9月24日
提督は乳白色の深海棲艦のような子たちが「アビスウォーカーらしい」と結論づけた。大本営には報告していないけど、提督とヲ級みたいな幼そうな感じの子はおとといと昨日を一緒に過ごして、でもなにもなかった。
提督が傷つけられることも、提督が傷つけることもなかった。本当に平和で穏やかな生活を過ごしていたみたい。なにを話していたのかは分からない。だってどの艦娘も執務室に近づけていないから。
そんなヲ級みたいな女の子、提督が言うところのアビスウォーカーらしい子は、今日になっていなくなってしまった。防衛ラインに深海棲艦の反応があって、私たちの出撃でドタバタしている時に消えてしまったみたい。
提督はあの子が消えたことを悔やんでいたみたいだけど、こんなに短い間で二人はなにをしていたんだろう? 戦いで傷ついたのを入渠施設(といっても温泉みたいなやつだった。どこも変わらないのかも)で癒やしていた時も、気になってなかなか休まらなかった。いまも気持ちが落ち着かない。
というか、どうして提督はほとんど断言するような感じで「あの子はアビスウォーカーだ」なんて言ったんだろう。あとで聞いてみたいな。
それよりももっと特筆すべきことがあった。ちゃんと書いてまとめて、覚えておかないと。
新しい巨大戦艦を確認して、提督はそれについての報告書をまとめて大本営に送信して…フォーミュラのヴェルデさんや、ヴァディスのヒストリエさんは「知ってはいるが実際に戦ったことはない」と言ってた。
名前はゴールデンオーガ。文字通り金色の装甲をまとった、オニキンメをモチーフにした巨大戦艦。
大きな特徴としては、それにはバースト機関が搭載されていなかった。これまで確認されてきた巨大戦艦に必ずと言っていいほど搭載されていたものがオミットされていたってわけ。
ウロコを飛ばしたり、口からビームを出していたりしたけど、でもそれは誰に当たるわけでもなくあっという間に切り身になって爆発してしまった。思っていたよりも弱いってどういうことだろう、旧型機ってことなのか、それともバースト機関を捨ててまで何かに特化しようとしていたの?
それとベルサーについて、改めて教えてくれたことがあった。
ヴェルデさんやヒストリエさんが言うことには、ベルサーという軍勢は一つの塊ではないということだった。なんていうか、一つの国が持っている軍隊ってわけじゃないみたいで…
分かりやすく書くと、ベルサーAやベルサーB、ベルサーC、D、E…というグループが居るんだって。で、とある惑星を攻めるとして、その担当をAグループが行うだとかいうのを決めているみたい。
このグループ間では技術体系とか装備とかが統一されていないみたい。どういうことかというと、ベルサーAの後で現れたベルサーBは、Aよりも弱い可能性がある、ってこと。もちろん逆もありえるけど。
この場合だと、小森提督が戦っていたベルサーのグループとは違うグループを相手にしている可能性が高いということになる。でも、ヒストリエさんは疑問を抱いていたようだった。
基本的にベルサーは、一つの惑星を攻撃するのに一つのグループしか運用しないということを言ってた。だから小森提督が相手をしていたベルサーを仮にAグループとするなら、私たち青海艦隊が相手をしたゴールデンオーガはBグループのものという風になるのかもしれない。
ヒストリエさんが言ってたのはここの部分で、どうして地球一つを攻撃するのに複数のベルサーのグループがことにあたっているのだろう、ということで…なにか彼らにとっての例外があるからそうなんだろうって思ったんだけど、どうなんだろう。
あとはヒストリエさんもヴェルデさんも思ってたことなんだけど、どうして深海棲艦はベルサーと手を組むことにしたのだろうって。
なんらかの利害が一致したから協力してるんでしょって思ったんだけど、シルバーホークのパイロットに言わせれば何かがおかしいみたい。
ベルサーが星を攻撃する理由は「宇宙にあるもの全てが自分たちのものだ」という思想に基づいているらしくて、これを引用するなら――ああもう、時間がたつのが早過ぎる。この続きはまた明日書いてまとめてみよう。
けど、気がかりなのは、アビスウォーカー(と提督が言っている、よく分からないいきもの)のこと。深海棲艦や巨大戦艦が跋扈している海に帰ったとするなら、たぶん、無事では済まないのかも……