あと登場人物は5歳とか書いてあったとしても18歳以上です。小学校に通っててランドセル背負ってても18歳以上なんです。
年代は第五次聖杯戦争が原作CD版発売の2004年冬と設定。第四次は1994年冬。皆長袖だったんで。
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「すごーい…」
当時まだ5歳だった私は蟲蔵と呼ばれる場所に連れてこられ、言いようのない感覚を味わっていました。
足元で蠢くのは白くヌラヌラとした蟲達。
その時の私には知る由も有りませんでしたが、ソレらは紛う事無く男人が持つアレの形をしていました。
しかしまだ5歳だった私にはそれがどういったものであるかは理解出来ず、
立ち上る匂い、ネタネタとした体液の感触、
くちゅくちゅという水音、意味は解らなくとも本能が知っているその姿。
それらを見て、聞いて、嗅いで、触った私は、ドキドキと高鳴る心音と言いようのない恍惚とした気分に包まれてしまいました。
「ほうほう、恐怖でも困惑でもなく興奮か。中々どうして素質があるようではないか」
満足気に頷いたお祖父様は、私に横になることを命じました。
特に嫌悪感も感じなかった私は素直に言うことを聞いて横になり、
直後お祖父様に操られた蟲達が私の体へと群がって来ました。
私が抵抗しない事を確認したお祖父様はやることがあると早々に蟲蔵から出ていきました。
それから私は1時間ほどかけて蟲に陵辱されていきましたが、私はその余りの心地よさにすっかり夢中になっていました。
蟲達は私を凌辱するだけでなく、私の体を作り替えて寄生するために全身に入ってきます。
まるで水に沈み込むかのように自然に、私の全身の肌という肌から私の体内へと侵入してきたのです。
それすらも私は心地良く感じ、全身を襲うあまりの気持ち良さに身を委ねていた…その時です。
お腹の中に居る蟲達に違和感を感じました。それはごくごく小さな違和感でしたが、
一つの感覚で全身が一杯になっていた私には妙に気になる感覚でした。まるで体の中から糸が伸びているような感覚。
蟲達がタコ糸を引きずりながら体の中に入ってきているかのような、むず痒く気色の悪い感覚。
もっともっと気持ち良さを味わいたかった私は無意識でその感覚を邪魔に思い、その感覚をどうにかしようと意識を集中。
すると数匹の蟲から太い糸が、ソレ意外の虫からごくごく細い糸が出ているような感覚に行き当たり、
特に煩わしかった太い糸を、思いっきり引きちぎるような"イメージ"をした、その瞬間。
―ブチッ―
という音がしたような気がしました。恐らくは気のせいだったはずですが、
同時にそれが今にして思えば私の初めての魔術…それに類するものの行使だったのでしょう。
太い糸が切れると同時に細い糸も弛んでいくような感覚を感じ、
安心した私はそのまま蟲達との戯れに身を任せて愉しみました。
とっても心地のいい事をしてくれる蟲達に私は愛情すら感じ、何時間も戯れていたのです。
そして全ての蟲達が体内に寄生し終わったところで私もまた心地良い微睡みに任せて眠りにつき、
次に気がついた時は既に日付が変わってしまっていました。
そしてこの日、冬木市で一人の魔術師とその孫がその生命を終えたのでした。
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「お祖父様?お兄さま?」
目が覚めた私は空腹を感じて屋敷の中を歩きまわりました。
屋敷の中を歩きまわっていると数人の人間…使用人や義兄である間桐慎二が倒れているのを見つけ、
お祖父様の書斎には無数の蟲達が所在無さげに蠢いていました。
それらを見た瞬間私は『死んでいるんだ』と理解しました。
目が覚めてからというもの、私の頭の中には知らない筈の知識が流れ込んで来ています。
それによって兄や使用人達が死んでいて、祖父が蟲に分解されてしまった事を知りました。
けれどまだ5歳という生命というものに関しての認識が薄い年頃、
精神自体まだ未熟だった私は知識としては死というものが理解出来ても、それをどうこう思う事はありませんでした。
そもそも出逢って間もない、使用人や義兄に至っては初対面で死体だった為というのもあったのでしょう。
死んだものはどうすればいいかも知識が教えてくれました。動物なら捌いて食料に、人間なら蟲に食わせてしまえばいい。
それはお祖父様が持っていた知識っであり考え方でしたが、
そのお爺様が死んでいることを"知っていた"私は、体の中の蟲さん達が教えてくれているのだと勘違いしてしまいました。
自分が知らない事を沢山教えてくれる蟲さん達。
