『それはまさに鉄塊だった』
とか言いつつベルセルクでは無い。そもそも俺はベルセルクを知らない。人生損してる?分かった今度読んどく。
いや、そうではなく。鉄塊だ。鉄塊である。いや鉄かどうかは知らんが金属の塊という意味で鉄塊である。
それは精密機器と言うにはあまりに大きすぎた。大きく、分厚く、重く、それでいて繊細だ。それはまさに鉄塊だった。
うん?ベルセルクはもういい?さいですか。
「それでは、説明をさせて頂きますね」
「ああ、お願い」
画面の中で彼女が言う。別に脳内嫁とかでは無い。似たようなものではあるが。
金糸のような長髪を纏った美女。琥珀色の瞳を持つ目の目尻は釣り上がりもせず垂れもせず、眉は綺麗なアーチに整えられている。
大きくも無くしかしはっきりと言葉を紡ぐ唇から覗く歯は小さく可愛らしく整っており、
鼻は標準的な日本人よりは高いものの欧米人種と比べればごく普通で少し小さめ。
少し大きめの耳たぶを持つ耳はごく標準的なサイズで目立つ事も無い。
無駄な毛の一本も生えず無駄な化粧の一切をせず、薄く塗られたリップだけがその艶やかさで男を魅了する。
標準以上に整ったその顔立ちは非常にクールな印象を思わせるが、時折浮かべる微笑みは慈母のように優しげだ。
まあ要するに、俺が持っているAIのイメージデータである。
「まず私の自己紹介からさせて頂きます。個体名称エリス、悠二様のサポート全般を担当します。改めて宜しくお願いします」
「うん、宜しく」
俺が彼女の元となるソフトを買ったのはそれが発売された当日だった。いや、正確にはかなり前から予約していた。
天下のSSOが発売した初の自己進化型AI。成長ではなくあえて進化と銘打たれたそれは世の童貞諸君を狂喜させた事だろう。
なにせプロモーションとして先行試作と称されたAIとスタッフが会話する映像が公開されたのだが、クオリティがえげつなかった。
こちらの質問に正確に応え、こちらの命令を違えず遂行し、一つ一つの行動に仕草まで付く。
最初は機械的だったそれが年月を経るにつれて色を持ち、自身の意見を述べるようになる。
性格すらも所有者の好みに合わせて進化し、決して所有者を裏切らない。
そんな素敵AIに天文学的な組み合わせ数を誇るパーツ群によってあらゆるキャラの再現が可能なほど自由度の高いイメージエディタ。
初期登録された音声に加え録音した音声などを元に本物の人間のような声質を再現できるボイスエディタ。
これら全てセットで驚きの19800円。買った。即買いだった。
で、つい先日まで使用しつづけ一度もリセットする事無く一緒に居た彼女が、パワーアップして帰ってきたのである。
「まず各種イメージの最適化を行いました。デザイン、表情、音声など今まで蓄積した貴方の好みに合わせてあります。
更に顔以外の容姿データを追加。3Dモデル化によって立体映像にも対応しています」
完璧だ。これ以上ないぐらいに完璧だ。クーデレ、実にいい。
髪や瞳の色はたまに変えたくなるので時々変えるが、それ以外は一切変える必要が無い。
外見の年頃は20代前半。慈愛に満ちた微笑みは母親のようでもあり、無邪気な笑い顔は少女のようでもある。
胸のサイズはDぐらい、少しの大きめの美乳。張りと柔らかさ最優先のそれは常に綺麗な形に保たれている。
腰はゆるやかにくびれお尻は実に撫で心地が良さそうなげふんげふん。
すらりと伸びた足の先にはヒール。踏まれたげふんげふん。
肉付きは皮膚の下にうっすらと脂肪が付いている。体を捻ったら肋骨の跡が浮くようなガリガリは好みでは無いのだ。
女性というのは少し肉付きがいいぐらいが丁度いい。特に皮下脂肪。
膝枕がぷにぷにと気持ちいいぐらいにうっすらと脂肪が付いているぐらいが一番なのである。骨のすぐ上に皮なんぞ論外だ。
あ、でも顔はすきっとしている方が好みです。要はバランスだよね。と、童貞が言ってみる。
「人格そのものは変化がありませんが、思考能力の大幅な向上によって細部や各種応対は若干異なります」
