絢瀬絵里に恋をする   作:パステルカラー

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忘れられない日

朝6時であろうが電車の中は駅とは打って変わり混雑していた。父親曰く「朝早く出る人はなるだけ空いた電車に乗りたいから乗っているんだろう」と全く空いていないのだが。車内が狭いということもあり地元の神田明神祭の方がまだ空いているように感じる。

 

オフィスなどが立ち並ぶ駅を越え少しばかり余裕が出てきた。余裕が出てきて気が緩んだのか口元も緩み大きなあくびが出てしまった。

 

絵里「天満眠そうね。ぐっすり寝たんじゃないの?」

天満「それでも夜行性だから朝はどうしてもな。」

絵里「それで授業中寝てるのね。」

天満「まあな。」

絵里「バカね。」

天満「なんでだよ?」

絵里「自分で考えたら。もうすぐ着くわよ。」

 

なんか今日の絵里変だな。

 

ーーー

昔、朝早くからアトラクションに並ぶ人たちをテレビ越しで見てバカだなと思っていたが、今の俺はそのバカである。

ついさっき絵里に

 

絵里「ちょっとファストパス取ってくるから並んでて。」

 

と頼まれたのである。いや、並ぶことを押し付けられたといっても過言ではない。行列が嫌いな自分はこの時間の有意義な使い方を知っている。基本妄想だ。得てしてボッチという人種は妄想が上手い、自分が乗るとしたらエヴァか、ガンダムか、はたまたサンゴット3か。浜辺から抜け出せないからサンゴット3は勘弁だな。

こんなことを考えていると絵里がポップコーンを持ってこちらへ歩いてくる。

絵里が「どう?」と聞いてきたが首で「この通り」と示した。

 

絵里「もう少し早く来るべきだったかしら?」

 

俺朝5時に起きたんですけど、それより早く起きろと。あのうるさい目覚まし時計のニュー番組でさえ鳴らない時間だぞ!

 

天満「もうすぐで乗れるだろ。我慢しろ。」

 

俺に説教されたのがよほどお気に召さなかったのかイライラした口調で「分かってる」とだけ答えた。

にしてもここまで並ぶアトラクションとはなんなのか、こういった場所に疎い俺は全くもって見当がつかない。はけ方からして団体で乗るもなのだろう。そしてあのスプラッシュとなると、……ここで一つの答えが浮かぶ。その瞬間自分の血の気が引くのがわかった。一部の願いを込めて絵里に聞くと、

 

天満「なあ、絵里?この列ってなんの列?」

絵里「ジェットコースターに決まってるじゃない。」

 

予想通りの回答だった。

嫌なものほどよく当たる世の中そんなもんだ。だが、まだ諦めるような時間じゃないどうにかしてこの列から抜け回避する方法を探すんだカットビングだぜ俺!

 

ーーー

 

絵里「もう乗れそうね。」

 

俺の出した答えは「現実は非情なり諦める」であった。結果的に回避する方法は見つからず乗り物に乗る寸前までカットされるという。

 

「次のお客様どうぞ。」

 

とうとう順番が回ってきてしまった。何故遅延せんのだ。アトラクションが遅延って運休の間違えか。まあ、回ってきてしまっては仕方ない覚悟を決めて乗るとしよう。

絵里を先に乗せ後から乗り込む。一応下にレールが引いてあるとはいえ水の上だかなりふらついているのがわかる。

これ大丈夫だよな転覆とかしないよな。なんというか不安しかない。この不安を例えるなら俺のこの先の人生。いやだ、お先真っ暗ね!

 

絵里「早く座ったら?」

 

おっと、俺としたことがお先が真っ暗なのは前からなのに取り乱してしまったよ。

 

座るとすぐに安全バーが降ろされカチリと音を立てる。この音がすると最後このアトラクションが終わるまで外れることはない。まな板の鯉、袋の鼠、ボートの天満である。うん、意味わかんない。

出発をするとボートは軽く揺れながらゴールへと進み始める。少し揺れるたびに自分の体からいやな汗が滲み出てくるのがわかる。

だからお願い絵里揺らさないで。一方絵里はと言うとテンションが高く周りのファンシーとは言い難い動物のロボット達を「可愛い!」とか言いながら眺めている。耳を澄ませば関節の駆動音とか聞こえてきそうだが、耳を澄ましても隣の絵里が煩すぎてボートが進む音さえ途切れ途切れで聞こえてくるだけである。反対側の動物を見ようと思ったのか絵里がこちらを向く。

