楽園を求む転生者   作:厨二王子

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かなり強引なところもありますが許してくれると嬉しいです。


10話 人を殺す時はどっちの手?

一姉を助けられなかった次の日、俺はまる一日寝ていたらしく目を覚ますと、二日後の朝になっていた。誰も起こさないところが、我が家族らしい。

一階に降りると、俺以外の家族は皆リビングのテレビを見て、立ち尽くしている。

どうやら、マイクロバス転落事故のニュースがやっている見たいだった。昨日は大雨で警察や自衛隊の捜査が難航したらしく、見つかったのは今日らしい。そのニュースを見て俺は思った。

 

そうか俺は…

 

何もできなかったのかと。

 

今思えば、あの後ひきかえせば一姉を助けられたんじゃないかという思いもあった。しかし俺は怖かったのだ…。ひきかえした先に、一姉が化け物によって食べられてる姿を見るのが…。

俺は怖くて逃げだしたのだ。

 

 

 

それからというもの我が一家は荒れた。

父は金の収入源を失なった影響で毎日お酒を飲み続け、暴力や怒鳴り声もさらに多くなった。なにより、かわったのがその対象が俺や雄二だけではなく、母にまで及んだことだった。

母はひたすらごめんなさいと言い続けていた。

 

そしてしばらく経って、母は俺ら二人を連れてあの父から逃げることを決意した。

俺ら兄弟はその事に同意して、すばやく荷造りを

始める。

 

「兄さん、準備終わった?」

 

「ああ…」

 

「兄さん…」

 

俺はあの日…一姉を助けられなかった日から意思の持たない人形のようになっていた。雄二も心配している。

 

「あの大切にしていたノートは、持っていかないの?」

 

「あんなものもう要らない」

 

「そう…」

 

雄二とこんな会話をした後、俺らは父が寝ている隙に家を出た。

 

家を出て行ってから、どのくらい経っただろうか。タクシーに乗ってから一時間くらいして、俺らの新たな家に着いた。そこは豪邸というわけではなかったが、俺らにとってはあの父がいないだけで、どんなボロい家でも豪邸に思えた。

 

「大樹、雄二もう大丈夫だからね」

 

「母さん…」

 

「…」

 

母さんは俺ら二人を抱きしめ涙を流した。

 

それからというもの、俺らは比較的平和な生活を送れていた。俺ら兄弟は働くことができないので、母は昼夜を通して働き続け俺らを養った。父がいないだけで天国のようだった。

しかしこんな生活は、永遠には続かなかった。

 

 

 

一年経ったある日、あの父が俺らの家を特定したらしく勢いよく乗り込んできたのだ。俺らはあまりに突然な出来事で誰一人反応できなかった。

 

「俺から逃げられると思ったのか?」

 

父は母を襲おうと近づいてくる。雄二と俺には酒を買ってこいと怒鳴ってきた。

 

「大ちゃん、雄ちゃん逃げて」

 

母は俺らに逃げるように言ってくる。

その時、俺…いや俺ら兄弟は無意識に身体が動いていた。

この時の俺ら兄弟の思いは一つ

『殺してやる』

そして俺らは思い出す、一姉が言っていたことを…

 

「文字を書いたり箸を持つのは右。ボールを持ったり、バッターボックスに立つ時は左。じゃあ、人を殺す時はどっちの手?」

 

俺は近くにあった置物を、雄二はボトルを右手で持って、思いっきり父の頭を殴った。父は血を出して、倒れる。おそらく、死んだんだろう。

 

父が意識を失っているのを確認すると、雄二はすぐさま母の安否を確認する。

 

「母さん大丈夫?逃げよう!」

 

しかし母は数秒無言になった後、笑顔で言う。

 

「雄ちゃん、そうだねまた逃げなきゃね。でも、どこまで逃げればいいんだろうね…いつまで逃げらればいいのかしら?」

 

「お母さん…」

 

「ごめんね、雄ちゃんや大ちゃんは足が速いから走って逃げなさい。先に行ってお母さん後から行くから」

 

その後母さんは俺ら二人に全財産を渡してくる。

 

「雄ちゃん、大ちゃん二人で駅まで行ける?」

 

「うん…」

 

「…」

 

「そっかなら二人で頑張って。ほら、もう行きなさい」

 

母さんは俺ら二人の背中を押す。俺らは出口に向かい歩き始めるが俺は一瞬母の方に向いてしまう。

 

「ごめんね、母親らしいことしてやれなくて」

 

「母さん…」

 

俺は母さんの言葉を聞くと雄二の手を取り駅まで走り出した。

 

 

駅に着いた俺ら兄弟は母が来ることを信じて待ち続けていた。そんな時サイレンの音が聞こえてくる。雄二は突然立ち上がると、また家の方まで走り出した。俺も雄二を追いかけて走り出す。

 

家の前に着くと、そこは人がたくさん集まっていた。俺と雄二はその人の集団を掻き分けて、家の中に入っていく。途中警察が止めて来たが、そんなことおかまいなしに突き進む。

 

家の中に入るとそこには首を吊っている母の姿あった。

 

俺はこの日初めて人を殺し、母親を失った。

 

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