ダンジョンに忍者がいるのは間違っているだろうか   作:兵庫人

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「NARUTO」のDVDを見てから「ダンまち」の漫画を読んだ時に思いつき、そのまま勢いで書きました。


第一話

「………ん?」

 

 俺、飛斧砕蔵は気がつけば見覚えがない場所に倒れていた。

 

 右を見ても左を見ても岩壁の洞窟の中で、上を見上げると発光する苔みたいなのがあって灯りがなくても周囲の様子が見てとれた。

 

「ここ、何処だ? 俺は確か家で寝ていたはずなのに。……それに俺の家に近くにこんな洞窟あったっけ?」

 

 俺が住んでいる所の近くには修行用の洞窟はあるが、ここはそことは違うような気がする。

 

 ……と、そこまで考えた所で俺の中である考えが浮かんだ。

 

「……もしかして『また』俺ってば『転生』したのか?」

 

 俺、飛斧砕蔵は実は前世の記憶をもって異世界に生まれ変わった「転生者」というもので元は漫画やアニメが趣味の会社員で、しかも転生したのはこれが初めてではなく二回目なのだ。

 

 一回目の転生をした世界は「NARUTO」という忍者漫画の世界だった。

 

 ……思い返せば前の世界では戦いと命の危険がない日なんて一日たりともなかった。

 

 気がつけば火の国……ではなく、水の国の血継限界を持つ忍びの赤ん坊になっていて、幼少期は「血霧の里」なんて物騒な異名を持つ忍の里の忍者アカデミーで血を吐くような忍びの訓練漬けの毎日(アカデミーには少年時代の桃地再不斬が後輩としていて、廊下ですれ違う度に殺気のこもった恐い笑顔を向けられた)。

 

 それでようやくアカデミーを卒業できたら、文字通りの地獄のような戦場で戦う毎日を送り(俺の血継限界が強力だという理由で、たった一人で一部隊を壊滅させろという任務を何度も命令された)、戦争が終わったと思ったら今度は何故か霧隠れの里のクーデターを実行するための戦力にされてしまった(この時に何故か洗脳状態の四代目水影様と戦うはめになり、危うく殺されかけた)。

 

 なんとかクーデターが成功して霧隠れの里の平和化が進んでも、今度は「NARUTO」の原作通りに暁による世界全土に及ぶテロ活動が起こって(メイさん……五代目水影様の命令で一人で暁を調査することになり、デイダラに目の敵にされた)、果てには第四次忍界大戦が勃発(ここでも穢土転生で復活したデイダラに目の敵にされた)。

 

 これらの激戦を死に物狂いに戦って生き残り、ようやく平和の日々がやって来るかと思えば今のこの状況、つまりは二回目の転生だ。

 

 ……俺ってば呪われているのだろうか? もし神様がいたとしたら、神様は俺のことが嫌いなんだろう。

 

「とにかく状況を詳しく確認するか」

 

 今の俺は霧隠れの忍び装束の上にマントを羽織っていて、床には俺の愛用の武器である手斧が置かれていた。

 

 忍び装束のポーチには兵糧丸や忍具や巻物が一通り揃っていて体にも特に異常が感じられないので、しばらくは単独でも行動できそうだ。

 

 

 ……ピキッ。

 

 

「っ? 何だ?」

 

 横から小さな音がしたので音がした方を見ると、何やら岩壁の一部に小さなヒビが入っていた。

 

「ヒビ? こんなところにヒビなんてあったか? ……え?」

 

 ピキッ。ピキッ。ピキキッ!

 

 見ている岩壁のヒビは徐々に大きくなっていき、そこから黒い影が出てきた。その黒い影というのは……。

 

「……蟻?」

 

 岩壁から出てきた黒い影は、人間の子供よりも少し大きいくらいの巨大な蟻だった。

 

 何で巨大な蟻が壁から出てくるんだ……というか、この蟻から感じられる殺気は人間と仲良くできるようには思えないな。

 

「ギィイイ!」

 

 壁から出てくた蟻は口から奇妙な叫び声を放つと、前肢にある小刀のような爪を俺に向けて振るってきた。……だが、その攻撃は忍者の俺からしたらあまりにも単調な上に鈍かった。

 

「へぇ……。蟻の鳴き声なんて初めて聞いた、よ!」

 

 俺は蟻の攻撃を避けると、手に持った手斧を振るって蟻の頭部と胴体を切り離した。

 

「これで終わり。これぐらいならDランク任務の害獣退治の害獣くらい、集団で現れたらCランク任務くらいの実力かな? ……ん?」

 

 俺が頭部を切り落とした蟻の死骸を見下ろしながら呟いていると、蟻の死骸は煙を放ちながら溶けるように消えていき、僅か一分ほどで影も形もなくなった。そして蟻の死骸があった場所には小さな石が一つだけ残されていた。

 

「……何だったんだ、あの蟻は? この世界にはこんなのが他にもいるのか?」

 

 どうやら俺はかなり変わった世界に転生してしまったようだ。




………続く?
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