気がつけば「NARUTO」の世界からこの異世界に転生していて、その日のうちに偶然知り合ったベル君の紹介でヘスティア・ファミリアの一員になった俺は、次の日早速ギルドに行って冒険者登録をすることにした。
この異世界では忍び装束は非常に目立つため(忍びなのに)ギルドの建物の中に入るとギルド職員達と冒険者達の視線が俺に集まり、俺の額にある霧隠れの里のマークが刻まれた額あてに気づくとギルド職員達と冒険者達が驚愕の表情を浮かべる。
『お、おい。あの忍者の額あてって……!』
『あのマークは霧隠れの忍者か?』
『見たことがない顔だが、もしかして最近現れた忍者なのか?』
『霧隠れの忍者ってことはもうあのギルドに……?』
『お、おい。目をあわせるなよ。霧隠れの忍者は血の気が多いことで有名なんだ。あいつもそうかもしれないぞ?』
ギルド職員達と冒険者達の話し声が聞こえてくるのだが……なんだかこの霧隠れのマークって恐れられていないか? この異世界に来た霧隠れの忍者って何をしているんだ?
ギルドの建物の中を歩いて受け付けらしき場所に行くと、そこには昨日出会ったエルフの職員のエイナさんがいて、エイナさんの方も俺に気づいて挨拶をしてくれた。
「あっ、こんにちは。貴方は昨日ベル君と一緒にいた忍者の……」
「霧隠れの忍者、飛斧砕蔵です。今日はここに冒険者登録をするためにやって来ました。……これを」
俺はそう言うとエイナさんに、ヘスティア様に書いてもらったファミリアの加入を保証する証文を渡した。
「これは……。はい、分かりました。飛斧砕蔵さんが神ヘスティアの眷属、ヘスティア・ファミリアに加入したのを確認しました。……それで神ヘスティア様とベル君は?」
「あの二人だったら冒険の装備や日用品等の買い物に行っていて、冒険者登録には俺一人で」
そこまで言って俺は、出掛ける時のすまなさそうな顔をしたベル君と彼の腕に抱きついて嬉しそうな顔をしたヘスティア様を思い出す。
あの二人……ベル君はともかくヘスティア様の方は明らかに彼に好意を持っていて、今日の買い物は多分……そう言うことなのだろう。
「それで冒険者登録はしてもらえますか?」
「ええ、それは問題ありません。……それで飛斧砕蔵さんは本当にヘスティア・ファミリアに加入したのですか?」
「え?」
俺は最初、エイナさんが言っていることが分からなかった。本当に加入したのも何も、さっきヘスティア・ファミリアに加入した証文を渡したのに、彼女は一体何を言っているんだ。
「どういうことですか?」
「いえ、大したことじゃないんです。砕蔵さんと同じ冒険者となった霧隠れの忍者の皆さんは全員、あるギルドに加入しているんです。ですけど砕蔵はそことは別のギルドに加入したから少し気になって」
「霧隠れの忍者はって、他の里の忍者は同じギルドに加入しないのですか?」
「そうですね。同じ故郷の忍者がいるって理由でギルドを決める忍者の方もいますけど、ほとんどは自分の能力ややり方に合っているギルドを選んでいますね」
どうやらこの異世界では同じ隠れ里を持つ者同士の繋がりはそれほど強くなさそうだな。「NARUTO」の世界ではそれこそ命よりも重い繋がりであったが、ここでは「同じ神に仕える者同士の繋がり」の方が優先されると見るべきか。
だからこそそんな中で霧隠れの忍者達が全員加入しているというそのギルドが気になるな。
「エイナさん。その霧隠れの忍者達が加入しているというギルドは何て言う名前なんですか?」
「はい。そのギルドの名前は『ロキ・ファミリア』と言いまして、このオラリオでも一、二を争う大きなファミリアなんですよ」
ロキ・ファミリアか……。一体どんなギルドなのか今度調べてみてもいいかもしれないな。