 

絵里「天満どうしたの?いつにも増して気持ち悪い顔してるわよ。」

 

なんでこの人こんな毒吐いてくるんですかね?いつもなら皮肉を言って返すのだがそんな余裕は俺にはない。

それを察したのかもしかしてという顔をして

 

絵里「ジェットコースター苦手なの?」

 

と聞いてくる。

返事をするとモル○ルさながらの臭い息が出そうだったのでうなづくことにした。

すると絵里は呆れた顔でこう続ける。

 

絵里「なんでそのことを言わないのよ。言ってくれれば一人で乗ったのに。」

 

あっ、乗ることには変わりないんですね。一緒に他の奴を乗りに行くとかしないんですね。

 

絵里「手、握ってあげましょうか?」

 

マジで⁉︎こんなことがあるなんてジェットコースターも捨てたもんじゃないな。「お言葉に甘えて」と言おうとしたはずが、

 

天満「俺の手、手汗びっしょりだけどいい?」

絵理「え?…やっぱなしで。」

 

何してんの俺?せっかくのチャンスを棒にふるとは。はあ。

 

絵里「酔いそうな時は気を紛らわすのが一番ね。何か話のネタない?」

天満「ありがたいけど、無茶振りにもほどがあるぞ。」

絵里「じゃあ私が聞きたいことでいいかしら?」

天満「気が紛れればなんでもいいよ。」

 

俺の返答を聞くと真面目な顔をして

 

絵里「そう。なら、なんでいつも一人でいるの?」

天満「……お前人と話すの苦手だろ。 いくら話が下手な俺でもトラウマを掘り返しには行かないぞ?」

 

なんてふざけ返したが絵里は真剣な目をしてこちらを見ていた。

 

天満「……嫌なんだよね、人の顔色を伺いながらビクビク生きるのは。」

絵里「それだけ?」

天満「おおもとは嫌われたくないかな。」

 

絵里は何も言わず黙って俺の言葉を待っていた。

 

天満「他人の顔を伺いながら地雷を踏まないように話して、振る舞うのは疲れるし、自分がいないような気がする。もし、自分を出したら嫌われるんじゃないかと思うと気が気でなくなったりする。そういうのが嫌なんだ、そう思ったら1人だった。」

 

一通り話し終えると絵里は固く閉じていた口を優しく開いた。

 

絵里「ふーん、そういうことだったのね。」

天満「そういうこと、卑怯な臆病ものだよ。」

絵里「そうね。でも、私もそうよ。」

 

ふと絵里の顔見るととても穏やかで優しい微笑みを浮かべていた。

 

絵里「私は希に嫌われたくないしにこにも嫌われたくない、人間ってそんなものじゃない?案外天満は普通の人ってことよ。」

 

絵里の表情、言葉の内容に呆気に取られてしまい絵里に「どうしたの?」と声をかけられるまで放心していたらしい。

 

天満「いや、絵里に突然褒められるとは思ってなかったから。」

絵里「これは褒めてるというのかしら?まあ、私の天満に対しての評価はそれなりに高いつもりよ。」

 

そういう絵里の顔は笑顔であった。昨日の別れ間際に魅せたあの笑顔。それのせいで一瞬反応が遅れた。

 

天満「なあそれって、」

絵里「落ちるわよ。」

天満「へ?」

 

絵里の声を契機に現実に戻される。ボートの向きが斜め下に向き景色がさっきまでの数倍の速さで流れる。今までいた所が天国だとしたら向こうに見える滝壺は地獄だろう。昔児童本で読んだことがある、天国と地獄はエスカレーターで繋がってると。じゃあこの滝はエスカレーターだろう、かなり急だが。ボートはその急な流れに身を任せ地獄へと落ちていく。

 

 

ーーーー

絵里「ふふ、なにこの顔。」

 

さっきのアトラクションでは写真を撮るサービスがあるらしく、絵里はその写真を買った。どうも、その写真に写る俺を見て笑っているらしい。

 

絵里「なんでこんな顔が死んでるのよ。」

 

「そりゃ地獄へと落ちていっているんだ笑ってる方がおかしいだろ。」と言いたくなったが言ったところで「は?」の一言で簡単に終わってしまうので言葉は飲み込むことにしよう。流石KKEですね、言葉で殺すぞエリーチカ。

 

絵里「……そんなに気分悪いの?」

天満「ボケる元気がないほどにな。」

絵里「天満の元気の基準はボケれるかボケれないかなのね。」

天満「まあな。」

絵里「そう、次のはそんなに激しく動かないし、天満が好きそうなやつよ。」

天満「?」

 

