黒歴史自由帳   作:ゼロゼロ大神

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気が付けば九尾 (NARUTO 九尾憑依 多作品キャラ拝借)
一之巻『九尾!!!』だってばよ!


 

一之巻『九尾!!!』だってばよ!

 

 

 

 

「えーと………なんぞこれ?」

 

どうも皆さんこんにちは。俺の名前は…と名乗りを上げようとして自分の名前を思い出せない事に気付く。

仕方がないので改めましてこんにちは。どこにでも居るごく一般的な大学生の男性Aです。

卒業を来年に控えた俺は就職難のご時世にビクビクしながら今日も勉学に励んで…

いる、筈だったのだが。

 

周囲を見渡してみれば荒地が広がっている。

それも自然になった訳では無いようで、地面が砕けてたりクレーターがあちらこちらにあったりと、

いかにもデカいナニカが暴れましたというような場所。

荒地の周囲は森に囲まれ、この森も所々木がなぎ倒されている。

荒地と森の両方に焼け焦げたような跡が点在していて、流星群でも降ったかのような有様だ。

何故こんな場所に、と疑問に思うのも束の間。

すぐに俺は自分の目線が高い所にあることに気付く。

不思議に思って下を向くと、そこにはふさふさの毛に覆われた立派な前足が二本………

 

「ってなんじゃこりゃああああああああああああああああっ!?」

 

「ぐっ、何だっ!?」

 

驚きの余りに上げた大声に反応があった事にこちらが驚きつつ、

他にも人が居たのかとようやく気付いた俺はパニックになろうとする頭を必死で留めながら振り向く。

するとそこには何やら奇妙な光景があった。

何処かで見たことがあるような装束に身を包んだ、これまた何処かで見たようなパツキンのイケメソ。

横には何やら木の祭壇のようなモノがあり、その上に半裸で赤髪の女性が横たわっている。

どうやら二人とも大怪我をしているようで、荒い息を吐く口からは血が零れている。

男は警戒した様子で黒光りする金属の棒を構えた。

…何か非常に見覚えがあるというか、心当たりがある気がするのは気のせいだろうか。

いや、そんな筈はない。あってたまるか。だってあれはマンガの登場人物…

 

「ミナト、大丈夫なの…?」

 

「ああ、問題ないよ、クシナ。後は九尾をナルトに封印する」

 

………何かとんでも無い言葉が聞こえた気がする。

ミナト?クシナ?九尾?ナルト?ははは、そうだね。俺もNARUTOは好きだよ。

設定資料集みたいなのまで全巻揃えてるしね。

一週間前にふと思い出したように一巻から読み返してね。つい昨日60巻読み終えた所だよ。

本は単行本派なんだけどね?次の新刊が待ち遠しくて。

いやあ、お二人もコスプレよく似てますねえ。あ、お子さんですか?生まれたばかり?可愛らしいですねえ。

 

 

 

 

「えええええええええええええええええええええええええええええええええええっ!?」

 

「きゃっ」

 

「何だっ!?」

 

何か俺の大声(体がデカい為声もデカい)に驚いてるが其れ処じゃないっ!

待て待て待て待ってよ待って下さいお願いします!?

マジか!?マジもんか!?

いやだって周りどう見てもセットとか特撮とかそういう規模じゃ無いし!?

二人とも似過ぎだし!?そもそもナルト実写化とかそんな黒歴史になりそうな話も聞いてないし!?

いやそれ以前に俺の体!どう見てもこれ人間じゃねえ!

いや、つーか待て、この三人揃っててしかも封印とか言う素敵ワードが出てる傍に明らかに人間じゃない俺………

 

「俺九尾じゃねえかああああああああああああああああああああああっ!?」

 

「な、何…?」

 

「何なんだ…?」

 

