『クリスマスイブ』
これはキリスト誕生の前夜。前夜祭みたいなものだろうか。それともこっちが本命か。毎年静かなクリスマスの夜(サイレントナイト)を過ごす俺はどっちでも構わないんだが、今年はそうもいかないようだ。朝の9時にメールが入りそれで不快な目覚めをした。そのメールの本人をどうしてやろうかと目を向けるとどうも希からのメールらしい。内容は9時半に渋谷に来いと。普通なら断っているんだが、後ろに来なかったら絵里にバラすと書かれいかざるを得なかった。本来なら一日中寝てサイレントナイトを送る予定だったのに。ああ、さらば俺のサイレントナイト、ホーリーナイト、そしておはようドラゲナイ。
ーーー
適当に着替え渋谷の駅へ赴いた。まあ、人の多いこと、スクランブル交差点なんてスクランブルにふさわしく入り乱れていた。ポケ○ンのスクランブルはあれはあれで面白かった。進化のために交換しなくていいとか素晴らしい。
約束の場所、約束の時間なのだがまだ来ない。もしかして間違えた?いや、合ってる。もしかしたら希の言っている交差点はここじゃないのかもしれない。ということは希は1分ほど待っている計算になる。もう帰っちゃったかな。なんて待ってるとどうも不愉快な光景が目に入る。
??「ちょっとやめてください。」
モブ「いいじゃん。ちょっとだけちょっとだけだからさ。」
やんちゃしちゃった髪の毛の男が朱色の髪をした美形の女の子に手を出そうとしていた。おいおい、やんちゃなのは髪型だけにしとけ。
モブ「本当ちょっとだけだから。ね。ちょっとだけ。」
なに、その先っちょだけ、先っちょだけだかね。みたいなノリは。これはネタとしては危ないラインだな。
??「やめてって言ってるでしょ!」
モブ「抵抗するのもかわいいけどそろそろ大人しくなってくんねぇかな?」
まあ、こういうのは見て見ぬフリが一番楽だ。いじめだって「知りませんでした」って言っとけば許されちゃうんだからこれもその理論でなんとかなる。だが感情というのは不思議なもので不快感が理性を上回っしまった。
天満「お兄さん。その辺でやめといたら?」
モブ「誰?」
天満「まったく見知らぬ人。」
モブ「なら、絡んでくんじゃねえよ!」
天満「そう、じゃあ聖夜を警察と過ごすんだね。もうそこまでいるから。」
モブ「チッ。」
ふうっ、と胸をなで下ろす。よかったぜ変なことになんなくて。次からはちゃんと感情に手綱をつけとかないと。ん?普通なら欲望につけるべきか。
??「あの、どうもありがとうございました。」
天満「そんなに気にしなくてもいいよ。」
??「そう。でも、ありがとうね。」
律儀でいい子やな。タメ口やったけどいいこやな。きっと待ち合わせ時間とか守るんだろうな。それに比べ高校生ときたらなぜ約束の時間を守らない。バイ○5のウェ○カーでさえ時間守ってどっか行くんだぞ。
希「いや〜、遅れてごめんな。待った?」
後ろから声をかけてきたのは希だ。希は茶色のポンチョを羽織り、ニットセーターにニーハイストッキング。かなり魅力的な格好をしている。褒めるべきなのだろう。どうやって切り出すか。
天満「ああ、待った。それなりに待った。」
希「やっぱり気が利かないな。そういう時は『俺も今来たところだよ。』とか言うべきやろ。」
服を褒めるタイミングを失ってしまった。全く成長がないことで。
天満「いや、知らんよ。初めて聞いたわ。」
希「天っちは恋愛ドラマでも見るべきやな。まあ、待たせたのはうちやしいいんやけど。」
天満「他の人たちはまだ遅れてくんのか?」
希「うんん、今日はうちと天っちの二人っきりや。」
少し照れくさそうに笑った。この笑みを見て思ったのだが、希はかなりモテるだろう。絵里と一緒にいるせいで眩んでしまうがかなり美形だ。体系は良体系だし、顔だってかなりいい、何と言っても優しい。恋愛初心者なら絶対に好きになるだろう希がこんな日に俺と一緒にいていいのだろうか?
