冬がそろそろやって来る。
秋の終わり一層寒くなり生徒会の窓を叩く風の音が強くなってきた今日この頃。喧嘩も終結し仲良く?かどうかはわからないがいつもどおりの日常に戻り、生徒会の仕事をしている。こういう時は基本的に希が口を開くことによって俺らの会話は始まる。
希「最近寒くなってきたなぁ。」
ほら、予想通り。その次は少し間をおいて絵里が応答する。
絵里「そうね。布団も替え時かしら。」
そんでそのあとが俺だ。
天満「今年の冬は早く来るらしいぞ。」
希「冬と言えばみかんやな。」
天満「いやいや、こたつがあってこそのみかんでしょ。みかん単体じゃ冬の果物としては弱い。だがそこにこたつが加わることで初めて冬の果物と認定されるんだ。」
希「そうやね。こたつみかん冬はこれで決まりやね!」
天満「いや、希違うだろ。こうだろ。冬のこたつみかんは世界一ィィィィ!」
絵里「何かのCMでも頼まれたの?」
希「そういうわけじゃないんやけど、なんとなくこうなったんよ。」
天満「その場の流れというか空気というか。」
希「空気って怖いなぁ。」
天満「そうだな。あいつは強靭無敵最強だからな。」
絵里「何バカなこと言ってるの?」
まさに鶴の一声俺の中で騒いでいたリトル天満くんたちが黙ってしまったよ。
絵里「冬が近いなら、もうストーブ出してしまいましょう。」
天満「この部屋にストーブなんてあったんだ。」
希「先代の人が置いといてくれたらしいで。」
天満「へぇー。」
希「なんへぇーぐらい?」
天満「そうだな。3ぐらいかな。」
希「三百円か。もうひと越え。」
絵里「何してるの?」
希「値切り?」
天満「希が切り出したんだろ。」
希「まあ、いいやん。天っち早くストーブ持ってきて。」
天満「はいはい。」
絵里「隣の部屋に置いてあるから。」
タイプが古いやつか。上にやかんまでついてんのか。こんなのよく置いてあんな。難点は重いことか。重いのはバイト先に行く時の足だけで十分だ。ああ、バイト休みてぇ。
天満「持ってきたぞ。」
絵里「初めて形に残る仕事をしたわね。」
天満「もしかして記憶障害なの?いっつもしてんだろ。」
絵里「私より量が少ないくせに何言ってるの?」
天満「説明会の資料は俺が主だっただろ。それに、そしたら希だってそうだろ。」
絵里「希はいいのよ。」
さすがに甘すぎやしませんかね。とことん甘いぞ、黄色と黒のロゴのやつより甘いぞ。
希「やかんあるしお茶でも淹れようか。」
絵里「ありがとう。」
天満「どうも。」
ーーー
希「最近風邪が流行ってるらしいなぁ。」
天満「確かにクラスでもちらほら休みがいたな。」
希(あっ、お湯が沸いた。)
絵里「天満のクラスでもそうなのね。」
天満「ん?何言ってんの?絵里と同じクラスですけど。」
絵里「私がクラスメイトを忘れるわけないでしょ。」
希(おっ、茶柱が立った。)
天満「これは自分の記憶力が悪いことを遠回しに言ってるの?」
絵里「天満の存在感のなさを揶揄してるのよ。それにいいわよね。天満って風邪にかからなそうで。」
希(仲いいな。ふぅ、今日もお茶が美味しい。)
天満「俺が馬鹿だと言いたいのか?」
絵里「驚いた、これがわかるとは思ってなかったわ。」
希(お代わりもらおう。)
天満「馬鹿にしすぎだろ。それに馬鹿は風邪をひかないんじゃない。ひいてることに気づかないだけだ。」
絵里「そんな馬鹿いるわけないでしょ。天満じゃあるまいし。」
希(茶菓子でも買ってこようかな。)
