とある魔術の七罪聖人 作:我楽多メロディ
イギリス清教。
世界に存在する十字教の宗派の中の一つであり、対魔術専門の治安維持機関として魔術師を取り締まる役割を持つ。しかし時にはその行いが度を過ぎ「虐殺・処刑の文化」にまで発展したという負の側面も持っている。
そしてその中には「必要悪の教会(ネセサリウス)」と呼ばれる毒を以て毒を制すを地で行く組織も存在している。これは元々は魔術という穢れを一手に引き受けるという汚れ役として忌み嫌われる窓際の一部署でしかなかったが、着々と成果を上げたことにより今ではイギリス清教自体と同一視されるまでになっている。
だが、イギリス清教の汚れ仕事を行う必要悪の教会、さらにそれより穢れた汚れ仕事を行う絶望と悪魔に愛されたとある少女がいた。
これはそんな少女の傷と再生の物語。
*
「……これが今回のあなたたち「贖罪羊(スケープゴード)」の仕事内容です。かまいませんね?」
「かまいません。というか【僕】らに拒否権があるとも思えませんし」
広く寒々しい会議室のような場所でテーブルに多くの紙を散らばらせて、二人の女性が何か密談をしていた。最初にしゃべったほうの女性は大人のような雰囲気を持ち、長い黒髪をポニーテール状に束ねて腰のところに二メートル近い刀をしている東洋人だった。服装はジーンズの片方は太腿の際どい所まで切断して露出し、Tシャツの片方の裾も根元まで切断し、左右非対称となっている。
その女性の言葉に答えたのは15歳前後のやや小柄な少女だった。色素の薄い茶髪をセミロングにしており若干外にはねている。肌の色は綺麗な色白だが顔立ちはどこか日本風で百人いれば百人とも「綺麗な」「かわいらしい」といった評価を付けられるような優れた容貌だった。しかしその表情はまるで見えない何かに疲れ切っているようで表情が死んでいるようにも見える。服装はひざ下まである黒と紫を基調色としたフード付きのポンチョを着ていた。
「もう一度確認しますがあなたの今回の任務は敵対魔術結社のーーの殲滅です。かなり危険な仕事ですが、よろしくお願いします」
「……何度も言われなくてもわかっているよ『神裂』。【私】が今更この程度の仕事にとやかく文句を言うと思うのか?ここで話すのももう時間の無駄だ、行ってくることにする」
さっきまでとは違いやや尊大な口調で神裂と呼ばれた女性に背を向けポンチョの少女は会議室から出ていった。扉が閉まる音と同時に神裂は誰にも聞こえないようにぽつりとつぶやいた。
「本当に、本当にすいません……『不動』」
*
「あ、出てきた出てきた!おーい『希望』さーん!!」
希望と呼ばれた少女が会議室から出るとそこ2人の特徴的な格好をした男女が走り寄ってきた。一人はスペイン系の褐色肌を持ち長い黒髪をしたまるで踊り子のような服装をした14歳程度の少女でもう一人は赤青黄緑…と様々なチェクカラーのフード付きマントしさらに顔にジャック・オ・ランタンを模した仮面をつけている青年だった。この二人…いや希望も含めて教会に似合わない服装をしているのだがそのことについては誰も責めない。
「アスタトロ!それにパンプキンまで……まさかお前ら【俺】が話し終わるのを待ってたのか?」
「はい、もちろ…ぶぶぶぶっ?!にゃ、にゃににゃに?!!」
突然アスタトロと呼ばれた踊り子の少女が奇声を発したと思うとそれは希望が彼女の頬を思いっきりひっぱていたからだ。
「あのなぁてめぇら、……はっきり言って【私】たちはこの必要悪の教会の中でもかなり浮いている部隊だ。いくらお前たちに力があるから、といってもそう簡単にここには来るな、いいな」
「ふぁ、ふぁい」
「ところで…リーダー」
アスタトロに対するかるーいお仕置きが終わったのを見計らってパンプキンと呼ばれた派手な青年は彼女に確認をとることにした
「はい?なんですか、パンプキン」
「さきほど…極東の聖人からの依頼ですが…今回もやはり…」
その言葉を聞いた時彼女は眼を俯かせた。それを見た二人もどこか沈んだようなもううんざりというような雰囲気を醸しだした。そして希望はそれでも質問を返すことにした。
「その通りです……今回も最悪な予想通り」
「「「胸糞悪い(ワリィ)人殺しの任務だ(です)」」」
そのどこかあきらめたかのような言葉は同じ声音で三重に聞こえた