天満「なあ、希。」
希「うん?」
天満「今日俺となんか一緒にいていいのか?」
率直な疑問だった。深い意味もなくただまっすぐ相手に向かって伸びていく。
希「そこらへんはうちが何も手を出してないと思う?」
確かにそうだ。希のことだから、変な噂が広がらないように手を尽くしてることだろう。希としてはこんなブ男と一緒にいたところを見られて噂されたらイラッと来るだろう。今日はそういうことを気にしなくていいのだろう。そう思うと気が楽だ。噂が知れたらいろんなところから叩かれるからね。あれに慈悲はない。
天満「まさか、策に溺れるなよと思っただけだ。」
希「大丈夫、大丈夫。」
自然とフラグ立ててくな。希恐ろしい子!
ーーー
天満「そういえば今日は何しに来たの?」
希「明日のクリスマスパーティのプレゼントを買いに来たんよ。」
そんな話聞いてないんだけど、生徒会の中でもハブられてんの俺?
天満「その話聞いてないんたけど。」
希「言ってないもん。だって天っち言ったらなんか用事を作って逃げようとするやん。」
天満「いや、そんなことしねえよ。」
絶対に行っただろう。人と話すかはわからないけど。
希「メンバーがうちと天っちと絵里ちとにこっちやから誰にあげてもいいようなものを選ぶんよ。」
天満「了解。」
元気よく返事をしたもののどんなものを買えばいいのか、というよりどこに買いに行けばいいのやら。そう思っているのがわかったのか目の前に手を差し伸べられる。
希「ほら、行こ!」
天満「お、おう。」
ドキッとするほどの笑み。もし俺が絵里に恋してなかったと想像させてしまうほどの笑み。誰にでもこういう笑顔を見せるのは本当にやめていただきたいこういう行動が俺みたいなやつに地獄を見せるんですよ。
ーーー
さて、何買おうか。あいつらが欲しがりそうなもの。てか俺だけ性別が違うじゃん。その時点でもうね。希は自分の欲しいもの見つけたとかでどっか行っちゃうし。何気なく店に入ると店員がなんでこいつくるかなぁみたいな顔でやってきた。
店員「こちら男性の方は入店をお断りしています。すみません。」
いや、あんた男性やん。店員ならいいのか?まあ、反抗するのはめんどくさい、さっさと帰らせてもらおう。そしてどっかのサイトのコメで叩いてやる。
??「さっきの人よね。」
振り向くと駅でチャラ男に絡まれてた朱色の髪をした女の子が立っていた。
天満「ああ、さっきの。」
真姫「西木野真姫よ。」
天満「西木野さんね。覚えてく。」
真姫「で、何してたの?」
天満「クリスマスパーティ用のプレゼントを買いに来たわけ。」
真姫「なんでこの店に?女性用の衣類のお店よ。」
天満「あ、そうなの?」
真姫「結構間抜けね。」
天満「天然と言ってくれ。」
じゃあまたいつかと告げ違う店に寄ろうとすると袖を掴んでくる。
真姫「入らないの?」
天満「入れないんだっての。」
真姫「私と一緒なら入れるわよ。」
えっ?何この子この店の一人娘か何かなの?