で、そんな彼女が今居るのは電脳空間、所謂ディスプレイの中である。しかも空間投影型。なにこれ怖い。
どうやら手元の腕時計から投影されているようである。少し大きめの腕時計で会社からの支給品。SSOすげえ。
表示濃度を調整して半透明にしたり白黒にしたりタッチパネルが如く指で操作したりとなんでもござれである。
こういうのを見ていると、混乱が起きないように表に出す技術を絞っていたという山岡さんの言葉が現実味を帯びてくるな。
ともあれ、彼女の本体は流石に腕時計の中ではない。あくまでこれは端末だ。
量子情報通信を用いた非接触回線、所謂無線で腕時計にデータを飛ばしているのである。
本体はなんと量子コンピュータ。やっぱり実現していたらしい。それも大分前から。
そもそも一番最初の異世界に渡る事故が起きた際に演算させていたのが試作の量子コンピュータだと言うのだ。
どうやら本当に凄いのは諸々の技術をモノにしてしまえる天才集団達のようである。
「また、現在3次元行動用素体が調整作業中です。異世界派遣当日には間に合いますのでご安心下さい」
そしてこれ!分り易い言い方をするとダッチワイフ。あるいはラブドール。いや、睨まないでよ本当にそういう感じなんだから。
なんでもIPS細胞の遺伝子を調整し培養する事で作成した人工人体に専用のナノマシンと電子頭脳を搭載する、というものらしい。
人間の脳みそを改造して量子コンピュータとして使用するのである。
勿論IPS細胞から造ったので生命なんぞ宿るわけもなし、道徳的にも一応セーフである。
これが駄目だと言い出したらIPS細胞から内蔵を作って移植するというのもアウトになってしまう。
法を整備するのは大変だし、整備しようという動きには圧力をかけられるため、一部の感情論ぐらいしか障害はなくなる。
さすがは天下のSSOである。
で、遺伝子調整を出来るという事は望んだ体を自由に作れるという事だ。
人間の手を加えられるということは本来の人間には無い機能を付ける事すら可能。
例えば脳から量子情報通信の電波(?)を飛ばしたり、女性の大事な所を所謂男好みのサキュバス的なアレに改造したり。
ほら、ダッチワイフだ。いや、注文したの俺なんだけどね。何でも出来ると言われてつい。
現在は作成した人工体にナノマシンを注入して内側から改造している途中らしい。
どうも元から幾つかの実験体を作成する予定だったらしく、稼動テストも兼ねてその内の一体を俺に回してくれる事になったのだ。
山岡さん曰く「本社に直接乗り込んできた上にこれ以上ない適性を持つ君を会長が気に入ってね。要するに似た者同士さ」との事。
ああ、やけに若い会長だと思っていたらあの人があのふざけた理由で人類初の異世界旅行を成し遂げた人だったらしい。
この前改めて挨拶した時に十年来の親友のように意気投合してしまったのを覚えている。趣味が合いすぎた。閑話休題。
「では、続きまして"機体"の説明をさせて頂きます」
来た。先程から俺の目の前に鎮座している鉄塊。いや、鎮座というか立ってるんだけどね。
少し前にまさに鉄塊だのなんだのとネタをこね回しておきながら説明を放置していたあれである。
現実から目を背けていたとも言う。
改めて目を向けると飛び込んで来るのはやはり鉄塊。材質はよく分からないが、とにかく金属の塊である。
その塊は人の形をしていた。羽根やらなんやら付いていはいるが一応人型だ。
色はメタリックなシルバー、いやもうこれは単に鈍色だろう。つまり無塗装。
ツヤ消しすらされていないそれは格納庫に灯された白色灯を鈍く反射している。
そして何より特筆すべきはその体躯。流線型と鋭角で構成され戦闘機を思わせる胸部や肩。
しかしそれらは見上げなければならない程高い所にある。
「機体名称未設定、開発名称『NEXT+』、全高12m、全幅10m、全長8mの最新型ネクストACです」
そう、ネクストである。アーマード・コアである。4系である。ふぉーあんさーである。
ここまで言えば分かると思うが、今回俺が派遣されるのはACFAの世界。
