「我が身の内に潜む者よ、汝は我に力を集わせ、我を護る鋼の鎧をもたらさん。さすれば、我は汝を汲む器とならん!!」
蒼い鱗を纏い竜化し、上空へ飛び立つ。
これから天界遠征の初の戦闘が始まる。
□■□■□
天使たちがこちらの接近に気付いて戦闘体勢を取る。
「おい!翔悟!」
声の主は大輔さんだった。驚いたという目でオレを見ている。
「どうしたんですか」
オレのそっけない返事にガンガン食いついてくる。
「どうしたんですかじゃねえよ!何だよその格好は!?」
やはりそうきたか。
「後で話します。それよりも今は目の前の敵を殺るのが先でしょ」
オレの言葉にますます驚いたようだ。
「や、殺るって・・・・・お前口調まで変わったんじゃないか?」
何を言ってるんだこの人は。オレはいつもと同じだっての。
「そんなわけ無いじゃないですか。変なこといってないでさっさと行きましょう」
何だか大輔さんが不満そうな顔をしているけど別にいいよな。
そうこうしているうちに天使との距離が残り30~40メートルにまで近くなっていた。
奥に一人、リーダー格だろうと思われる天使がいる。あれが上級天使なんだろう。
オレは刀を左側に水平に構え溜めをする。
「っ!!」
勢いよく刀を左から右に振り抜く。刀に溜められていた魔力が放たれ、弧を描いて天使たちを一掃する。
「スゲェー・・・・」「マジかよ・・・・」など、味方の方から口々にそんな声が聴こえてくる。別にそんなに凄いわけじゃないんだけどな。
これで敵の1/3は倒せたんじゃないだろうか。
「大輔さん」
「何だ!」
戦いながらではあるが聴こえていたようで返事が返ってくる。
「奥にいる奴が上級天使なんだと思います。だからそいつはオレが相手をします。大輔さんたちは他の雑魚を殺っておいてください」
「・・・・・わかった」
少し考えていたがオレの行動を了承してくれた。すぐに上級天使のところへ向かう。向こうもオレに気付いたのかすぐさま臨戦態勢を取る。
スピードを上げ・・・・・・斬り込む!
だがその攻撃は難なく魔力のバリアでガードされる。思った以上に堅い。そう簡単には破れそうにないな。さすが上級天使といったところか。
すぐに距離を取り体勢を整える。すると今度はこっちだと言わんばかりに右拳を振り上げ飛びかかってくるが、それを刀で受け流す。
その直後に左斜め上から斬る。それは右脇腹をかすり血が少し噴き出すがそんなものは上級天使の治癒力にかかれば何てことはなく、すぐに止まる。
「やるじゃねえか人間。普通だったら今のがclean hitして即the endだぜ」
ちょっと面倒くさい喋り方をする天使だな。こういうやつは苦手なんだよね、オレ。
「今のがそんなモノなんですか、へぇ~~」
「バカにしてんだろテメェ!!」
「いやいや、そんなことは1ミリもしてないですよ~」
「ぐぬぬぬ~~~~ 」
頭に血が登ってきている。天使って短気なのかな。
「コッホン!そ、そんなことはどうだっていい。人間、テメエの名前はなんだ」
いきなり過ぎだし、おかしいだろ。
「常識がわかってないな。」
「ンだとコラー!!!」
「人に名前を聞くときはまず自分が名乗れよ。そんなこともわからないのか?」
ますます頭に血が登り沸騰する。
「わあーったよ、名乗りゃ良いんだろ名乗りゃ。オレ様は"天使の翼(エンジェル・フェザー)"の天空部隊副隊長、ガイアントだ!よ~~~~~~っく、覚えとけよ!」
「ホラ、名乗ったぞ!お前も名乗れ!」
本当に面倒くさい奴だな。ハァ・・・・・、もうこれだけで疲れた。
「オレは人界軍、第5小隊所属の蒼田翔悟だ」
「よーし翔悟な。・・・・・うん!覚えたぞ!」
覚えたから何だっていうんだよ。
「オッシャ!じゃあ続きしようぜ!」
本当に面倒くさい奴だ。まあ、それが当初の目的だったんだけどな。
「じゃ、遠慮なくっ!!」
もう一度斬り込む。その速さは音速にも届くのではないだろうかと思うほどの速さである。普通では視覚で捉えることはできない。が、奴はそれを最初から何処から攻撃されるのかわかっていたようにオレの刀が来るところにバリアを張っていた。
「何っ!!」
「そんなんじゃオレ様を斬ることはできないぜ」
こいつはなんなんだ!?上級天使ということはわかっていた。だが、ここまで差があるとは思っても見なかった。
距離を取る。こいつには今のオレでは勝てないのか!?
「あ!!!」
急に何かを思い出したかのように大きな声を出す。
「思い出したぞ!!」
やはりそのようだ。何を思い出したのだろうか。
「お前!この前の戦争の時に見かけたぞ!!」
何だ、そんなことか。
「ああ。そうだが・・・・っ!!」
徐々に奴の魔力が上がっているのが感覚的にだがわかる。
「テメエーらがアスティルさんを。許さねえ、許さねえぞ!!」
アスティル?誰だそいつは。聞き覚えのない名前だな。
「テメエーらのせいでアスティルさんはまだヘブンズコアから出てこられないんだぞ!!」
「そんなことオレに言われても知らねえよ」
その瞬間、オレはさっき言ったことを後悔した。言った瞬間にガイアントの魔力は元の数倍に膨れ上がり、オレの左脚の感覚が完全になくなったからだ。