駆け巡る嘘   作:ぱに

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はい、2話に続き、また連日投稿できました!
今回は原作に主人公の介入する余地が少なかった為、後半からはほとんど自分ネタです。
駄文が目立ってしまいますがご容赦いただきたいです
( º﹃º` )
渡ってやっぱカッコいいですよね(*´=∀=)


意識し始める演奏

 

 

俺は今、渡と一緒にいた。

あの次の日から渡は休み時間になると頻繁に俺に話しかけるようになった。

 

「いや、佑樹もピアノやってたんだな」

 

「まぁ、有馬には勝てないけどな」

 

そんな雑談をしながら廊下を歩いていく。

 

「あいつ体育でモロにバスケットボール直撃してたのに、すごいやつなんだもんな」

 

「それは関係ないだろ」

 

有馬は合同で体育をした時にボールを直撃し保健室に行ってからは授業をサボっていた。

 

しばらく歩くと音楽室に着き、中を覗くと有馬は床に寝ていた。

 

「あれ、公生のやつ倒れてんな」

 

「キエーー!!」

 

「ッ!!」

 

倒れてるのを確認したあとに2人で近づいていくと有馬が突如、奇声を上げ、俺らは驚き体を震わせてしまう。

 

「あれ? 渡、葉山さん」

 

「あーびっくりした。 保健室にいないんで探しに来てみたら床にぶっ倒れてんだもん。 死んでるかと思ったぜ。 体育の授業直撃だったし」

 

「本当だよ。 てかいきなり叫ぶし。 あ、俺のことは呼び捨てでいいぞ」

 

俺もそう返すと渡は有馬に近づき、持ってきていた紙パックの牛乳を渡す。

 

「コレでボール当たったとこ冷やしとけ」

 

「ありがと」

 

渡は椅子に腰掛けると自分も紙パックにストローを差し飲み始める。

俺も適当に腰を下ろすと散らかっている楽譜を手に取り見始める。

 

「それで授業サボって奇声あげて、何やってんだよ」

 

俺もそれは気になり、楽譜から目を外し有馬に視線を向ける。

 

すると有馬は目線を背け、ブスッとした表情になった。

 

「別に雑念払っただけだよ」

 

「今日のお前変だもんな。 いつにもましてボーっと……はっ!」

 

渡がそう言うと何か気づいたような顔をし目をキラーンと擬音が出てるかのように細める。

 

「ほー、さてはお前。 好きなコの事考えてたろ?」

 

「……な、なんでそうなるんだよ!?」

 

いきなりの発言に若干の間を空けたあとに有馬は猛抗議する。

 

「思春期の雑念なんざそんなもんさ」

 

「なんて無理矢理な……」

 

俺も溜息を吐いて頭を左右に振る。

 

「タイムリーな、かをりちゃんかぁ? わかるよ。 かわいかったもんなあ」

 

思い出すかのようにそう言う渡に嘘を言ってるようには見えない。

無論、嘘だと思っている男子はいないのだが。

 

「んなワケないだろ! だって……」

 

続きまでに間が空き、その間に有馬は落ち着く。

 

「渡が好きなんだよ。 僕を好きになるハズないよ」

 

その答えに渡は真剣な表情で聞き入る。

 

「そんなのカンケーねえじゃん。 心惹かれるコに好きな人がいるのは当然。 恋してるからそのコは輝くんだもん」

 

渡の考えは正論とも言えないが、なぜか的を得ているようで共感してしまう。

 

「だから人は理不尽に恋に落ちるんだ」

 

(かっこいいセリフ言うねぇ)

 

俺がそう思っていると有馬はボケっと渡の顔を見る。

 

「渡がモテる理由なんとなくわかった」

 

「おうよ。 好きなコたくさん」

 

「残念発言だぞ」

 

有馬が尊敬の眼差しをしていたが、次の渡の発言に俺はつい突っ込んでしまう。

 

「でも、僕には無理だ。 きっと」

 

自嘲気味にそう言う有馬に俺は何故か絵見を思い出してしまう。

 

(なんで絵見なんか!)

