黒歴史自由帳   作:ゼロゼロ大神

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この設定には
・オリ主
・チート&俺TUEEE
・一応ハーレム
・超絶おまいら
・オペ子ハアハア
などの要素が含まれます。ご注意下さい。







SSOの派遣社員(アーマード・コア フォーアンサー)
1話


Social Support Organization

 

ソーシャル・サポート・オーガニゼーション。日本語で言うと社会支援機構。ここ十年で台頭してきた大規模企業グループだ。

日本に本社を持つとある会社が世界中の様々な中小企業を買収・合併し生まれたグループで、

様々な分野の企業を安値で買い漁ったこの会社は当初気が狂ったとまで言われた。

当然と言えば当然だろう。それまで無名だったグループがいきなりあちこちの企業に手を出し、

安値とはいえ合計で見れば洒落にならない額を数多の中小企業に支払ったのだ。

確かに技術を持っているのは中小企業だとはよく言われるが、別に全ての中小企業を買い取った訳ではない以上生産力で大手に劣る。

ならばとグループが持つ資産や技術による革新をアテにしようにも、SSOは青田買いの数年前に出来たばかりの新興グループ。

特に名を上げてきていた訳でもない彼らの行動は多くの経営者や自称有識者達からは失敗確実のバカな所業とさえ言われた。

 

ところが、どっこい。

グループは各企業を分野ごとに統合して大型の傘下企業を造り、それを数年で業界最大手までのし上げたのである。

これにはあちこちの自称有識者達が驚きと困惑の声を上げた。それもまた当然。

それまで何の技術も特色も持っていなかった筈のグループは各企業に莫大な資金と5世代は先を行く未知の技術を山ほど授け、

統合された新企業はグループから派遣された専門人員の指導の下に企業構造から生産体勢までを瞬時に塗り替えた。

結果生まれたのは、他の企業が10年掛けても再現できるか怪しい品質と大手にも負けない大量生産力。

当然消費者はクオリティの高く大量生産によって安価なそれらをこぞって買い求め、

たった数年で世界の技術文化レベルは一世紀ほど進んだとまで言われるようになってしまった。

そして倒産の憂き目に会った中小企業はグループに併合され、かつての大企業は中規模マイナー企業までその名を落とした。

 

それから、10年。

最近では量子コンピュータと量子情報通信の本格一般普及や宇宙コロニーの建設とテラフォーミングといった、

数年前であれば情報バラエティで芸人にネタにされるかネットで夢見がちに期待される程度だったものが大まじめに計画されている。

最初の頃は急激な進化はどうだのジェネレーションギャップがどうだの発展途上国との技術格差がどうだの言われていたが、

近頃はもうみんな慣れたのか感覚が麻痺したのかあるいは諦めたのか、「またSSOか」と呆れる事の方が多くなっている。

昨年10メートル規模の人型ロボットが発表され人間が乗って動かすと聞かされた時は世界中の男子諸兄が泣いて喜んだ事だろう。

ロマン的な外見と実用的な機能を搭載したそれらは被災地での人命救助や宇宙開発などの平和的利用の他にも、

戦術的価値の不明だが見るからに高性能な兵器としての抑止力を発揮。実際に簡易版が中東辺りの紛争に投入され戦果も上げたそうだ。

各国軍事部も必死に情報を集めようとするものの、そもそも具体的な運用方法や有効な戦術が解らない以上評価のしようがない。

そういった意味で二の足を踏ませる事にも成功し、特にSSO本社を有する日本は世界一安全な国の評価を不動のものにした。

 

で、そんなあらゆる分野で成功を続け今なお爆発的に進化し続けているSSOだが、

なぜこんな話しを急に出したかと言えば勿論理由がある。

その理由とは――

 

「株式会社Social Support Organization、採用内定通知書?」

 

という、意味の分からないというか有り得ないというかおかしいというか有ってたまるかというか兎に角なんかそんなのが理由である。

ゴホン。いけない、つい取り乱した。

いや、しかしどう考えてもおかしい。なにせこの採用通知、SSOグループの中でも最下位の弱小企業のもの、というわけではない。

それどころか、なんとSSO本社の採用通知である。これはおかしい。どれぐらいおかしいかと言うと某の◯太の理屈ぐらいおかしい。

いやだって、SSO本社と言えば世界中の産業を席巻し「独占禁止法?なにそれ美味しいの?」ばりの拡大を続けるその大本である。

グループの直系社員が居る所で、数多の企業に馬鹿みたいな技術と資金と人材を与えてきたその根源。

ニート真っ盛りの俺が親にせっつかれ、これだけ送って駄目なら文句無いだろうと30社ぐらいに履歴書を送りつけたその内の一社である。

30社もそれらしい会社が思いつかなかったから絶対無理だろうと思って数合わせに送ったのに、合格通知がきた。

いや、どう考えてもおかしい。

 