もしかして店員に向かって「君名前なんていうの?」「さ、佐藤です。」「ふーん佐藤くんね。明日から来なくていいから。」とか言えちゃうわけ。怖っ。何かを察したのか理由を付けてくる。
真姫「この店カップルなら文句言われないのよ。」
天満「そういうこと。」
真姫「入るの?」
一応希ときているわけだし、変なことするとまた小言言われるしやめておくか。
天満「一応一緒に来てる人がいるからまだいいや。ありがとな。」
真姫「そ、そう。その連れの人って彼女か何かなの?」
天満「そういうわけではないが。」
真姫「なら、問題ないわ。入るわよ。」
そう言い手首をしっかりと掴み店へと入っていく。強引な子だな。
真姫「どんなのを買う予定だったの?」
天満「実用的なハンカチとか。」
真姫「センスないわね。」
天満「まあな、俺は団扇派だからな。」
真姫「?」
あっれ〜、おかしいぞ。通じてないぞ〜。希絵里なら
絵里「本当つまんないわね。1度頭変えてみたら?」
天満「俺の頭はアン○ンマンみたいにチェンジできないから。」
希「でも面白くなかったしなぁ。」
天満「違う、そうじゃない。すべてのボケが受けたら完璧すぎて誰もボケれなくなるだろ、だからあえてスベったんだよ。」
絵里「それはわかるはだって私も昔賢いかわいいエリーチカって呼ばれてたから、私弱点ないのよ。どっかの誰かと違って。」
天満「こっち見んな。それに俺はそんな弱点ないぞ。しいて言えばエリートだ。」
絵里「何言ってんのよ天満。あなた蜂の巣並みに穴だらけよ。」
天満「例えをあげろ例えを。」
希「存在とか?」
天満「さすがの俺でも泣くぞ!」
2人とも確実に俺を殺り来てるよな。まあ、ここら辺に
*これはすべてイメージです。
とでもつけておけばいい。イメージじゃなかったら泣く。それより早く買い物を済ませよう。
ーーー
天満「ありがとう。助かったわ。」
真姫「さっきのお礼だから別に。」
天満「じゃあ、これでチャラだな。」
真姫「そうね。私は他のところも寄るから、じゃあ。」
天満「またいつか。」
早く店を出ないとまた警報を鳴らされてしまう。存在が悪なのかね。生まれながらにダークヒーロー。何それかっこいい。
希「天っち。何してんの?」
声のする方へ振り返ると、いつもより数段声が低い希がそこにはいた。
希「他の女の子と仲良くお買い物とか、いいご身分やね。」
天満「これには事情が。」
希「まあ、1人にしたうちも悪いんやけど。常識的に考えてそれはないやろ。」
天満「だから事情が。」
希「どうせ助けた子やろ。体育祭の時みたいに。」
天満「えっ?希見てたの?」
希「あっ、……今回の件は不問にしといてあげる。ほら、あっち面白いお店あったから行こ。」
希は体育祭での出来事を知っていた?でも。ぐるぐると思考が回る。いつから?誰から?どうして?そんなことばかりが頭の中を巡っている。そのせいか、その後のどこの店に行ったか全く覚えていない。ただ、希の言葉だけが深く刺さったままだった。
ーーー
次の日もずっとそのことが気にしていた。とても些細なこと、だがそれはささくれのようにどこか気になっていた。見られたらまずいとかそういうことはしてない。見ていたのならなぜ変わってくれなかったのか、どうして今まで黙っていたのか。希のことだ何も考えずに黙っていた訳はないだろう。そのことが気がかりだった。だが今更気にしても変わるわけではない1日悩んで答えが出ないのなら諦めよう。今日はクリスマスだ楽しまなくては損だ。そう自分に言い聞かせて駅に向かうとした。
ーーー
駅はクリスマスということもあり昨日よりも数段混んでた。この駅で絵里とにこと待ち合わせをして希の家に向かうそうだ。少し時間よりも早く着いてしまったためぼーっと街を眺めている。すると目に入ってくるのはキスをする人々。なんでそんなにキスするかねえ。「ねぇ知ってる?1秒間キスをすると2億個の細菌が移動するんだよ。」あいつ最初は毎日一つだったのに日が経ってくことに感覚が空いてって最後の方なんて一ヶ月に一つだったからな。毎日一つとはなんだったのか。なんて懐かしんでると絵里がやってくる。
