黒歴史自由帳   作:ゼロゼロ大神

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イレギュラー過ぎる聖杯戦争 (fate ハーレム 召喚チート)

聖杯戦争――それは奇跡を叶える『聖杯』の力を追い求め、7人の魔術師が7人の英霊を召喚して競い合う争奪戦。

セイバー、アーチャー、ランサー、ライダー、キャスター、アサシン、バーサーカー七人のサーヴァントと、

それを使役するマスター達は最後の一組になるまで戦い続けなければならない。

それぞれのクラスはそれぞれの特色を持ち、それぞれのサーヴァントは固有の能力や宝具を持つ。

それらをぶつけ合い、競い合い、騙し合い、そうして聖杯を手にする最後の一人を選定する。

――しかし、何事にもイレギュラーというものは付き物だ。

いや、聖杯戦争――少なくとも此処冬木の地で行われるものにレギュラーがあると言えるのかは定かではないが。

それでも一応のルールや法則に則って行われる筈のそれは、しかし一つのイレギュラーによって崩壊する事となってしまう。

これは第五次聖杯戦争と呼ばれる戦い、そのイレギュラーの物語である。

 

 

 

 

 

「「「「「「「素に銀と鉄。 礎に石と契約の大公。

       降り立つ風には壁を。 四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ

       閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。

       繰り返すつどに五度。

       ただ、満たされる刻を破却する

       ――――告げる。

       汝らの身は我が下に、我が命運は汝らの剣に。

       聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ

       誓いを此処に。

       我は常世総ての善と成る者、

       我は常世総ての悪を敷く者。

       我は魔導の真髄を乞う者。

       汝らは我が袂に集う者。

       汝ら三大の言霊を纏う七天、

       抑止の輪より来たりて我が"法"へと宿れ、天秤の守り手達よ―――!」」」」」」」」

 

詠唱は都合7度。しかしそれらは重なりあうように一つに集束する。

多重詠唱――たった一つの大詠唱と化したそれは膨大な力の奔流を巻き起こし、

溢れだした光は網膜を焼かんがばかりに辺りに満ちる。

その魔力は一言で言えば"異常"。

混沌とし、数多の性質を宿し、そして身に浴びるだけで気が狂いそうなほどの濃密な魔力。

それが7つのカラを形成して霧散する。

そこに在るのは、紛れもない英霊。

数多の世界、数多の歴史で最強を誇ったバケモノ達。

いまだ完全に契約を終えていないため真名は分からないが、

それでも漂ってくる気配は人の身に収まるような域を遥かに逸脱している。

その姿をしっかりと見やった俺は、自身の企みの成功に歓喜し口元を歪めた。

 

そしてソレを見て真っ先に声を上げたのは一人の美女。

 

「どうも皆さん初めましてっ!謂れはなくとも即参上、軒轅陵墓(けんえんりょうぼ)から、良妻狐のデリバリーにやってきました!

 イケメン魂のにほひがぷんぷんとしますがここは敢えて問わせて頂きましょう!

 あなたが私のマスターですか?そうですよね?そうだと言ってよばーにいっ!」

 

何かいきなりぶっ飛んだセリフをぶちかましてくれたのは魔力と身なりからして恐らくキャスター。

狐らしき耳と九尾を備え、その身はノースリーブで和風な着物に包まれている。

袖はあるのだが服本体と繋がっていないのにどうやって維持しているのだろうか。

非常に可愛らしい美女で、そのぶっ飛んだセリフの割に目からは高い知性も感じられる。

九尾、和服、美女、軒轅陵墓、キャスター。

これらのキーワードから考えて恐らく白面金毛九尾の狐…所謂『玉藻の前』、だろう。

そして次に声を上げたのはこれまた美少女。

 

「へー、私を呼ぶなんてどんなスキモノかと思ったら…ふふん、中々いいじゃない。

 いいわ!あんたを私のマスターとして認めてあげる。あはは、一杯愉しませて貰うわよ~♪」

 

嬉々とした表情で言葉を口にするのは玉藻の前と並ぶとも劣らぬ絶世の美女。

チェインメイルを装備し下はスカート、腕にはガントレットを着けているがどちらかと言えば軽装。

鎧の胸元には羽の生えた獣の絵が描かれており、白いマントの肩部には特徴的な紋章が描かれている。

腰の右側には角笛を携え、反対側には細身の剣を携えている。

口調も軽い感じで跳ねるような声色はお調子者といったイメージを与えてくる。

胸元の絵は恐らくヒポグリフ。そして角笛、剣、お調子者で美人。

恐らくシャルルマーニュ十二勇士の『アストルフォ』だろう。クラスはライダー辺りか。

しかし彼は男だった気が…まさか女装か?まあ実際可愛いし似合ってるから気にしないけどさ。

 

