かれこれ冬休みが終わってから2ヶ月近く経ち冬の寒さもピークとなりストーブをつけている生徒会室がでも少し寒い。一昔前のタイプのストーブはすぐに火事を起こすのでしっかり見ておきましょう。天満との約束だぞ(キラッ)
そんなことを考えながら仕事をしたりストーブ見たりとしていた。
何これ、ララライ体操?いや、チラ見だからチラララライ体操か。生徒会でのエクササイズ。ストーブチラッ、机チラッ、ストーブチラッ机チラッ、チラッチラッ、ラッ、ラッ、ライライライ!あ〜、俺疲れてるわ。こんなこと考えるなんて疲れてるわ。天満お家帰る!
まあ疲れるのも仕方ない俺の周りを重たい空気が漂っているせいだろう。その原因は絵里と希がため息をついているせいだ。
絵里「困ったわ。」
希「困ったなぁ。」
絵里希「ハァー。」
なに、かまってちゃんか何か?かまってちゃんの構った後対応の雑さは異常。それに俺が構ったところで「うっさい!」で一蹴されるのが目に見えてるしな。口聞くのが億劫になるって相当よ。
天満「なんかあったのか?」
ようやく話しかけてきたと言わんばかりの顔をして希が口を開く。
希「入試で問題があるんよ。」
天満「問題がない入試って指定校推薦ぐらいだろ。」
絵里「そっちじゃないわよ。頭悪いわね。」
せっかく話を聞いてあげたってのにその態度はなんですか?怒りますよ。まあ、最後まで聞いてから怒るとしよう。
天満「じゃあどっちだよ。」
絵里「入試の時の人員が足りないのよ。」
天満「働き手がいないってことか。」
絵里「まあそうね。」
生徒会普段は3人だが、非常勤の2人がいる。なので生徒会のメンバーで5人。全然足らんな。
天満「そんなの部活から召集すればいいだろ。」
希「そこが問題なんよ。」
絵里「説明会の時も部活に手伝ってもらったのだけど、まだ手伝いをしてない部活が2つあるのよ。」
天満「不公平になるってことね。」
絵里「そういうこと。それで2つとも部員が少ないのよ。だから他の部活に頼みたいのだけれど。」
天満「苦情が出たと。」
希「そうなんよ。」
まあ、よくあることだ。こういった場合は生徒会が不利なわけだし、言いくるめられても仕方ない。
天満「なら、なんかで釣れよ。」
なら、とる方法は一つ何か良い条件を提示する。エサがあればいうことを聞く動物でも人間でも同じことだ。人間って単純!
絵里「それもダメなのよ。」
天満「なんで?」
絵里「生徒会の権力があまりないのとその手を前に使ってしまったから。」
一度餌をもらえればその後すぐには欲しない。エサを食わせるためには、より上質なエサを用意するか、また食いつくまで待つの二択だろう。となればより良い餌を提供するのが楽だ。
天満「講堂の使用を優先にするとかあるだろ。」
希「それは学校的にダメなんよ。」
天満「?」
絵里「アドミッションポリシー的にダメなのよ。」
天満「…確か学校方針だっけか。」
横文字使うなや一瞬わかんなかっただろ。意識高い言葉でみんなからコンセンサスを取ろうとするな。
絵里「そうよ。それで、うちの学校では公平な学校生活を創り上げることなの。」
確かにそれがあっては片方に有利な条件を提示できないか。
天満「そんなの誰も知らないだろ。」
絵里「そうだけど。」
天満「それにばれなきゃいいんだよ。」
どっかの邪神様も言ってた「ばれなきゃ犯罪じゃないんですよ。」って。だから問題ない。
希「でも上からなんて言われるかわからんしなぁ〜。」
天満「めんどくさいな。」
希「天っち他人事やないんよ!」
俺は末端ですから、さして怒られることもないだろ。いや〜、末端つて最高!