絵里「ごめんなさい。待たせたかしら?」
天満「そんなに。」
絵里「そう。」
絵里は一言つくと大きな息を吐いた。走ってでも来たのだろうか。マフラーを取り腕に乗せていた。絵里は水色のコートの中にフレアワンピースを着ている。さて、今度こそ褒めてみよう。
天満「走って来なくても大丈夫だったのに。」
絵里「そうかもしれないけど、わたし的に嫌だったの。」
天満「ふーん。」
いや〜できませんね。褒めることに慣れてないとできないもんですね。これは宿題ですな。
絵里「にこ遅いわね。」
天満「絵里が着いてからまだ1分も経ってないだろ。それに時間までまだあるし。」
絵里「天満は早めに来るのね。」
天満「人を待たせるのが嫌いなんだよ。」
後で、「はあ、なんで遅れてくるかな。お前のせいで乗れなかったじゃん。」とか言われるのはもうこりごりだ。それなのに俺以外だと「全然大丈夫だよ。気にしなくていいよ。」とか言われるの。「差別しすぎじゃないですか?」って聞くと「いいえこれは区別です。」って答える。木霊でしょうか。いいえおれだけ。
絵里「まあ、そうよね。天満はパーティなんて呼ばれたことないものね。わくわくしても仕方ないわね。」
天満「いや、呼ばれたことあるぞ。」
絵里「そんな嘘はすぐバレるわよ。」
天満「本当だよ。その次からはいかなくなったけど。」
絵里「どういうこと?」
天満「クリスマスパーティってなにするかわかんないんだよね。その時はケーキ食ってその後○ケモンしただけだったから。それなら必要ないなと思って次からはいかなくなった。」
絵里「除けもしたの?されたの間違いじゃない?」
え?パーティに呼ばれたのにのけもんにされたの?なにそれミステリー。その時の体温は平常だったはず。特に微熱が出てるわけでもなかったはず。
天満「いや、ポ○モンしたんだよ。クリスマスでも俺はハブられるの?」
絵里「そうなんじゃない。知らないけど。」
天満「最後適当だな。」
絵里「いいのよそんなもんで。」
いつもならここら辺で誰かが来るのだが誰も来ない。というよりにこが来ない。
絵里「遅いわね。」
天満「そうだな。」
少し間が空く。もともと生徒会室でもこんなもんだ。希がいないとお互い特に喋り出すことはない。特技のどうでもいいことに目を向けるを発動していると絵里が口を開く。
絵里「なんでみんなキスばかりしてるのかしら。」
天満「さあ?マーキングとかだろ。」
絵里「マーキング?」
天満「ああ、この時期浮ついて、いろんな人にちょっかい出す奴がいるから。こいつは私の、俺のもんだっていう証明かも知れん。」
まあ、なんともテキトーな。だが絵里はそれに納得したのかふむとうなづいた。
絵里「それはありえそうね。なら私もしとこうかしら。」
天満「えっ⁉︎絵里って彼氏いたの?」
絵里「いや、いないわよ。」
おい、紛らわしい言い方すんなよ。声が裏返ったぞ。まあ、その事実を知れただけよしとしよう。いや〜、よかったいなくて。いたらそいつに、そいつに……何もできないな。
天満「なら、誰にマーキングするんだよ。」
絵里「天満よ。」
天満「えっ?」
何この告白?告白の仕方はどうでもいい。その告白、今すぐにでも受けましょう。なんなら婚姻届の準備もしてくれると助かるんだが。
絵里「私のしもべということを証明しときましょう。ほら、靴を舐めなさい。」
天満「はあ?」
出たのはすごい間抜けな声。おい、一瞬でも期待した俺のトキメキを返せ!
天満「しもべ?」
絵里「ええ、しもべ。」
天満「なんかもう、どうでもいいや。」
絵里「メールが入ってたんだけど、にこはもう希の家についているそうね。私たちも向かいましょう。」
ーーー
絵里「お邪魔します。」
天満「お邪魔します。」
希「上がって上がって。」
部屋は綺麗に装飾されており家庭用のクリスマスツリーまであるという本格っぷり。でも希って神社でバイトしてなかったけ?