「…これから戦いに赴こうというのにその様な態度はいかがと思います。サーヴァントもマスターも皆大切な生命なのです。

 ご安心下さいマスター。あなたの御旗は私が掲げ、この手で万難を廃してご覧に入れます。

 …あ、でも火だけは勘弁して下さい(ボソッ)」

 

調子よく言葉を紡ぐアストルフォを諌める様に苦言を呈したのはこれまた美女。

美女率高くないかい?後二人美少女居るし。

あと聞こえてるよ、最後の。なんかトラウマでも有るんだろうか。

彼女もまた鎧に身を包んでいる。アストルフォ程ではないがこちらも軽装か良くて中装の部類だろう。

前頭部に着けた銀の頭飾りや随所に施された装飾からは聖なる力の類が感じられ、彼女自身も清廉な空気を纏っている。

マントには十字の紋章が描かれており、両刃の長剣を携えている。

十字で清廉で火にトラウマ?…若干言葉にフランス語独特の訛りが感じられたのもヒントになるか?

根拠としては弱い気はするが、恐らくはオルレアンの乙女、『ジャンヌ・ダルク』辺りだろうか。

だがこれは半ば勘だな。当たっているならクラスはセイバー辺りになるのかな?

 

「ふむ、中々姦しい事だね。だが嫌いではない。ああ、君が私のマスターかね?

 これはこれは。中々にいい目をしている。祖国の為に働けぬのは苦渋の限りだが…

 私は一度死した身だ。最早それは叶うまい。ならば我が主となる者よ。

 貴公の眼前に立ちふさがる者は我が槍を以って串刺しにしてくれよう」

 

気品ある声音で宣言するのは色白の美丈夫。

黒を基調とした西洋貴族風の衣服に身を包んだ彼からはまさに貴族然とした気が漂っている。

床に突き立てた槍は多くの血を吸って来たのであろう禍々しさを含んでいるし、

その白い肌や威圧感とも取れる気配からして人外を連想させる。

とはいえ彼自体はあくまで人間のようだし、その口ぶりからしても従う事に否やは無いのだろう。

西欧貴族、禍々しい槍と白い肌、"串刺し"を強調するような言葉。恐らく態とヒントをくれたのだろう。

そうなるとこれは分り易いな。ほぼ間違い無く彼は串刺公『ブラド・ツェペシュ』、クラスはランサーだろう。

 

「…腹が空いた。どこぞに食うものは在らぬのか?」

 

ぽつりと呟いたのはこれまたケモ耳の偉く態度がでかい…というよりは古風な物言いの美少女。

その耳と垂れた尻尾、縦に裂けた瞳孔と獰猛な猛禽類を思わせる雰囲気。

獅子のような野生染みた空気を持つ彼女は特に武器らしい武器を持っておらず、

装備も胴体部を隠すプレート以外は布製という軽装だ。

残っているクラスはバーサーカー、アサシン、アーチャー。

野生的なら身を隠すのは得意そうだが纏っている空気はアサシンには向いていないだろう。

マトモに喋れている以上バーサーカーでもない。

となればアーチャー。野生児でネコ科の半獣で弓使い。

恐らくはギリシャ神話の狩人『アタランテ』だな。

 

「……………ねむい」

 

夜遅くに呼び出したからか眠たげに目を擦っている美少女…というか美幼女?

体にフィットしたノースリーブとパンツとソックスしか履いていない。せめてスカートぐらい無かったのだろうか。

手には一応包帯らしきものを巻いているが、かなり露出度高いぞこれ。

武器はナイフらしくお尻側のホルダーに二本。

呼び出した連中の中で一番露出度低いのが美丈夫で一番高いのが美幼女って何か間違ってないかこれ。

というかさっきから食い物とか眠いとかお前らサーヴァントだろうに。

寝床は兎も毎日全員喰わせるのは流石の俺でもしんどいぞ。

まあ兎に角。目もくりっとしていて可愛らしいのだが纏っている空気は一目で分かるほどに"濃い"。

これは血だな。圧倒的な血の匂い。戦場で倒したとかでは無く、無常な殺戮の果てに付く匂いだ。

そして明らかな英語圏…それもイギリスの訛り。知り合いにイギリス訛りのキツイ奴が居るからよく分かる。

気配と言葉を発した事から恐らくはアサシン。

アサシン、幼女、イギリス訛り、ナイフ…ぐっ、分からん。

容姿はぶっ飛んでるし気にしない方がいいか?あとは…おや、よく見るとナイフ以外にメスも携帯しているな。手術用のアレだ。

しかしメス…つまり外科用具となるとかなり最近だな?それに神性とかそういう類は感じないし。

イギリスでメスやナイフを使って英霊に成る程人を殺した女性…?

