ブレイクワールド-break world-   作:黒谷晃佑

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13話 戦いの前夜

港町アロンを出発して2か月がたちようやく天空塔がある都ハルバレに到着した。竜との戦いで大ダメージを受けた第5小隊は他の小隊にかなり遅れて都に入った。

 

都に入る前から見えていた塔は、今や目前となっていた。

 

翔悟たちはすぐに塔へは行かずに合流地点である町外れの森の中へと歩を進ませていた。

 

少し入っていくと不思議な間隔で2列に並んでいる木々が合った。その間を通っていくと突然光に包まれ眩しさのあまり目を瞑ってしまう。

 

目を開けるとそこは過去に見覚えのある景観だった。

 

「ここってもしかして船ですか?」

 

周囲に見えるものといったら青く澄んだ海と空、右手には町が見える。そう、戻ってきたのだ。アロンに。

 

「何で戻ってきたんだ!?」

 

「このゲートは魔法道具だ。魔力によってゲート同士を結び移動手段とする。先行していた第1小隊と第2小隊の奴等が設置していてくれたんだ」

 

「そんなことができるなら俺たちがハルバレに行く必要ってあったんですか?」

 

「それはあったさ。いい訓練になったろ」

 

自分の奥さんが怪我してる人の言葉とは思えないくらいの軽々しさだ。

 

 

 

 

 

 □■□■□

 

 

 

 

 

全体的に遅れていた俺たち第5小隊は先にハルバレに到着していた他の小隊を召集し会議を開始した。

 

「第1小隊、小隊長安田彰人2尉報告を」

 

「第1小隊総員5名、被害状況40%、1名死亡、1名重症、現員3名です。重傷の真山2曹は現在療養中です。我が小隊が戦った敵は8名、一人一人が魔力を保有しており魔法を多用してきました。以上」

 

「次、第2小隊、小隊長上城陽香3尉」

 

「第2小隊総員7名、被害状況0%、現員7名です。私たちは敵との交戦はありませんでした。以上です」

 

「次、第3小隊、小隊長橘隆平1尉」

 

「第3小隊総員9名、被害状況66.67%、6名死亡、2名重傷、現員1名です。重傷者の小山3曹と眞島3尉は現在療養中。敵との交戦はなかったものの6名が何かの光線に撃たれて死亡しました。以上」

 

第3小隊の報告を聞き会議室にどよめきが起こる。それもそのはず、何かわからないものによって6名もの死者を出したのだから。その光線とやらの正体は聖獣である竜が最初に放ったあのブレスだろう。だとすると第3小隊の死亡者の死の原因は俺たち第5小隊だ。

 

「その事に関しては本当にすまない」

 

「何故江口1尉が謝るのですか」

 

「第3小隊の死者の死因が聖獣のなかでも最高位の破壊力を持つ竜のブレス攻撃で、その竜を眠りから覚ましてしまったのは我等第5小隊の戦闘音だからだ」

 

「そうでしたか・・・・・、では、その聖獣とやらは追い払ったのですか?」

 

「ああ、うちの小隊で討伐したさ。といっても最終的には蒼田翔悟1曹が一人で倒したんだがな」

 

いきなり名前を呼ばれた翔悟は咄嗟に一礼した。余計にどよめきが起こる。

 

「じゃあ次、第4小隊、小隊長笹宮大樹准尉」

 

茂みを掻き分けていくかのように大輔が無理矢理本題へと戻した。

 

「第4小隊総員5名、被害状況0%、現員5名です。私たちも敵と交戦することはありませんでした。以上です」

 

「よろしい、では第5小隊より報告。総員7名、被害状況14.29%、重傷1名、現員6名。重傷のホーン2尉は竜との戦いにより負傷、だが、木咲3曹によりほとんど回復している。聖獣である竜との戦闘でたくさんのものを得た。一つは我々の弱さ、もう一つは新たな力だ。ここにいる蒼田1曹は自身の体内に宿している悪魔の力を完全にコントロール出来るようになった。これからもより一層頑張ってもらいたい。以上だ」

 

翔悟のことが話に出たが、正直力を完全にコントロール出来るというのはたぶん嘘だ。翔悟の身体のなかにはもう一つの力が宿っている。竜人、ドラゴニュートだ。奴のことはさっぱりわからない。いつ自分の身体が乗っ取られるかもわからない。この天界遠征が終わるまではそんなことが起きないでほしい。

 

「それでこれからのことなんだが・・・・・」

 

そう言いながら大輔は永戸を見る。大輔の言いたいことを悟ったのか永戸は大輔の横に立つとボードを持ち上げ話し出した。

 

「これからの予定です。我々は天空塔に突入しますが第一の目的は天界との和平、くれぐれも天界の兵士をむやみやたらと殺したりはしないでください。できる限り被害は最小限に留めておいてください。それから天空塔に突入するのは私たち第5小隊のみとします。他の隊は船にて待機必要に応じてこちらから増援を呼びます。突入は明日とします。それまで各自準備を怠らないように」

 

「じゃあそういうことで今日は解散」

 

それぞれが席を立ち、会議室から出ていく。小さな声ではあったが不平不満が聞こえた。だが、仕方がない。人界軍の目的としては天界との和平である。だけど永戸さんは突入という言葉を使った。和平を目的としているのに敵を倒す気満々といったところだ。それはそうだ。俺たち第5小隊の第一の目的は篠宮加奈、鳴野湊を助けることなんだから。仲間を取り戻す、そんなことをすれば戦闘は起こり得るだろう。もしかしたら最小限で留められないかもしれない。

 

だけど俺たちは成し遂げる。天界と和平を結び、加奈と湊を助け出すんだ。

 

拳を強く握りしめて改めて自分の第一目的を心に刻む翔悟だった。

 

戦い前夜。明日、この戦いに終止符を打つ。

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