順を追って回想してみる。まず、俺は前述の通りSSO本社に履歴書を送りつけた。いや、勿論正規の申し込み手続きでだ。

SSO本社以外にも幾つかの傘下企業や無関係企業にも送った。バイトや派遣関連の会社にも送った。

しかし何の対策も準備もしておらず、正社員なら必須であろう企業の説明会等々の時期はとうに過ぎていた。当然、通るはずがない。

 

そも、俺自身立派な人間では無い。名前は秋本悠二(あきもとゆうじ)。今年で25歳。最終学歴は三流大学。両親は生活保護受給者。

そんな両親というかむしろ国民のスネをかじって生きている社会のゴミと自認している俺が、通るわけがない。

悪いという気持ちが無いでは無いが、大学卒業後に10社ほど落ちた段階で元々の根性の無い俺は折れた。

「小さい頃は頭のいい子だともてはやされた」とか「小3まではテストで100点以外取ったこと無いな」なんてのはよく聞くだろう。

俺もそうだった。実際子供の頃は才能の匂いを漂わせていたものの、生来の疑心暗鬼的な気質から来る人見知りによって拗れたのだ。

はーい二人一組作ってー。最早、ある種のいじめである。対人スキルゼロ。いや、何の気兼ねも無く接するなら出来るんだよ?

けどさ。社会に出て見知らぬ人相手に失敗しないように注意しつつ仕事をする?無理無理。

結局親や一部の親しい友人以外じゃロクに対応も出来ない。年齢と共に多少の社交辞令や事務的応対は身につけたが、最低限だ。

 

で、そんな所を全部履歴書に書いた。いや、別に今言った事を書いたわけじゃなくてそうと分かる内容を書いたのだ。

両親が居て収入は年金(生活保護)で職歴無くて資格も無くてうんたらかんたら。

嘘八百なんてばれるし、バレなくてもどうせ通らないだろうと諦めていたから。

そりゃあもう書類選考でどこの会社もアウトですよ。こちとらあと数年で魔法使いですよ?どこも取らん。

ハズ、だったのだが。なぜかSSO本社から来た面接案内。

疑心暗鬼というかすぐ悪い方向に想像してしまう対人スキルゼロな俺は、

「やっぱ大グループなだけあって書類だけで落とさず面接までちゃんとやるんだろう」とか勝手に納得していた。

 

次に行われたのが二次選考。所謂筆記試験である。

周りには見た目で明らかに天才秀才と分かる連中がわんさか。ああ、これは明らかに落ちたなと思ったよ。

なにせ場違い感が半端無かった。数年前に買ったリクルートスーツを来て無職童貞臭漂わせた俺の居るべき場所じゃない。

しかし、この試験からおかしかった。出される問題はせいぜい高校生レベル。良くて三流大学入試レベルだ。

周りの連中は鼻で笑う以前に訝しんでいた。俺なんかは最低限の知識さえ有ればいいのだろうと考えていたが。

なにせ発表される技術が中々に"アレ"である。当然、どれだけ一流の大学を出ていようと理解は及ばないだろう。

よほどの天才なら別だろうが、そういう連中はSSO傘下の研究機関やら開発組織に入っているのがほとんだ。

だから必要なことは入社後に本格的に教導するのだろうと思った俺は、またもや勝手に納得していた。

で、折角ここまで来たんだからと真面目に取り組むことにした俺は、すらすらと問題を解いていく。

流石に三流とはいえ大学を出ているのだ。高校生レベルの問題ぐらいわかるし、人並みの記憶力はあったのかちゃんと覚えていた。

それでも百点満点というのは無理があるのは分かっていたので、ちょっとでも悩んだ問題は後回しにしていく。

前述のように解答自体に大した意味は無いのだろうと思っていた俺は、間違いの無いように丁寧に解くことを心がけた。

 

そこまでで終わっていれば、開き直って真面目にやりましたで終われたのだが。

数時間を掛け数回に渡って行われた試験の後に、通常の倍の時間を取って行われた最後の試験。

試験というよりアンケートと言った方が正しいと思われるようなそれが行われた。

最初はまだ良かった。年齢・家族構成・職歴等々。

履歴書の再確認と言えるもので、食い違いが有れば虚偽記載という事で落ちるのだろうと思えた。

元々正直に書いていた俺は、履歴書に書いたのと全く同じ事をもう一度書いた。

で、目を滑らしていくとおかしな文句がずらずらと並んでいる。

 