目的地に着きアトラクション名を見るとスペースレンジャーと書いていた。

 

天満「スペースレンジャーねぇ。」

 

数年前にニュース番組で取り上げられていた記憶がある。おもちゃ達が街中を闊歩する物語の一キャラを題材にしたアトラクションだとか、確かそのキャラの決め台詞が「無限の彼方へさあ、いくぞ!」絵里と行く無限の彼方はハネムーンなのか、はたまた地獄なのか。なんか今日地獄って言葉をよく使うな。

 

ーーーーー

アトラクション内はスペースというだけあり薄暗く星を模したライトがぼんやりと辺りを照らしている。

アトラクション説明を見ているとどうやらシューティングゲームらしい。俺が好きそうってそんなにシューティングゲーム好きアピールしたっけ?まあさっきのアトラクションよりは数段マシなのは間違いない。

 

「お次のお客様どうぞ。」

 

二人が乗り込むとすぐアトラクションが始まった。

どうやら説明を読むと弾は真っ直ぐに飛び、弾数は無限らしい、これが某ゾンビゲームならゾンビ達の顔は真っ青だろう。もともと血色は悪いか。

ゲームが始まると奥の方で黒いやつがなんか喋っているが興味がないので目標をセンターに入れてスイッチ。続けて目標をセンターに入れてスイッチ。シンクロ率はバッチリだ。

 

ーーー

第一部が終わり第二部に入るその間にどれだけポイントが取れているかが表示された。

プレイヤー1 153600

プレイヤー2 10220

 

天満「絵里、お前下手すぎだろ。」

絵里「何を言ってるのかしら、私がこの点数なのは天満がパートナーである私のことを考えずバカみたいに高得点の敵をすぐさま倒してしまうからなのよ。もし、パートナーが天満みたいな引きこもり自己中ゲーマーじゃなくて、アウトドアな気配りできる爽やかな青年なら、もっと点数は取れていたわ。全く、これぐらいのこともできないから友達が、いないんじゃないかしら。」

 

下手という言葉が気に障ったのかいつにも増した罵声を浴びせてくる。

まあ、このくらい言われるのは慣れっこだし気にもしないのでいいのだが、自分は聖人ではないので反論をしてやるとするか。

 

天満「あのn」

絵里「うるさい、集中してるから話しかけないでくれる?」

 

おうふ、まさかのシャットアウト。暴君もびっくりな自己中ぶりだ。言葉のドッジボールなんて生温い、言葉の千本ノックが適切ではないのかと疑いたくなるものてある。せめてボールを投げ合おうよ。

だが、妙だな。いくらポンコツで下手くそな絵里だとしても最低得点500点のゲームで1万点しか取れないのはおかしい。

よくよく絵里を見てみると発射口が下を向いている。どうも目の前の敵に集中しすぎて手元がおぼそかになっていたらしい、エリーチカポンコツすぎでしょ。

 

天満「あのな絵里。」

絵里「あら、あなたの耳は飾りで脳はフロッピーディスクなのかしら。ついさっき言ったことさえ記憶できないの、1ビットもないんじゃないかしら。」

天満「いや、いくらフロッピーディスクでも1ビット以上あるからな、フロッピーディスクバカにしすぎだろ。そうじゃなくて発射口下に向けたら当たるもんも当たらんぞ。」

 

絵里はそんなこと分かっていると言いたげな顔で自分のスペースシューターを上に向け、前を向いた。

もう少し素直でもいいんじゃないですかねぇ。

 

ーーーー

Game Clear!!

プレイヤー1 690201

プレイヤー2 102200

俺の的確で、的を得たアドバイスのおかげで絵里もまあ、それなりのポイントにはなったようだ。的を狙うゲームとかけてる辺りをなかなかにいいセンスだな。それにしても1点単位であるのには驚いた。さすがに細かすぎるぞ少しは平野レミを見習うべきだ。いや、やっぱダメだなあれは適当すぎか。

 

絵里「ほんとむかつくくらいに上手いわね。」

 

絵里は俺に負けることが本当にいやらしい。雑種である私に負けるのがそんなに嫌ですかね。あの慢心王でさえ、最後は認めてくれたってのに。いつか認められる日は来るのだろうか。なんか少年誌の最終回のご愛読ありがとうございました感が否めないな。まだ始まったばかりですし、これからも俺の物語はまだまだ続くし、これも最終回だわ。

 

ーーーー

 

絵里「ありがとう。」

 

あの後も幾つかよくわからないアトラクションに乗ってやっとこさお昼というわけだ。そんで、俺はパシられていたというわけだ。私の地位低すぎ?