天満「最低どのくらい必要なんだ?」
絵里「少なく見積もって15人かしら。」
先生合わせずに15か。部活動で10人集める必要があることになると、一部活5人か。余裕じゃん。
天満「で、二つの部活合わせて何人なの?」
絵里「五人よ。」
ん?五人?ああ、誤認ね。間違えちゃったのか、絵里ってばドジっ子なんだから。
天満「本当は何人なの?」
絵里「だから五人よ。」
天満「マジで?」
絵里「嘘つく必要ないでしょ。」
それ、足りないなんてもんじゃないぞ!誰かの男気並に足りてない。
天満「でも、いつもの絢瀬さんらしさを全開にしてくれれば余裕だと思います。」
絵里「私をなんだと思ってるのよ。」
うーん、暴君をあやつる王女様?クールエンプレス?
希「天っちも来てみたら?」
今までの部活会は2人に任せっきりだったし、行ってみて現状を知るのにはちょうどいいかもしれない。
天満「じゃあ、行くわ。」
ーーー
天満「想像以上に反対されてたな。」
予想よりも高圧的に反対された。まあ、休みの日にボランティアしたくないのはわかるがあそこまで反対するかね。俺なんてサービス残業は当たり前なんだけどなぁ。生徒会ってブラックね。
絵里「そうなのよ。あれだけ反対されるとどうもね。」
希「はあ〜。」
どうしたもんか。権力を振りかざしたところで聞くとは思えないし。そんなに権力があるわけでもないし。となると、変なやり方しかないよな。
天満「あっ。やべぇ、宿題クラスに忘れた。」
希「提出明日やけど、大丈夫?」
天満「いや、大問題だ。というわけで取り行ってくる。そんなにかからないと思うけど先に帰ってていいぞ。」
絵里「天満に言われなくても帰るつもりだったわ。」
天満「あっそ。」
なんであんなに可愛げがないんでしょうね。まあ、可愛いんですけど。
はあ、さっさと取り行くか。
ーーー
廊下には誰もいないのでクラスに残っている奴らの声が廊下に木霊する。自分のクラスが近くなるとどうもクラスの中に何人か残っているようで声が聞こえる。だが、談笑というわけではなさそうだ。
モブA「なあ、お前スクールアイドルやってんの?」
にこ「そうだけど、それが何か?」
この声はにこか?
モブB「な、言っただろ!」
モブC「ヤバッ、めっちゃウケんだけど。」
モブD「それな!」
モブA「なあなあ、キャラ付けでやってた、にっこ、にっことかいうやつやってよ。」
にこ「今プライベートなんでお断りします。」
にこのプロ意識発言がモブどもをさらに盛り上がらせる。
モブB「今の聞いた?プライベートだってよ。」
モブC「ああ、聞いたよ。マジで頭おかしいぞ。」
モブA「丁寧に調べないと出てこないようなアマチュアスクールアイドルの分際で、プロになったつもりでいるよ。」
にこ「ッツ。」
この手のイジリは見ていて不愉快になる。クリスマスの時にも同じようなことを思った気がする。なんともめんどくさい性格だ。だが性格なら仕方ない今回もそうするか。
扉を軽く叩くつもりがついつい力が入ってしまう。
天満「おい、にこ。ちょっと用があんだけど。」
俺が声を発すると、扉を叩く音と相まって驚いた様子でこちらを見る。
にこ「何?」
特に用はないので言葉が出でこない。なのでハンドサインでこっちに来いとだけ伝えた。そのまま、少し歩きクラスから離れたところで歩みを止めた。
天満「大丈夫か?」
にこ「まあ、慣れっこよ。」
そう言いつつも顔はしっかりと苦悶な表情で満ちていた。そして今度はにこがこちらに問うてくる。