問18、あなたは神を信じますか? はい いいえ その他・備考「」

問19、あなたはニートですか? はい いいえ その他・備考「」

問20、あなたは童貞ですか? はい いいえ その他・備考「」

問21、現実の女性は好きですか? はい いいえ その他・備考「」

問22、二次元の女性は好きですか? はい いいえ その他・備考「」

問100、あなたの好きな作品を思いつく限り教えて下さい。(音楽・文学・映画・アニメ・マンガ等ジャンルは問いません)

 

いやいやいや、おかしいだろこれ。それっぽい質問もあったよ?難しい言葉を並べてこれについてどう思いますかとかさ。

けど大半がこんなのだ。もうね、アホかと。驚いて周りを伺ったら皆困惑げ。

そらそうだろう、一流大学出て天才だと持て囃されて、天下のSSO本社の試験に来たら最後の最後でこれである。

まあ流石に騒いだりふざけるなと叫びだすような輩は居らず、皆首を傾げながらも真面目に解答している様子だったが。

取り敢えず難しい問いにはトンチとか落語的な言葉遊びで返して、それ以外は真面目に答えた。

ちゃんと真面目に答えるかを見ているのだろうと思ったし、どういう人間かはどうせ面接の段階でよく分かるだろうと思ったからだ。

 

問18、はい。信仰してはいませんが居たらないいなとは思います。漫画やアニメに出てくる神様なら特に。

問19、はい。社会のゴミと自認しています。

問20、はい。現実では童貞です。妄想や夢の中では数えきれない程捨てました。

問21、はい。綺麗な女性や可愛い女の子は見ているだけで癒されます。

問22、はい。大好きです。綺麗な女性や可愛い女の子は見ているだけで癒されます。大事な事なので二回言いました。

問100

『みかんやオオブクロなどの邦楽歌手全般、アニメソング全般、平家物語、蜘蛛の糸、羅生門、里見八犬伝、グリム童話全般、

 ジべリ映画やアニメ・ゲーム映画、スピリット・マンハッタンの幻、アドバンス・トゥー・ザ・パスト、ハウス・アローン、

 アニメ全般、特にロボットモノや魔法少女モノなど、マンガ全般、一般少年誌作品からR18同人まで、特に表現の激しいもの、

 ゲーム全般、特にロボットモノやアニメ原作、各種R18系PCゲームなどジャンルは問わず……』

 

うん、済まない調子に乗った。いや、これは明らかに質問が悪いだろう。

50問過ぎた辺りから普通にネットのそういうサイトでの感覚になっていた。むしろ誘導されたのかもしれない。

結局開き直りと諦めと困惑でどうでも良くなった俺は、完全に趣味全開でしかし丁寧な解答は心がけつつ書きまくった。

恐らく試験中一番ペンが動いた時間だろう。最後の質問なんかは自分でも全部読み返すのが面倒になるほど書いた。

若干手首と指が痛くなったぐらいである。書く量も多かったし、自然と力が入っていた。

周りは困惑しながらも採点者の心象を考えつつ書いていく中、

一人終了間際までペンを走らせ続けていた俺はさぞ浮いていたことだろう。

正直に言おう。楽しんでいた。

 

さて、ここまで律儀に読んでくれたなら分かると思うが、なんと通った。三次選考、面接の会場案内が来たのである。

行われる場所はなんと天下のSSO本社。幸い同じ東京住まいだったので距離的には問題なかったが。

その時も俺は「やっぱり面接まできっちりやるのか」なんてズレたことを考えていた。

会場に行ったら10人ほどしか人が居なかった時も、「あれ、早く来すぎた?まさかもう終わってる?」とか考えていた。

しかも出した結論が、「成績ごとに部屋が違うんだろう」なんておかしなもので。

面接室に入るとSSOグループの会長・副会長・筆頭秘書・専務などなど早々たる顔ぶれが10人ほど。一瞬めまいがしたよ。

で、質問されるんだがこれが前述したアンケートの確認みたいな事でね。

それはもうにこやかに「女性の胸はどれぐらいが好みか」と聞いてきた自称会長が筆頭秘書の女性に足を踏まれて悶絶していたのは、

流石に吹き出すのをこらえるのが大変だった。もう唖然とか通り越して笑いが込み上がってきてね。

 

