ブレイクワールド-break world-   作:黒谷晃佑

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2話 力の正体とこれから起こること

昨日できた一つの疑問。それを解消するために俺は学園にも行かず、朝から軍の駐屯地に来ていた。

 

「あの、すみません。海洋学園の高等部2年A組の蒼田翔悟という者なんですが・・・・・」

 

「はい、お話は伺っております。すぐに担当の者が来ますのでそちらの椅子にお座りになってお待ちください」

 

俺は言われたとおりに傍にあった椅子に座って待っていた。そのあと1・2分で俺の担当だという人が来て案内すると言うので、俺はその人についていった。

 

ついていった先は何かの実験場で、何をするのかわからなかったが、担当の人、冴木さんという人が説明してくれた。

 

「君は昨日の適正検査ですごく強かったと聞いているよ。それで、もしかしたら君は何かの能力を持っているかもしれないからそれを調べようと思ってここに来てもらったんだ」

 

調べるために試験用の衣服に着替え、さっそく試験が始まった。

 

試験の内容は、体力測定みたいなものもあれば、良くわからないものも沢山あった。そして最後の試験。すごい大きい機械があり、今からすることが心配になってきた。

 

「この機械は、人体に少量の電流を流すことで体の中にある能力を引き出すという物なんだ」

 

「え? 電流を流すんですか?」

 

「そうだよ。でも大丈夫、人体を破壊するほどの電流は流さないから。安心していいよ」

 

「電流を流すということだけでとても心配なんですけど」

 

まぁ、グダグダ言っても仕方がないから機械に入る。もしかしたら俺の人生はここで the end かもしれないから、今までやって来たいろんな悪いことを神様に向かって謝る。すいませんでした!!

 

機械が動き出し、静電気が起こる。

 

「じゃ、流すからね」

 

冴木さんの合図で少しずつ電流が流れてくるのを感じる。そして、少量の電流なのに俺の体は反応を示した。

 

「っ!」

 

体が燃えるように熱かった。張り裂けそうな痛みが体を走り抜ける。

 

そこから記憶が切れていた。痛みはあったが、意識がなかった。記憶が切れている部分はあとで冴木さんに聞いた。

 

機械の中にいるとき俺は痛みのあまり叫んでいたらしい。途中から俺の叫び声が変わりはじめて低くなっていったという。すると、悪魔の影らしきものが俺の体から出てきてそいつが叫んでいたらしい。

 

「試験の結果、君には能力があることがわかった。君の能力は、悪魔だ」

 

「悪魔って、魔界にいる魔族の奴らのことですか?」

 

「そうだ」

 

「だったら、俺は魔族ということなんですか?」

 

「いや、それは少し違う。人間界には伝説があることは知っているかい?」

 

「はい、まぁそれなりに」

 

人間界の伝説、正式には昔の日本の伝説というのは、何らかの戦争が起こったときに必ず軍の兵士の中には悪魔の生まれ変わりと、天使の生まれ変わりと、巫女の生まれ変わりが存在する、というものだった。

 

「君はその中の悪魔の生まれ変わりと思われる」

 

所詮、伝説は伝説なのだと思っていたが、実際に我が身に起こるとは思ってもみなかった。

 

? だとすると、

 

「伝説は、何らかの戦争が起こるときにということなら、何らかの戦争がこれから起こるということなんですか? だから、軍の適正検査なんてものがあったんですね」

 

「そういうことだ。隠しておく必要はないから言っておくが市民は今から言うことは知らない。パニックが起こると困るので今から言うことは誰にも話してはいけない。いいかい?」

 

「わかりました、お願いします」

 

冴木さんの表情が真剣そのものへと変わる。

 

「先日の調査で魔族がこちらに攻撃を仕掛けるということがわかった」

 

「!」

 

人間界の100年前の人口と領土が急激に減少して今のようになった理由は、天族や魔族の人間界との戦争だった。100年前からもう4回も戦争が起こっている。魔族が3回、天族が1回人間界と戦争をしている。魔族は攻撃的で、天族それほどではないが、魔法を使った攻撃が特徴的である。

 

重くなっていた空気を冴木さんが断ち切ってくれた。

 

「それじゃ、君が配属されることになる小隊を紹介するとしよう」

 

「はい」

 

今度は、兵士たちの訓練施設にやって来た。冴木さんに待っててくれと言われたので待っていると、冴木さんが戻ってきて、その後ろに3人ついてきた。

 

「彼らは君が配属されることになる小隊、第5班の隊員たちだ」

 

最初は俺と同じくらいの背格好の人だった。

 

「俺は、江口大輔っていうんだ。この小隊の隊長をやっている。よろしくな」

 

二人目は身長が俺より少し低い女の人だった。

 

「はじめまして、私はエミリ・ホーンよ。よろしくね」

 

三人目は大柄の男の人だった。

 

「永戸正臣だ。よろしく頼む」

 

このあと俺も自己紹介をして少し話しをして、今日はこれでいいと言われたので帰ることにした。

 

帰る途中で病院に寄り、藤井くんのお見舞いに行った。藤井くんに昨日のことを何度も謝った。優しい藤井くんは許すと言ってくれたが、俺の中の罪悪感がますます大きくなった。

 

 

 

 

 

 □■□■□

 

 

 

 

 

今日は色々なことがあった。自分の体の中には伝説の中の悪魔がいるということを知り、魔族が人間界に攻撃しようとしていることを知り、小隊第5班の隊員たちと知り合い、藤井くんへの罪悪感が大きくなったりと。頭の中は何がなんだかわからなくなっていた。

 

でも、これだけはわかった。自分は軍に入ることができて、魔族を倒せるということだけは。

 

心がふわふわした。夢が叶うということに対して。

 

明日から訓練が始まると思ったら早く寝ることができた。

 

 

 

 

 

 □■□■□

 

 

 

 

 

 登場人物

 

藤井慧

・年齢 16歳

・血液型 A型

・備考

  翔悟のクラスメイト。顔立ちは良く、異性にとにかくモテモテ。異性にも同性にも優しいが、同性からは“逆に優しすぎて嫌い”という意見が多数でるかわいそうなやつである。ファンクラブがある。

 

冴木昌昭

・年齢 32歳

・血液型 O型

・備考

  軍の人間。兵士のメンタルケアなどをする。今回のことで翔悟の担当となった。妻と娘がいる。

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