楽園を求む転生者   作:厨二王子

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テストも残るは来週の一つを残し一段落した作者です。
お気に入り200件突破ありがとうございます。
そして今回の話ですが、自分でも書いていて泣いてしまいました。うまく書けてるかわかりませんが…ではどうぞ!


32話 麻子の最後

兄さんがSAOにログインしてからもう一年が経った。その間俺は兄さんの医療費などを貯めるためにひたすら任務に明け暮れていた。

 

その中でもバンクーバー国際空港のハイジャック事件では久しぶりにヤブイヌ小隊の面子と再会した。皆は相変わらずで兄さんがいないと知るもあいつだったら必ず目を覚ますと言ってくれた。

 

…そうだ兄さんはこんなことで死なない。

俺は再び強くそう思った。

 

まぁ、ギャレット大尉は目を覚ましたら再びしごくとか言っていたが…。兄さん目を覚ました後も大変だな。

 

事件が終わった後、さっき助けたどう見ても中学生にしか見えない大人の人が何か頼みを聞いてくれるというので、俺はふと自然と思ったことを口にした。

 

「兄さんと普通の学校生活をやってみたかった」と…

 

 

 

その事件が終わり一ヶ月後、この日も俺はいつも通り任務を行っていたが、突然JBから連絡が入る。前回も突然兄さんのことでかかってきたので、俺はまたも嫌な予感がした。

 

そしてその予感はまたも命中した…その内容は麻子が倒れたというものだった。麻子は手のほどこしようがない状態でもう長くはないらしい。

 

俺は兄さんの時と同じように急いで小屋へと帰ってきた。小屋の中に入るとJBがいた。

 

「麻子は?」

 

「昨日から寝たり起きたり繰返し…でも大樹の看病は辞めようとはしないのよ。あんな状態なのに…」

 

「そうか…」

 

俺は麻子の側にいき声をかける。

 

「ただいま、麻子…遅くなってごめんな」

 

「お帰り、雄二…たく、大樹にも挨拶しろよ」

 

「分かってるよ」

 

どうやら兄さんがいる部屋と麻子の部屋は離れいる。俺は兄さんが眠っている部屋に行き同じように挨拶をした。

 

その後、俺は麻子のところに戻り手を握った。

 

「なあ、麻子あんた死んじゃうのか?」

 

「ああ…」

 

「兄さんがまだ目を覚まさないでいるのに…それに生きる意味も見つけてくれるんじゃなかったのかよ」

 

「すまんな、雄二。大それたことを口にしておきながら、結局こんな日の当たらない仕事の腕を仕込むだけで精一杯だった。大樹にも最後に話せなかったのは辛いな」

 

「俺なんかまだまだだって…勝手に死ぬんじゃねぇよ。兄さんだって俺と同じようなことを、もっと怒って言うはずさ」

 

「たく、お前は相変わらず泣き虫なのは変わってないな。大樹がいたら泣くより、この場面は怒るだろうな絶対…そして私が死ん後、影で泣くんだろうなあいつ」

 

くっ…

 

「なぁ雄二、生きる意味なんて死ぬ時に初めて分かるもんだ。散々偉そうなことを言ってきた私だが、本当は分かっちゃいなかった。いつ死んでもいい生き方をしてきたしな」

 

一瞬静かになるが再び麻子は口を開いた。

 

「だがな、今はなんとなくだが分かるような気がする。私は軍人だ…軍人はやることをやって死ぬ。何人もの仲間を助けて、何人もの敵を殺す…仕方のないことだと言い訳をしてな」

 

「…」

 

「ただ雄二、そのお陰でお前を…お前たち兄弟を死なせずにすんだ。それで充分だそうだろ?」

 

「勝手なこと言うなよ!助けるだけ助けて無責任じゃないか。裏切られ続けた人生で、最後にあんたは信じてみようって…あんたのために生きようって決めたのに」

 

「雄二…」

 

「麻子と兄さんだけが生きる目的だったのにこんなのないぜ…」

 

「いいんだ、雄二。お前は…お前たち兄弟は自分のために生きていいんだ。今のお前たちは何だってできる…失敗しても何度でも立ち上がれる、私はお前たち兄弟をそういう男に育てたつもりだ」

 

「ちがう、麻子がいたからできたんだ。どんなに辛くても麻子という帰る場所があったか…また俺は何もできずに大切なものを失って。あんたのいない未来に何があるっていうんだ」

 

「そいつをお前たち兄弟で見つければいいんだよ。もっとあがけ、もっとじたばたしろ。人生なんてそれでいい、楽に生きようとするな」

 

「簡単に諦めるなよ、楽になろうとするんじゃねぇよ。説得力ないだろう…」

 

「軍人にはな雄二、出撃した日にポックリ死んじまう奴とどんなに過酷な戦場に飛び込まれても生きる奴がいる…違いはな、お前はもういいよく頑張ったって死んで許される奴と、お前はまだだやることが残っていると許して貰えない差だ」

 

「私は許されたんだよ…分かるか雄二?」

 

「何だよそれ…そんな許可誰が出したんだよ…神様か?」

 

「さぁな、そうなんじゃないか?」

 

「ふざけやがって、何が神様だ!俺が二千メートル先から頭吹き飛ばしてやる」

 

「ははっ、相変わらずバカだな。最後まで笑わせるなよ」

 

麻子は静かに笑った。

 

「雄二、最後に私を大樹のところへ運んでくれるか?」

 

「ああ…」

 

俺は麻子の肩に自分の肩を組み兄さんの眠っている部屋まで運んだ。

 

麻子は兄さんの目の前に来ると兄さんの頭を手で撫で始めた。

 

「ごめんな大樹…最後に顔を合わせられなくて」

 

麻子は泣きながらそう言った。

 

「大樹、お前ずっと雄二よりも、私よりも強くなって絶対守るんだって言ってたよな。絶望も希望に変えるんだとも言ってたよな」

 

「…」

 

「何度も言うがお前はもう強い。これから先、どんな困難にぶつかったって乗り越えられる。それに…」

 

そして麻子は力強く言う。

 

「どうせ自分のために生きろって言っても、仲間や大切な人のために命を掛けるのも分かってる。だから生きて雄二を…大切な人たちを守りきってみせろ!それが私がお前に残す最後の言葉だ」

 

そしてこの日の夕方雄二とJBに見送られ麻子は永遠の眠りについた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えっ麻子?」

 

「どうしたのダイキくん。もうすぐ攻略会議始まっちゃうよ」

 

「いや何でもない…今行く」

 

俺はアスナに呼ばれ駆け足で二十五層のボス攻略会議へと向かう。

 

なんだろう?

今麻子の声が聞こえたような…。

 

今日も俺は大切な人がいなくなったことを知らないまま、

SAOの攻略に励む。

 




はい本当に不幸なオリ主でした。しかしまだオリ主の不幸は終わらない。次回はSAOに戻り月夜の黒猫団の話です。そしてついに奴が絡んできます。お楽しみに!
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