天満「天丼にしてもしつこいよ。」
絵里「そうね。そろそろやめないといじめに発展しそうね。」
天満「すでにいじめにあっている俺には死角はない。」
絵里「なんでそこでドヤ顔をするのよ。」
希「あっ、終わった?」
絵里が呆れたところで不毛な水かけ論争が終わった。
希「そう言えばにこっちも顔が赤かったな。」
絵里「大丈夫かしら?」
ボッチって素晴らしいな。ウイルスの感染も防げるなんて。ボッチ最高!きっと世界中のみんながぼっちになればエボラも怖くない。嘘、めっちゃ怖い。
ーーー後日
蒲田「今日は5人に増えたな。皆ちゃんと手洗いうがいをするように以上帰っていいぞ。」
また増えたんか。風邪のウイルスに負けるからゆとりとか言われんだよ。きっと団塊世代はインフルぐらいじゃないとまともに戦えないぞ。団塊世代強いな。
絵里「天満、今日休んでも構わないかしら?」
天満「珍しいな絵里が休むなんて。」
絵里「ちょっと、頭痛がひどくてね。」
天満「おう、お大事に。」
くっ、これで絵里が馬鹿ではないことが証明されてしまった。ということは生徒会は俺との希の2人か。
ーーー
希「あれ?天っち1人?てっきり絵里ちと一緒かと。」
天満「ああ、絵里は風邪気味なんだと。」
希「絵里ちがかかるとは思ってなかったわ。」
天満「そうだな。絵里がかかったせいで俺の感染率が上がったじゃねえか。」
希「大丈夫や。天っちはかかっても気づかへんよ。」
天満「ついに希までも俺を馬鹿呼ばわりか。これでも成績2位だぜ。」
希「そんな良かったん?」
天満「絵里と5点差だった。」
希「かなりエリートやん。」
天満「だから風邪にかかったらわかる。」
希「風邪はお茶を飲んでればなんとかなるやん。」
天満「そうだな。まあ、宵越しのお茶はやめとけバイキンまみれらしい。」
希「うちが風邪のウイルスなんかに負けるわけないやん。」
今フラグが立った気がする。
ーーー後日
蒲田「また休みが増えたな。今度は8人か。私の話を聞いてなかったのかね。と愚痴っても仕方ないか。みんな月曜も来るように。それと日直は早めに日誌を出しにこい。私は午後用事がある。何とは言わんよ。でも、気になるなら聞いても構わないぞ!」
なんだ?この学校は戦場なの?ウイルスとの激しい攻防戦でもしてるの?でみんな負けちやったの?うん、あってるな。えっ?先生の話?もちろんスルーでしょ。
ーーー
天満「おいおい、絵里大丈夫か?仕事なんかして。風邪気味なんだろ?」
絵里「……大丈夫よ。心配されるほどじゃないわ。あれ?希は?」
天満「希は昨日死亡フラグを立てて今日寝込んでるぞ。てか、同じクラスだろ。」
絵里「ん、休み時間中ずっと寝てたから。」
今日は土曜日で昼がないから休み時間中ずっと寝ていれば人と関わることは少ないだろう。しかも絵里は今日遅刻ギリギリで来た。馬鹿真面目な絵里は授業中もよそ見はしないし。まあ、分からなくても不思議だが不思議じゃない。
天満「マジで無理すんじゃねえぞ。残りの仕事ぐらいなら俺一人でもなんとかなる。」
絵里「……大丈夫って言ってるでしょ。」
頑固だな。ジジイかっての。
天満「そうか。まあ、無理すんなよ。」
絵里「分かってる。」
天満「ちょっと資料取ってくるから。」
途中で保健室にでも行って冷えピタでももらってこよう。少しはマシになるだろう。
ーーー
天満「おい、資料と冷えピタ持ってきたぞ。」
返事がない。ただの屍のようだ。じゃなくて、絵里がいない。どっかに行ったか?