そこには間桐の秘奥に関する重大な事から使用人達が持っていたであろう家事の知識まで、
様々な事を教えてくれる蟲さん達に感謝し、私はそれを実践したり実験したりしながら、生活していく事になりました。
蟲さん達は非常にいい子達で、お願いすれば家事のお手伝いなんかもしてくれますし、
来客時の対応のし方なども教えて下さいました。
食料の買い方からその調理の仕方、お金の使い方も教えてくれて、私はどんどん蟲さん達が好きになっていきました。
…これは私が大人になってから知ったというか気付いた事なのですが、
実際は蟲さん達が教えてくれたわけでは無くて、私が糸のような感覚を引きちぎった時。
あの時に糸の先に繋がっていた魂の情報を根こそぎ持ってきていたようなのです。
魂を私に"喰われた"事で、お爺様や使用人さん達は死んでしまったのです。
流石にこの事実に気付いた時は胃の中のものをぶちまけました。
ソレ意外でも苦労したり寂しくなって泣きたくなったりすることも多々ありました。
でもそんな時は何時だって、察してくれたように…事実察してくれているのでしょう、
いつも蟲さん達が私を慰めてくれるんです。
私のナカから溢れてきて、甘えるように、慰めるように擦り寄って、そしてたっぷりと可愛がってくれる。
そんな毎日を過ごしながら成長していくことで、私はすっかり蟲さん達のお嫁さん兼お母さんになってしまっていました。
でも、その事に後悔はありません。むしろとっても嬉しいです。
優しくしてくれて可愛がってくれる蟲さん達が、私は大好きですから。
「んっ…ふふふ、今日も一杯可愛がって下さいね♪」
毎日を一緒に過ごす内に栄養と魔力を蓄え成長した蟲さん達に向かって甘えた声を出す。
カマキリのようだったりイモムシのようだったり様々な姿形の蟲さん達。
中には私の倍はあるような体躯の子も居たりして、彼らはみんなみんな大好きな私の家族。
さあ、今日も『鍛錬』のお時間です♪
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1993年、春、某日、桜5歳
「うわー、蟲さんいっぱい~♪」
『ピギーピギーピギー』
幼い私の目の前には沢山の蟲さん達。
お爺様達の魂を喰らい、蟲師の術の核となる刻印虫も手に入れた事で私は全ての蟲の支配権を手に入れました。
取りえず家の中に居た蟲さん達を集めて周り、欠けている虫さんが居ないことを知識と蟲さん達の両方で確認。
一旦蟲蔵に入って体内の蟲さん達を全て外に出したのですが、これが出るわ出るわでかなり広かった蟲蔵が一面蟲だらけに。
皆さんご存知の形状なので台所でカサカサ言うアレとは違って可愛らしくて良かったです。
ただねたねたぐちょぐちょという音を聞いていると思わずダイブしたくなるのが難点でしょうか。
勿論潰したりなんかしませんよ。蟲さん結構頑丈ですから女の子一人ぐらいなら勢い良く飛び込んでも潰れませんし。
しかしこれだけの数の蟲さん、一体私の体のどこに入っていたのでしょう。
圧縮か分解でもされていたのか、それとも青い狸さんのポケット的な事になっているのか。
良くは分かりませんが皆入れるという事で許容量限界も無いようですし、
赤ちゃんというか新しい蟲さんが生まれても一緒に居られるというのは結構嬉しかったり。
そういえば初めて蟲さんの赤ちゃんを孕んだ時はすっごく嬉し恥ずかしかったのを今でも覚えてます。
「みんなおいで~♪」
『ピギー♪』
ぺたんと女の子座りをして皆を呼ぶと、何百匹もの蟲さん達が一斉に群がってきます。
ある子は口の開いた頭を撫で撫でしてあげたり、ある子は体の上を好きなように這わせてあげたり。
そうして楽しむ事数時間。なんでそんなに経ったのかは…お察しください♪
で、体のナカを肌の下や内蔵や子宮の中なんかをうぞうぞと這いまわる蟲さん達。
これが黒いGみたいな蟲さんならトラウマものだったんでしょうけど、幸いに蟲さん達はアノ姿。
体の中を這い回られる感覚はとても心地よくて、一緒に居る感じがするので大好きでした。
「えーっと、味付けは塩こしょう。蟲さん取って~」
『ピギー』
そんな甘い感覚を愉しみながら今私がしているのはお料理です。
蟲さん達は結構賢くて、日常的なものなら大概は見分けが付くんです。
もしかしたら私の知識やイメージを何らかの形で受け取っているのかも知れませんが。
こうしてお料理の時も調味料を取ってもらったり、
幼い私ではフライ返しが出来ないので蟲さん達にお願いして筋力を強化して貰ったり。
そうそう、蟲さん達が体内に居るおかげか、私の中から強化して貰う事が出来るんです。
正確には蟲さんに協力して貰ってるのかな?