にこ「なんであんたは笑わないの?」
天満「は?」
にこ「なんでにこの夢を笑わないかを聞いてるの。」
天満「普通笑わないだろ。」
にこ「普通笑うわよ。夢を見過ぎだとか、バカじゃねえのとか、なれるわけないとか。」
にこの顔は悲痛に満ちていた。過去に散々言われてきたのだろう。そんで今にこは迷っている。このまま夢を追うのかそれとも夢を捨て周りと同じになるか。そんなの答えは決まってる。
天満「そいつらが普通じゃないんだよ。人間なんて夢を追ってなんぼのもんだろ。」
にこ「……」
にこは返事をしない。きっと初めて自分の夢が肯定されて戸惑いや色んな感情が頭の中を駆け巡っているのだろうか。
天満「他人の夢を笑うことができるのは、夢を追い続けて必死にもがいている人だけだ。それ以外の奴に笑う資格なんてない。」
にこ「じゃあ、なんであいつらは笑うの?」
天満「それは夢を諦めてるから。」
夢を諦めた奴らは夢を追いかけている人を決して認めない。認めてしまえば自分が夢を諦めたことを認めてしまうから。だから夢を追う人を否定し、自分達と同じところに置こうとする。少数派になれば諦めた自分が目立ってしまう。だから他の奴らを引きづりおろして仲間を作り、多数派になり、そこにいることを甘んじ始める。夢をつかんだやつは「才能があった」という言葉で片付け諦める。
だからあいつらはにこを否定した。あいつらはにこに才能がないと思ってる。だから必死こいてるにこを敵対視する。
天満「まあ、これは俺の持論だ。全員がそうとは限らない。」
にこ「そう。」
そう、これはあくまで持論だ。だけどこれが間違ってるとは思わない。もしこれが間違っていたら、にこを否定した奴らを悪にできなくなる。だからこの持論を持ち続ける。
にこ「じゃあ。あんたはどっちなの?」
そんなのは決まってる。
天満「…諦めてない。まだ追いかけてるかな?」
これが今の精一杯の回答だ。他に回答はない。
にこ「なんで疑問系なのよ。まあいいや、ありがとね。」
にこが柄にもないことを言うので少し固まってしまった。
天満「…お前に礼を言われるとは思ってなかった。」
にこ「私をなんだと思ってるのよ。」
その言葉つい最近聞いた覚えがあるぞ。
にこ「私だってお礼ぐらい言うわよ。」
天満「そうか。でもなんで?」
にこ「一瞬折れそうになった。けど、あんたのおかげで持ち直せそう。」
そう言って笑って見せたが作り笑顔もいいところだった。だがこんな状態でも笑ってみせるところアイドルと言えるだろう。
天満「そうか、そりゃあ良かった。このまま続けてくれ。」
にこ「もちろんよ!」
ーーー
あの後すぐににこと別れ宿題を取り、生徒会室に戻った。がだれもいない。
みんな帰っちまったか。口ではああいったものの、できれば待っていて欲しかった。それとも待っていたが俺が遅くて帰ってしまったのか。まあいい俺も帰るか。
さて、問題はどうやってあいつらを納得させるか。まだやってない部活がにこの部活と囲碁将棋部。2つの部員は合わせて5人。まったくもって足りない。他の部活から借りようもアドミッションポリシーを言われたら手も足も出せない。まずこの世には公平なんてないというのに。もし公平なら俺はもっとイケメンのはずなんだが。
くっ、ダメだ。頭が働かん。頭に糖分でも送ろう。よし、近くのコンビニに寄ることにしよう。
そう思い足を進めると何かが足に当たる。その何かは倒れいい匂いを放つ。
これは、豚骨スープか?