で、そのあとも幾らか質問をされて終了。

帰宅した俺は良く分からない疲れが押し寄せ、そのままソファーで爆睡してしまったのを覚えている。

そんな冗談みたいな選考期間が過ぎ、一通の封書が届いたのは俺が試験を終え帰宅してから1週間後の事。

開けてみたら、あの文面である。それは驚きもする。むしろドッキリを疑った俺は正常な筈だ。

しかし押されている判やら会長の署名やらが妙な説得力を放ち、問い合わせてみたら事実との事。

電話を切った直後の俺は驚くとか喜ぶとか忘れて放心していた。決しておかしい反応では無いはずだ。

 

「ふむ、このぐらいか。これで手続きは完了だ。じゃあ山岡君、説明頼むよ」

 

さて、そんなわけで今俺が居るのはSSO本社。

目の前に居る壮年の大学教授のような印象を思わせる男性と共に、事務所らしき所で雇用契約のための手続きを行う事暫し。

書類の確認を行なっていた男性が声をかけると、いつの間に入ってきていたのかドアの前に一人の男性が立っていた。

こちらは若い印象の男性で、事実若いのだろう。年齢は30前後と思われるそこそこのイケメン。

仕事中のためか若干固い印象を受けるが、少し欧米系の血が混ざっているらしい顔立ちは優しげである。

 

「はい。ええとそれじゃあ秋本君、まずは社内の案内をしつつ君の仕事について話そうか」

 

「あ、はい」

 

返事の前に「あ、」を挟んでしまう対人スキルゼロな俺。

彼は気にした様子も無く踵を返して歩き出す。俺も手続きをしてくれた男性に会釈してから後を追う。

話しかけてくる声の印象は真面目に喋っているようだが、顔立ちが優しげなためか怖い印象は受けない。

なるほど新人の案内には適任だ、と妙に納得してしまった。

 

「それで君の仕事だけどね。唐突だが、君は異世界は信じるかい?」

 

「へ?」

 

いや、間抜けな声が出ても仕方ないだろう。

確かにアンケートにもそんな事が書いてあった気はするが、それをこの場でまた聞かれるとは思っていない。

俺のニート的思考は聞き間違いとかジョークの可能性を考慮するも、何度も言うが対人スキルはゼロ。気の利いた返答など浮かばない。

結局普通に答える事にした俺は、存在を否定は出来ないし本当にあったら行ってみたいと本心から解答。

 

「そうか、なら話しは早い。君には異世界に行ってもらいたいんだ」

 

で、それを受けた言葉がこれである。訳が分からないよ。

いや分かるんだがそれどこのネット小説ですか?って俺が言ったらいけない気がするのはなぜだろう。

いやだからそうではなく。異世界?異世界と言えばあれだろうか、よくあるアニメの世界とかマンガの世界とか。

あるいは並行世界とか時間軸移動とかいうあれ?これもシュタイ◯ズ・ゲートの選択なのか?

 

「具体的に言うとアニメやマンガ、ゲームの世界なんかでひと暴れして欲しい」

 

えええええええ……マジですか?あ、マジなんですかそうですか。ノゾミガタタレター。

いや、冗談抜きでヤバイだろう。ひと暴れって何さ。俺何の技能もないパンピーですが?

え?信じるのかって?いやあ、だってSSOだし。

ネットじゃあポストが四角くなったのも地球が丸いのも空が青いのも俺達が童貞なのも全部SSOの仕業だなんてコピペあるぐらいだし。

世界の一つや二つ支配してたって驚かんよ俺は。

 

「話が早くて助かるよ」

 

「いや、でも本当に一般人ですよ?俺」 

 

うん、どう考えても死亡フラグにしか思えない。神様転生でもないんだしチートなんて無理だろう。

自力でヒャッハーしろと?やだよそんな三流世紀末。俺じゃこの先生きのこれないよ。

 

「うん、大丈夫。行く世界は厳選するし、例えばロボットモノの世界ならゲームセンターの感覚でどうとでもなる。

 チート仕様の専用機とかはこちらである程度用意するし、専用のサポートAIも付けよう」

 

わーい至れり尽くせりだー。っておいいいいいっ!?下手な神様転生より親切だな!?

まあ、それぐらししてくれないと仕事にならないんですけどね。

しかしそこまでして何故俺を送る必要が?

