛生兵、あとは……生活対応兵?」
「正確には兵ではありませんが、クルーの心身のケアや身の回りのお世話などを行う者です」
「少数精鋭で回すんだ。代わって貰えるとこは代わって貰ったり、せめて話し相手ぐらい欲しいだろ?」
「特にパイロットのお二人には専用のドールを付ける予定です」
「そう……確かに、そこまで気が回ってなかったのは確かね。生活面でのサポートが増えるのは歓迎できるわ」
(よっしゃ!)
「ではそのように。その他詳細は資料を確認の上、不明な点は最寄りのドールにご質問下さい」
「非接触回線があるから誰でもいいのか。ほんと便利だな」
「統括はオリジナルタイプ……個体名称エリスが担当していますので」
「本当、目が眩むようなテクノロジーね。どんな技術力をしているのかしら」
「ライル様の頭脳と、ドールを含む膨大な電子精霊及び電子妖精による演算能力の賜物と自負しています」
「処理能力が違うって事か」
「とりあえず、諸々の手続きはこれで終了ね。改めて、協力に感謝します」
「今後共、よろしくな」
「はい」
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