凛「ああー!!凛のラーメンが⁉︎」
オレンジ色の髪をした可愛らしい女の子が声を上げる。
天満「あっ、ごめん。」
凛「ごめんで凛のラーメンは戻ってこないにゃ!今すぐ代わりのものを用意するにゃ!」
すごい正論を言われているのだが語尾のせいでまったく入ってこない。
天満「ええっと、あのね。」
凛「言い訳はしなくていいにゃ!」
??「凛ちゃんどうしたの?」
そう言い後ろからもう1人女の子がやって来た。こっちはおっとりとした感じの女の子だ。
凛「かよちーん、この人が凛のラーメンを台無しにしたんだににゃ。」
??「新しいものと取り替えてくるよ。」
くっそ、2人になったら俄然不利じゃないか。仕方ない、替えのラーメンを買ってやるか。それにそうしないとどっちがどっちかわからない。
凛「やっぱ、コンビニラーメン以外をおごるにゃ!」
天満「嫌だ。俺が台無しにしたのはコンビニラーメンであり、その他のラーメンではない。」
凛「でも凛のラーメンをダメにしたのは君だにゃ。」
天満「まあ、そうだが。」
このままいってもいい方向に進みそうにはない。それにこの子はラーメンが好きらしい。好物が一緒ってのは好感持てるよね。小学校の頃だったら、ラーメンデートに誘って語り過ぎてキモいとか言われて二日ぐらい学校休むところだ。
天満「まあ、常識の範囲内なら。」
??「かよちんもいいよね。」
隣のおっとりとした子はかよちんというらしい。苗字はどこで、名前はどこですか?
かよ ちんですか?なんかラーメン作るの上手そうなんだけど。
かよちんはどうも決めあぐねているらしい、すごく、…しっかりしてます。そのこと話し合っていると凛まで渋り始めた。渋り始める凛略してしぶりんですね。
天満「なあ、コンビニでいいだろ。」
凛「しょうがないにゃ。コンビニで我慢するにゃ。」
まあ、なんとか納得していただけたようで。もとより買い物はするつもりだったからいいとしよう。
コンビニデザートとミルクティーを買い店を後にする予定だった。それなのに凛が一緒に食べるにゃーとかいうからコンビニの前でデザートを立ち食いしております。
凛「ねえねえ、名前なんていうのかにゃ?」
天満「交野天満。で、そっちのおとなしそうな子は?」
花陽「ええ、わ、私ですか?ど、どうもこ…花陽と…す。」
名前が花陽っていうのは聞き取れた。それ以外が全くきこえねぇ。もしかして、異国の人とのハーフとかでミドルネームがあったりすんのかね。
凛「かよちん。きっと自己紹介聞こえてないにゃ。」
花陽は驚きの声を上げた。そのあとすぐに深呼吸をしはっきりと聞こえる声で小泉花陽ですと名乗ってくれた。
天満「よろしくです。」
凛「なんで凛には名前を聞かないにゃ?」
天満「いや、だって凛ずっと自分のこと凛って呼んでるから聞かなくても名前わかるし。」
そう言うと凛はぽかんと口を開けてこちらを見つめる。
天満「俺変なこと言った?」
凛「もしかして天満くんってチャラチャラした人?」
天満「なんでだよ。」
凛「いきなり名前で呼んできたら。」
希や絵里やにこを名前で呼ぶせいでそういう癖がついてしまったのかもしれない。慣れって恐ろしいね。
天満「ああ、そんなことはない。おれはチャラチャラしてるどころか堅物過ぎてガリガリいうレベルだ。」
凛「例えがつまらなすぎにゃ。」
あって間もない人を罵倒できるとはこいつできる⁉︎
花陽「天満さん。何か考えごとでもあるんですか?」
天満「なんで?」
花陽「なんかそういう顔してたから。」
天満「相談乗ってくれんの?」
花陽「えっ?」
えっ?逆に乗ってくれないの?じゃあなんであんな発言したの?ちょっとやめてよね。
まあいいや。頭に糖分を送ろう。
ぼーっとしながら甘いミルクティーを飲んでいると凛の声が無駄に大きく聞こえる。
凛「やっぱり、豚骨じゃなくて醤油にすればよかったにゃ。」
花陽「味に飽きちゃったのー⁉︎」
テメェ人様が買って上げたものに文句を言うんじゃない。それに、醤油豚骨にすればよかっだろ。あれって醤油と豚骨混ぜただけなのかね?