 

「君はこの会社の技術がどこから来ているのか分かるかい?」

 

……あー、なんか読めた。読めちゃいましたよ俺は。そうかそうかそういう事か。

要するに実験やら事故やらで最初に異世界に行った人が居て、その人が異世界から技術とかを持ち帰った。

で、じゃあそれを繰り返して技術を集めてみたらえらい事になって、広めるために中小企業買収してグループ創ったと。

そういう事ですか。

 

「察しがいいね。予想以上の人材だ」

 

そりゃどうも。しかしまあ、どこの天才かあるいは奇跡か知らんが良く異世界なんて行けたもんだ。

その後も何度も行っているらしいのも気になる。技術として完全に確立しているのだろうか。

 

「元々は2次元の中に行きたいっていう男の夢を本気で実現しようとしたのが切欠でね」

 

ロクでもねえなおい!?

 

「奇跡が起きたんだよ。異世界へ行く技術を持っていた世界で同じような技術が使われた事で事故が発生。

 実験室に居た研究者一同を纏めて異世界送り。その先で異世界旅行技術を完成させて帰ってきたのさ」

 

なるほどねー。

ああ、つまり会社ができて数年の間動きがなかったのは、異世界から技術を集めている段階だったからか。

そら本格的に技術を集めようと思えば物も人も金もかかるからな。そのために会社を作って、技術が集まった所で大きくしたと。

知識と技術の探求は研究者の本懐だろうし、もっと規模を大きくしたくなったのかね。

あれ?けどひと暴れって言ってたよな。技術交流じゃなくていいのか?

 

「うん。問題はそこでね。技術交流だけなら、うちの人材をおくるだけで良かったんだ」

 

あ、そりゃそうか。むしろ俺みたいなトーシローを送っても意味ないわ。

だったらなぜに俺?しかも闘争?

 

「うちの会社、SSOって言うけどね。本当はソーシャルじゃなくてストラグル。闘争とかを意味する言葉なんだ」

 

隠された名前、ですか。

 

「技術を発展させる上でどうするのが一番だと思う?」

 

ん?……あー、なるほどそういう事か。読めたぞ。つまり戦争すれば技術は発達するっていうあれだな。

でも平和な環境でこそ発展する技術や生まれる用途なんかもあるし、応用を考えるのは平和な世界の人間だ。

だからよその世界で戦争というか闘争させて技術を発展させ、それをこっちの世界に持ち帰って更に変化させていくと。

これならSSOが中東戦線へのロボット供出なんて軍事紛いことするわけだ。

こっちの世界はあくまで平和担当であって欲しいんだから、紛争なぞ要らんとそういう事か。

 

「この世界が技術的に丁度いいレベルだからね。僕らの故郷でもあるから早々捨てられないしね」

 

なるほどねー。技術交流の名目で実質は相手からの一方的な技術搾取と負担の押し付けか。えげつねえ。

まあだからどうって事も無い。技術パクるなら元から在る所の方がいいんだから、どうせ元々戦争やってるような世界だろ。

魔法で戦争やったり人型ロボットで戦争やるような。言い方は悪いが対岸の火事の上に自業自得。知ったこっちゃない。

 

「うんうん、本当に理解が早くて嬉しいよ。さすが10万分の1だ」

 

え?なに、まさか俺だけ?受かったの。

 

「いや、あと数人居る。君と同じ部署は君一人だけどね」

 

ああ、あの天才秀才集団の中から何人か受かったのか。きっとアニメとか大好きな天才だったんだろう。

ごく非日常系の技術を扱うのにそういう物に耐性が無い奴にはできないもんな。それに好きな奴の方が覚えもヤル気も違うだろう。

で、そういう人らが事務員やら研究員やらになる中俺一人だけ実働部隊か。

 

「実は毎年少しずつ集めているんだけどね?本社に直接応募してくれる人材は中々居なくて」

 

そりゃ俺みたいな人材をご所望でしたらハロワよりもネットの某掲示板行ったほうが早いでしょうよ。

つまりあれか、俺が唯一そういう連中の中で真面目に試験受けて入ったのか。

ダメ元とか冗談で申し込んでも、二次試験や三次試験まで律儀に受ける奴は居なかったんだろう。

何か存した気分だなおい。

 

「いやいや、他の人達もちゃんと試験や面接はあるからね?でもまあ君はちょっと特別扱いしてあげる予定ではあるけどね」

 

よし、よくやった俺。

 