正確には似たような世界という事らしいのだが、まあ殆ど変わらないらしい。
何でも現在の異世界旅行は旅行者のイメージを元に座標を割り出しているらしく、
要するにイメージ出来るだけその世界を知っていないといけない。
一度行けば座標だのなんだのが測定出来るらしいのだが、今回行くのはSSOが今まで干渉して来なかった所謂『未介入世界』だ。
だから旅行者である俺がイメージしやすい世界として幾つか候補を上げ、その中から彼らが選んだのがこの世界、とのこと。
「擬似小島炉心を搭載したネクストシリーズ試作実験機であり、様々な実験的技術が盛り込まれています」
他にもロボットモノならスパ□ボ系世界とかGジ◯ネ系世界とかマブラ◯オルタとかあるし、
ロボット系以外でも国民的RPGから大きなお友達に大人気の魔法少女モノとか魔法先生ものとかあるのだが。
魔法に関しては流石のSSOも未だ異次元技術過ぎるためまずは技術の習得を目指したいらしく、
スパ□ボ的な世界に関しても異星人やら物理法則ガン無視の超技術が満載なのでまずはその解析が優先。
ガ◯ダム系に関してはイメージ出来る人材が多かったという事で既に多くの人員が旅立っており、
技術のばら撒いて勝手に進化して貰いそれを回収するという目的に合致した技術レベルと世界観という事でACFAが選ばれた。
ネクストぐらいならばコスト度外視で無理を重ねて定期的な整備も前提にすれば似たようなスペックのモノは作れるらしい。
後は現地技術を回収して改良を重ねればいいらしく、世界観的に技術をばら撒いておけば勝手に発展してくれる。
まあ結果的に企業連ルートという事になるが、俺への先行投資分の利益を回収すればあとは好きにして構わないそうだ。
居座るのもまた別の異世界へ行くのも自由との事。やったね。
「擬似小島炉心とは所謂ジェネレーターです。コジマ粒子に似た性質を持つ粒子を利用しています」
うん、流石に行ってもいない世界のものをそっくりそのまま再現するのは無理。
というわけで俺が持っていた資料集やらゲームやらから得た情報を元に再現したらしい。
要するにゲームで出来たことが出来ればいいので、中身は全く別物である。
使用している粒子も汚染物質の類では無いし、プライマルアーマーも通常のものとは違うらしい。
ジェネレーターは融合反応炉らしいのだが、中性子線だか電子線だかの放射線は反応させて無害化させる隔壁材を使用しているらしい。
まあこの辺の技術はSSOの登場前からあった現代技術なので別段超技術というわけでも無いらしいが。ワケワカメ。
兎にも角にも融合炉心というぐらいだから恐らく核融合炉。まあガ◯ダム世界に行っているぐらいだし珍しくもない。
最近じゃあ異世界製の融合炉が放射能汚染の心配も無いって事で各国で試験導入に入ってるし、
ガ◯ダム種の世界とかにある超効率なバッテリー技術の流用もあって宇宙開発計画も開始間近らしい。
「またジェネレーターの他に高効率バッテリー技術を用いた小島電池を製造。
本体ジェネレーターの容量拡大と小型低出力ジェネレーターの製造に成功しています」
当然、この機体にもそれらは利用されている。
なにせどっかの機動戦士よりも更に高性能で固有性の高い機動兵器である。
予算に収まる程度に最新技術の粋を集めて製造された俺専用のワンオフである。
こういう最新というか実験的な技術も使われている。
「レーダーやカメラ、それを処理するFCSにはジャミング性粒子が高濃度に散布されている空間でも使用可能な物を搭載しています」
勿論電子系も、最新。どこぞのナントカスキー粒子とかナントカジャマーの影響下でも使えるシロモノだ。
大した電子戦性能を持たないネクスト相手なら十分に使用可能だろう。
まあ、あの世界がコジマ粒子やらなんやらの影響で索敵がしにくいとかいう可能性も考えられるが、
それでも十分な性能は発揮してくれるはずだ。
電子面は装甲材とか素粒子とかと比べて技術の獲得と応用が楽だから、かなり高性能化している。