混ぜる。……そうか、その手があったか。
作戦は決まった。あとはこれを提案するだけだ。
算段が立ち俺も勢いよく立つと凛と花陽がびっくりしたようにこっちを見てくる。
天満「そんな驚いた表情すんなよ。」
凛「さっき屍みたいに反応がなかったから。」
天満「大丈夫だ。めっちゃ生きてる。生力が溢れすぎて逆に足りなくなんじゃないかって心配になるぐらいだ。」
花陽「それって大丈夫じゃないような。」
細かいこと気にすんな。ほらユッティーも言ってただろ。ワカチコワカチコ。
ーーー
さて、算段はついた後は2人にいや、自分以外の人に賛同してもらうだけだ。
絵里「何か思いついた?」
天満「まあな。」
希「ホンマ?」
天満「かなり汚いやり方だがな。」
絵里「一応聞いとくわ。」
この問題の主な原因はアドミッションポリシーと感情にある。不公平をなくすというものと、単に仕事をしたくないというもの。それのせいで今回はこんな風になった。なら、こちらも感情を操り手伝わせるしか方法はない。うちの生徒会にできること。それは、予算の決議、廃部の警告、講堂のスケジュール、グラウンドスケジュール、ぐらいのものだ。あとは雑務。まあこんなところだ。今回使うのは最初から2つ。今うちの学校には人数が少ない部活が数多く存在する。その中で活動が似ている囲碁将棋部とテーブルゲーム研究部の二つだ。これら二つに警告を出し統合させる。そうなれば仕事をしてない部活としてる部活のミックスになり、仕事をしたくない奴らはその部活は仕事をしていない扱いをして仕事をさせるだろう。でも、デーブルゲーム研究部の奴らは確実に反対する。なので次の部活会の時に新しい部の設立を発表する。そこで入試のお手伝いの決議を取れば、確実にその新部活が仕事をすることになる。入試のお手伝いをしないために部活全部の相手にするなんて馬鹿はいないだろ。これで全部活の公平は取れる。
天満「まあ、こんなところだ。」
二人の顔はどうも曇って見えた。二人ともなかなかに頭がいい。だからこの作戦のリスクと成功率を考えているのだろう。
絵里「この作戦の成功率は?」
天満「80%くらい。」
絵里「本気でそれ言ってる?」
天満「もちろん。かなり穴のある作戦で、なおかつ理論とも呼べない理論上の話だが、そこは感情でどうにかなる。」
俺は他人の感情にはとても疎い。だがその分感情によるミスは他の2人とは比べものにならないほど多い。
希「それ、失敗したらどうなんの?」
天満「嫌われ役は俺に任せてくれて大丈夫だ。それに失敗はほとんど起きない。」
希「新しくできた部活からの反対は?」
天満「他の部活の圧によって反論する気にもならないだろう。」
絵里「最低の作戦ね。」
天満「そうだな、だけどこの作戦しかないのならこの作戦が最高の作戦とも言える。」
絵里「……わかったわ。この作戦でいきましょう。でも、人数はどうするの?」
天満「デーブルゲーム研究部の部員は4人。囲碁将棋と合わせて8人になる。それとにこで9人。それに生徒会の5人。合計14人。それと有志の生徒でどうにかなるまで仕事の分配量を変える。」
希「それで間に合うん?」
天満「当初の少なく見積もった数と変わらない。」
希「でも、仕事量大丈夫なん?」」
天満「その点においては問題ない。自分たちの仕事が他の奴らと同じ仕事量なら不満が出る。でも、他の奴らの方が多くやっていれば不満が出ない。」
不満が出ないわけではない、出るがその不満は力を持たないだけである。
絵里「その多く仕事をするのは誰なの?」
問題はそこだ。生徒会のメンバーが多いのは当たり前、だから他の奴にその役を買ってもらわなくてはいけない。