天満「おい、絵里ー。」
どうも返事がないようだ。どっかに行ったのだろうか。と思い絵里の机にある資料に手を伸ばそうと思って近づくと顔を真っ赤にして倒れている絵里がいた。
天満「おい⁉︎おい、絵里⁉︎大丈夫か⁉︎」
絵里「あ、頭に響くから、騒がないで頂、戴。」
天満「もういいから絵里は家に帰れ。それとこれ貼って。あと水か。ちょっと待ってろ今持ってくるから。」
絵里「悪い、わね。」
ーーー
さて、どうしたもんか。保健室に行っても保健室の先生はもう帰ってるしな。連絡とろうにも知り合いが少なすぎる。希は家で寝てるし、にこはどうなってるか分からん。先生はお見合いかなんか行ってんだろ。なら、学校にいるのは得策じゃない。早く連絡を入れて誰かに迎えに来てもらうのが一番いい。
天満「絵里、家族に電話できる?」
絵里「…ん、ちょっと、無理ね。」
天満「なら番号教えて。電話するから。」
絵里「そ、そうじゃなくて、誰もうちにいないのよ。」
天満「マジか。」
どうしたもんか。万策尽きたぞ。わっ、俺の策少なすぎ⁉︎…ボケてる暇はない。車椅子でも借りて押していくか。…うちの学校に車椅子はない却下。部活に出ている男どもにやらせる?俺がそいつを殺しそうになるから却下。どうしようもないな。・・・ん?俺が運べばいいんじゃね。名案だ!ボディータッチをしてもおかしくなく、そして恩まで売れる。とってもいい案じゃないか。
天満「なあ、一つ提案だけど。その、俺がお前を家まで送ってくってのはどう?」
絵里「却下。」
天満「ですよね。」
絵里「って言いたいけど、そうも、言ってられな、そう、ね。本当に、不本意、だけど、お願いするわ。」
天満「了解。」
ーーー
天満「ここか?」
絵里「ええ、バック、の中に鍵が、入ってるから。」
天満「分かった。」
ようやくついた。マジで大変だったぜ。周りの人からは誘拐犯と間違えられるし、絵里の息が耳にかかるしで大変だった。絵里の吐息のせいであれがこれで大変だった。
天満「おい、どこの部屋だよ。」
絵里「玄関から見て一つ目。」
天満「了解。」
天満「ほら、ベットに着いたぞ。」
って寝てんのか。人の背中の上でよくもまあぐうぐうと寝れるな。家に帰ってついて安心でもしたんかね。さて、物色するか、それとも帰るか。もちろん帰りますよ。命はまだ惜しいんです。
天満「じゃあ、俺帰るから。て、聞こえてないか。」
ん?何かに引っ張られてる。絵里の手か。
天満「俺帰るから手離してくんね?」
絵里「…行かないで。」
天満「誰か帰ってきたらどうすんだよ。」
絵里「…行かないで。」
天満「分かったよ。」
はあ、帰れなくなったよ。いや、いいんだよ、むしろ嬉しいよ。でもね、風邪ひきたくないの。それと片手掴まれてると何もできないの。本でも読むか。本を読み始めると絵里の口から行かないでと聞こえる。昔のことでも夢に出てんのかね?絵里の手に力が入ってくる。強く握られるのも悪くないな。
絵里「行かないで、タク。」
絵里はとても辛そうにその名前を絞り出した。タク?いや、俺天満なんだけど、誰だよタクってこれは誰かと勘違いされて手を握られてんのね。そう思うと悪く思えてきた。早く手離してくんねえかな。でも、こんな顔を見てほっとくのもな。しょうがない一緒にいてやるか。
ーーー
天満「お、起きたか。」
絵里「ん、おはよう。」
ちょっと絵里さん。安易に伸びとかしないでくれますか?ちょっと目のやり場に困るでしょ。あんたと希はちょっと大きいんだから。調子が狂いそうだったので口早に絵里に質問することにした。
天満「ぐっすり眠れたか?」
絵里「ええ。おかげさまで。」
天満「腹は減ってるか?」
絵里「少し。」
天満「じゃあ手離してくれる?」
絵里「え?」
絵里は自分手がどこに繋がってるかを確認し始めた。肩から順に手先の方を確認する。肩二の腕肘腕そして手先に到達する。自分の手が俺の手首をしっかりと握っていることを確認すると顔を赤くして俺の手を振り払った。
絵里「寝てる私に何させてるのよ⁉︎」
天満「いや、俺じゃないし。絵里が俺手首を握ってきたんだろ!」
絵里「そんなの認められないわ!」
天満「んな、理不尽な!」