流石に三度目ともなると驚きより疑念の方が強くなるようで、どうもこちらを注視している。

とりあえず今すぐ封印とはならない…のだろうかと自分の考えに疑問符を付ける。

マンガの内容を詳しく思い出してみれば、確かクシナさんはえらい危篤状態だったはずだ。

それにナルトに封印する段階という事は屍鬼封尽は済んでる筈。確かそうだった。

あの辺りは感動したのでよく覚えている。

となるとミナトさんももう限界が近く、つまり猶予は無い以上すぐに封印に移るはず。

となるとこれは非常に不味い。このままでは俺は封印されてしまうのだから。

いや、それ以上に問題がある。原作通りの封印なら俺次第で多少の自由は確保出来るだろう。

口寄せとかいうのをしてもらえば外にも出られる筈だ。

問題は彼ら二人だ。このままでは彼ら二人の夫婦はナルトに俺を封印し、

自らのチャクラと意思も同時に封じてそのまま死んでしまう。

自分の事も大事だがそれよりも目の前で、それも間接的にとはいえ自分のせいで人が死ぬなんて嫌過ぎる。

そんな重荷絶対背負いたくないというのが本音だが、助けられるなら助けたいという気持ちもある。

とはいえそう簡単に出来るなら原作でもやっているだろう。

となると原作では無かったモノがキーになる筈だと思い至り、幾つか思い浮かべてみる。

俺の記憶…は却下だ。あくまで作中で語られた事しか知らないのでは意味は無いし、

現代医療がこんなオカルトファンタジーな現象に役立つとは思えない。

となると…そうだ、九尾の知識は使えないか?

 

と、そこまで思考して九尾の知識を辿ろうとした瞬間、壮絶な頭痛が俺を襲った。

 

「ぐ、あああああああああああああああああああああああああ!!」

 

「っ!ミナト!」

 

「ああ、直ぐに始める!」

 

俺の叫びを勘違いしたのか好機と思ったのか、封印に取り掛かるミナトさん。

素早く印を結び、俺を封印しようと術を発動させる。

何やら絡みつくような感覚が全身を襲い、そのまま引きずり込まれていく。

頭の痛みにたえながら俺はソレに全力で抵抗した。

俺の頭を襲っている痛みは詰まるところ情報の波。

九尾が本来持っていたであろう莫大な知識・記憶・感情といったモノが俺の脳に流れ込んで来ているのだ。

そのあまりの情報量に気を失いかけるが、すんでの所で踏みとどまる。

このまま行けば俺は封印され、あとは原作と同じ流れだ。

せめて俺か二人のどちらかは助からないと痛みに釣り合わない。

 

「くっ、思ったより抵抗が激しい…だがっ!」

 

「ああああああああああああああああああああああああああああああああっ!」

 

駄目だ、飲まれる…そう思った瞬間、俺は無意識に二人に手を伸ばしていた。

それは傷つける目的ではない。膨大な知識から一つだけ、閃いたのだ。

それは半ば無意識ではあったが、後にこの行動が成功であったと知ることになる。

 

「なっ!?クシナ!?」

 

「ミナト!?」

 

俺のチャクラに包まれた"二人ごと"、俺は封印された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んぐ…」

 

我ながら奇っ怪な声を出して目が覚めた。

どうやら壮絶な頭痛は収まっているようで、自身の知識を漁ってみれば知らない筈の知識が溢れてくる。

それがなんだかしっくり収まっているのだから妙な感覚だ。

現状を確認しようと周囲を見渡せば暗い空間に檻のようなものが見える。

一目で封印の檻だと知っていた事のように認識した俺は、先程の出来事が夢や幻の類では無かったのだと確信した。

 

「暗っ。明かり点けるか」

 

そう呟いてごく自然な所作でチャクラを練り上げ、火に変換して明かりを灯す。

ここまでやって俺はやっと自分がやったことに驚いた。

 

「チャクラを扱えるのか…」

 

九尾なのだから当然と言えば当然なのだが。

体の隅々まで滞り無くチャクラを通わせられる事を確認し、暴走の危険なども無いと感覚で把握する。

四肢を少し動かしてみるがおかしな様子も無く、戦闘で負った筈の傷は既に消えていた。

回復力の賜物か封印による影響かは分からないが、力を十全に使える分には構わないだろう。

大きすぎる力をいきなり手に入れたことに戸惑いと恐怖も感じるが、

力加減を間違えて握手した腕を潰す、なんて事はないだろうから安心だ。

…こんな体では握手もへったくれも無いが。

 

「あ、変化すりゃいいのか」

 