例えばフライ返しの時なんかは腕に蟲さんを一杯集めて腕の中で力を入れて貰うと、
本来の筋力に蟲さん達のぱわーがプラスされて結構力持ちになれるんです。
具体的には5歳で中華鍋を軽々とフライ返し出来るぐらいに。
そんな風に日常生活でも色々と助けて貰いながら、頑張って蟲さん達と一緒に暮らしていくことにしました。
「あれー?なんかちがーう。うーん、がんばろう!」
『ピギー!』
思ったような味付けに出来ず首を傾げながら腕を振り上げると、
食卓の上に居た数匹の蟲さん達も一緒に背伸び(?)してくれました。
テーブルの上にはいつもの蟲さん達。今日は蟲さん記念日ということでハンバーグ。
蟲さん達にも細かくしてあげてお裾分け。なんと雑食だったようです。
というよりも、魔力に変換しているようですけど。
知識の中で見つけたさーばんと(?)みたいだなーって思いました。
今日は好きな物食べちゃったけど、ちゃんと栄養を考えないといけないらしいので明日からは気をつけよう。
蟲さん達が体の中に居るので病気にはならないんですけど、
好き嫌いするのは駄目らしいので頑張って野菜も食べることに。
蟲さん達が教えてくれてると思っていたその頃の私は、特に疑いも無くそう決めたのでした。
「えーっと、せいはいせんそう?うーん、よく分かんない。えっと、今度は出なくていいんだよね」
『ピギー?』
取り敢えず得た知識を漁っていた私は聖杯戦争に関する事を色々知ったのですが、
第四次に関してはお爺様も静観するつもりだったようで、
私もよく分からなかったのでそれに従う事に。
根源とか、万能の願望機とか、その時の私には関心の無いものでしたし。
「まじゅつのひとく?お口ちゃっくなの?よわみはみせるべからずー、なんだって」
『ピギー?』
蟲さん達もよく分からないといった感じだったけど、取り敢えず黙っている事にしました。
弱みを見せてはいけないという言葉を真に受けて、お爺様達の事まで内緒にしてしまいました。
こ、この当時は死についてなんてよく分かってなかったんですからしょうがないですよねっ。
で、この二つの選択によって後に悲劇を生むんですけど…
うぅ…だってしょうがないじゃないですかぁ。何も知らなかったんですから…
「えっと、人が来ることはあんまりなくて、来たら…おうたいできません?でいいのかな?」
『ピギピギー』
お爺様達が死んだことはお口チャックと決めた私は取り敢えずにわか仕込みの応対を憶えました。
普通ならこれではその内ボロが出るというか怪しまれる筈なんですけど…
なにせ、お爺様があんな方でしたから。それはもう胡散臭くて裏で何か企んでそうな方でしたから。
尋ねてくる方なんて宅配の人か魔術師御三家の方ぐらいでしたし、
御三家の方々はお祖父様が対応に出れないと伝えると苦々しい顔をして帰っていきます。
恐らく聖杯戦争に向けて暗躍しているとでも思っていたのでしょう。生きていたら多分正解です。
そもそも聖杯戦争の事もあって余り連絡自体取ろうともして来ませんでしたし、
対応に出たのが幼い私という事もあって強引にも出来なかったようです。
可哀想とか言うより、幼い私に対応させている時点で強引に行っても無駄だと思ったのでしょう。
実際は死んでいたわけですが。
間桐としての役割は理解していたので、お仕事だと思って頑張りました。
毎度毎度重要な事まで私に任せていたのは流石に怪しまれましたが、
何を聞かれても応対できませんと答えたことで、そう言うように命じられていると思ったようです。
実際はそれ以外に何も思いつかなかっただけなんですけど。知識はあっても応用力は子供ですから。
表に出ないのは自分自身に何かしているからだとか色々想像を巡らしていたと思うんですが…ごめんなさい死んでます。
「よっし!あ、お片づけしなきゃ」
『ピギー』
すっかり忘れていた食器を下げ洗い場に持って行き、
料理の時に身長が足りないため食卓から持ってきていた椅子の上に立って蟲さん達と一緒に洗っていきます。
洗剤塗れになっても平気そうだったり、水に濡れても器用にお皿を持ち上げてくれたりと、意外とハイスペックです。
私と蟲さん達の食器を洗い、料理に使った後水に浸けておいた調理器具も洗い終わり、
お腹いっぱいになった私は眠気を感じてお昼寝する事にしました。
勿論蟲さん達も一緒にお昼寝するので…とっても気持ちよかったです♪
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「ええっと、陣っていうのを描くんだよね。血とかペンとか…あ、蟲さん達でも出来るかな?」
『ピギー!』
ただいま魔術の練習中。本格的に習ったことは無かったのですけど、知識が手に入ったので試す事に。
いきなり難しいものは危険らしいので、まずは簡単に水を集める魔術から初めてみました。
陣を描こうと私が呟くいた途端に私のイメージ通りに並んでくれる蟲さん達。
ちゃんと魔力も発していて、陣として成立していました。
そのまま私の魔力と魔術回路を使って発動。
辺りに漂っていた湿気が陣の中心に集まって水溜まりを作っていきます。
「わー、すごーい!やったよ、蟲さん!」
『ピギー!』
知識があった事と蟲さん達の手慣れたバックアップのお蔭か簡単に成功。
その後も簡単な魔術を色々と試して行き、何度か失敗も重ねながら練習を繰り返しました。
どうやら蟲さん達は魔術発動の触媒としてもかなり優秀なようで、
陣の要らない魔術で単純なモノは蟲さん達に頼んで遠隔発動出来たり、
蟲さん達に陣を描いて貰えば中規模の魔術が即席で出来たり、
その上身体能力の強化もしてくれて本当にハイスペックでした。
どうやら多少なりとも個体差があるようで、それぞれの用途で分担作業をしているようです。
将来様々な形に進化するその片鱗が既にこの時見え隠れしていたのでした。