楽園を求む転生者   作:厨二王子

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オリ主の心を縛る過去の呪縛

そして悪魔の言葉

「It's showt ime」

絶望はすぐそばまで迫って来ている。


35話 月夜の悲劇

今日の黒猫団のレクチャーも無事終わり、宿屋に戻った。宿屋に戻ると、いつも通りにぎやかに夕食を食べてる。

 

「明日は一つ上の層に行ってみようと思う」

 

俺が食事中に突然呟くと、皆は少し驚いた。

 

「ダイキさん、いいんですか?」

 

このギルドのリーダーであるケイタが聞いてくる。

 

「ああ、サチも前衛として十分機能してきてるし、皆のレベルも安全なところまで来てるしな」

 

「なるほど…」

 

「ということで、明日は十二階層に挑戦するから、今日の内に装備や道具の準備をしておいてくれ」

 

俺が明日のことを皆に伝えると、その後は軽く雑談をして、皆がそれぞれの部屋へ帰っていった。もちろん、俺も自分の部屋に帰った。

 

自分の部屋に帰ると、装備とアイテムを確認して、ベットに倒れた。そして目を瞑ろうとしたところで、突然ノックの音がする。

 

「はい、どうぞ」

 

「失礼します…」

 

なんと、入ってきた人はサチだった。

 

「どうしたんだ、サチ?」

 

「あの、眠れなくて…隣いい?」

 

 

 

…なんやて!

 

ということで、今サチと隣合わせで寝ています。まぁ、寝る時に隣に女性がいるのは慣れてるからな麻子とかで。

 

そんなことを思っているとサチから俺に話してきた。

 

「ダイキ、本当にありがとう」

 

「どうした急に?」

 

「いや、こんなに私たちを強くしてくれてるのに、まだお礼言えてなかったから」

 

「なんだ、そんなことか。別にいいんだよ、ボランティアみたいなものだと思えば」

 

「そんなことないよ。だからね、お礼になればいいんだけど…この剣を渡そうと思って」

 

「この剣?」

 

サチはそう言うとアイテムゲージから一本の剣を出して俺に渡してきた。

 

その剣は黒く、しかしキリトの相棒であるダークリパルサーとは違い、夜空の黒みたいな感じで少し紫に近い色をしている。

 

「『月夜の黒剣』…って、これレアな武器じゃないか」

 

「うん。偶然ダンジョンで見つけたんだけど、皆が私が見つけから私が持ってていいって言われてて…」

 

「それを俺に?」

 

「その剣、装備するのにどうせレベル足りないし。それにダイキの方がうまく使ってくれると思うから」

 

よく説明のところを読んでみると、装備可能レベルが四十と書いてあった。ちなみに俺のレベルが四十七で、サチが二十二である。

 

「…分かった、ありがたく使わせて貰うよ」

 

そんな感じで話した後はなかなか話しが続かず、静かになってしまう…気まずい。すると、俺は最初にサチと話したことを思い出し、話しをする。

 

「そうだ、サチ。最近うまく戦えるようになってきたが、まだ戦うのが怖いか?」

 

「…」

 

サチはすこし無言になるが、直ぐにその質問に答えた。

 

「正直まだ怖いけど…でも少しずつだけど、大丈夫になってきてるような気がする」

 

「はっは、そうか。なに、もう直ぐ怖くなくなるさ、それまではお前のこと守ってやるよ」

 

「…うん。ありがとう」

 

俺とサチはこんな会話をして、お互いに眠りについた。

 

 

朝になると、隣にサチはもう居なかったので、恐らくもう起きたのだろう。俺の準備は昨日済ませたので、下の階に行く。

 

下の階に行き朝食を食べて、とりあえず皆に一時間後に転移門に集合と告げると、一旦その場で解散した。

 

今日は一日ダンジョンに籠るつもりなので、皆いろいろ買わなきゃいけないものとかあるんだろう。

 

俺は特に買うものもないので、適当に街をぶらぶらして、時間を潰すことにした。

 

街を歩いていると、アルゴからメッセージが来た。

 

メッセージを見ると、例の俺について聞き回ってる奴が俺の近くに来ているらしい。しかしここまで特に接触してこないし、なにより俺自身が見てないので、特に今は考えないようにした。

 

 

 

あっという間に一時間は過ぎて、俺は街を歩き終わり、集合場所の転移門に来ていた。

 

皆はもう準備満タンみたいな感じで、俺より前に来ていた。さすがだな。

 

「そうだ、ケイタ。しっかり、昼飯買ったか?」

 

「はい、もちろん。いやー、それが親切な人と会ってドリンクとパンをセットで、安く買えたんですよ」

 