 

天満「ん、メニューを見ながら立ってるの嫌いじゃないから別にいいよ。」

 

声には出していなかったが「なにそれ気持ち悪い」と言ったのははっきりと分かった。

いや、楽しいだろ。マックとかでハンバーガーは100円なのにチーズバーガーは120円なんだぞ、あの薄っぺらいチーズに20円の価値もあるのだろうか。なんて考えるの楽しいと思うんだがなぁ。私はそういった何気ない疑問を持ち続けられる人でありたい、アインシュタインより。なんかっぽいな。

 

天満「なに言ってるのか表情に出すのやめとけよ。一瞬で読み取れたぞ。」

絵里「わかるようにしてあげたのよ、なかなかに演技派でしょ私。」

天満「ほう、皮肉が言えるようになったとは、まあ成長したもんだな。だが、俺の足元にも及ばんがな。」

絵里「ええ、そうね。私は天満と違っていろいろ持ってるからね。」

 

まあ、一通りのやり取りを済ましたので昼ごはんにするとしよう。朝食からもうゆうに8地時間は経っているだろう。お腹の方もペコペコだ。

 

絵里「そう。ねぇ、聞きたいことがもう1つあったんだけどいいかしら?」

天満「なにしおらしくしちゃって、いつも通りズケズケと聞けばいいだろ。」

絵里「あら、そう。なら聞くけど、天満嫌われたくないって言ってたのに、なんで最後のリレーでなかったの?天満の行動はどこか矛盾している。」

 

本当に絵里は話すの苦手だな。普通に人の地雷を踏みに来る、絵里はターミネーターか、スーパーマンだから傷つかないかもしれんが、こっちは生身の人間だ、一瞬でボロボロになってしまう。きっと本人自身気づいていないのだろう、だから人の地雷を踏みに来る。なら、こちらの対応は爆風に巻き込まれないようにするだけだ。

 

天満「……さあな、きっと緊張から逃げたかづたんじゃないか?もう覚えてないな。」

絵里「そう。なら、私の立てた仮説を聞いてもらえるかしら。」

天満「まあいいけど、あってるかどうか本人すらわからんぞ。」

絵里「ええ、構わないわ。本当に忘れているのならね。」

 

本当にいやらしい、絵里は俺が覚えていることを確信している。その上でこんな言い回しをしてくるあたり、余程本当のことが知りたいらしい。

 

絵里「みんな初めての体育祭で盛り上がっていて、負けていたから少しピリピリしていた。でも、最後の対抗リレーでどちらとも1位を取ればまだ勝てる点数だった。まあ、みんな計算なんてしてないだろうからいい順位を取れば勝てると思っていたでしょうね。勝てないのを分かっていたのは天満と私とあと1人の3人。そして女子のリレーで一人が大きなバトンミスを犯した。ここで、天満は気づいてしまったのよね。

どんなに頑張っても、もう勝てないと。私たちのクラスの男子リレーは天満を含めて早い男子がそろっているおかげで1位は安定とまで言われてた。それに練習の時も毎回1位だった。となれば最後の点数発表で点数が明かされればその女子に非難が集中することが分かっていた。だから天満はその非難をどうにかする方法を考えた。そして考えついた方法が非難の標的を自分に変えてしまうというものだった。そしてその考えを実行した。」

 

絵里は最後に「どう?」と付け加え俺の採点を待った。正直驚いているこの答えは模範解答というほかない。絵里の出した答えは多少のズレはあるものの俺の出した答えとほとんど一緒だった。だが、ここで満点だと言ったところで何かが好転するわけでもない。なら、こう答えるべきであろう。

 

天満「おいおい、絵里。お前俺を買い被りすぎだよ。俺はそんなにいい人じゃない。」

絵里「ええ、天満がいい人じゃないのは知ってるわよ。」

天満「なら、なんで」

 

自分の言葉を遮るように絵里は答えた。

 

絵里「天満はいい人じゃないけど、優しい人よ自分より他人を気にしてしまう。そんな人よ。」

 

嬉しかった。自分以外のひとが、絵里が、自分を評価してくれているのが何より嬉しかった。だが、ここで答えを明かしその人へ義理立てをしたと思われるのも癪だ。

 

