……名前だけですが。
うちはイタチ。
言わずとも知れた「NARUTO」の原作キャラの一人であり、彼についての説明はするまでもないだろう。
俺とイタチは「NARUTO」の世界にいたときに何度か顔を会わせたことがあり(まだイタチが暁にいた頃であり、顔を会わせたと言ってもそのほとんどが戦闘であった)ちょっとした知り合いなのだが、まさかこんな異世界で再会できるとは夢にも思わなかった。
ミアハ様の店で再会した俺とイタチは今、店の奥にあるイタチの私室に二人だけでいた。他の皆は俺達が知り合いだと言って「二人だけで話をしたい」と頼むと、快く了承してくれて街の店に夕食に出掛けた。
「砕蔵さん。どうぞ」
「ああ、ありがとう」
イタチがお茶を淹れてくれたので俺は礼を言ってからそのお茶を飲む。お茶はこのオラリオで主流の紅茶ではなく、「NARUTO」の世界で慣れ親しんだ緑茶であった。こういう心遣いは正直嬉しくある。
「……まさかまたこうしてお前の顔を見ることが出来るなんてな」
「ええ、俺も驚いてますよ」
思ったことを正直に言葉にして言うとイタチは口の端を僅かに上げて答える。
「しかし何でお前は生きているんだ? 前の世界でお前は一度死んで、第四次忍界大戦の時に穢土転生で甦ったが成仏したはずだ」
「……それは俺にも分かりません。砕蔵さんの言う通り、確かに俺は第四次忍界大戦の時に成仏して二度目の死を迎えたはずでした。しかし次に目を覚ますと前の状態となってこの世界にいました」
俺の質問にイタチは首を横に振る。そうかやっぱり彼でもこの世界に来ることになった原因は分からないか。
「前の状態? 一体いつの状態だ?」
「俺が最初に死ぬ直前です」
最初に死ぬ直前……ああ、サスケと戦って死んだあの辺りか。そう言えばミアハ様も大怪我を負った状態でイタチを見つけたって言っていたっけ?
「瀕死の状態であった俺はミアハ様とナァーザさんに救われて、そしてその時に頂いた秘薬によってこの体に巣くっていた病が消え、更には……」
そこまで言ったところでイタチの両目が不思議な紋様が浮かんだ真紅の瞳にと変わる。
「写輪眼の視力も回復していました」
マジでか? 病が治った上に写輪眼の視力も回復しているって……。これって自由に行動できる分、第四次忍界大戦で穢土転生で甦った時より強いんじゃないか?
「後は砕蔵さんも知っての通りです。俺は命を救ってくれた恩を返すためにミアハ様のファミリアとなり、今では冒険者として活動しています」
なるほどな。そりゃあイタチはうちは一族でも天才と呼ばれた、大国木の葉隠れの里のエリート中のエリートだ。それが冒険者となって稼いだら、その稼ぎは半端なものじゃないたろうな。
そこまで考えたところで俺は一つ聞きたくなった。
「なあ、イタチ? お前ってオラリオでも三人しかいないLv.7の冒険者なんだよな? だったら残り二人のLv.7のことも知らないか?」
俺もこのオラリオで冒険者をやる以上、自分より格上の冒険者の情報は知っていた方がいいだろう。
イタチは一つ頷くと口を開いた。
「ええ、知っていますよ。まず一人はフレイヤ・ファミリアに所属している『猛者』オッタル。彼はこの世界で生まれた者で……」
「いや、ちょっと待って。何その『猛者』って?」
せっかく説明をしてくれたイタチには悪いが俺は待ったをかけた。何その「猛者」って? まさか名前じゃないよね?
「『猛者』というのはオッタルの『二つ名』です。Lv.2以上の冒険者には全て二つ名がつくそうです」
「イタチにもか?」
「はい。俺の二つ名は『魔眼』と言います」
これはまた直球な二つ名がきたな。「魔眼」って写輪眼のことだよな? だったらイタチにとってこれ以上の二つ名はないと思う。
「……そうか。話をそらしてすまなかった。それでもう一人のLv.7は?」
「最後のLv.7はガネーシャ・ファミリア所属の『戦場の歌手』キラー・ビーです」
「戦場の歌手キラー・ビーか。……ん? キラー・ビーってもしかして……?」
俺が首を傾げるとイタチは一つ頷いて肯定をする。
「そのもしかして、です。戦場の歌手キラー・ビーは俺達と同じ世界にいた雲隠れの人柱力、あのキラー・ビーです」
「キラー・ビーもこの世界に来ていたのか?」
雲隠れの里は今大丈夫なのか? 人柱力といったら里の大きな軍事力で、それが突然いなくなったら大変なはずだぞ?
「丁度いいですし、会いに行きますか?」
そう言うとイタチは懐から二枚の小さな紙を取り出して俺に見せた。
「何だそれは?」
「今夜行われるキラー・ビーのライブコンサートのチケットです。キラー・ビーのコンサートはいつも満員な上に警備も厳重で、チケットがなければ俺達忍者でも入るのが困難なんですよ」
「……き、キラー・ビーのライブコンサートぉ!? しかも満員御礼ぃい!?」
イタチの言葉に思わず叫んでしまった俺は悪くないと思う。