デカい体躯が不便だと思った直後には変化という言葉が脳裏に浮かんだ。

なんだかグーグルでも使ってる気分になる。

大事なことに限って分からない辺りがそれらしい。

などと自分の調べ方が悪いことを棚に上げつつ、自身の記憶にも問題が無いことを確認する。

相変わらず名前だけは思い出せないが、死んだような記憶は無いので転生とかいうのでは無いとは思う。

ショックで忘れているだけかもしれないが、そこまで考えても仕方ない。

戻れるなら戻りたいが忍術にそんなモノがあるとも思えないし、

俺の新しい知識にも該当するものは無かった。

うちはマダラによるモノかもしれないがそれこそ確認のしようもない。

どの道この場所で出来る事はたかが知れている。暫くはナルトの成長を見守る事になるだろう。

 

「お、出来た出来た」

 

そんな事をつらつらと考えながら自分を納得させている間にも、

慣れ親しんだ動作のように変化を終える。

容姿は狐っぽいイメージと、どうせならイケメンって事で某死神マンガの糸目の人。

大学からは東京の方に住んでいたがそれまでは大阪在住。

東京に出てからは標準語だったが、この容姿なら関西弁に戻しても違和感もないだろう。

まあ違和感を感じるのは俺だけだと言われれば確かにそうなのだが。

変化にはイメージが大事という事でよく読んでいたマンガから拝借したが、

髪の色だけは変わらなかったのか九尾の赤い色そのままだ。恐らくチャクラの色とかそういう理由なんだろう。

そして尾底骨は腰と尻の境目辺りから飛び出して9つに分かれている。

本当は完全に消すことも出来たのだが、九尾の証も兼ねて尻尾だけ残したのだ。

必要になればすぐに消せるので問題ない。

何より自分の尾ではあるがこのもふもふ感は中々にいい。モフモフではなくもふもふである。これ大事。

 

「あ~、なんや気持ちようてねむなるなぁ~」

 

元々使っていた関西弁とは若干違うが、容姿のイメージに合わせて口調を調整。

素に近い喋り方が出来るというのはいい。

前の世界では喋り方一つで面接の合否が別れる程だったが、

この世界では大蛇丸のアレが許されるのだ。関西弁ぐらい問題にならないだろう。

 

「しっかし、なんや忘れてる気がするなぁ…」

 

そう、なにか大事な事を忘れて居る気がするのだが、

九尾の知識は忘れ物には反応してくれないようだ。

ぽけーっとしながら何気なく周囲を見渡すと、何か青白い球体が二つ浮かんでいるのが目に入った。

何だろうかと疑問に思うと同時、あれは魂であると知識から認識する。

 

「ほぉ、魂ってこんななんか。…ん?」

 

と、そこまで思い浮かべて。

 

「思い出したあああああああああああっ!?」

 

 

 

 

「あぶなー、なんとものうて良かったわ」

 

すっかり忘れていたがこの球体二つはナルトのご両親、ミナト氏とクシナ氏のものである。

そう、俺は封印される最後の瞬間、チャクラを使って二人の魂を封印に引きずり込んだのだ。

現在は俺のチャクラと、一緒に引っ張りこんだ二人のチャクラによってしっかりと安定を保っている。

人格や記憶も残っているはずだが、知覚するための肉体が無いため眠っているような状態に近い。

抜け殻となった肉体は遅れて到着した火影達によって手厚く葬られるだろう。

クシナの方もミナトの方も肉体は既に限界だっただろうし、例え残っていても戻せないだろうからしょうがない。

ミナトの魂は屍鬼封尽によって連れ去られる直前だったが、先にこちらに引っ張りこんだので助かったようだ。

契約自体は肉体で行い、代償として魂を支払うため、肉体と魂の繋がりが消えた時点で支払い義務が消えたらしい。

これも九尾の知識からのものだが、何ともまあどこぞのミナミの金貸し相手に借金踏み倒すかのような屁理屈である。

材料が無いので二人を生き返らすにはナルトの協力か俺の自由が必要だろう。

とりあえず精神世界でだけでも話が出来ないか、暫くは試行錯誤する事にした。

 

「第二の人(?)生の始まりやな」

 

 

 

 

 

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