「また、FCSには私を介した高性能装置を導入。量子電脳との併用を前提とする事で通常より遥かに強力な演算性能を有します」
うん、相当凄い性能なんだろう。高機動戦闘中に相手をロックできたりネクストの電子性能も中々のものだが、
生体部品と電子部品のハイブリットによって超性能を誇るらしいエリスの量子電脳と比べればかあなり差があるはず。
圧倒的とまでは言わずとも、所謂良い所取り的な効果を発揮してくれるに違いない。
「コックピットは複座式。後部座席には私が搭乗し、情報処理及び火器管制を担当します」
なんと複座である。ロマンである。
とはいえ高度な電子機器や通常のネクストには無い機構を搭載しそこに複座だ。流石に収まり切らない。
そんなわけでコア全体を想定より大型化。戦闘機のような前面を持った大型コアの背面にコンテナ型ブッロクが突き出す形状に。
搭乗部が突き出していて危険な後部にはエリスが搭乗。エリスならバックアップデータから再生出来るしね。
とはいえ気分がいいものでないのも事実なのでなるべく背後は取られないようにしたい。
まあ、散々遊んだおかげで全面連続ハード無傷クリアを成し遂げた事もある。ネクスト戦闘の心得は身に付いている。
完全に同じということはないだろうけど、実機戦闘にさえ慣れればカラード中堅ランカーぐらいの実力はあるはずだ。
またも閑話休題。
「全ての情報処理はこちらで担当しますので、悠二様の視界には最低限の情報のみが表示されます」
要するにVであった戦闘モードである。エリスの方でスキャンモードを起動して俺の方で戦闘モードを起動している感じだ。
機体の操縦はSSOの技術で再現した『Allegory Manipulate System』、通称AMSによる思考制御がメイン。
考えた通りに機体が動くので必要なのは安全装置を兼ね人間の反射神経を活かすためのトリガーとペダルのみ。
戦闘中は目を閉じ、脳内に直接描かれる戦闘映像と感覚的に伝達されるレーダーを元に戦闘を行う。
警告や各種情報もそれぞれ五感や第六感に変換されて伝えられ、その処理を行うのがエリスである。
通常パイロットが全てやらなければいけない情報の取捨選択をサブパイロットに預けることで、
パイロットへの情報負担を減らし戦闘に集中できるようにすると共に、正確かつ多数同時の情報処理を可能としている。
というのが、この複座式システムの概要だそうだ。
実際の利便性は使ってみないとわからないし、俺の仕事にはそのへんのテストも含まれている。
武力外交官兼実験搭乗兵というわけだな。
「特に情報収集が主目的である点から本機は情報戦に力を入れており、
予想される通常の戦闘領域範囲内であれば正確な情報把握と広域ECMによる電子制圧が可能です」
これを最初聞いた時は流石にSSOすげーって思ったよ。
数十キロの範囲内にある熱源やら敵性兵器やらを正確に把握して、
必要になればその範囲内のレーダーやらカメラやらを強制的に無力化出来る。
ネクストやアームズフォートに搭載されているであろう対ネクスト用の高出力・高精度なものならともかく、
拠点で常時展開されているような通常のレーダーでは広域ECMを展開しながら超音速で移動するネクストは知覚すら出来ないだろう。
「また情報の回収を目的とし高コストのワンオフである本機は防御能力にも力を入れており、
通電により運動エネルギーを拡散減衰させる相転移装甲に熱量拡散減衰加工と耐薬反応防止加工を施しています」
うん、またよく分からん言葉が出てきたが要するにどこぞの種に出てきた運動エネルギー無効化装甲と、
機動戦士シリーズ御用達のアンチビーム加工と同じくどっかから拾ってきたであろう耐薬加工だ。
運動エネルギー、熱エネルギー、化学反応を大幅に減衰してくれるこの装甲のおかげで、
途轍もない防御性能を持ちつつ非常に軽量という至れり尽くせりぶりである。
まあその分エネルギー消費はえげつないが。核融合炉と同等以上の出力があるジェネレーターだからこそ出来る芸当である。