天満「にこだ。」
この役がにこ以上に務まる奴はいないだろう。生徒会のメンバーとコミュニティーがあり、なおかつ重要なポストに立っていない。にこが他の部活より仕事をしていれば、他の奴らのクレームはただの言葉に成り下がる。
希「それってにこっちに負担を負わせるってこと?」
希のいう負担とはきっとその後のことなんだろう。後で他の人から攻撃されるかもしれない、そういった心配だ。
天満「そうなるが、できる限り俺らがフォローする。」
希「……」
希は黙ってしまう。きっとこれ以外の方法が浮かび上がってこなかったのだろう。結果を先に知ってしまったばかりにほかの意見を自分の中で否定してしまう。1度誤った答えを出してしまえば他の答えにたどり着くことは模範解答を見る以外にない。だが、今回はその模範解答がないのである。だから黙ることしかできなくなっている。
希「でも、にこっちが受けてくれるとも限らんし。」
天満「だからその分にこに報酬を与える気でいる。」
当たり前だ、他の人より辛い仕事をしたのに同じ給料なんてただのブラック企業じゃないか。うちはブラックじゃない、多めの給料を与える。
天満「にこの部活に部室を与える。ちょうど空き教室が一部屋あるし。それでどうだ?」
希「にこっちに相談してみないとわからない。」
天満「わかった。だけどにこの部活の参加は公平のためにも絶対だ。」
希「そのへんはわかってんよ。」
よしこれでどうにかして形になりそうだ。なら、すぐに行動に移すべきだろう。
ーーー
俺らの決定後すぐににこと連絡を取り簡単な説明とお願いを持ちかけた。
にこ「希からのお願いなんて珍しいわね。」
希「本当はこんなことお願いしたくないけど。受けてくれる?」
にこ「それは生徒会からのお願いなの?それとも希一人のお願いなの?」
天満「生徒会からのだ。」
にこ「で、メリットは?」
天満「専用の部室を与える。」
これは一種賭けだ。もしこの賭けににこが乗らなければ、まず失敗に終わるだろう。にこの性格、その時の感情によってどちらにでも転ぶ。だが俺の予想が正しければにこは打算ができる人間だ。さて、どうなる。
にこ「そうね。…ねえ、そのお願いってあんたもそうなの?」
天満「は?おれ?」
にこ「そうよ。」
天満「ああ、そうだけど。」
にこ「ふ、ふーん。まあ、受けてあげてもいいわ。これで生徒会に貸しも作れるし。」
天満「恩にきる。」
これでようやく勝負できる。
ーーー
その後の囲碁将棋部とテーブルゲーム研究部の合併の説明もうまくいき、後はここで晒し首にするだけだ。
絵里「では、部活会を始めます。つい先日新しく部活ができたので、まずはその部活に挨拶をしてもらいたいと思います。」
ここまでは説明にあったことなので、用意されていたであろう簡単な挨拶を済ます。
絵里「挨拶も済んだことです受験時に手伝いをする部活を今日で決めます。決まらない場合は決まるまで居残りという形をとります。」
絵里の一言に皆がいきり立つ。ふざけるな!や勝手にするな!など、この反論が絵里に読めないはずもなく絵里は落ち着いた様子で返答する。
絵里「学生が学校生活で最も優先すべきは勉強です。その次に学校の行事です。そして一番優先度が低いのが部活動です。受験日の手伝う部活が決まるまで会議を終えられないのは当然でしょう。何か反論がある場合は挙手してどうぞ。」
会議室が静かになる。的確すぎる指摘に何も言えないのだろう。
絵里「反論がないようなので議論を始めたいと思います。生徒会、有志の生徒を除いて部活動から9人の生徒を出してもらいと思っています。」