天満「なあ、希。」
希「天っち今日はクリスマスやから、そういう話はなしにしない?」
違うことを聞こうとしてたんだが、まあいいや。
天満「大丈夫。そんなに気にしてないし。聴きたくなったら他の日にでも聞くよ。」
希「ありがとう。」
体育祭のことはかなり気になってた。だけどそれで空気を悪くするならもう少し待っても問題ないだろう。空気を悪くするのはこの後の関係的にもよくない。できるだけ楽しんでそのことは少しの間忘れるとしよう。
絵里「希何か手伝うことある?」
希「特にないけど。天っちは料理の盛り付けをやっといて。絵里ちとにこっちはこっちの部屋に来て。」
やることあんじゃねぇかよ。てか希料理できるのかなんでもできるな。盛り付けは上からオリーブオイルでも垂らすか。もちろんかなりの高さから。あっ、オリーブオイルないわ。
にこ「あんた盛り付け下手ね。」
後ろで文句を言ったのはサンタ姿のにこだった。
天満「胃に入れば同じだろ。それにその格好。」
にこ「サンタよ見てわかんない?」
天満「それぐらいわかるわ。どうしてそんな格好があるわけ?」
希「うちが用意したんよ。」
次に出てきたのはにこよりちょいと丈の短いサンタ姿の希だった。いや、ちょっと短すぎません?その、目のやり場に困ります。とにかく返答しないと。
天満「希神社でバイトしてるのにそれでいいのか?」
希「公私は別やん。」
天満「そうだな。」
希「どう?」
この「どう?」はどの「どう?」なんだよ。似合ってるかの「どう」なのか、盛り付けはできたのかの「どう」なのか、それとも俺を鎮めるための「どう」なのか。まったく、どうなのかはっきりしてくれ。うーむ6点。
天満「料理は一応盛り付けといたぞ。」
希「そうじゃなくて。」
天満「ああ、似合ってるよ。」
希「ほ、本当⁉︎」
天満「なんで嘘ついたと思うんだよ。」
希「素直に褒められるとは思ってなかったから。」
その、頬を赤らめるの可愛いのでやめていただきたい。マジで希の方を見られなくなるから。目を背けた先には絵里がいた。
絵里「ちょっと露出が多くないかしら?」
希「女性サンタなんてこんなもんやろ。」
もちろんのことながら似合ってる。なんでも似合うなこいつ。それと外国人って結構露出壁があるように感じるのは俺だけか?
天満「コスプレなんてそんなもんだ。アニメキャラのコスの方がまだ服着てる。」
希「博識やね。」
天満「お褒めにあずかり光栄です。」
絵里「博識のくせに盛り付け下手ね。」
天満「それにお膳立ても下手ときた。」
HAHA!……ここ笑いどころですよ。
絵里「本当ね。あなた得意なものある?」
希「人を煽るのとか?」
天満「意識してないんだけどな。」
絵里は呆れて物も言えない様子で。にこは、にこは、どこへ行った?
にこ「こんなもんかしら。」
そう言って持ってきたのは綺麗に盛り付けられたチキンだった。
天満「おお、こりゃすごい。」
にこ「これぐらい普通でしょ。」
希「これは普通に入らんやろ。」
きっと女子高生とかなら「マジこれやばくない?」「マジでやばい。」「やばい。」とか言いつつ写真を撮るんだろうな。あれ?周りにいるのも女子高生だよな?まあ、俺はこっちの方が好きなんだけど。
希「さて、食べよ!」
ーーー
希「さあ、お待ちかねの。プレゼント交〜換。」
天満「さして待ってない。それに食いながらじゃなくてもいいだろ。」
希「そう言わずに、じゃあ回すから音楽が止まった時に前にあるのがプレゼントや。」
♪〜♪
希「ストップ!さて、うちに来たのは……にこっちこれは?」
希の手に収まっていたのはにこのブロマイドだった。
にこ「スーパーアイドル矢澤にこのブロマイドにこ!」
希「……あ、ありがとう。」
おい、かなり落ち込んでるぞ。こっそり楽しみにしていた希に謝れ!そして希ありがとう。もし俺がもらってたらちょっとそれの処理に困ったかもしれない。
希「じゃ、じゃあ次はにこっち。」
にこ「これは、ペンダント?」
絵里「それは私のね。」