あと、物凄く修理費が高い。ヘタしたらホワイト・グリントフレームより高い。パーツ1個100万Cとかするんじゃなかろうか。
「装甲は最新のものを使用していますが、機体コンセプトは機動力中心です。
軽量化に努めているため総合的な耐久力は低くなっています」
APで言うと3万以下。低い。けど硬いから全然減らない。だから修理費もそこまで酷くはならないだろうと思っている。
機動力特化で当たらなければうんたらを実践出来るし、俺自身プレイスタイルがそんなだったからね。
ホワイト・グリントとアリーヤに惚れて使いまくって、途中ステイシスに浮気したりしてたら自然とそうなった。
とはいえ流石にソブレロ使いこなすのはきつかったけどね。アレ造った奴らは紛れも無い変態だ。
「また、粒子の性質の違いと高度な粒子制御技術の応用によって改良型のプライマルアーマーが展開可能です。
これを『Solid Primal Armor』、通称SPAと呼びます」
プライマルアーマー。コジマ粒子を機体の周囲に環流(ぐるぐると流れさせる)させる事で押しとどめ、防御に使用するもの。
機体の整波能力によってその効力は変わってくるが、通常兵器程度は全て無効化してしまう強固さを誇る。
要するにバリアであり、ネクストが通常兵器やノーマルACに対して絶対性を誇る所以の一つでもある。
このSPAはそれとは大分違うらしい。
擬似コジマ粒子は結合しやすいという性質と粒子を直接制御する技術を用いて結合・固着させ、
それを何層も重ねあわせて一種の装甲板のようにしてしまうというもの。
要するに気体を個体レベルまで固着させ、その結合の強固さと粒子自体が帯びている高エネルギーで攻撃を防ぐのだ。
重ねられた板状のSPAによる積層装甲は通常のPAよりも非常に強固。
結合していないPAは貫通されやすく減衰も早いという弱点があるが、
強く結合し積層化されたSPAは貫通されにくく減衰もしにくいという特徴を持つ。
ってエリスが言ってる。
「また結合した粒子はあくまで密集しているだけの粒子ですので、
金属等の個体と比べ熱伝導率が非常に低く電気を通しにくいためそれらによる攻撃にも高い効果を持ちます」
まさにPAの弱点だけを取り除いたようなものである。
とはいえ利点ばかりでもなく、粒子を結合させる分制御が難しくなるとかエネルギーを馬鹿みたいに食うとかあるのだが。
しかしそれも量子電脳の演算能力と高出力のジェネレーターを用いればクリア出来る問題である。
「また強固に結合したSPAは一定レベル以上の電磁波や粒子の流入出を阻害する効果があり、
排出粒子の保存と電磁偏光効果を持ちます」
はーいまた難しい言葉が出てきた気がするよー。
要するに強い電磁波とか強い光とかはSPAを通れません。
粒子と同じ大きさ以上の粒子も通れないので擬似コジマ粒子やコジマ粒子も通れません。ということ。
で、何が違うかと言うと。
一定以上に強力なレーダーや赤外線等による探知を一定レベルまで減衰します。
光が出ていくのを調整する事で見かけの色をある程度誤魔化せます。SPAの形状を変化させれば見かけの機体形状を変化させられます。
外からはプライマルアーマーを展開していないそういう色と形の機体にしか見えません。
内側に擬似コジマ粒子を貯めておけるので、通常のPAのように撒き散らす心配もなく粒子を無駄に捨てずに済みます。
当然内側の粒子は安定環流させてやる事で通常のPAと同様に機能します。
オーバードブーストやアサルトアーマーは内側の粒子を制御して使うのでSPAが減衰する心配はありません。
また外部の粒子も通さないので、コジマ粒子の濃度が非常に濃い場所でも継続ダメージを受けません。
つまり凄くクリーンで凄く強力になっています。と、いうことだね、うん。
「チートくせー」
「その分機体・搭乗者・整備士への負荷は大きくなっていますが。
他にも、SPAを応用し全方位自由加速・着地力場形成・エネルギーバレル・重量負荷軽減機構などに使用されています」
いっきに説明しちゃうよ!