「現金だね。いいよ、実にいい。即物的で妙な向上心や野心は無く、ただ自分の好きなことをしたいタイプ。

 地位や名声などには無欲で異性や遊びに対して強い欲求を持つ。様々な現象や設定に対して知識と理解がある。

 急激な事態も自分の知識と照らしあわせて対応出来、ちゃんと出来る範囲の指示をしてあげれば律儀にこなす。

 特に夢中になったことには意欲の続く限り全力で対応し、無闇に事を荒立てるような事はしない。

 配偶者など離れられない存在が居らず、両親は親離れを喜ぶだろう。介護人員などはこちらで手配すればいい。

 仕事自体を楽しむ事が出来て、上手く条件と対価を出す限りは全力で成果を出してくれる。まさに理想の人材だ」

 

すっげー、俺すっげー。なにこれ、箇条書きマジック?違うか。

いや、でもなんか凄い人材なんだって錯覚しそうだよ。こんなに褒められたの何時以来だ?いや、褒められてるのかこれ?

うんまあ嬉しそうだし褒めてるんだろう。そう思おう。

しかしこう聞くと本当に上手いこと噛み合ったんだな。まあオタクニートなら誰でもいいと言われてるのに等しいが。

というか、実際そうなんだろう。であれば人材の確保には困らない。俺みたいなのが他にも居るってことか。

一緒に仕事したりもするんだろうか?

 

「いや、中にはハーレム願望を持つ人も居るしね。友人や恋人同士など積極的に協力しあう者達以外は別の世界に送られる。

 今までのデータからもその方が良い結果を齎すと統計も出ているしね」

 

あ、さいですか。じゃあ俺は一人で行くのか。

他のスタッフとか現地人員とかは無いんだろうか?

 

「君が送られるのは完全に不干渉な世界だ。とにかく力と技術を撒き散らしつつ相手方の技術を回収して来てもらうことになる」

 

えー、じゃあ現地スタッフとか無いですよねー。

どうしよう?まさか俺に回収作業やれと?技術なんて分からんよ。

 

「さっきも言ったが専用のAIを付ける。市販品なら知っているだろう?」

 

ああ、あの一昨年出た人工知能ソフトか。持ってる持ってる。

なんでも自己成長するらしくてどんどん人間くさくなっていくんだよなあ。

俺が買ったのは可愛い女の子タイプだったんだけど、俺の好み通りのクーデレに育ってくれて嬉しかったなあ。

あれの表には出ない専用版か。相当スペック高いんだろうな。なるほど、そいつに情報回収任せればいいのか。

 

「日常のサポートから戦闘支援まで幅広くこなして貰うことになる。

 データは君の持っているものにこちらで必要な知識をインストールする形でいいかな?」

 

「あ、はい勿論です」

 

おーマジか、エリスがパワーアップして帰ってくるのか。きっともっと可愛くなってるな。当社比10割増しぐらいで。

ここの人達(特に会長)からは俺と同じ匂いを感じた。オタクが言うんだから間違いない。

さて、そういうのが居るなら日常は心配しなくてよさそうだ。向こうも利益考えて必要なものは用意してくれるだろう。

 

「最低限必要なものは用意するし、それ以上の要望も出来る限り聞こう。けれどこれは先行投資だ。

 あげた分の利益だけは何があろうと確保してもらう。出来ないとは言わせないし出来ないようなことはさせない」

 

本当の契約、って奴ですか。まあ当然っちゃあ当然だし、俺もやる気出てきたからがんばりますよ。

どれぐらいやる気が続くかは分からんが、まあ貰った分還すまでは大丈夫だろう。なにせ異世界だ。わくわくが止まらねえ。

この勢いで突っ走れば最低限は確保出来るはず。後はのんべんだらり怒られない程度のペースで楽しく仕事すればいいや。

 

「うんうん。それじゃ、ここが君の住む寮だ。長期間空けることも想定すれば普通の住宅には住みにくい。

 ここなら居ない間の部屋はスタッフが清掃するしね。その間見られたく無いものは専用のロッカーに入れておくように」

 

本当に、至れり尽くせりだ。といっても殆ど使う機会が無いこと前提なんだろうけれど。

清掃と言っても戻ってくる時期が大体分かるんだから出た後と帰る前に清掃すればいいだけだし。

取り敢えず家から持ってきたパソコンとかエロ本の類はロッカーに入れておこう。食い物の放置はしないようにしないとな。

まずは引越し作業。そしたら両親と友人に研修で海外に行くとか長期出張の多い部署だとでも伝えて、そしたら異世界だ。

 

――こうして、俺の少し早い第二の人生が幕を開けるのだった。

 

 

 

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