「へー、それはラッキーだったな」

 

俺はこの時、ケイタが安く買えたのは単に運が良かったのだと思っただけで、特に深くは考えなかった。

 

「それじゃ、いくぞ!」

 

そして、俺の掛け声と共に皆で十二階層に転移した。

 

 

 

十二階層に着いてからは順調に敵を倒していき、特に苦戦もしなかったので、迷宮区に入ることも俺が許可した。

 

迷宮区に入っても、黒猫団は俺が教え込んだうまい連携でモンスターを倒して行く。

 

そんな感じで時間は過ぎていき、昼飯の時間になった。

 

迷宮区も俺がしっかりマッピングしていたので、モンスターが出ないエリアについて分かっていた。

 

そしてそのエリアにたどり着くと、俺は皆に向けて言った。

 

「よし、皆ここで休憩しよう」

 

皆は俺の言葉を聞くと疲れたように、座り込んだ。まぁ、結構ハードだったしな。

 

皆は喉が乾いていたり、昼飯の時間ということもあり、ケイタに渡されたドリンクやパンを食べ始めた。もちろん、俺もドリンクを飲む。

 

しかし、俺は飲んだところで何か違和感を感じた。

 

…なんだ、この感じ?

 

ポト 、 カン

 

すると、あちらこちらからドリンクやパンを落とす音が聞こえ始める。

そして…

 

「体が…」

 

「嘘…。なにこれ?」

 

「皆、落ち着け!」

 

そう、体が動かないのである。俺もドリンクを飲んだ瞬間、体が動かなくなった。俺は直ぐ様、自分の状態を確認する…すると。

 

麻痺だと…

 

俺は麻痺だと分かっても、この層では麻痺状態にするモンスターが出ないと分かっていたので、麻痺の回復薬を持っていなかったので、自然に解けるのを待とうと思っていた。

 

しかし突然、このエリアの入り口にフードのプレイヤーが現れた。

 

誰だ?…さっきまでこの迷宮区にはプレイヤーはいなかった筈…まぁ、その事はいい…とりあえず、麻痺の回復薬があるか聞いてみるか。

 

俺がそのプレイヤーに回復薬があるか聞いてみようとすると、そのプレイヤーはゆっくり俺らへと近付いてきて、腰に差してあった剣を抜いた…。

 

近くまで来て初めて気く。そのプレイヤーのカーソルが赤だということに…。

 

そしてその男は剣を振り上げ、ケイタに突き刺して告げた。

 

「It's show time」

 

この瞬間、絶望が始まった。

 

 

 

男は何度もケイタに剣で切りつける。すると、ケイタは悲鳴を上げて…そして死んだ。

 

「HAHAHA、まず一人」

 

「嘘…」

 

「何しやがる!」

 

「よくもケイタを!」

 

皆はそれぞれ目の前の男になにかしら言っている。だが俺はケイタが死んだことより、過去に死ぬほど殺し合いをしたあの男と重なり、冷静さを失っていた。

 

嘘…だろ

 

「やっ、やめろ…」

 

俺の制止を聞く筈もなく、麻痺状態も治らず、

奴は一人一人とギルドのメンバーを殺して行く。

 

パリン

 

あっあぁ…

 

パリン

 

何で…

 

パリン

 

くそ!

 

そして、今度はサチのところへ奴は行く。

 

「これで最後だな…」

 

「やっ、やめてくれ…」

 

奴は持っている剣を振り上げて、そして思いっきり…振り落とした。

 

そしてサチは最後に俺の方に向いて言った。

 

『ありがとう』と

 

パリン

 

そして彼女も、皆の後を追うように死んでいった。

 

「ウィサゴー!」

 

俺は涙を流しながら、怒りの声で奴に叫んだ。

 

「HAHAHA、最高だな。そして久しぶりだなダイキ」

 

「何が最高だ…」

 

「そうだ、そう、その表情。やはり、お前には絶望こそがふさわしい」

 

「黙れ!」

 

「おっと、そろそろ麻痺も解けちゃうかな。ダイキ、よく考えておくんだな。お前は希望と絶望、どちらであるべきかを」

 

ウィサゴは転移結晶を出して入り口へと戻る。

 

「そうそう、この世界での俺の名前はPoHって言うんだ。それじゃ、次会うまでに考えておけよ」

 

そしてウィサゴは俺の方に向いて言った。

 

「また会おう」

 

奴は最後にこの一言を俺に告げて、その場から姿を消した。

 

そのエリアには黒猫団の皆を自分の運命に巻き込んでしまい、悲しんでいる一人の男の姿があった。

 




次回はオリ主がどう立ち直るか…どう絶望を受け止めるかを書いていこうと思います。
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