絵里「本当なら斬首よ!斬首!免罪を乞おうと思うならご飯でも作ってさっさと帰りなさい!」
天満「はあ?まあ、ご飯は作る予定だったからいいけど。」
絵里「やっぱ待って!今リビングには!」
天満「ちょっ、今まで寝てたんだから突然立ったら!」
絵里は掛けていた毛布に足を取られバランスを崩しこちら側へ倒れてくる。それを受け止めることもできず俺も倒れてしまう。
絵里は俺に壁ドンをするような体勢になり、まて。壁じゃなくて床か。床ドンする形になっていた。絵里の顔と俺の顔の距離実に数十センチ。首をあげれば唇と唇が着きそうなくらい近かった。
絵里「ご、ごめん、なさい///」
天満「お、おう///き、気にすんな。」
というよりこの体勢はまずい。何がまずいってこのままだと俺の理性が負け、襲いかかってしまうかもしれない。だってこれだけ近いんだものしょうがないじゃない。
絵里「は、早くどいてくれる?」
天満「絵里が上にいるから退けないんだよ。」
絵里「そ、そ、そうね。やっぱりまだ頭が働いてないみたい。」
天満「お、おう。そうだな。」
会話をするたびに絵里の息が顔にかかる。ということは俺の息もかかっているのだろう。臭ってないよな。大丈夫だよな。
絵里も落ち着いたのか俺の上から退き、胸に手を当てて心拍数を数えてる。かくいう俺も心拍数が上がりすぎて心臓が破裂するんじゃないかと思った。
天満「じゃ、じゃあ飯でも作ってくるよ。」
絵里「お、お願い。やっぱ待って。リビング片付けてくる。」
そんなに見られたくないものでも転がってんのかな?下着とかか?いや、リビングに行きたかったな。
ーーー
天満「出来たぞ。たまご粥。」
部屋に入ると絵里は制服から白色のワンピースに似たパジャマに着替えていた。改めて思うが絵里はかなり常人離れをしている。大抵どんな服でも似合うし、モデル体型だし。高嶺の花なんてレベルじゃないな。ラ○ュタに咲いてる花ぐらいだな。
絵里「なんでお粥なのよ?」
天満「病人だろ。」
絵里「少し頭痛がしただけよ。」
天満「何言ってんだ。39°も熱があったくせに。」
絵里「えっ?熱測ったの?」
天満「ああ、何か問題でも?」
絵里「問題大有りよ!それって、それって!」
あっ、勘違いしてんな。口で測ったんだけどこれは言わないほうが面白かも。
天満「まあしょうがないよな。絵里が熱出したのが悪い。」
絵里「じゃあ、私の見たの?」
天満「何を?」
絵里「し、下着よ///」
やばい、くそかわいい。どうしようこのままにしておこうかな。いや、これ以上やって印象を下げるのは得策ではない本当のこと言うか。
天満「えっ?何勘違いしてるの?口で測ったんだよ。証拠に起きた時制服はだけてなかっただろ。」
絵里「えっ?」
天満「いや〜絢瀬さん、破廉恥やわ〜。」
(プチン)
あっ、しまった。今絵里の血管の切れる音がした。
絵里「天満ちょっとこっち来てくれるかしら?」
天満「きょ、拒否権は?」
絵里「あるわけないでしょ。」
ーーー
天満「痛って〜そんなに強く叩く必要なかっただろ。」
絵里「天満が悪いのよ。私をからかうから。」
天満「いつもの延長線みたいなもんだろ。」
絵里「こっちは熱出してるんだからそれぐらい考慮しなさいよ。」
天満「悪いな。気が利かなくて。」
絵里「本当よ。……その、今日はありがとね。」
天満「あ?ああ、いいってことよ。お大事に。」
絵里「また、明後日ね、その前にこれはオマケ。」
ーーー
なんで最後にビンタすんだよ。マジで痛ぇ。
痛みが熱を放っていたが外気に触れちょっと冷たく感じるもうそんな時期か。そういえばまだ6時だというのに真っ暗だ。空を見上げればうっすらと星が見えている。空気が澄んでいるせいだろう。そうかもう冬なのか。近づいているのではなくもう冬なのだ。今年の冬は心に温もりは得られるのだろうか。今年は冬の予感に任せるとしよう。
なんつうか冬じゃなくても良かったかもしれませんね。今回はやたらと息抜きがはかどりましたね。
次回「聖夜の夜に彼は彼女らは」
この作品はリアルタイムのイベントに影響されます。これからは特にイベントはありませんけどね。ゆっくりと進めていけば被るかもです。では次回でまたお会いしましょう。