俺がヘスティア・ファミリアに加入したその日の夜。ベル君とヘスティア様は俺の歓迎会を開いてくれた。
……そう言っても出された料理はジャガ丸くんというジャガ芋を使った料理というかお菓子みたいなものだけであったが。
聞いてみるとこのヘスティア・ファミリアは十日くらい前にできたばかりな上にあまり裕福ではない……というか貧乏で、ベル君がダンジョンに冒険に行っている間はヘスティアがジャガ丸くんを売る露店でアルバイトをしているのだとか。つまりこの歓迎会に出されたジャガ丸くんは、そのアルバイト先でもらった余り物というわけだ。
神様が露店でアルバイトなんて世も末だな、と思った俺は悪くないと思う。
「うう……。ごめんねぇ、ベル君、砕蔵君。せっかく二人がファミリアになってくれたのに、こんな貧乏な暮らししかできないなんて」
「謝らないでください、神様。僕は別に気にしてませんよ」
「俺も気にしてませんよ、ヘスティア様。忍者なんて任務中は野宿がほとんどですから、雨風がしのげる家があるだけで充分ですよ」
肩を落として申し訳なさそうに言うヘスティア様にベル君と俺が言う。
「NARUTO」の世界にいたときはほとんど任務や戦闘ばっかりで、家の中で眠った回数より野宿した回数の方が多い生活だったからな。これぐらいはなんともない。
「二人とも……! 二人ともなんていい子なんだろう。ベル君と砕蔵君がファミリアになってくれてボクは嬉しいよ……!」
俺とベル君の言葉にヘスティア様が感激の表情を浮かべて目尻に涙を浮かべる。
それから俺とベル君にヘスティア様の三人は話をしながら大量のジャガ丸くんを食べて、やがて全てのジャガ丸くんを食べ終わるとヘスティア様は俺の方を見て口を開いた。
「それじゃあ砕蔵君。今から君に恩恵を与えてボクの眷属にするから上着を脱いでくれるかい?」
「上着を、ですか?」
「そう。神々の恩恵を受けて眷属となった冒険者達は、背中にステイタスを刻むことで新しい力を身に付けていくんだよ」
「なるほど。そういうことですか」
冒険者にステイタスといよいよRPGみたいになってきたな、と内心で思いながら俺が上着を脱いで背中を見せると、ヘスティア様が俺の背中に自分の指を当てたのが分かった。
「じゃあ始めるよ。…………………………こ、これは!?」
俺に恩恵を与えてくれていたヘスティア様が驚いた声を上げる。
「神様? 一体どうしたんですか?」
「い、いや。ちょっと砕蔵君のステイタスの内容に驚いてね。……忍者が最初から上級冒険者と同じくらい強いとは聞いていたけど、これは予想外だよ」
ヘスティア様はベル君にそう答えると紙に何かを書いてその紙を俺に手渡した。
「はい、終わったよ。それは君のステイタスの写しだけど読めるかい?」
手渡された紙に書かれた文字は明らかに今まで俺が使っていた「NARUTO」の世界の文字とは違っていたが、不思議と文字の内容は理解することができて、俺は紙に書かれている自分のステイタスに目を通した。
飛斧砕蔵
Lv.6
力:C612 耐久:C642 器用:B774 敏捷:B742 魔力:A818
忍者:B 耐異常:G 仙人:H
《魔法》
【ー】
《スキル》
【忍術】(ニンジャ・アーツ)
・「チャクラ」と呼ばれるエネルギーを使用する忍者のみが使える戦闘技術で、身体能力を強化する他に魔法のような現象を発現させることができる。
・忍術には様々な種類があり、使える種類は本人の資質や生まれ育った環境、修行によって大きく異なる。
・このスキルを持つ者は魔法を発現させることができない。
【感知能力】(サーチ・センス)
・自分以外のチャクラを感じとり、遠く離れた味方や敵の位置を知ることができる。
・熟練度次第でその感知できる範囲は変化する。
【仙人状態】(モード・オブ・セイクリッドハーミット)
・周囲の自然エネルギーを吸収して自分のものとすることでチャクラの量と感知能力を増大させる。
・ただし自然エネルギーを吸収して仙人状態になるには一定の時間を必要とする。
「初めからLvが6……!? それに能力値も凄く高い……」
「うん。それにスキルも今まで聞いたこともないスキルばかりだ」
俺のステイタスを見て驚いた表情を浮かべているベル君とヘスティア様の会話から察するに、どうやら俺のステイタスはこの世界で破格のものらしい。
しかしこの【忍術】の効果……忍者は魔法を使うことができないという内容には少しガッカリした。
せっかくRPGのような世界に来たのだから魔法を覚えてみたいと思っていたのに……。