ブレイクワールド-break world-   作:黒谷晃佑

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6話 竜人ードラゴニュートー

「俺は竜王、大和に身を捧げる者。狩谷重五郎だ。我が身に眠りしは紅き刃を持つ炎の竜。蒼田翔悟、坂浪友香、木咲綾華を捕獲するためここに参上した」

 

 

 

 

 

 □■□■□

 

 

 

 

 

いきなりすぎる敵の登場、これに対し翔悟たちの中で武装しているのは翔悟のみ。当然ここは翔悟が相手をしなくてはならない。しかし、先ほどの大地を揺らすほどの振り下ろし、避けることはできるが間違ってまともに貰ってしまえば人の身体などひとたまりもあるまい。

 

「みんな外に!」

 

室内で戦うのは少々無理がある。狩谷の剣は刃渡り150㎝程の大きさで、翔悟の剣は刃渡り80㎝程だ。剣の大きさでいえば翔悟のほうが少々立ち回りやすいが、先ほどの振り下ろしを見る限り狩谷には障害物などお構いなしだろう。したがって翔悟は全員を外へ移動させたのである。

 

「逃がすものかっ」

 

翔悟たちが外に出て、狩谷が追いかけてくる。翔悟が外に出た瞬間に後ろから何かが近づいてくる予感がして咄嗟に身を屈めた。次の瞬間、翔悟が立っていたところを狩谷の剣が入口のガラス戸を横薙ぎに払った。ガラスは粉々に割れ、その場に散乱した。ひどいものは破片が数メートル先まで飛んでいっていた。身を屈めていた翔悟はガラスの破片を頭からかぶっていた。あと少し屈むのが遅ければ身体を真っ二つにされていただろう。まさに危機一髪だ。

 

その場から逃げて湊たちに追いつき後ろを振り返ると翔悟は驚愕した。駐屯地のエントランスホールが丸々崩壊していたのである。

 

「な、何だよこれ・・・・・」

 

崩壊したエントランスホールから狩谷が姿を見せる。

 

「ちっ、し損ねちまったか」

 

「おまっ、お前は俺たちを捕まえに来たんだろ! 何故殺そうとするんだ!」

 

「いやあ、抵抗したり逃げるようだったら斬っていいって大和様に言われてるんでな、別にかまわんだろう。捕まえられるならその方がいいが、お前たちからは捕まる気なんぞ少しも感じられんのでな」

 

以外にもあっさりした理由に逆に翔悟が驚く。敵の目的は湊以外の三人、竜人の力を持つ者の捕獲、あるいは殺害であると推測する。だが、三人の力を利用するために捕獲するのはわかるが、殺害では力を利用するなどできないはずだ。なのに殺害してもいいと上からの指示が出ているのはどうもおかしい。やはり竜人には何か秘密があるのだろうか、そんな風に湊は考えていた。

 

「では行くぞっ」

 

狩谷が地面を蹴り、まっすぐに翔悟たち目掛けて突進してくる。それを防ぐため翔悟が自身の得物を抜き、前に出た。

 

「こいつの相手は俺がする、みんなは駐屯地に行ってけが人がいないか確認、及び救出に行ってくれ」

 

「わかりました」

 

「気をつけてね」

 

「おうっ」

 

友香と綾華の言葉に振り向かずに答える。

 

「・・・・・死ぬなよ」

 

走り出していた足を止め、湊が振り向きそんなことを言ってくる。たぶん、慧が目の前で死んだことで自分たちがいつでも死と隣り合わせなことを再実感したのだろう。そんな湊に翔悟は振り向き一言だけ。

 

「おうっ!!」

 

より一層強い声で返事をする。お互い顔を見合せ、次会うことを誓った。もう言葉はいらない。あとは相手の思いに応えるだけだ。

 

湊はまた前を向き走り出す。翔悟は自身の敵に視線を向け蒼雷の衣に身を包んだ。

 

 

 

 

 

 □■□■□

 

 

 

 

 

「いいのか、俺はお前を受け入れたわけじゃないぞ」

 

翔悟は目の前にいる身体のあちこちに蒼き鱗をもつ少年に聞いた。少年は眠っていたのか横になっており、目を少ししか開けておらず、けだるそうに翔悟を見た。

 

「まあな。久々に珍しい奴に会ったからな、今回だけだ」

 

「珍しい奴って?」

 

少年の返答に疑問を抱き、聞き返す。

 

「あいつだよあいつ。ほら、今お前の目の前に来てる奴だよ」

 

目の前に来ている奴と言えば狩谷重五郎である。でも竜人であるこの少年に人間の知り合いなどいるのだろうか。そう考えていると疑問に思っていたことが顔に出ていたのか、少年が体を起して答える。

 

「かりなんちゃらっていう奴じゃないぞ。その中の奴だ」

 

(ああ、なるほど)

 

翔悟は納得し、狩谷が言っていたことを思い出した。

 

-俺は竜王、大和に身を捧げる者。狩谷重五郎だ。我が身に眠りしは紅き刃を持つ炎の竜-

 

狩谷の言っていたことを思い出せば彼が竜人の力を持つ者であることがわかったのだ。さっき少年に言われなければ気付けなかった。やはり観察力が足りないなと翔悟は自分の至らなさの肩を落とす。

 

「この際だからお前に言っていなかったことも全て話そう。竜人、ドラゴニュートの秘密ってやつをさ」

 

少年は唐突にこれまで語らなかった自らの秘密について語りだした。

 

「竜人っていうのはこの世界に棲む竜の中でも高位な存在なんだ。選ばれた竜しか辿り着くことができない。竜の歴史は約2万4000年、その中で今まで竜人へと至れた奴は九人」

 

「たったの九人!?」

 

あまりの少なさに驚愕を隠せない翔悟だが、竜のことを『人』と呼ぶことに関してはどうなんだろうかと後から疑問に思うのだった。

 

「そう。その中の一人がこの俺様、蒼雷竜の双刃様だ」

 

「お前、すごい奴だったんだな・・・・。てか、何気に初めて名乗ったな」

 

「おう。改めてよろしくな」

 

双刃は軽く手を挙げ仲良くしてくれよと挨拶する。

 

「話を続けるぞ。それだけすごい竜人なわけだが、その中でも三段階にランク付けされる。普通の奴、お前が知ってるのは緑竜と水竜と土竜だ。こいつらは第一階位だ。そしてこの俺様は第二階位。そしてこの上に第三階位というのがある。今第一階位は五人、第二階位は二人、第三階位は誰もいない。まあ今までで第三階位に到達したのは二人いる。そいつらは今では第三階位じゃないけどな」

 

「じゃあその二人は今どうしているんだ?」

 

「一人は死んだ。もう一人は竜王の位についている。竜王の位につけるのはたったの一人だ。その竜王の位につくための決戦で一人は死んだ」

 

「じゃあ竜王の位についた奴っていうのが・・・・・」

 

「そうだ。今回の敵が信仰している奴・・・・・竜王『大和』だ」

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