 

頭を降り、余計な考えを追い払い、渡を見る。

こんな時、モテ男の渡ならいい返答を繰り出すからだ。

 

「無理かどうかは、女の子が教えてくれるさ」

 

「……渡は良いこと言う」

 

「だろ?」

 

俺も珍しく渡に尊敬を感じてしまう。

 

「ゴラぁぁ渡!! またケイコ泣かせたでしょ!」

 

「ひっ」

 

突如ドアを開け放たれ、そこには憤怒の形相をした澤部がバット片手に立っていた。

 

(ったく……なんで渡はこうも残念なんだ)

 

俺は追い回される渡を見て溜息しか出なかったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

あの後、放課後になると俺は落合先生に会いに来ていた。

 

「それで、土曜の藤和ホールでのコンクールはどうだった?」

 

ソファーに座りながら、ピアノの前に座る俺にそう尋ねる落合先生を見ると、しばらく考える。

 

「そうですね。 はっきり言うと自分を壊された気分です」

 

「そう。 それで何か掴めたことはあった?」

 

落合先生が一番気になるであろう質問に俺は敢えて首を横に振る。

 

「掴めたことは無いです。 ただ自分の演奏とは真逆の演奏を見ただけ」

 

「佑樹、貴方が初めてピアノを触った時のことを思い出してみて。 その時、貴方はなにを考えて演奏していた?」

 

「何を……考えて」

 

頭に思い浮かぶのは全て絵見だ。

初めて絵見と会ったのも小学生の頃。

その時はまだ有馬の存在を知らず、ピアノを一生懸命弾いていた。

しかし、絵見が入ってからだ。

有馬に対抗心を燃やすようになったのは。

 

「佑樹は絵見のこと好きだったものね」

 

「……ッ!! 何言ってるんですか!」

 

まるで心を見透かされたようにそう言ってくる落合先生に俺は動揺を隠しきれずに立ち上がる。

 

「昔から賞を取るたびに絵見に見せてたじゃない。 でも絵見はあの頃から有馬くんのファンだったけどね」

 

俺は落ち着きを取り戻すと席に腰を下ろす。

 

「確かにそうかもしれませんね。 俺は昔から絵見に認めてもらったのかもしれないです。 有馬より俺の方がすごいって」

 

「だけど、現実は佑樹は全てのコンクールで4位入賞。 絵見にも勝てなくなったものね」

 

「そういえばそうですね」

 

確かに有馬の演奏を聴いてからは俺の演奏は変わったのかもしれない。

 

「佑樹は絵見に認めて欲しさに有馬くんと同じ演奏を目指したんじゃないかしら?」

 

的を得ている落合先生に俺は視線を外せない。

 

「佑樹はいつからか有馬くんの摸倣をしているのよ。 それじゃ有馬くんにも絵見にも勝てない」

 

「……摸倣」

 

落合先生の言ってることは恐らく正しいのだろう。

俺は確かにと納得してしまう部分さえある。

だからと言って、気づけたから何かが変わると言うほど簡単なことではないのだ。

その為、俺は自嘲気味に笑ってしまう。

 

「確かにそうかもしれません。 俺はどこかで有馬 公生に憧れてた。 絵見の憧れで……俺も有馬みたいな演奏ができれば絵見に振り向いてもらえるって。 でも、もう遅くないですかね?」

 

俺は既に小学5年生からはこのスタイルを貫いているのだ。

気づくには遅すぎるのだ。

 

「遅いと思ってしまうなら……先に進もうという意思が無いのならそこまでだと思うわ」

 

俺は落合先生の発言に落としていた頭を上げる。

 

「貴方は目標が大きすぎなのよ。 有馬くんは森脇学生コンクールピアノ部門優勝、ウリエ国際コンクール2年連続入賞、彩木コンクール最年少優勝……他にもたくさんあるけど周りからは神童と持て囃される子なのよ?」

 

俺は何も口を挟まず、静かに落合先生の発言に聞き入る。

 

「貴方は? 貴方の残したものは何? 全て入賞。 そこに優勝はないのよ」

 

確かにそうだ。 いつも有馬に取られ、俺は優勝はしたことない。

 

「だったらそれでいいじゃない。 それを認めた上で貴方は貴方だけの演奏をして有馬くん超えた佑樹じゃなくて、有馬くんから優勝を奪った佑樹になりなさい」

 

「優勝を奪う……」

 

「そう、それさえあれば貴方はどこまでも輝ける」

 

落合先生と話していると自然と自分の意見を言えなくなってしまう。

これで変わらない人なんてバカとしか言いようがない。

 

(ここがスタートライン……かな)

 

そんな事を思いながら、鍵盤に指を置く。

 

「落合先生、一曲……聞いてもらえますか?」

 

「ええ、貴方の答えを聞かせてちょうだい」

 

「じゃあ、ショパン、練習曲、作品10-12『革命』で」

 

俺は新たな扉を開けるかのように鍵盤を押し始めたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

「……どうですか?」

 

「素直に言うなら下手くそね」

 

先生の感想に俺はグダッと頭を落とす。

 

「でも、悪い意味ではないわ。 佑樹が変わろうとしてるのが伝わる。 あとは佑樹が誰の為にピアノを弾いてるのか意識すること」

 

もちろん、俺が誰の為に弾いてるのかと問われれば答えは決まっている。

 

(絵見に俺の演奏を認めさせてやる為だ)

 

俺は自分の気持ちに整理をつけられ、自然と道にかかっていた闇が腫れていくような気がした。

靄は未だかかり、前は見えないが、それでも足元は見える。

 

「佑樹。 ここが貴方のスタートラインよ。 ここからコンクール優勝を奪い取ってみなさい」

 

「はい!」

 

俺がそう言うとインターホンが鳴り響く。

 

「え? 今日は絵見来るんですか?」

 

今日は休みだと聞いていた為、それはないと思いながらもそう尋ねると先生は訝し気味に首を傾げる。

 

「とりあえず、見てくるから貴方はここにいなさい」

 

(え、なぜ?)