………あっ!?まさか『ジャック・ザ・リッパー』!?いや女性の方だから『ジル・ザ・リッパー』か?

しかし世間一般ではジャックで通っているし、真名になっているなら恐らくこちらだろう。

若干微妙だが他には思いつかない。

 

「……………………」

 

で、最後の一人。コイツはバーサーカーのため喋れない。

だが目には高潔そうな意思が見える。明らかに狂っていない。

それ以外では全身の関節等の要所を中々派手な鎧で覆っており、

背中にはかなりの大剣を携えている。ソレ以外に特徴は………よく見ると鎧の一部に竜の意匠が刻まれているな。

知らぬ者が見ればただの模様だろうが、あの模様が竜の意味を持っていると以前文献で読んだのを思い出した。

サーヴァントの容姿や装備に関しては語られている部分以外は一般的なイメージ等の影響を受ける。

となると竜のイメージがあり、大剣を持っている英雄か…

纏っている空気には不純なものは混ざっていないようだから完全な英雄だろう。

問題は狂化の影響が殆ど見られない事だ。

本人のスキルや宝具によるものか?しかしそれなら言葉も発せられるだろう。

このお互いにマスターでありサーヴァントである事を確認する一種の儀式的な場面で黙っている理由はない。

可能性が無いでは無いが…そういう事では無い気がする。

となると狂化の影響が薄い…いや、単に狂化のランクが低い?つまり狂化を必要としない程強力なのか。

もしかしたら狂化スキル自体無い?となると喋れないのは自分自身によるもの?だからバーサーカーとして喚ばれた?

正統派で強力な英雄、大剣を使い口が利けない…竜のイメージ。竜…不死…不死?

ああ、根拠は弱いが恐らくこれだ。竜血の騎士『ジークフリード』。

竜の血によって不死性を得たドイツの叙事詩『ニーベルンゲンの歌』に登場する主人公だ。

 

多少考察に時間を割いてしまったがこれで全員分の真名の予想は済んだ。

かなり大雑把だったり当てずっぽうな部分もあるが、俺のこういう勘は結構当たるので自分を信じる事にする。

どっかの兄貴も自分の信じる自分を信じろと言っていたしな。

ちょっとドキドキするが勇気を出して言ってみる事にする。

 

「…ああ、俺がお前達のマスター、魔術師『霧雨(きりう)恭也(きょうや)』だ。

 …よろしく頼むぞ、『玉藻の前』、『アストルフォ』、『ジャンヌ・ダルク』、『ブラド・ツェペシュ』、

 『アタランテ』、『ジャック・ザ・リッパー』改め『ジル・ザ・リッパー』、『ジークフリード』」

 

『なっ!?』

 

おおー、驚いてる驚いてる。どうやら全員当たってるみたいだ。俺すげえ。今生の運使い果たしちまったんじゃねえか?これ。

少し誇らしげになって見渡してみると皆驚きから覚めて感心したような目でこちらを見ている。

玉藻の前はなんだか目をキラキラさせているし、アストルフォは何だか面白そうなものを見つけた目をしているが。

ジルに至っては先程まで警戒していたのがすっかり鳴りを潜めている。

 

「取り敢えず呼び方は好きにしてくれ。俺の方は『たまも』、『アスト』、『ジャンヌ』、『ブラド』、

 『ランテ』、『ジル』、『フリード』と呼ばせて貰うが………良いようだな」

 

取り敢えず呼び方はこんなもんでいいだろう。

ジルがなんか凄く純粋な目でこちらを見ているのが気になるが。

ジャックじゃなくてジルって呼んだのが良かったんだろうか。

あとたまもがはしゃいでいる。長くなりそうだから聞き流すけどすっごいマシンガントーク。

まあそれよりも先にやっておく事がある。

 

「『令呪を以って命ずる。俺の許可無く自己及び俺の防衛以外での攻撃・戦闘・暴走を禁じる。勿論勝手な行動もだ』。

 ま、いきなり仲間割れされても困るからな。一応保険という事で我慢してくれ」

 

特にジル…は大丈夫か?あとはランテとか野生児だし。何するか分からん。

色んな属性やら種族やら混じってるし、下手な問題起こされる前に保険は必要だろう。

マスター権は一体分だし、全員で一体のサーヴァントとして呼んだ以上令呪も残り2回。

どの道この家から出られるのは1度に1体が限度なんだが…令呪のストックは可能な限り稼ぐようにしないとな…

適当なマスターから奪うか。幸い方法も無いでもない。

 

「さて、取り敢えずは能力の報告会とか自己紹介も兼ねて…飯にするか」

 

若干名が目を輝かしたのは本人の名誉のために伏せておく。

 

 

 

 

 

 

 

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