「そうか……。ここにきた忍者達は皆、冒険者になっているのか」
ベル君と一緒にダンジョンの出口に向かっていた俺は、先程この少年から聞いた話に思わず呟いた。
この数年でこのオラリオに来た忍者は全部で三十人くらいで、その全員が冒険者となってダンジョンで活躍しているとベル君に聞いた時は思わず納得した。
確かに忍者の能力はダンジョンでの活動には最適で、この世界に迷い混んだ忍者にとって冒険者は天職だろう。
「はい。この数年、活躍している上級冒険者の半分は砕蔵さんと同じ忍者なんです」
俺の呟きにベル君が先程と同じ若干興奮ぎみの様子で答えてくれた。
ベル君の話によると冒険者には「レベル」という概念があり、オラリオの冒険者のほとんどは「レベル1」で、レベル2以上から上級冒険者とされるらしい。
そして現在確認される最高に高いレベルは「7」。レベル1のベル君が忍者アカデミー生クラスの実力と考えると、レベル2が下忍でレベル3から4が中忍、レベル5以上が上忍といったところか?
「それでベル君? ここにやって来た忍者なんだが……誰か故郷に帰ったって話は聞いたことはないか?」
「え? ……いいえ。そんな話は聞いたことがないです」
……むう。やはり元の世界、というか「NARUTO」の世界に帰る方法は見つかっていないか。
「あの、砕蔵さんはこれからどうするつもりなんですか?」
「これからどうするかって? そうだな……」
ベル君の質問に俺は少し考えてみる。
この世界から帰る方法は分からない以上、ここで生活するしかなく、その為には他の忍者達同様に冒険者になってみるのが今のところ最善のように思える。しかし……。
「なあ、ベル君? もし冒険者になってダンジョンに潜るとしたら、やっぱりファミリアに……どこかの神様の眷属にならないといけないんだよな?」
「そうですね。神様の恩恵を受けず、ギルドに冒険者の登録をせずにダンジョンに入るのは犯罪ですし、何より危険ですからね」
「まあ、そうだろうな」
ベル君の返答は俺の予想通りだったが、それを聞いて俺は少し面倒な気持ちになった。
冒険者になるには神様の眷属にならないといけないっていうが……いくら忍者が冒険者に有利だとしても俺みたいな物騒な男を眷属にしてくれる神様っているのか?
「さ、砕蔵さん?」
「ん? 何だ?」
俺が内心で頭を抱えているとベル君が意を決した表情となってこちらを見てきた。
「あ、あの、その……。これは砕蔵さんがよかったらなんですけど……。砕蔵さん、僕がいるファミリアに入ってくれませんか?」
「え? いいのか? じゃあ、入れてくれないか」
ベル君の真剣な声に、俺は即答した。
正直ベル君の言葉は今までの会話で予測できていたし、俺としても断る理由などなかった。ベル君がとても素直で、悪事なんて逆立ちしたって無理な性格なのは話して分かったし、この少年を眷属にしている神様なら悪いようにはならないだろう。
「ほ、本当ですか? 本当に僕達のファミリアに入ってくれるんですか?」
「ああ、本当だ。ベル君とベル君の神様がよかったらの話だけど」
「大丈夫です! ヘスティア様、僕の神様も砕蔵さんがファミリアに入ってくれるって聞いたら喜んで歓迎してくれますよ!」
ダンジョンの中にベル君の嬉しそうな声が響き渡った。