楽園を求む転生者   作:厨二王子

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最近スランプ気味……。


50話 再会

 俺はユイとともに百層へと転移すると、そこは通常の迷宮区とは違い、紅い部屋になっていて、大きな赤い門があった。

 

「ここが百層。最終的にヒースクリフが待つことになっている紅玉宮か……」

 

 そして、俺は一緒に転移してきたユイを見た。

 

「大丈夫か、ユイ?」

 

「……」

 

 俺はユイに声を掛けると、彼女は無言で頷く。ユイは何かを感じてるのだろうか。俺は周囲の状況を確認して、異常がないことを確認すると、大きな扉を開いてボス部屋の中に入って行った。

 

 

 

 

 

「中も異常はないな……」

 

 俺は門の先にあるボス部屋の中に入ると、そこには何もなく、異常は見当たらなかった。

 

「えーっと、コンソールは……あった。あれか」

 

 俺は奥にあるGM用コンソールを見つけると、そこに近付いていく。すると突然、ユイが頭を抑えた。

 

「ユイ!」

 

「思い出した……」

 

 ユイがいつもの子供っぽい声ではなく、少しシステムっぽい声を出した。どうやら、無事に思い出したようだ……しかし。俺がユイに声を掛けようとした……その時。謎の黒いモヤがかかっているモンスターが俺たちの目の前に、突然と姿を現した。さらに、モンスターは俺を標的にして、拳を突きだしてきた。

 

「パパ!」

 

「なっ」

 

 俺は突然の事態に反応できなかったが、記憶とともに元の権限と力を取り戻したユイが赤い炎のような剣を出し、その攻撃を防いだ。

 

「こいつは……」

 

 俺は出て来たモンスターのステータスを見る。奴のHPは三段あり、その上のレベルは??になっていた。間違いなく、ヒースクリフが言っていた例のバグだろう。

 俺はグロウズナイフを構えて、敵を睨む。

 

「このバグは私が抑えておきます。パパは速く離脱を」

 

「くっ……分かった」

 

 俺はユイの声を聞いて、何もできない悔しさを噛みしめると、ヒースクリフから貰った転移結晶を使う……しかし。

 

「嘘だろ……発動しない」

 

「えっ!」

 

 ユイが俺の発言に驚く。この転移結晶はこのゲームの管理者権限と同じ力を持つとヒースクリフは言っていた。それでも転移できないということは、恐らくあのバグが関係しているんだろう。

 そんな中でもモンスターの攻撃は止まることはない。モンスターは雄叫びを上げると、再び俺に向かって攻撃してきた。

 

「ちっ」

 

 俺は回避スキルをフルに使い、モンスターの攻撃を避ける。しかし、奴のレベルは不明で恐らくステータスも化け物だろう。俺にそんな攻撃が当たらないはずもなく。

 

「がはっ」

 

「パパ!」

 

 モンスターの攻撃が俺の腹に当たる。俺は衝撃を受け止められず、後ろへふっ飛んだ。理由は分からないがモンスターの攻撃がわずかにそれ、かろうじてHPが赤色で止まった。

 

「糞……」

 

 モンスターは一度自分の拳を確かめるように見て、こちらに近付いて来る。俺はもう意識が翻弄していて、状況がうまく理解出来ない。そんな時、ユイが声を出し、俺とモンスターの間に立ち塞がった。

 

「パパには近付かせない」

 

 ユイは剣を振るうが、モンスターのHPは一ミリも削れていない。今のユイは恐らく記憶を思い出したと同時に、元々の権限も戻ってる。それなのに、ダメージを与えることができない。しかし、それでもユイは剣を振るい続けた。

 そんなユイの攻撃を受けても、モンスターは振り向きもせず、動きを止めることはしない。そして、モンスターは俺の目の前に来て、黒い拳を振り上げた。俺は痛みで動くことはできない。

 

 ここまでなのか……。

 

 俺は心の中で小さく呟く。

 モンスターの攻撃が、スローモーションで迫ってくる。そんな時、とても懐かしい声が聞こえた。

 

「ダイキ、約束したはずよ。諦めない男になれって」

 

「えっ……」

 

 その瞬間、一筋縄の閃光が、モンスターを貫いた。

 

 ……何があった?

 

 俺は目の前を見る。そこには俺が救えず、ずっと今まで悔やんできた少女。

 

「大丈夫、大樹?」

 

「嘘だろ……」

 

 ありえない……。

 

 俺は無意識に涙を流しながら、心の中で同じ言葉を繰り返す。しかし、俺が彼女を見間違うはずもない。彼女は笑顔でこちらに振り向いた。

 

「……一姉なのか?」

 

「久しぶりね……大樹」

 

 忘れるはずもない。あの事故……マイクロバス転落事故で亡くなったはずの実の姉である一姉の姿が、そこにはあった。

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