ベル君と話をしながらダンジョンを歩き、ようやくダンジョンの上に出るとそこは冒険者達の活動を管理する組織、ギルドの建物の中であった。
ダンジョンを出た俺は、エイナというベル君の監督役を担当しているギルドの受付嬢に見つかり色々と質問をされた。エイナさんの顔の左右を見てみると細く長い耳……いわゆるエルフ耳があって、それを見て俺は「NARUTO」の世界とは違う世界に来たのだと改めて実感した。
エイナさんは俺が忍者で気がつけばダンジョンの中にいた話をするとすぐに納得して、さらに感激された。何でもこの世界に来たばかりの忍者というのは、冒険者やそれに関係する人達にとって縁起物みたいなものらしい。
……いや、確かに冒険者からみたら忍者は貴重な戦力だし、「NARUTO」の世界でも忍者は人気のある職業だったが縁起物って……。
まあ、それはともかくギルドを出た俺は、ベル君のファミリアに入れてもらうべくベル君と一緒に彼と彼の神様が住まう住居に向かい、人気のない路地裏にある半壊した教会に辿り着いた。
……もしかして、ここに住んでいるのか?
「……ベル君? もしかして君と君の神様が住んでいるのって……」
「……はい。ここです……」
俺の言葉に申し訳なさそうに答えるベル君。
マジか。本当にここに住んでいるのか。この半壊した教会に。
「で、でも! 外はボロボロですけど中にはちゃんとした部屋があるんですよ?」
ベル君は必死な様子で言うと俺を教会の奥、そこにある地下の隠し部屋へと案内する。
半壊した教会の地下にある隠し部屋って抜け忍の隠れ家かよ、と一瞬ツッコミたくなったがそれを我慢してベル君と一緒に隠し部屋に入ると、隠し部屋には一人の少女がいて俺達を出迎えてくれた。
「ん? やぁやぁお帰りー。今日はいつもより早かったね?」
「はい。神様、帰ってきました」
隠し部屋にいた少女をベル君は「神様」と呼んだ。ということは彼女がベル君と契約した神様、ヘスティア様か……。
ヘスティア様の外見を見てみると、背丈はベル君よりも低く、ツインテールにした艶のある漆黒の髪が特徴的な美少女だった。……そうとしか見えなかった。
神様と聞いて一体どんなものなのか色々想像していたのだが、こうして直で見るヘスティア様からは何の力も感じられずただの少女にしか見えない。ベル君は神々は下界に降りてきた際に力のほとんどを自ら封印したと言っていたがそれは本当のようだな。
「それでそこにいる彼は一体誰なんだい?」
「あっ、はい。彼は……」
「ベル君」
ヘスティア様に聞かれて俺を紹介しようとするベル君を止める。こういうのは自分から言うべきだと思ったからだ。
「初めまして、神ヘスティア様。
俺は本日、ここから遠く離れた地、水の国にある霧隠れの里から来た忍び、飛斧砕蔵と申します。
ここにいるベル君からこのファミリアの話を聞き、俺もヘスティア様のファミリアに加えてもらいたいと思い、やって来ました」
「………!?」
俺が簡単な自己紹介してファミリアに加入したいと言うと、ヘスティア様は両目と口を限界まで開いて絶句した。……あと、一瞬だが彼女の後ろに雷が落ちたようなイメージが見えたが、気のせいだろう。
「………い、いい、今何て言ったんだい? ボクのファミリアに加わりたいって……そう言ったのかい?」
「はい。ヘスティア様のファミリアに加えてもらいたいと言いましたが?」
「………」
何故か体を震わせながら聞いてくるヘスティア様に答えると、目の前にいる少女の姿をした神はうつむいて黙ってしまった。……あれ? 俺、何か不味いこと言ったか?
「…………………………い」
「い?」
「いぃやったあああーーーーー!!」
「うわっ!?」
さっきまで黙っていたと思っていたら突然両手を上げて飛び上がり、全身で喜びを表現するヘスティア様。驚く俺をよそに少女の姿をした神は興奮した様子でベル君に話しかける。
「やった! やったよベル君! 新しいファミリアが来たよ! ベル君の初めての後輩ができたよ!」
「はい! そうなんです! それに砕蔵さんは忍者ですからとても頼りになるんですよ!」
よほど嬉しいのかベル君とヘスティア様はお互いに抱きついて喜び会う。なんというか神様とその眷属というよりも、仲のよい兄妹って感じだな。
こうして俺はこの日、ヘスティア・ファミリアに加入した。