そう言いにこの首に手を回し丁寧に着けてあげた。絵里は何をやっても様になるのね。その証拠ににこだって顔が赤いじゃない。
にこ×えり……見たことないな。
絵里「次は私ね。これはブローチね。いいセンスじゃない希のかしら?」
希「うちやないよ。」
絵里「ということは。」
天満「ああ、俺のだけど。」
絵里「えっ?」
何?そのこいつこんなプレゼント買うことできるんだみたいな顔は。できるんですよ。まあ、選んだの俺じゃないけど。
絵里「本当に天満が買ったの?」
天満「そうだよ。」
絵里「驚いた。なかなかいいものありがとね。」
天満「お、お気に召したのなら幸いです。」
優しく真に感謝を込めた笑顔はやめていただきたい。好きになっちゃうだろ。あっ、もう好きでした。あははは。
天満「最後は希のか。」
希「そうやね。」
今思ったけどこの交換会欠陥だらけじゃね。俺は何もらっても女もんってどうしろって言うんですか。転生でもしろと申されますか。そしたらチート能力で無双してあげましょう。あれ?異性に転生ってできるのかな。
天満「一つ聞いていいか。これって俺対応のもの?」
希「ん?大丈夫だと思うよ。」
天満「思うかよ。まあ、もらいもんは貰うけど。」
なんと言えばいいのだろうかとても奇抜なデザインをした靴下が入っていた。色は三原色を基本とし、それに紫、オレンジ、などなど奇抜な配色をしていた。これからはこの靴下を素敵なサムシングと名付けよう。
天満「なんというかすごいなこれ。」
希「枕元にでも掛けてサンタさんに何か入れもらえばいいやん。」
にこ「サンタもこんなの見たら逃げるわよ。」
天満「確かにこの素敵なサムシングに何を入れればいいのか悩むよな。」
希「サムシングじゃなくて靴下なんやけど。」
絵里「最後が締まらないわね。」
天満「飯締めにすればいいだろ。」
これってクリスマスパーティなのかね。いっつものけもんにされてたから天満わかんない。
ーーー
いつものようにふざけていると希とにこは疲れて寝てしまったらしい。
2人が起きないよう忍び足で歩きベランダへ出た。もう眠ってもいい時間なのだが今日は寝れない。この街もまだ眠らないらしい、イルミネーションは輝いており、公道ではカップル達がキスをしている。こんなことをするのはクリスマスという空気に酔ってしまったからなのだろう。かくいう俺も少し酔っている。そのせいでうまく眠れない。
絵里「あら、天満も夕涼み?」
どうやら絵里もベランダへ出ていたらしい。
天満「そんな夏っぽくないな。酔いを覚ましてるんだ。絵里は?」
絵里「私もそんなところかしら。」
互いにいつもの自分に戻している途中らしい。いつもの思考、いつもの会話、そしていつもの距離感に。
絵里「天満は欲しいものをサンタにお願いした?」
天満「バカ言え、最近のサンタは差別するんだぞ。いい子にしかこないんだと。よって俺に来る確率は低い。」
絵里「確かにそうね。私がサンタなら、天満のところは選ばないわ。」
天満「まあな。」
それに俺の欲しいものはサンタに頼もうが織姫様彦星様に頼もうが手に入らないもんなんだよ。
絵里「あ〜あ。誰か私にプレゼントくれないかな〜。…なんてね。」
そう言っていたずらに笑って見せた。あぶねぇもう少しで、「俺でよければあげるぜ」なんて言うところだったよ。危ないな。クリスマスの空気はどうも人を急かすらしい。だが俺は知っている、急いては事を仕損じる。それはもう学んだ。だから急がない、ゆっくりと傾かせていく。
だけど今だけはもう少しクリスマスの空気に酔ってもいいかもしれない。
天満「メリークリスマス。」
絵里「ええ、メリークリスマス。」
絵里の笑顔はクリスマスのせいかいつもより明るく優しく見えた。どうも絵里もまだ酔っているらしい。これは今日は寝れそうにないな。
今回馬鹿みたいに長いですね。もう疲れたよ。とか言って絵の前で倒れたらどうなるんでしょうか。もう一つの方がただいま難航しているため、そちらができるまではこっちを投稿していきます。
次回「波乱はやってくる」