ブレイクワールド-break world-   作:黒谷晃佑

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5話 自分とジブン

『もう一度俺と勝負だ!!!!』

 

バンッと思い切り叩きながら勢いよく立ち上がった。

 

そのせいで椅子が倒れ後ろの席の人の背に当たりかなり痛かったのか当たった所を押さえている。その人はこちらを睨み付けて今にも叫び出しそうな恐い顔だった。食堂にいる全員の視線がこちらを向いている。

 

「嫌だ。昨日でわかっただろ。やっても無意味だ」

 

俺の提案を辰生が即答で切り捨てる。その目は呆れているようだった。

 

「何でだよ!? いいじゃないか、ただの訓練なんだし」

 

「俺が面倒くさいんだよ」

 

今度は疲れているような仕草をしてどうにかこの場を回避したいと考えているのだろう。

 

だが、そんなことはさせない。絶対に俺の相手をさせてやる。

 

「そんなこと言って、俺に負けるのが怖いんだろ?」

 

「フッ、そんなこと・・・・・あるわけがないだろ!」

 

そう言って立ち上がり俺を睨み付け、拳を固く握りしめている。こうなれば大抵のやつは俺の思い通りに動かすことができる。

 

そう思ったが、的外れだった。辰生は何も言わず食器を片付けて食器をあとにする。

 

こちらに向いていた視線はすぐにそれぞれが他へと移り、俺が一人だけ取り残されていた。

 

ポカーンと口が開いたままのドスッと椅子に座り、少しの間動けなかった。頭の上に疑問符が浮かぶ。何故だ?何処で何を間違った?

 

わからない。何故辰生があのような態度をとったのか、大抵のやつはさっきの言葉で食って掛かってくるのに・・・・・

 

まあとりあえず朝食を食べてから部屋に戻り、着替え、船上闘技場に行く。

 

 

 

 

 

 □■□■□

 

 

 

 

 

着いたら坂浪がもうダッシュで駆け寄ってきた。

 

「ど、どうした?」

 

「たぶんね辰生は絶対に翔悟くんの相手をしてくれないと思うの。だからさ、それまでは私が相手をするよ」

 

辰生が絶対相手をしてくれないというところは認めたくないけど今のままではそうなるかもしれない。

 

昨日の一戦では簡単に捻り潰された感じだった。竜の力というものがどんなものなのか知っておくのも大事だと思う。なら、その力を持ってる坂浪や木咲に相手をしてもらうのもいい勉強になるだろう。

 

「そうだな。よろしく頼む」

 

ここからは厳しい訓練になりそうだ。

 

 

 

 

 

 □■□■□

 

 

 

 

 

一時間後、身体がもうガタガタだ。竜の力というものがこれほどにも凄まじいものなのか。

 

基本的なスペックとしては坂浪と木咲は俺よりも劣るだろう。

 

スピード・パワー・ディフェンス・視界・戦況を理解し自分のするべきことを導きだす思考の回転の速さ。それらの上に上乗せされた竜の力が俺の今の悪魔としての力では到底及ばない。

 

「クソッ、全然ダメだな」

 

「そんなことはないよ。最後の方は翔悟くん、私の動きについてきていたじゃない」

 

「それでもダメだ。こんなんじゃ辰生に相手してもらう前に坂浪と木咲にやられちまう」

 

事態は深刻?である。同じ小隊の仲間に勝つか引き分けになるくらいの力を持っていないと今向かっている天界の天使たちには勝てないだろう。勝てないだけならまだしも加奈と湊が助けられない。それだけは絶対にダメだ。

 

「何で現実ってのはこうも上手くいかないかな・・・・・」

 

「それが現実なんだよ。全てを受け入れ、前に進んでいかなくちゃいけない。面倒くさいんだよ、ここは。」

 

坂浪の言う通りだ。本当に面倒くさい。

 

「もう一回頼む」

 

やるしかないんだ。前に進むために。俺はまた訓練に身を投じる。

 

 

 

 

 

 □■□■□

 

 

 

 

 

しばらくたったある日のこと。身体の異変に気付いた。坂浪や木咲の竜の力を受けながら訓練しているせいか、二人の攻撃に少しずつだけど耐性?ができたのかもしれない。一撃で吹っ飛ばされたり、倒れたりしなくなった。しっかりと受け止められるようになってきた。そして、身体がやけに軽く感じる。訓練の成果かもしれない。

 

「今日もよろしく頼む」

 

「うん、よろしく」

 

いつものように訓練を始める。だが、その日はいつもとは違っていた。悪魔の力を使おうとするが、上手く使えない。

 

「どういうことだ?」

 

力を使うために目をつむり精神統一。身体の奥深くにある悪魔としての力を引き出そうとする。だが、そこにはもう一つの存在があった。

 

目をゆっくり開くと、その目は黄金色に輝く。自分の身体なのに動かない。

 

すると、自分の意志ではないが身体が動き出した。自分の考えているように動かない。だが、身体は動き続ける。

 

『黙って寝ていろ』

 

そう聞こえたと思ったら首筋を殴られ意識が遠くなって・・い・・・・く・・・・・・・・・。

 

 

 

 

 

 □■□■□

 

 

 

 

 

オレの名は蒼田翔悟。今やっと目を覚ますことができた。どれくらい眠っていたのか。まあそんなことはどうでもいい。起きられたんだからな。

 

「翔悟くん大丈夫?」

 

目の前に女がいる。見たことないやつだ。

 

「誰だ貴様」

 

「だ、誰って、私だよ。さ・か・な・み・と・も・か。忘れちゃったの?」

 

なんだこの女。馴れ馴れしいな。

 

「そうか、友香か」

 

「な、何いきなり名前で呼んでるの!?恥ずかしいじゃない・・・」

 

頬を赤らめて何をしているんだ?

 

「で、オレと友香はどういう関係だ。まさか恋人か?」

 

「こ、恋人!?ち、ちち違うわよ、同じ小隊よ。というかさっきから変だけどもしかして頭でも打ったの?」

 

そうか、同じ小隊の仲間といったところか。

 

「それよりさ、突っ立ってないでさっさと訓練を始めましょう」

 

「ああ、わかった」

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