絵里が口を閉じて少しの間を置きちらほら声が聞こえ始める。俺らの部活はやったとか、あそこの部活人数多いよとか、俺の作戦ではここで新部活に白羽の矢が立てば完璧なんだが。
そう考えたのもつかの間その発言は突然やってくる。
部長1「そういえば新部活の人達ってまだやってないよね。」
部長2「確かに!」
その考えは瞬く間に広がりにこの部活と新部活を除いた全部活に伝播した。
こうなれば俺の勝ちも同然。あとはこの流れに任せるだけでどうにかなる。
新部長「ちょっと待てよ。俺らはやったぞ。」
部長2「でも、その部活の片割れの人達やってなくない。それって不平等じゃん。」
モブ長「そうだ!そうだ!」
新部長「でもそうしたら俺らは二回やることになる。」
部長1「でも、新部活なんでしょ。仕事しないの?」
新部長はこちらを困った顔で見てくる。助けてということだろう。だが、この展開は俺が考えたことだ。手を差し伸べるつもりはない諦めろ、と目線をズラすと悟ったのかそれとも、諦めたのか下を向く。
その後の会議はスムーズに進み合計1時間もかからない程度で終わった。
絵里「よくもまあ、あんな考えがまかり通ったものね。」
天満「おいおい、完璧な理論だったろ。」
希「あれは心臓に悪いなぁ。ヒヤッとしたよ。」
天満「ヒヤッとする要素あった?」
希「二人とも矢面に立ち行くんやもの。それはヒヤッとするよ。」
俺矢面に立った覚えないんだが。まあ、心配してくれていたのなら申し訳なかったと一謝りしておこう。さて、後は受験日のみだバックれないことを願うとしよう。
ーーー
2月ももう終わりを迎えようとしている。2月の最終日、入学試験の日だ。あの後は特に目だった反発も起きずこの日を迎えることができた。というかもう終わった。後は生徒会メンバーで片付けするぐらいだ。
蒲田「今回はお疲れ様。」
振り返ると手に缶コーヒーを持った先生が立っていた。自分のことを認識されたと分かり先生は缶コーヒーを放ってくる。
天満「賄いですか?」
蒲田「まさか、給料だ。」
おいおい、あれだけ頭使って缶コーヒー1個って。……まあ、あるだけマシか。
感謝の意を込めて頭を下げ仕事に戻ろうとすると肩に手を置かれる。
蒲田「一杯付き合え。」
仕事をサボると絵里にどやされるんだけどな。稀な先生からのお誘いだ乗ってやるか。
蒲田「今回は随分危ない橋の渡り方をしたらしいな。一部の生徒から苦情が来たぞ。」
あいつら先生方に苦情いいに行ったのか。馬鹿な奴らだな。苦情を言ったところで変わるわけないのに。
天満「そうでもないですよ。満場一致の方が危ないでしょ。ソースは国際連盟。」
蒲田「それは言えてる。」
面白かったのか機嫌よく話を続ける。
蒲田「君らの生徒会は今回の無茶な問題を解決した。それで先生方からの評価はいい。だが、生徒からの評判は悪い。生徒会は生徒のためにあるんだ。もう少し生徒側に立って運営してもいいんだぞ。」
確かに今回の件で次回の選挙がやりづらくなったかもしれない特に俺。まあ、どうにかなるか。その時考えよう。
天満「評判なんてレッテル気にする連中じゃないですよ。コーヒーごちそうさまでした。」
これでようやく心配事も終わった後は残りをだらだら気楽に過ごすか。そういや、高坂さんはどうなったんだ?もしかして落ちたか?はぁ、まだ気苦労は絶えないらしい。
いや〜、お久しぶりです。私生活が忙しくて書く暇がありませんでした。これからも忙しくなるので、また間隔が空きます。今回も少し長めなのでゆっくりと見ていってください。では、また次回にお会いしましょう。