 

勿論、家からは出れない為、移動する気は無いが先生の発言に疑問を覚えてしまう。

家に入る音が聞こえると、少し経った後に予想通り絵見が入ってきた。

 

「また佑樹居たの?」

 

「最近はよく会うな」

 

俺がそう言うと絵見はあきらさまに嫌そうな顔をする。

 

「絵見、ちょっとだけでいいから佑樹の演奏を聴いてみない?」

 

落合先生の意見に絵見はムッとした表情に変わる。

 

「なぜですか?」

 

もっともという疑問に落合先生は笑みを深くする。

 

「面白いものが聞けるかもしれないわよ」

 

そのセリフにより、俺は今ピアノの前に座り、ソファーには落合先生と絵見が座っている。

 

「さっきとは違う曲を弾きなさい。 そうね……グリーグ、op.38-7『ワルツ』を弾いてみなさい」

 

俺は本日2度目になる鍵盤に向き合い、指を乗せる。

 

(いつもとは違う感じ。 いつもなら作曲家の気持ちを考えるのに、今回はそれが無し。 自分のやりたい演奏はできない。 じゃ、どうやって弾く?)

 

俺は目を瞑り、そう考えると1つの答えに辿り着く。

 

(……なら、自分が弾きたいように弾けばいい)

 

俺の指がゆっくりと下に落とされ、演奏が始まったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

絵見は葉山 佑樹の事は嫌っていた。

理由としては簡単で、自分が目標とした有馬 公生では無く、偽りの有馬の演奏を聴いてそれを真似しているからだ。

 

だから今回も弾いても何も共感できないと思っていた。

この時までは……。

 

「ッ!?」

 

指が鍵盤を押し、音を奏でた瞬間に気づいた。

これは今までの佑樹ではないと。

 

しかし、リズムもテンポも乱れ、前の佑樹ではあり得ないミスが続出し、既に演奏というよりはピアノを始めたばかりの小学生が弾いてるみたいだ。

 

(なにこれ……これじゃ、まるで素人と変わらない)

 

絵見はわからない。

あれからの3日間で何があって、なぜここまで佑樹が変わったのかを。

 

一方、佑樹は自分の下手くそな演奏に早速ストレスが溜まり始めていた。

弾きたい通りに弾けず、リズムは崩れ、テンポも間違える。

考えた通りに手は動かず、譜面を見る余裕さえ消えてくる。

 

(俺は譜面通りに弾く機械じゃない。 自分の意思でこの曲を創り上げるんだ)

 

その意思とは裏腹に曲が乱れ、ケアレスミスが続出していく。

 

全て弾き終わると俺は溜息を吐き、鍵盤から指を離す。

 

「どう? 今の気分は」

 

「ぐっちゃぐちゃで演奏とは言えないものでしたね。 ストレス溜まりまくりです」

 

大分、ぐったりしている俺を見て絵見は驚愕の顔を張り詰めたまま、質問を投げかける。

 

「なんで……なにがあったっていうの?」

 

「俺は気づいたんだよ。 俺はピアノを有馬に追いつきたくてやってたわけじゃない。 認めて欲しい人に認めて欲しいから始めたんだ」

 

俺の発言に絵見は納得できない表情になる。

 

「それがその結果なのに? いいの?」

 

「まぁ、そこらへんはこれからでしょ」

 

俺がお気楽気味にそう言うと、ようやく絵見がニット笑う。

 

「簡単に言ってくれるけど、今のままじゃコンクール入賞も厳しいのよ」

 

「わかってるさ。 だから俺はここからがスタートラインで、ここから俺の反撃開始だ」

 

俺の宣誓とも言える発言に落合先生と絵見は笑みを深くしたのだった。

 

 

 




どうでしたでしょうか?
自作ネタではヒロインを井川 絵見に決めようかとおもったんですが、この状況はあくまでも絵見に認めてもらいたいという思いの方が強いと思ってください。
ヒロインはまだ内緒ということでw
もしかしたらこのまま、絵見
他のキャラが入ってきたり?
はたまた、オリキャラが?
こんな感じでやっていくのでご愛読の方よろしくお願いします!
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