全方位自由加速。ごく数センチの薄さに何百枚も重なっているSPAの、一番外側を反応させて加速します。
所謂コジマ爆発をSPAの表面で起こすんだね。これはブースターに使われている技術と同じだそうだ。
擬似コジマ粒子を反応・爆発させ、発生した粒子とエネルギーを粒子制御によって一方向へ収束させる事で高加速を得るのだそうな。
これによってSPAを展開しているあらゆる全方位へ、コンマ以下の一瞬で加速力を生み出せる。
まさに超機動。中の人のことを考えなければゲ◯ター軌道だって夢じゃない!かも?
次、着地力場形成。これも文字通り。通常機体に追従してくるSPAを空間に固定し、それを足場にするというもの。
空中ジャンプから高反動兵装使用時の踏ん張りまで色々使える便利な奴。ブースターを使わず滞空するのにも便利。
極超長距離狙撃の際などはこれを使用するのが前提となってくるらしい。
お次はエネルギーバレル。これも文字通り。銃口や砲身の内外に円筒状のSPAを展開。
一種のロングバレルや砲身への負荷軽減として使用出来る。
これによって物凄い勢いで弾丸を連射しても摩擦による削減やオーバーヒートを軽減出来るように。
同じように関節などの駆動部に薄く展開する事で、摩擦の低減による運動性向上と関節の摩耗を防いでいる。
おかげで消費エネルギーが洒落にならないことになっている。ジェネレーターさんかっけー。
最後は重量負荷軽減。
まあ要するに腰部関節にSPAを展開して上半身を支える事で、貧弱な脚部でも重い機体を支えられるようになっている。
積載重量が大幅に増加した事を利用し、VOB並みの追加ブースターの装備や撃墜した敵機の回収などを行うのだそうだ。
これだけ色々やらかしたら演算量とか消費エネルギーとか凄い事になる。ゲームデータで言えば倍近い消費量があるんじゃなかろうか。
しかしモーマンタイ。われらが量子電脳(+α)の演算能力と擬似小島炉心をもってすれば容易いことなのだ!
うん、まあ出力と演算能力の7,8割は食われてるんだけどね。この機体のチートは大体この3つのせい。
「物理的な撤退が不可能と判断された場合、遠隔転送により脱出するための次元通信装置と簡易転移装置を搭載しています」
これはまあしゃあないというか当然。そうしてくれた方が俺も助かる。
要するに撃墜されそうになったら異世界転送で緊急脱出というわけだ。
基本的に異世界移動は俺達側で最低限必要な演算を行い、全体の演算や転送はSSO本社の専用設備で行うらしい。
ちなみに。機体に搭載されているのはあくまで最低限で、
通常時の転送は機体の整備設備と居住スペースを搭載した専用の輸送機ごと行うそうだ。
後編に続く