いつの間にか俺は暗闇の中にいた。
目の前はおろか何も見えない、何も聞こえない。少し怖かった。
なぜ、こんなところに来たのだろう。
あ、そうか。俺は“魔の剣”を手に入れるために駐屯地の地下の武器庫に来たんだ。
「新しい主人はお前か?」
どこからともなく図太い声が聞こえた。
「なんだ、ガキじゃねえか。話になんねえな」
「誰だ!」
周りを見回すが誰もいない。どこにいるんだ?
いきなり腹を蹴られた感覚が俺を襲った。
「ぐっ・・・・・」
5~6メートルくらいか、見えなくて何もわからないがかなり飛ばされた。
起き上がると、目の前に俺より少し年上くらいの青年が立っていた。
「弱っちぃな、チッ、クソが」
「いきなりなんなんだよ! お前は誰だ! ここはどこだ!」
「やっぱり、ガキは嫌いだな」
「だからお前、っ!!」
また、俺の腹に蹴りが入った。さっきよりも強く。
「少し黙っとけ、必要最低限で説明してやる」
嫌々という感じで青年は話し出した。
「ここへはどうやってきた? それぐらい自分で考えろ。お前は儀式のためにここに来たんだろ。だったら力を示せ。そうじゃなきゃ、俺はお前に力を貸すことはできねぇな」
「力を示すったってどうやって?」
疑問に思った事をそのまま聞いただけなのに、またも腹を蹴られた。さっきよりは軽かったけど。
「こういうことだ、わかったかガキ」
スゲェ腹立つなコイツ。
「ガキガキガキガキうるさいな、俺は蒼田翔悟って言うんだ! お前の主人になるんだからよ~く覚えとけ!!」
「覚える必要なんてないだろ、お前は俺様の主人にはならねぇからな!」
速かった。一瞬で俺との離れていた距離を詰めてもう目の前だ。右から拳が飛んできたからそれを難なく避けたが、右足の蹴りが見えず、またしても蹴りあげられた。尋常じゃない衝撃が背中を貫き、そのまま地面かどうかもわからないところに倒れた。
立てなかった。これまでに受けた蹴りの痛みも合わせて立てなかった。
「なんだよお前、本当に弱かったんだな」
悔しい、俺の隣に立って俺を見下ろしてやがる。ゴメンなんて素振りもしやがる。クソッ、イライラしてくるぜ、コイツ。
その感情だけで立った。フラフラだな、俺。でも、こんなヤツにだけは負けたくない!
すると、からだの奥底から力がどんどん沸き上がってくる。これが俺の能力の一部なんだろう、力と体力と気合いが底上げされているのがよくわかる。今ならなんでもできそうな気がする!
「オラアアアア!!」
俺は自分の走りなのかもわからないような速さで走って接近し、渾身の拳を放った。それは見事に命中し、男を吹き飛ばす程ではなかったにせよ痛みを与えることはできた。
まだいける! そう思い、連続で殴りつけた。何度か弾かれることはあってもそれ以外はしっかり命中した。
まだだ! と蹴りを放つが、これはがっちり止められた。
「ほう、やるじゃねぇか。少しは楽しめそうだ!」
そのあと、俺たちは打ち合い続けた。痛みなんかを忘れるくらいに。
とうとう、二人とも倒れた。肩で息をしながら、満足そうな顔をしながら。
「やるなお前」
「そっちこそ」
お互いに笑顔で認め合った。絆ができた瞬間だった。
「よしっ、決めた!」
男は勢いよく起き上がり、
「お前を俺様の主と認めよう」
そう言った。
「俺様の名は、ガディウス。よろしく頼むぞ、俺様の新たな主よ」
「あぁ、こちらこそ頼むよガディウス」
今どき、暑苦しいだろうがガディウスの差し出された手を握り返していた。
「一つ、俺様の知っていることを教えよう」
不意にガディウスが話した。今回の魔族や天族の進軍は偶然ではないと。この2種族が手を組んでいると。最後にこの2種族を一つにし、手引きしている黒幕が人間界の者だということも。
「そ、それは、本当のことか?」
「あぁ、本当だ。だから気をつけろ、もしかしたら思いがけない程身近なヤツかもしれない」
「わかった」
そう言ったとたんに意識が遠退いていく。“気をつけろ”というガディウスの言葉だけが何度も何度も響いていた。
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目を開けるとそこには加奈たちがいた。二人とも成功したらしい。
起き上がった俺はすぐにガディウスが言っていたことをみんなに話した。みんな驚いていたが、冴木さんの表情だけが少し違っていた。
「みんな良かったな、これで完璧だな」
喜ぶみんなと訓練をしに戻った。
剣は少し重かった。その重みが戦いというものの意味を体現しているかのようだった。
「少し能力がわかってきたぞ」
いきなり湊が自信ありげに話した。
「どんなことができるんだ?」
俺が聞くと、フッフッフと笑いながら、
「知りたいか? 知りたいか?」
と、聞いてきたので、これはお約束ですよね。
「別に~」
と、返すのが。
「あ、そう」
これは想像してなかったよ~~~!
「すみません、やっぱり知りたいです」
「最初からそう素直になればいいのに」
はあ~とため息。
「ちょっと見てろよ」
そう言うと、少し力んだ後、手のひらから鉄製の剣が飛び出した。
オオー! 周りから歓声があがる。湊はエッヘンと胸を張って自信満々のご様子。江口さんが、
「凄いな、それが鳴野の能力か」
本当に関心した様子。
「これだけというわけではないと思いますが」
「だが、これだけでも凄い能力だぞ」
永戸さんがすかさずフォローというか誉めていた。
「それは、造形の能力だな。使いこなせば無限に造り出せるんじゃないのか?」
「そうかもしれませんが、今は一つが精一杯です」
遠い目で見ていた俺はふと思った。
俺の能力って地味だな!!!
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登場人物
ガディウス
・年齢 2300歳(本人いわく)
・血液型 全てを超越している俺様にそんなものはない!
・備考
魔の剣に封印されている悪魔。とても凄い自信家で、自分より弱いヤツは主と認めない。過去にも認められなかった能力者が二人程いる。実は悪魔の中でも1・2位くらいの力の持ち主(過去(まだ100歳のくらいの頃)のことであるから今はどうかわからない)。どういう理由で剣に封印されたかは不明(記憶が飛んでいるとのこと)。
エルドバイン・ラルド・ゼペリウス 通称.エル
・年齢 4630歳(本人いわく)
・血液型 血液型?みんなの天使にそんなものいらないだろ( ^∀^)
・備考
天の剣に封印されている天使。見た目はおとなしいかわいらしい少年だが本当はドS。人間や天使を調教して回り、そのせいで死んでいった者たちは数知れず。天使の中でも王族に一番近くの貴族。1854歳の時に天使を裏切り、人間の味方になった(人間の方がいい声で鳴くとかなんとか.....)。どういう理由で剣に封印されたかは不明(記憶が飛んでいるとのこと)。
日和 本名.大和日和
・年齢 4263歳(本人いわく)
・血液型 何ですかそれは?おいしいですか?
・備考
巫女の薙刀に封印されている人間。見た目は美しく、いわゆる大和撫子だか、食いしん坊。封印される以前は日本中を食べ歩きしたとか。歴史上のワカタケル大王の姉だったりする。いつか日本が大変なことになるかもしれないというワカタケルの頼みで薙刀に封印された。生まれつき強大な力を持っており、巫女と呼ばれていたので“巫女の薙刀”と言われるようになった。