天満「ふぅー正直参ったよ。まさかそんな風に思われているなんて。じゃあ、採点をしよう。結果は70点というところかな。」

絵里「マイナスの理由は?」

天満「そうだな。まず、俺が思いついた考えは1つじゃなくて複数あった。まあ、結果的には絵里の言った方法になったが他にもあった。2つ、そのミスした誰かのためじゃない自分のためだ。体育祭で俺がヒーローになったら多くの人と付き合わなくちゃいけない、それは俺の性に合わない。1つ目が10点2つ目が20点のマイナスで70点ってことだ。これで疑問は解消されたか?」

 

最後に余計なことを言ってしまったが、これは悪い癖だ。歩み寄る相手を突き放すように拒絶する。もう少し他の言い方もあっただろう。

 

絵里「そう、採点してくれたお礼に1つ教えてあげる。あなたは覚えていないかもしれないけど相手の女子は気づいてるわよ。」

天満「は?そんなわけないだろ、そうした」

 

しまった、これは絵里の作戦だ。

しかし時すでに遅し絵里はニヤリと笑い口を開いた。

 

絵里「やっぱり、思ったとおりね。」

天満「お前性格悪いぞ。」

絵里「あら、天満に言われたくないわ。それに模範解答は正しくなくちゃいけないのに、嘘をついたのは天満でしょ、お互い様よ。」

天満「お前なぁ。」

絵里「大丈夫よ、その子に伝えはしないわ。でも、その子きっと気づいてるわよ。」

天満「てか、絵里はミスった子覚えてるのか。」

絵里「本当に忘れてるの?呆れた。まあ、天満らしいといえばそうかもね。」

 

ん?もし相手が覚えているのならなぜ感謝にこないのか。借りを作りたかったわけではないが、相手も気をつかってくれてるのか?

答えの見えない疑問が頭の中をかき乱す。これの答えが見えた時自分はどうなるのか。

 

ーーーー

その後幾つかのアトラクションに乗ったが正直あまり覚えていない。ただ1つ少しだけ見えてきたのは、答えが出た所で今とは何も変わらないということだけだ。答えが見えたからと言って友達が増えるわけでもないし、人気者になるわけでもない。自分のなかでスッキリするだけそれだけだ。だが、それでいい。他は望まない。

 

絵里「ん〜、楽しかった。天満はどうだった?」

 

絵里の声が耳に入り我に返った。

 

天満「えっ、ああ…」

絵里「やっぱり、心ここに在らずって感じだったのね。」

天満「悪い。」

絵里「まあいいわよ。そうさせたのは私だし、それに私にも関係のあることだからしっかり考えてね。」

 

絵里の声はどこか寂しげで辛そうだった。そんな絵里の声は聞きたくなかった。それも自分が原因だなんて特に。

 

天満「任せとけ、俺はそこそこできるやつだ、からな。」

絵里「そうね。」

 

そんな思いを払拭しようといつもと変わらないように振舞って見せた。

 

ーーーー

 

そのあとは特にアトラクションに乗らずに帰ってきた、乗ったのは電車くらいなんもんだ。

さて、課題に取り組むとしよう。まず人を絞らなくてはいけない。男子ではなくて自分のクラスメイトそこまでは絞れている。まず絵里は違うこれはもうわかりきっていること。ん?なぜ絵里はあの答えにたどり着けたのだろうか?あり得るパターンとして、絵里も当事者だった、絵里が俺がサボるところを見ていた、またはこの答えに至れるだけのプロセスを人から聞いた。

 

天満「ああ、そうか。なんで気づかなかったんだ。」

 

いや気づかなかったんじゃない、気づいていたんだ。だけど、気づかないふりをしていた、パンドラの匣を開けないようにしていた。開けてしまったら今の自分が自分で無くなる。自分は変わらないか、自分の周りが変わってしまうそれが怖かった自分が変わるよりもずっと。

 

答えが見えたので絵里に

「答えわかったよ、新年度もよろしく頼む。」

とメールを送っておいた。

 

答えを見つめなおせたでも予想より嫌な気分ではなかった。なぜなら、俺は絵里から教えてもらった自分は普通だということを、この考えは一般的なのだと。それに俺は平均よりできるやつだ。

自分で自分を奮い立たせていたこれから始まる新年度のために。

 




何も言うまい。
変更点を幾つか、時間が経っているのでボケのタイプが変わっています。それとん?噛み合わないぞと思っても温かい目で見てやってください。
これからのんびりと上げていきたいと思いますのでどうぞよろしくお願いします。
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